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黒島物語-BLUTAL ISLAND STORY-コミュの阿希様の怪物狩絵巻

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(株)カプコンの登録商品、ソフトウェア、モンスターハンター・2nd・G・Portableに纏わる零れ話をするコーナーです台風


モンスターハンター(以下:モンハン)をプレイする上でおかしな現象やほのぼのとした出来事を緩やかに語りますぴかぴか(新しい)

危険・警告モンスターハンター攻略専門のトピックではありません。必ずしも提供した情報が攻略に結びつくものではございませんので、ご理解の方をよろしくお願いします台風

コメント(41)

【阿希様の釣り馬鹿日誌】

樹海は雲一つ無い快晴に恵まれ、絶好の釣り日和でした台風

その日、阿希様は川の主、ガノドトス亜種を釣る為に樹海を訪れましたー(長音記号2)

餌は何を使いますか?

「【釣りカエル】を使うのよ…まさか【マグダンゴ】や【釣りフィーバエ】を使うとでも思った?」

適当な餌では駄目なんですか?

「ガノドトス(以下ガノス)は【釣りカエル】が好物なのダッシュ(走り出す様)そんな適当な餌じゃ間違って【ハジケイワシ】が釣れてしまうわexclamation ×2」

それは失礼しました。

阿希様は大変釣りにこだわりをお持ちで…

「ちゃんと【情報誌】を読んで来たからよたらーっ(汗)」

なるほど、事前に【情報誌】や口コミで情報収拾を行う事が勝利への近道なんですね。

「えっ?そうなの…。」

えっ?って、あなたねぇたらーっ(汗)

ガノトトスは【雷属性】が弱点であり、【火属性】も効果があります。

【状態異常攻撃】ならば、【麻痺】がお勧めです。

【シビレ罠】や【落とし穴】、雨が降っていれば【爆雷針】等も効果が高いですよ。

【爆雷針】は【電光虫】と何かを調合する事で作る事が出来ます。

もう一つの【素材】は忘れてしまいましたぴかぴか(新しい)
【蟲竜も所詮は竜の子】

【蟲竜】と呼ばれておりますは【ティガレックス】。

空飛ぶ蜥蜴(とかげ)でございます。
彼の性格を現代的に申し上げますと、【じゃいあにずむ】…


【飛竜種】の原点とも言われておりますが、飛行能力はそれ程発達しておらず、むしろ地上での身のこなしが得意とされています。

しかしながら、このような凶暴な生き物を阿希様が調教されている姿は何ともそそられる構図ではございますが、そうは言いましても中々手強い相手でございます。

地を這うような強烈な突進、岩をも砕く牙で噛み付かれた日には、狂犬病ならね狂竜病にかかる程度では済まされません。

そこで、阿希様御用達のピザ屋の装備、【サザミ】は【ティガレックス】に対抗するには十分過ぎる装備です。

【ガード性能】スキルがあれば、強烈な攻撃を受けても押し負ける心配はありませんよ。

「あぁ…もう!目が眩むわ。」

阿希様としましては、【閃光玉】は大変目に毒のようです。

いつの時代でも、【過ぎたるはおよばざるが如し】、強い光りを見続けるのは目を悪くする原因ですね。
遊戯のやりすぎには注意しましょう。
【鉄壁の黒鎧】

私個人としましては、【飛竜種】の中では最も死角の無いモンスターであると考えています。

【グラビモス亜種】です。

【飛竜】とは、空を飛んでいれば【飛竜】なのかといいますと、あながちそうとは限らないのですが、大概羽が生えております。

今回の【グラビモス亜種】につきましては、弱点となる【属性】は【氷】になるのですかね。

加治屋の若旦那の所で、防具の性能について調べました所、【氷耐性】は【−2】という事でした。

ですが、今回は【ガンランス】での出撃ではなく、【太刀】での出撃となります。

【太刀】はラインナップの貧困さ故に【火属性】、【毒属性】のものしかございません。

仕方なく、【毒属性】の【太刀】を持って阿希様は【グラビモス亜種】討伐へと【沼地】へ足を運びました。

ちなみに、【上位】での挑戦ですが、いかに【G級】の【リオレウス防具】でも、大変苦戦を強いられ、残り時間5分前まで引っ張ってしまいました。

尻尾は是非とも切っておくべきです。
【剥ぎ取り】が2回は出来ますよ。

しかしながら…【上位】でこれほど強い【グラビモス亜種】ですが、【G級】で相見える事となれば生半可な戦略では通用しないのでしょう。
【心頭滅却すれば火もまた涼し】

阿希です…

只今、火山にいます、もう暑い…帰る

いえいえ、暑くても【クーラードリンク】さえあれば多少の暑さも凌ぐ事は出来ますよ。

私じゃなくて芭蕉布に依頼してちょうだい。もう疲れた…帰る帰る。

今回はいつにも増して我が儘ですね。ほらほら、熔岩の向こうにお魚が泳いでますよ。

馬鹿にしないでよ!熔岩に魚がいる訳が…っあ本当だ。

あれは【魚竜種】の仲間で、【ヴォルガノス】と言います。

ごるばちょふ?

【ヴォルガノス】です。

ぼるがのす?

「ヴォ」ですよ「ヴォ」!

そんな細かいことどうでもいいでしょ。あれを討伐すればいいのね?

そうです。

解ったわ!取りあえず【ペイントボール】を投げるわ♪

そんな間合いから届きますかね?…あ、届きましたね。おや?

おかしいわね…姿が消えたわ。

【ヴォルガノス】は再び姿を表しました。

今のは何だったのかしら?何やらうごめいているけど、こちらに気付いてないみたいね。


近づいて武器を出したりしまったりしてみて下さい、こちらに気付くはずです。

解ったわ!

【ヴォルガノス】はどうやら気がついたようで、直ぐさま地中に潜り、地面から飛び出して来ました。

うりひゃー!

阿希様、ぼんやりしすぎです。

【回復薬】使っていい?

構いませんが、余り無駄遣いしないでくださいよ。

うー♪

今です。彼が熔岩を吐き出したら直ぐに足元を狙って切り付けて下さい。

うー♪

モウ!トマラナイヨ!
モウ!トマラナイヨ!

この刀…変な声が出る。

それは【アメザリ刀】と言う【太刀】ですね。値段は安いですが、中々の業物ですよ。

おもしろい♪


ほらほら…そうこう言っている間に彼は飛び上がってしまいましたよ。

えっ?

阿希様はまんまと【ヴォルガノス】の跳びはね攻撃の下敷きになってしまいました。

【回復薬】使っていい?

もう好きにして下さい。

今度は粘り強くはいずり回って来たわ!駄目…避けられない。

どうしても駄目な時は間合いを取りつつ、武器をしまった状態で走りながら緊急回避して下さい。
攻撃を受け付けない時間を利用するんです。

何とか助かったみたい…イッペーニフェーデービル。

まだまだ先は長いですよ。

そんなこんなで、死闘の末【ヴォルガノス】を撃破する事に成功しました。

めでたしめでたし…
【火玉の吐露】

「また会ったな…」

蒼き皮膚を纏った彼は冷めた口調で言った。

「なに、仇討ちにでも来たの?諦めの悪い人ね。」

彼は緩やかな軌道を描いた火玉を吐き出しました。
それを難無くかわし、哀れみの目で女は彼を見つめた。

「俺は…あの戦い以来、貴様を倒す事だけを考えて生きて来た。」

深い霧が立ち込める沼地で対人しますは密林の王者イャンクックと熱帯の黄金花・阿希であります。

蒼きイャンクックは積年の怨みを晴らすべく、阿希の前に現れた。

格段に力を付けた蒼きイャンクック。はたして、阿希はクックを見事討ち果たす事が出来るのか。

「俺は貴様を倒すために日々クチバシと大腿筋を鍛えて来た、今の俺に死角などない。」

「そう…ならば私も全力で行かせてもらうわ。」

阿希は【双剣・双聖剣ギルドナイト】を構えた。
【ガブラス】の慟哭と共に戦いの火ぶたが切って落とされた。

阿希は早々に【音爆弾】を投げた。

「キワケー!」

気絶しているクックに空かさず【鬼人化】。【双剣】血染めの【乱舞】を見舞いました。

「貴様…この俺を本気にさせたな。」

クックは興奮の余り、口の中から炎が零れておりました。

えいや、とクチバシ乱れ飛ぶ、怪鳥機敏に動く様は、啄木鳥の木彫りの如く。

「なんて動きなの!まるで読めない。」

阿希はクックによる巧妙な時間差攻撃と連携に目もあてられず、クックの尻尾による薙ぎ払いをまともに受けてしまいました。

「あう!」

阿希は岩陰に飛ばされ、立ち上がろうとしたその刹那、クックは目の前まで迫っていました。

「貴様は、【双剣】の威力を過信しすぎたようだな!死ぬがいい。」

「しまった!避けなければ…。」

時すでに遅く、阿希は岩にたたき付けられるように体当たりを受けてしまい、【気絶】してしまいました。

「これで終わりだ!」

「ごふ…。」

阿希は再び体当たりを受けて力尽きてしまいました。

【G級】とはかくも厳しい世界なのでしょうか。
【チラガー】

阿希はイャンクックとの戦いに破れ、対した感慨もなく自室のベッドで養成しておりました。

あの戦いを一人、振り返りながら阿希は考えに耽っておりました。

「殺さないの…?」

蒼きクックは阿希を見つめて答えました。

「貴様は狩人としては一流だ…だが、貴様の眼にはその先の未来が見据えられてない。」

「愚問ね…まるで廃人扱いだわ。確かに、密林を統べる貴方にとって、聖地を荒らす狩人は自然界の敵でしかない。私は、何のために狩人として生きているのか…。」

文明開花、その先には必ず自然との共生を困難にさせる問題が待ち受けているものです。

阿希が考えに耽っていると、目の前を小さな陰が横切りました。

「ぴぷー、ぴぷー。」

【プーギー】という子豚です。阿希は暫く【プーギー】の様子を見ていました。

すると、阿希の腹の虫の音が響き渡りました。
阿希は立ち上がり、【プーギー】の頭を撫でながら卑しい考えを巡らしました。

「ああ〜、美味しそう…。」

思わずよだれが垂れてしまった阿希の様子を見た【プーギー】は激怒し、走り去ってしまいました。

「うりひゃー…待ってぇ〜。」

豚の肉は琉球では大いに食べられました。それは、地形が貧困な故に海外貿易に依存しなければ国を維持出来ない、半ば発展途上国であった琉球にとって、食物に最大限に活かす事が必要不可欠でした。。戦後、豚肉は内蔵から耳や顔や皮まで全て余す事なく食されて来ました。

さて、話しは大きくそれましたが、【プーギー】が可愛いからといって、執拗に構いすぎるのは禁物ですよ。
【土間の猫】

「お腹空いた…。」

おやまぁ、阿希様はどうやら空腹のご様子ですが、この世界じゃ【生肉】を得るにも狩場へ出掛けなければいけません。

しかし、毎度毎度、草食動物を狩るにも一手間も二手間もかかります。

「お腹空いたぁ〜、このままじゃ干からびて死んでしまうわ。」

食料が底を尽きた、ある日の出来事です。阿希様のもとに新しい料理人が士官先を求めてやってきました。

「始めまして旦那さん!【アシガル】と申しますニャ、以後おみしりおきを…。」

新しい料理人はやはり猫です。二本足でしっかりと歩いておりますが、猫背なのは変わりません。

「ワタシク、可愛い足軽さんね。」

ちょいと、阿希様。戦国大名を気取りますが、アシガル違いでございます。

「あなたの【得意食材】は何?」

阿希様は新米【キッチンアイルー】に問いました。
阿希様に限らず、新たに【キッチンアイルー】を雇うのであれば、【得意食材】、【情報レベル】、【キッチン・スキル】は確認しておくと良いでしょう。

「【魚介類】ですニャ…近頃の大和人は魚を食べないニャ、健康に悪いニャ。」

「じゃあ、鰯の煮付けを作って♪」

阿希様は何とも渋い選択をしましたが、そういった細かい設定はございません。どうしても食べたい方は自分で作りましょう。

「旦那さん、それは出来ないけど【魚介類】なら任せるニャ!」

阿希は【アイルーキッチン】へ向かいました。

阿希様御用達の【キッチンアイルー】は【アシガル】を含め、5匹が既に雇われています。
最大5匹までですが、出される料理は無意味に豪勢なもので、どっからどうみても食べ切れておりませんが、そこはゲームなので仕方ありませんね。

「う〜ん…まずまずね。」

【アシガル】の出した料理は【普通の味】だったようで、それもそのはず、【アシガル】の【キッチンレベル】は【1】です。
美味しい料理を作るにはもっと修養・鍛練・研鑽を積まなければなりません。
これからの成長が楽しみですね。


おや、阿希様は食事が済むなり、【オンライン集会場】へ向かいました。

狩人仲間の京太郎氏と何やらやり取りをしている模様ですが。

「これだけあれば暫くは持つわ!」

阿希様、京太郎氏から【生肉】を140個もせしめてくるとは、抜目ない人ですね。
【ふぁっしょん】

狩猟に出掛ける前に、防具や武器を選ぶのも狩りの楽しみの一つですが、何やら阿希様は服装に悩んでおられるご様子です。

「う〜ん、何を着て行けばいいんだろう。」

阿希はベッドの下を覗き込み、誰かの名を呼びかけました。

「芭蕉布!ちょっと起きて。」

どうやら、芭蕉布を呼んでいるようですが、そんな場所にいるばずがなく阿希のベットの窓辺から顔を出して相変わらずの無表情でそんな素っ頓狂な阿希を眺めております。

「…何か?」

阿希は驚いて顔を上げました。その拍子にベッドに頭をぶつけてしまいました。

「アガ!いるんなら返事くらいしなさいよ、馬鹿。」

「返事はした…。ワンネーワルコーネーンビランムン。」

「その琉球方言で棒読みしたような言い方が腹立つわ!早く入って来なさいよ。」

阿希は苛立ちながら促しました。

「これから【ババコンガ】って言う霊鳥類を狩りに行かなければならないのだけど…どんな服装で行けばいいの?」

「知らん…。」

「もう…即答しないでよ。」

「そうだ…私の友人のナッシュが言ってた…猿は"せくすぃ〜"な女子が好きだ、と…。」

阿希は首を傾げました。

「"せくすぃ〜"って何よ?」

「まぁ…ようするに、色仕掛けすれば良いということヤサ…。」

「色仕掛け…でも男衆に評判の良い着物って何か解らないわ。」

芭蕉布は淡々と解説に入りました。

「男の心を掴むには、露出を最小限まで抑えることヤサ。」

阿希はまたまた理解出来ませんでした。

「そうなの!?でも、男なんて助平なんだから肌が多く見えていた方がいいのではないの?」

芭蕉布は首を横に振り、話しを続けました。

「ちがう…確かに肌が見えてる方が男は喜ぶ、やしが、限りなく少ない露出の中で、少しだけ肌が見えてる事で男の良からぬ想像を掻き立て、より心を引き付ける事が出来る…これを"ちらりずむ"と言う。」

阿希は懐紙を取り出して筆で書留ながら頷いておりました。

「うー、成る程、"ちらりずむ"ね。確かに京太郎は【サザミX】が好きだって言ってた。」

「京太郎は良く解っている…私は【ゲリョスZ】もいいと思う…。」

「そう…じゃあ、芭蕉布は何が1番好きなの?」

芭蕉布は表情さえ変わりませんが、少し照れているようにも見えました。

「…【レウスX】。長い尻尾が細い腰の締まりを強めて健康的な骨盤の女子を思わせる。背中のコルセット、胸元と長い丈のブーツによって脚が強調され、より一層魅力を増している。」

「解ったわ、じゃあそれで行くわ。」

「ところで、何処へ行くつもりだったのだっけ?」

「そういえば、目的を忘れてしまったわ…まぁ、いいわ、御飯にしましょう。」

ちょいと、お二人さん。やれやれ、大事なのは色仕掛けではなく、防具そのものの性能ですよ。
【狼なんて怖くない】

満月がぁ〜怪しげにぃ〜輝く真夜中の夜ぅ〜…阿希と特別参加のオトモ芭蕉布は樹海をさぁまよっていたぁ〜……

「ねぇ…もぉ帰ろうよ、狼のたてがみを生やした鳥なんている訳無いじゃない。」

芭蕉布は黙々と歩き続けました。

「…。」

阿希は芭蕉布の様子を見て恐る恐る問いました。

「もしかして…道に迷った?」

「……。」

阿希は大きく溜息をつきました。

「いいのよ…何となくこうなる事は覚悟してたから。」

うなだれたまま仕方なく歩く事にしました。

しばらく歩くと、漆黒の皮膚に銀色のたてがみが生えた怪鳥が闇夜に溶け込んでいるように佇んでおりました。

「静かに…。」

阿希は芭蕉布に注意を促しました。

「ぷひょえ〜♪♪ぷりしわか〜♪」

「って、笛吹いてんじゃねぇよ!!」

黒狼鳥がこちらに気付いて飛び去ってしまいました。

「あんたの性で逃げちゃった!馬鹿馬鹿馬鹿…!!」

芭蕉布は鼻をほじくり返しながら何食わぬ顔で黒狼鳥を追いかけました。
阿希はひたすら芭蕉布の頭を両手で小刻みに殴りました。

「いったい何処へ向かっているの?」

阿希と芭蕉布は必死に追いかけました。

「東に向かったと思ったら、西の方角へ引き返したわ。」

やっとの事で追い付きました。

「コフォーー!コフォー!」

黒狼鳥は何やら"してやった"といった面持ちです。

「何か言ってるわ…芭蕉布、対話してみて。」

「…ワカヤビタン。」

芭蕉布は黒狼鳥と対話を始めました。

「コフォー!ココフォー。」

「…わしの名は【イャンガルルガ】、お前達がこのわしを狩ろう等と片腹痛いわ!」

芭蕉布は相変わらずの棒読みで阿希に翻訳してあげました。

「腹立つわね!」

「コッコフォー、コフフィフォンフォーフィーコォフォ!コフォッフォフォフォ♪♪ゴブォゴブォ!!」

「お前達人間と、わしとではオツムの出来が違うんだよ!デカイのは"胸"と"ケツ"だけか!ははははは♪♪…うっゲホゲホ(むせた)!!!」

「"胸"と"お尻"はあんたが言った事でしょうが(怒)」

「ぐは…!イチュターマティ!!」

阿希は芭蕉布を絞め殺しかけました。

「なにはともあれ…あいつを狩ればいいのね(怒)覚悟なさい!」

阿希は蟲竜矛を構えました。

ガルルガは息を吸い上げ、凄まじい威力の火球を三回吐き出しました。

阿希は難無く盾で防いでみせました。その拍子に芭蕉布は飛ばされてしまいました。

「ちょっはや!何潜ってるのよ。それでもオトモなの?」

「…平和主義ですから。」

そう言い残し、芭蕉布は地面に潜って行きました。

「馬鹿…もう、役立たず!」

油断している隙にガルルガは零距離からの高速突進を仕掛けて来ました。

「コフォー!」

「ああん!」

あやうし阿希、次回へ続く。
【満月にほげろ】

「きゃー!」

ガルルガの猛攻に曝されている中、芭蕉布は遠くで寝転がっておりました。

「てめぇ、休んでる暇があったら助けろよ!…ハ!?いけない、私ったら、つい苛立って汚い言葉を発してしまったわ。気をつけなくちゃ。」

芭蕉布は立ち上がり、角笛を吹きました。

「ぷりひやは〜♪ぷりしわけ〜♪」

「相変わらず、その下手くそな笛はどうにかならないの…。」

しかし、その余りにもお粗末な笛の音色にガルルガが堪えられず、芭蕉布の方へと走って行きました。

「よし…いまよ、【落とし穴】仕掛けてあげるわ!」

芭蕉布はまたまたガルルガに吹き飛ばされてしまいました。

「ハッサミヨー!なんでそんなに弱いのよ…。」

ガルルガは阿希の方へ振り返り、再び走りだしました。
思惑通り、阿希の仕掛けた【落とし穴】へ近づいて来ます。

「もう少し…。」

ガルルガは【落とし穴】へと落ちる、はずでしたが、飛び越して来ました。

「ああん…なんでよぉ〜。」

「あいつには【落とし穴】は通じない…。」

芭蕉布は阿希の背後からいつの間にやら飛び出して来ました。

「うりひゃ〜、いつの間にいたのよ!」

「あいつに【閃光玉】をぶつけてくれ…それから、私が【シビレ罠】で動きを止める…。」

「成る程、いくら身軽なガルルガでも【シビレ罠】からは抜け出せないはずね♪解ったわ。」

阿希と芭蕉布はガルルガの火炎を避け、二手に別れました。

「これでも喰らいなさい!」

阿希の投げた【閃光玉】が激しく光ります。

「ゴブォー!」

ガルルガは目が眩み、視界を奪われてしまいました。

その隙に阿希は矛で脚を狙って突いて行きます。
一つの脚を狙い続ける事で、ガルルガを転倒させることが出来ます。

「ゴブォー!」

ガルルガは派手に転倒しました。

「やったわ!ガルルガの地獄耳は頂いたわ♪」

ガルルガの頭に生えた耳を攻撃することで、もしかしたら報酬で【黒狼鳥の地獄耳】がもらえるかもしれません。

ガルルガは必死で起き上がりましたが、なんと、芭蕉布の仕掛けた【シビレ罠】に続けざまにかかってしまいました。

「ゴンブォヒー!」

「次は尻尾を頂くわ♪」

阿希は痺れて動けないガルルガの尻尾を切り付け、切断しました。

ガルルガは痛みの余りに前のめりに倒れてしまいました。

しかし、その隙をついて、さらに【閃光玉】を投げ付けました。

またまた、ガルルガは視界を奪われ、連鎖的な被害を被りました。

うんなくんなで、やっとの思いでガルルガを捕獲する事に成功した阿希と芭蕉布。

「さっきは…酷い事言って悪かったわね……あなたがいなければガルルガを仕留められなかったわ…。」

阿希は帰り道、芭蕉布の淋しげな背中を見て素直に謝りました。

「…私は、背中を押しただけヤサ。本当に頑張ったのはお前だ…。」

「ふふ…どうでもいいけど、その横っ跳び踊り、あまりかっこよくないわね。」

「…勝利の舞踏ヤサ。」

芭蕉布は左右に跳びはね、ぶっきらぼうに踊りながら二人で月を愛でておりました。めでたしめでたし…
【大地と深緑の神】

「日が陰った…そろそろだな。」

京太郎は宙を漂う巨大な島を見上げていました。それはそれは大きな島です。

いえ、島ではありません、大きなタコにも見えますが、体中に植物が生えております。

あれは正しく、【ヤマツカミ】です。【ヤマツカミ】に関しましては情報が不十分なため、詳しい事は言えませんが、恐ろしい怪物ですね。

これは、ある日の京太郎氏の依頼から始まりました。
「ちょっと…それは何?」

阿希は芭蕉布の買って来た新しい【肉焼き機】を指差して言いました。

「【高級肉焼き機】ヤサ…。」

「私は【ハリの実】を買ってきてって言ったのに!どうして【肉焼き機】なのよ(怒)」

「…トレジーの弟子が

"よっ♪【高級肉焼き機】買わないか?いいよぉ〜これは【こんがり肉G】が出来るんだ…絶対買いだね!ははは。"

って言ってたぞ。」

阿希は呆れた顔で問いました。

「それで、いくらしたの?返答によっては切るわよ。」

「……。」

芭蕉布は一目散に逃げ出しました。

「こらぁ!待ちなさい(怒)」

芭蕉布は軽い身のこなしで集会場へ逃げ込みました。

「はぁはぁ…あいつ、何処へ行ったのよ…まったくもう。」

飛び込むように阿希が入って来たために、【アイルー】が驚いて尻餅をついてしまいました。
そこに、京太郎の姿がありました。

「あっ…京太郎。」

京太郎は大きく溜息をついて言いました。

「【高級肉焼き機】は【ポッケポイント】5000ポイントで交換してたらしいぜ…。」

「ごっ!?」

阿希は余りの横暴な値段に愕然とし、テーブルに伏せってしまいました。

「それはそうと、話しがあるんだが…。」

京太郎は阿希にある依頼を持ちかけました。

「なによ…お金なら無いわよ…グス。」

「金の催促じゃねぇよ、人聞きの悪い。お前、【ヤマツカミ】って知ってるか?」

「【情報誌】で名前くらいなら知ってるけど。それがどうしたの?」

京太郎は酒を飲み干し、追加の注文をしました。

「悪い、ピッチャー持って来て♪」

京太郎はピッチャーを一瞬で飲み干し、語り始めました。

「まぁ、簡単な話、その【ヤマツカミ】の討伐にお前も加わらないか?俺一人じゃ心許ないからな。」

阿希は余り気が進まない様子でしたが、討伐に参加する事を承諾しました。

「もう一人、仲間が加わる予定だ。よろしく頼むぜ。」

「へぇ〜、そうなの。」

すると、集会場にもう一人、女が入って来ました。

次回へ続く…
【亜空間旅行】

「Hello !Are you Aki?」
集会場に現れた謎の女はエゲレス人でした。

「へっ…へろ?」

阿希は何が何だか解らず、適当な受け答をしてしまいました。

「My name is Misa.Please call me Misa.Nice to meet you Aki♪」

阿希は思考が追い付かず、目を回してしまいました。京太郎は慌ててミサに大和口を話すように言い聞かせました。

「What's up?」

「She can't speak and hear English.」

「Oh! I'm sorry but、I don't know.」

ミサは改めて挨拶をしました。

「ハジケマシテ、アキ!ワタシハ、ミサ、イイマス。イゴ、オミリシオキオ。」

「ハジケイワシ、ミサ、コチラコソ、ヨロシクネ!」

「お前まで片言にならなくていいんだよ。」

京太郎は作戦の説明に入りました。

「ブリーフィング・タイム、ネ!」

これから【ヤマツカミ】の討伐に向かうに当たって用意しておいて貰いたい物がある。
まずは、【生命の紛塵】だ。その調合方法は、まず、【不死虫】と【竜の牙】を調合し、【生命の粉】を作る、その【生命の粉】と【竜の爪】を調合すれば【生命の紛塵】が作れるぞ。

次に、【捕獲用麻酔玉】だ、今回の作戦の要となるから持てるだけ持って行ってくれ。調合方法は【マヒダケ】と【ネムリ草】を調合し、【捕獲用麻酔薬】を作り、さらに【素材玉】と組合せれば完成だ。

「質問です!」

「なんだ?阿希。」

「今回の作戦の要となる【捕獲用麻酔玉】は、いつ使うんですか?」

京太郎は後ろに腕を組み、踏ん反り返って言いました。

「いい質問だ…奴が繰り出す亜空間旅行を逆手にとるのさ。」

「?」

「奴が全てを飲み込もうとする時こそ最大の危機であり………そして、最大の好機だ!」

阿希はいまひとつ飲み込め無い様子です。
そんな阿希の肩に手を当て、ミサは言いました。

「ヨウスルニ、オオクチ開ケタ【ヤマツカミ】、麻酔、ブチコミネ!OK?」

「うー!ワカヤビタン。」

「では、早速準備に取り掛かりますか。」

京太郎は巨大徳利を携えて集会場を後にしました。

次回へつづく…
【古しえの搭】

「そろそろだ…。」

三人は古びた搭を訪れました。空は薄暗く灰色に染められ、正にこれから強大な敵と対峙する前の寒々とした静けさです。京太郎は二人に作戦の総浚いをしました。

「敵はこの搭の中枢部に浮上してくるはずだ、いいか、奴が吸い込み始めたら迷わず足場から飛び降り、非難する事を第一優先とする。余力があれば、奴を搭の下部へ突き落とす。この【捕獲用麻酔玉】でな。」

「Ok.」

「解った。」

「あと、万が一吸い込まれてしまったら…。」

「吸い込まれたら?」

京太郎は無意味に勿体振り、間を開けて言いました。

「全身がばらばらに切り離され、二度とお天道様を拝めねぇかもな…。」

「……。」

阿希は暫く硬直しました。
そんな、阿希をからかうように京太郎は言いました。

「冗談だ、馬鹿!」

「う、うるさいな…解ってるわよ!」

阿希は内心恐れておりました。必要以上に態度に出やすく解りやすい女子ですね。

「Hey! Kyotaro.レディーニハ、ヤサシクシナキャ、ダメヨー。ノン、デリカシーナンダカラ!」

「へいへい…。」

三人は【ベースキャンプ】から必要な道具を取り出して行きました。

「行くぜ、ぐずぐずすんなよ。」

京太郎は足早に目的地へ向かいました。
ミサも後に続きます。

「ああん…ちょっと待ってぇ!」

阿希は大きな爆弾を持ち出しました。

「【対巨龍用爆弾】?」

少し遅れて阿希が搭を登って行くと、そこには巨大な軟体生物が浮遊しておりました。

「こ、これが【ヤマツカミ】…。」

続く…
【針葉樹林帯】

搭を遅れて登って来た阿希は目の前の軟体動物に目を奪われてしまいました。

「凄い…頭に木が生えてる。」

そうしている内に、巨大な腕が阿希を襲いました。

「はっ!?」

「あぶねぇ!」

腕は完全に直撃し、阿希はスルメイカになってしまったかのように思えましたが、しっかりと盾で防いでおりました。

「凄い…少しも押されてない。」

【サザミZ】の紫の坊具を一式、身につけて来た阿希は、盾で防いだ際の後退が殆どありません。この特製は先にも述べたように、【ランス】及び【ガンランス】と大変相性が良いです。

紫の盾蟹、【ダイミョウサザミ亜種】の素材を用いる事で製造可能です。

「ぼけっとすんなよ…そのドンガメ装備じゃ後々泣きを見るぜ。」

「煩いわね、誰がドンガメよ…誰が。」

【ヤマツカミ】は体を回転させながら足を広げました。いくつもの太い足が徐々に回転速度を上げながらゆらりと降下してきます。

「Hey! Aki,フセテ!!」

「うう…。」

阿希は武器を納めるのが間に合わず、やむおえず足による攻撃を盾で防ぎました。

「姿勢を低くすれば余計な体力を消耗せずに済んだものを。」

「うう〜…。」

阿希は頬を膨らませ、不満げな表情で京太郎を睨みました。

京太郎の言い分も最もであり、素早い立ち回りを可能とする【太刀】での戦術の方がこの場合は適切だったでしょう。

ミサも的確に【太刀】で【ヤマツカミ】を切り付けて行きます。

「…Oh,be carefully !!」

ミサは【ヤマツカミ】が二本の腕と頭部を寄せ付けて搭の足場にしがみついたのを確認し、二人に注意を促しました。

「来るか…阿希!攻撃を止めて回避に専念しろ。」

「えっ?」

すると、【ヤマツカミ】は巨大な口を開き、凄まじい勢いで吸い込み始めました。

「ああ…駄目、逃げられない。」

まんまと阿希は【ヤマツカミ】に吸い込まれてしまいました。

「ミサ!頼んだ…。」

「Ok !」

おそるべし、【ヤマツカミ】。はたして、この驚異から抜け出す術はあるのでしょうか。

次回へ続く…
【走馬灯の果てに】

「ミサ!?どうした…。」

「ポーチ、ヒラカナイヨ!」

ミサは急いで【生命の紛塵】を取り出そうとして、帰って手間取ってしまいました。

その間にも飲み込まれた阿希は薄れ行く意識の中、走馬灯が蘇りました。



「ただいま戻りました。」

阿希は狩猟してきた竜王の遺体を荷車に積み込み、集落へ帰って来た所です。

自室へ戻ると暖炉の前を独占しながら芭蕉布は干し芋を貪っておりました。

「…それで何頭目だ。」

「80頭目だけど。」

「…絶滅危惧種にでもなってユネ○コから保護の呼びかけでも来なければいいが。」

【キッチンアイルー】や【オトモアイルー】達も暖炉の前に集まって来ました。

「だってだって…【火竜の天鱗】が取れないのよ!」

「ニャーニャー…ウェーウェー。」

芭蕉布は暖炉の火であぶった干し芋を【アイルー】達に分け与えました。

「火は、命を燈す事もあれば…奪う事もある。お前は頑張り過ぎる所がある…初心に返り、珠には農場の手伝いをするといい…。」

「見た目は女面してる割にはオジーみたいな事を言うのね。解ったわ…あっ!そうそう…。」

阿希はポーチから何かを取り出しました。

「これ…良かったら【アイルー】達にあげて。あと、あなたのお友達のババさんにも。」

芭蕉布は【特選キノコキムチ】を阿希からもらいました。

「ニャーニャー…ウェーウェー。」

「【特産キノコ】を【トウガラシ】で和えたものよ…疲労が溜まってる時や寒い時に食べるといいわよ。」

「これはババさん(ババコンガ)も喜ぶだろう。にふぇーでーびる…。」

「芭蕉布…ちょっと来て♪」

阿希は思い立ったように坊具の収納された【アイテムボックス】を漁りました。
そこから白いたてがみの被り物を取り出して芭蕉布に被せました。

「【キリン】という幻獣の毛皮で作られた衣装なんだけど、私は…その、着るのはちょっと恥ずかしいから貴方にあげるわ。」

芭蕉布は【どんぐりメイル】から【キリン】の坊具に着替えました。

その姿を見て愕然としました。

「ガク…私より似合ってる…。」

「非常に寒いのだが…。」

阿希は溜息をついて言いました。

「【根性】がないわねぇ…」



「【根性】…、【根性】があれば、まだ力尽きはしない。」

【ヤマツカミ】に吸い込まれた阿希は奇跡的に立ち上がりました。

「阿希!?無事なのか。」

京太郎は直ぐさま【生命の紛塵】を撒き散らしました。

「そうね…【根性】があったんだね。」

ミサは阿希の無事を確認し、ようやく落ち着いて反撃に出ました。

「よし…一気に畳み掛けろ!」

京太郎は【ヤマツカミ】を搭の真下へ突き落とし、頭の上に飛び乗りました。

続く…
【確信の勝利】

前回、【ヤマツカミ】が体力を消耗し、搭の真下へと落ちて行った所へ、ここぞとばかりに京太郎とその不愉快な仲間達は頭の上に飛び乗りました。

【ヤマツカミ】は攻撃を受け続けると次第に弱まり、落ちて行きます。一時の間浮上することはないので、その頭の上に飛び乗る事が出来ます。

【ヤマツカミ】の他、【老山龍】と呼ばれる【ラオシャンロン】の背中にも飛び乗る事が出来ますが、飛び乗る事でどのような特典があるのかと言いますと、まず【素材】の剥ぎ取りが数回行う事が出来る他、非常に強力な爆弾【対巨龍用爆弾】を貼付ける事が出来ます。

「阿希!お前も飛び乗れ…大丈夫だ。」

「えっと…ええい、破れかぶれの日焼けに茄子だわ!!」

阿希は少し躊躇しながらも【ヤマツカミ】の頭の上へ飛び降りました。

「ぐえ…!」

阿希は謝って京太郎の真上に着地してしまいました。
「Oh my gat!」

「あり?ごめんなさいね…。」

「いいから…早く剥ぎ取れ。」

阿希は足場が不安定ながらも剥ぎ取りをしました。
経験上剥ぎ取りは3回までが限度でしょう。それ以上は振り落とされてしまい、爆弾を仕掛ける事が出来ません。

「よし、爆弾を仕掛けてくれ!派手にぶっ放してくれよ。」

「よいしょ。」

「You are bomberd woman!」

そうこう言っている内に三人は振り落とされ、【ヤマツカミ】の頭の上で激しい爆発音が響き渡りました。

まるでボタモチのように三人は地面にたたき付けられ、勢いよく転がって行きました。
良い子は決して真似をしてはいけません。まともな人間であるならば死んでしまいます。

「さぁさ、ボサッとしてねぇで上に戻るぜ!」

「ふぇえ〜、いちいち忙しい作業ね…。」

「シカタナイネ!」

再び搭の上層部へと引き返しました。
そして、同様の攻防を繰り広げ、【ヤマツカミ】は二度目の飲み込む動作をしました。

「そう何度も同じ手に引っ掛かると思ったら大間違いよ!」

阿希は、今度は逃げ遅れないように武器を予め納め、用意してきた【捕獲用麻酔玉】を【ヤマツカミ】へ投げ付けました。

たちまち【ヤマツカミ】は体の自由を奪われ、落ちて行きました。この時こそ攻撃の絶好の機会です、麻酔によって落とした場合は、しばらくの間は無防備な状態になり、一方的にこちらが攻撃を加える事が出来ます。

「作戦通りだ!このまま押し切るぜ。」

京太郎、ミサの善戦により、見事【ヤマツカミ】を倒す事に成功しました。
長く険しい巨大生物との戦いがようやく幕を閉じたのです。
阿希は疲労がたまり、その場に倒れてしまいました。

そこへ、芭蕉布が現れました。

「よお!芭蕉布じゃねぇか、何しに来たんだ?」

「我が主の身を引き取りに…異存はないな。」

京太郎は財布から【12000z】取り出し、芭蕉布に放りました。

「今日の阿希の取り分だ…取っておけよ。」

「…。」

芭蕉布は軽く会釈をし、荷車に阿希を乗せて去って行きました。

「カレハ、ナニモノ?」

「古しえの国から来た俺の友達さ。」

「腹心ノ友達ナノネ♪」

「まぁ、そんなところだ。さぁさ、俺達も帰るか!」

こうして【ヤマツカミ】を見事討伐した三人にはつかの間の平和が訪れたのでした……悪魔でつかの間ですが。

「……阿希、重いぞ。」


終わり
【童神】

「注:以下の内容はゲーム本編とは一切関係のないものです。一連のゲーム・システムやルールからは逸脱した内容となります。御了承下さい。」


空の青とは名ばかりの曇り空の森丘で一頭の竜がその空域を支配していた。

森丘一帯を縄張りとしている六双牛のナッシュはその竜の存在を恐れていた。
アプトノスの群れも姿を消し、それを食用としている肉食怪物にあたるランポスも食料の不足により、その数が減少していった。

かの竜王に敵う怪物は森丘に棲息する中にはおらず、その弱肉強食の調和が崩れようとしていた。

しかし、この世の怪物の中には救世主たりえる存在がいた。

ある日のポッケ村での事である。

「バサさん…バサさんは居るかい?」

ポッケ村を代表する専属加治屋の若旦那が阿希の住む小屋へと尋ねて来た。

「あり!?加治屋さん、芭蕉布に何か用ですか。」

阿希は調度薬草の調合をしている所だった。

「いやなに…知らない顔の男がポッケ村を尋ねて来て、芭蕉布という男は何処にいるか、って聞いて来たからよ。」

すると、若旦那の背後から謎の男が姿を表しました。

「お初にお目にかかる、我が名はナッシュと申す。以後おみしりおきを。」

「ああ…あなたがナッシュさんね♪芭蕉布から話しは聞いてるわ。上がって。」

「かたじけない。」

ナッシュは丁寧に挨拶をし、阿希の小屋へと上がって行きました。

「それじゃ、俺は加治屋に戻るよ。」

「ありがとう。」

若旦那はそう言って阿希の小屋を後にしました。

阿希はキッチンへと案内しました。キッチンの中は多くのアイルー達が混沌と溢れ返り、不必要に賑わっておりました。

「旦那さん、お客さんですかニャ?」

アイルーの一匹、アシガルがナッシュの存在に気付き、寄ってきました。

「大事なお客様よ、丁重におもてなしして♪」

「ウェッウェー!」

アイルー達は料理長のジェットの指揮の下、調理を始めました。

「それで、どのような御用件ですか?」

「話せば長くなるのだが、私は長い事、草食動物達を統べて来た。森丘一帯の生体の調和を保ち、それを管理管轄する事が私の使命であり、我々のような妖魔の一種の罪滅ぼしといった所だ。」

阿希は音も立てずに茶を啜りました。

「ところが、近頃、森丘一帯の生体調和が崩されつつある。
それは、竜王がその地を縄張りとしてからの事だ。」

阿希はその話に疑問を抱きました。

「おかしいわね…竜王に大自然の生体調和を崩す程の力があったかしら?」

ナッシュは出された料理を異常な早さで食べ始めました。

「いや…実は…ルウオウとは…言っへも…。」

「ナッシュさん、食べるか喋るかどちらかにして下さい。」

ナッシュは喉を詰まらせ、胸を拳で叩きました。

「ぐほ、その竜王なのだが、その種族の中でも極めて希少な白銀の火竜である。その力は従来の火竜など比べ物にならぬ程の恐ろしいものだ。」

ナッシュは阿希から差し出された水を勢いよく飲み干しました。

「そこで、芭蕉布。あやつの力を借りたい。しばしこちらに預けては下さらぬか?」

「それは構わないけど…芭蕉布にその竜王を倒す程の力があるとは思えないわ。」

「そうか…阿希さんは芭蕉布の真の力を目にしたことがまだ無いようで…あやつは一度妖魔の封印が解ければ地を揺るがす程の恐ろしい力を発揮するのだ。」

すると天井から声が響き渡りました。

「…話は全て聞いた。」

「あり?芋姫、いたの。」

芭蕉布は天井の張に逆さにぶら下がって干し芋を貪っておりました。常に干し芋を携えている事から阿希の中では芋姫と呼ばれるようになりました。変な体勢で干し芋を食べていたためか、誤ってよだれを垂らしてしまいました。

「ちょっと、芋、よだれを垂らさないでよ、もう!」
芋姫こと芭蕉布はヒラリと天井から降りて来ましたが、着地に失敗し、テーブルに激突してしまいました。
「ちょっとぉ!お皿が割れちゃったじゃない(怒)高かったのに!」

「…すまん。」

芭蕉布は頭を押さえながら椅子へ腰掛けました。

「バサ…先程の用件を受け入れてもらえないか?」

「ナッシュ…悪いが断る。」

「どうして?せっかく遠くからわざわざ来てくれたのだから引き受けてあげなさいよ。大自然の危機なのよ。」

ナッシュの言い分を聞き入れられない理由とは…

次回へ続く
【離散した愛】

白い幻獣のたてがみが芋姫の冷淡さをより引き立てるかのように窓辺からの穏やかな風がなびかせる。

ナッシュの言い分を受け入れなかった芋姫にはその白銀の竜とは切っては切り離せない深い縁があった。しかし、それは、白銀の竜が過去の記憶の竜であったか、芋姫の憶測でしかなかったが、何やら心中で根拠の無い核心をついていた。

時は10年前に遡る。

森丘で豊富に採れるキノコを収拾するために訪れた上流階級の氏族の娘・リリを護衛するためにギルドとは別の個人的な意志で同行していた芋姫。

「バサや…勤めご苦労であった。私の好物のキノコがこんなにも沢山採る事が出来たのはそちの働きのお陰じゃ。」

「…恐悦至極にございます。」

そこへ執事のクロサワがリリになにやら耳打ちしました。

「お嬢様、恐れながら、このような得体もしれぬ女、たった一人を護衛に連れて行かれるのはいかがなものかと。」

「クロサワ、バサは立派な男じゃ、わらわはこの男を将来婿として迎え入れるつもりじゃ。父上に反対されようともわらわはバサと共に生涯を添い遂げたいと思うておる。」

「それほどまでにあの男を信頼なさっておいでですか。申し訳ございません、平にご容赦を…私は出過ぎた真似をしました。」

「構わぬ、それよりバサよ。」

芋姫はリリの前にひざまづきました。

「わらわはあの洞穴を探検してみとう思うておるのじゃ。ついてきてたもれ。」

「お嬢様!」

「…お言葉ですが、お嬢様、かの洞窟は狂暴な魔物が住み着いております故。」

「平気じゃ、おぬしがついておろう。」

芋姫は止めても無駄だと感じ、仕方なく山の頂きの洞穴へと連れて行く事になりました。

三人は洞穴へと一歩足を踏み入れた瞬間、暗がりの奥からランポスが飛び掛かって来ました。

「ひえ!」

「ギャワー!!」

芋姫は冷静かつ正確にランポスを太刀のみねで薙ぎ払いました。ランポスはそのまま気絶してしまいました。

クロサワは腰を抜かしてしまいました。

「見事じゃ!バサ。」

リリは、やんややんやと囃し立て、見世物小屋にでも入り、仕掛に胸を踊らせる子供のようでした。
とは言いましても、リリはまだ15とまだまだ幼い年齢です。

「…クロサワ殿、お怪我は?」

芋姫はクロサワに手を貸し、立たせてあげました。

「いやなに…情けない所をお見せして申し訳ない。おぬしがいなければどうなっていたか。」

そうしている間にリリは飛竜の巣の中にある大きな卵を見つけました。

「バサ♪見るがよい、なんとも大きな卵じゃ!」

「お嬢様!そちらは危険です。すぐにお戻り下さい!」

芋姫は駆け出し、大きな卵を抱えたリリごと抱え込み、三人はすぐに洞穴から脱出しました。
「今日は充実した日であった。よは満足じゃ♪」

執事のクロサワは疲労困憊であり、芋姫は汗一つかかずに黙々と帰路につきました。

その日、芋姫とリリはひそかに飛竜の卵を持ち帰り、リリの屋敷の暖炉の前に置きました。

「…いかがしますか?」

「いかがもイカヤキもあったものか!飛竜の子供が生まれる瞬間をこの目で確かめるのじゃ♪」

「…しかし、そのような事がギルドに発覚すれば、飛竜の子供は殺されるかもしれません。」

「それもそうじゃのう…仕方が無い。礼はさらに弾む故、もとあった場所へ共に返しにいってたもれ。」

「…御意。」

芋姫といい、リリは疲れを知らないのでしょうか。持ち帰った卵をまた元の場所へ返そうというのです。
ところが、二人が卵を持ち上げようとした時、急に卵が動き出しました。
「おお!生まれそうじゃ。」

そして、卵にひびが入り、飛竜の頭が飛び出しました。

「ンギャーンギャー!」

生まれて来た飛竜は芋姫を母親だと勘違いし、食べ物を求めて鳴きました。

「おお!生まれてしもうた。それにしても、これは珍しい銀色の飛竜じゃ!」

リリは目を輝かせて言いました。

「…お嬢様、屋敷内の誰かが部屋に入って来る模様。その子供をどこかへ隠して下さい。」

「おお、それは大変じゃ!」

仕方なく芋姫は飛竜を抱き上げ、服の中へ忍ばせました。

「リリや、おるのか?」

「母上、何か?」

「いましがた、獣のような泣き声が聞こえたのだが。」

「母上の気のせいであろう。」

「それならば良いが、そこにいる女は何者じゃ?」

腹を膨らました芋姫は何食わぬ顔で言いました。

「…挨拶が遅れ、申し訳ございません、母君様。私は、お嬢様の護衛を勤める一介のキノコ売り、芭蕉布と申します。以後おみしりおきを…。」

「ンギャ…。」

「おや?今、何か声が。」

「いやはや…はしたない所をお見せしました。調度腹を空かしておりまして、腹の竜が…ではなくて腹の虫が威勢良く鳴り響いてしまいました。調度、お嬢様が山で採られたキノコがあります故、皆様で頂きましょう。大変美味でございます。」

リリは鼓動が大きくなり、汗がにじみ出て来ました。

「そうかえ…それならば良いが、昔からリリは動物を拾うては我が家に持ち帰ってきていたからのう。おおかた、山で竜の子供でも拾うて来てしまったのかと思うたわ。」

そう言うとリリの母親は部屋から出て行きました。

「ほう、危なかった。」

「…お嬢様、この子供はいかがしますか?」

リリは笑みを浮かべ、芋姫の唇に一差し指を宛てて言いました。

「これは、わらわとバサの二人だけの秘密じゃ♪」
【過ち】

「のう、バサや。飛竜は何を食べるのじゃ?」

「…肉食ですから、生肉を食べるでしょう。生肉であれば市場から仕入れて来る事が出来ます。」

飛竜は抱き抱られながら、口からわずかな火を噴きました。

「おお!凄い芸当じゃ。」

芋姫は飛竜の口をふさぎ込み、叱りました。

「…ここで火を噴かれてはお嬢様の家が燃えてしまいます。火を噴かれないよう仕付けなければなりません。」

リリは淋しげな顔をし、言いました。

「やはり、我が家で共に生活するのは無理なのであろう…。」

「犬猫ではございません…残念ですが、もといた場所へ返してあげる事が賢明でしょう。」

その夜、満月の光を頼りにリリと芋姫は飛竜の子供を連れて森丘へひそかに向かった。
昼間にキノコ狩りへ行った際に訪れた場所である。

「…お嬢様、お気をつけ下さい。」

二人は静かに洞穴へと足を踏み入れました。
芋姫は火を起こし、明かりを点しました。
すると、暗闇の奥から雌の火竜が現れました。

「バサや…。」

「お嬢様、大丈夫です…私にお任せを…。」

雌火竜はギルドではリオレイアと呼ばれ、雄の火竜に比べて非常に脚力が発達しています。
それだけに、逃げようものならすぐに追い付かれ、引き裂かれてしまうでしょう。

「ングォルルル…。」

リオレイアの口からは僅かな炎がこぼれ出し、縄張りを荒らされると思い、怒り心頭しておりました。
そんな中、芋姫は懐から笛のような音の出る木片を取り出し、不思議な音色を奏でました。
すると、リオレイアは何かを口ずさみ、あたかも語っているように鳴きました。

「バサや…リオレイアに何をしたのじゃ?」

「この手製の笛で火竜と交信をしていました。」

「おお…そんなことも出来るのじゃな!」

「海で育った動物の千恵でございます。」

「はて、なんのことじゃ?」

「こちらの話しです。お気になさらず…。」

芋姫は早速リオレイアと交信を始め、抱き抱えて来た火竜の子供を差し出しました。

「ギャッギャフ、ファンギャー!」


「このとおり、あなたの子供をお返しします。どうか命だけはお助け下さい。」

芋姫は平和的に解決しようと試みました。
リオレイアは火竜の子供を見つめながら言いました。
「この子供は既に人間の手に染められた(ようするに人間と関わってしまった。)。そうなれば私はこの子供を育てる理由も資格もない…狩りを覚えるも空を飛ぶも生きるか死ぬかの世界。この子供はおぬしを生涯の親と決めてしまったのだ。」

「…では、人間のような軟弱な主を定めた子供は自分の子ではない。そういうことか、それが捕食者の掟か?それでも親か…。」

リオレイアは声を張り上げて言いました。

「いかにも人間らしい身勝手な考えだ…おぬしは厳しい自然界を生き抜くためにどれ程の苦難に立ち会うのか解っているのか?我ら捕食者は命を懸ける日々こそが日常…そのような軟弱な飛竜は自然界で他の捕食者達に排除されるのが関の山であろう。」

「…人間は身勝手か…否定はしない。」

「これ以上おぬしに話す事などない…いね!それとも、今この場で食いちぎられたいか?」

「よく解った…ならば、この子供は私が預かる…立派な飛竜に育ててみせよう。」

芋姫とリリは仕方なく飛竜の巣を後にしました。
芋姫はリリに先程の交信の内容の一切を話しました。
それを聞いたリリはうなだれてしまい、気を落としてしまいました。

「やはり、わらわは取り返しのつかぬ事をしでかしてしもうたのか。浅はかであった…。」

「…お嬢様は何も気に病む事などございません。」

「ブグォー…ブグォー。」

飛竜の子供は気持ち良さそうに寝入ってしまい、リリはその様子を見て、再び笑顔を取り戻しました。

「竜の子供であろうとも、寝顔は可愛いものじゃのう…ふあ。」

「お嬢様もお疲れでしょう、屋敷までお送りします。」

芋姫はリリを屋敷まで送ってあげました。
【狩猟訓練】

「…今だ、しっかり狙え。」

「ワンギャワンギャ!」

ケルビの群が飛竜の子供の鳴き声に驚き、四方八方に逃げて行きました。
子飛竜はケルビの足に追いつけず、取り逃がしてしまいました。

「…そんなに騒いだら逃げられてしまう。気配を悟られぬよう近づいて行けと言ったはず。」

「アングラ!」

「もう一度行くぞ…。」

芋姫と子飛竜は朝早くから樹海へ出向き、狩りの特訓をしておりました。
しかし、何度繰り返しても上手くなりません。あげくの果てには獣人族のメラルーにいじめられてしまう程です。それでも絶えず特訓は遅くまで続くのでした。

「もういい…私が食糧を調達する。そこで待っていろ。」

芋姫は、子飛竜をベースキャンプに残し、見るに耐え兼ねて自分で獲物を捕る事にしました。
しばらくすると、子飛竜の叫び声が森の中を響き渡りました。

「アングラー!!」

芋姫は急いでベースキャンプに戻りました。
そこには、巨大な黒毛の飛竜に睨まれた子飛竜の姿がありました。

「…迅竜か。」

その漆黒の毛皮をまとった飛竜はナルガクルガです。
暗闇を好み、素早い身のこなしとブレイド状の翼、鋭い刺の生えた尻尾が特徴です。

子飛竜は無謀にもナルガクルガへと突進しました。

「…よせ!」

ナルガクルガは尻尾を鞭のようにしならせ、子飛竜にたたき付けました。
しかし、間一髪、芋姫は子飛竜を抱き抱えて救いだしました。

続けざまにナルガクルガの尻尾が襲います。
芋姫は子飛竜を抱えながら片手に握り締めた太刀で防いで行きます。

「オブゥアアア!」

目まぐるしい早さで芋姫の周りを跳びはねながらブレイドによる攻撃を繰り出しました。

このままでは、じり貧となり、殺されてしまいます。

どうなってしまうのか…次回へ続く
【無謀なる勇気】

樹海で狩りの特訓中にナルガクルガと遭遇した芋姫と子飛竜は今まさに危機的な状況にあった。

「アングラー!」

子飛竜は小さいながらもナルガクルガに恐れる事はなかったが、無謀さ故に芋姫は目を離す事が出来なかった。
右手にしっかりと抱き抱えて子飛竜を守りながら戦っておりました。

「…仕方ない。」

ナルガクルガが飛び込みの構えを取り出しました。
それを見計らって芋姫は子飛竜の耳をふさぎ込み、悲鳴のような咆哮のような非常に高い周波数で叫び出しました。

「○♀%*¥¢∞ーー!」

ナルガクルガは鼓膜が破れ、大量に血を流しながらその場に倒れてしまいました。

「悪く思うなよ…。」

芋姫は、抱いていた子飛竜を下ろし、ナルガクルガに近寄り、肉を剥ぎ取ろうとした瞬間、ナルガクルガが不意に動きだし、芋姫の喉元を狙って噛みつこうとしました。
しかし、後方から何者かが火球を吐き出し、ナルガクルガの頭に直撃させ、完全に息を止めました。

「…お前。」

それは紛れもなく子飛竜でした。

「アウアウ!」

「…やれば出来るじゃないか。これ程大きな獲物を捕ったのはお前だ…その小さな体でな。」

その夜、リリを招いて町の外れの湖の前でナルガクルガの肉にありつきました。

「この肉はすこぶる固いであるぞ、バサ。」

リリはビーフジャーキー並の非常に蛋白質の豊富な固い肉に不満を言いました。

「お嬢様…それでも子飛竜が初めて召し捕った獲物です。今日は記念日です。」

「それもそうじゃな、大儀であるぞ、ソル。」

「そる?」

「飛竜の名前じゃ♪勇猛な火竜の名前であるぞ。」

「アングラ!」

「ほれ、ソルも喜んでおる。」

「ソルですか…お嬢様らしい。」

「それから、バサや…そのお嬢様という呼び方はやめい。わらわはリリでよい。」

芋姫は無表情ながら心なしか微笑んでいるようにも見えました。

「解った…リリ、これからもよろしく。」

お嬢様という身分には相応しくない野外での会食は大いに盛り上がり、その日の思い出を胸に刻むのでした。
【誓い】

あれから5年の月日が経った。芋姫はソルと共に消息をたち、リリと過ごしたあの日から姿を見せなくなった。
リリは淋しさと悲しみに溺れ、誰とも話しをしたがらなかった時さえあった。
毎夜毎夜悪夢に苛まれ、眠れない日々を過ごす事もあった。
そんな中、リリの身を案じた両親はリリにある婚約話しを持ち掛けた。

「リリや…お前はもう結婚を考えても良い歳じゃ。お前に相応しい婿殿を紹介しようと思うてな。」

「……リリは、結婚などしたくありませぬ。」

父親はそんなリリの態度を見て激怒しました。

「いいかげんにせんか!いつまでも帰って来るかも解らないあの男を待ち続けて何になる。お前は捨てられたのだ…そうゆう男だったのだ!」

「違う!バサは絶対に帰って来るのじゃ。わらわは死ぬまで待つのじゃ!」

父親はリリの頬を叩きました。

「この縁談は向こうの了解も得ている。是非お前を嫁に欲しいと快く承諾してくれた。」

リリは叩かれた頬を右手で押さえながら呆然と立ちすくしました。まるで父親の言う事が耳に届いていないかのように。

「悪い話しではない…きっとお前には不自由はさせない。ギルドの名門の出なのだから。」

「…。」

「とにかく、明日はキャラバン隊を率いて砂漠を越える。もう、この薄汚い町とはおさらばだ。」

そう言って両親はリリの部屋を出て行きました。
リリは一人、ベッドの上で泣き崩れました。

翌日、予定通りリリ一家はギルドの精鋭部隊を率いて砂漠を越える事になりました。
リリは馬車に乗り、思い出の町を名残惜しく思いながら遠く離れて行く景色を見つめておりました。

「リリや…くれぐれも婿殿の前では粗相のないように。お前は昔から落ち着きが無かったからのう。」

「解っておる…母上。」

一晩中泣いていた為にリリは目を真っ赤にして俯いておりました。

しばらくキャラバン隊が砂漠を横断し、もうすぐ5キロメートル先に目的地が見えて来た所で一人のギルドの傭兵が声を張り上げて言いました。

「た…大変だぁ!」

「どうした?サップ!」

「テ、ティガレックスがこちらに接近してきます。」
「なんだと!?」

キャラバン隊の上空を飛行し、ティガレックスが目の前に降り立ちました。

「ンヌギャアァァー!」

「全隊、ティガレックスを迎え撃て!馬車を死守せよ!」

「お前様!」

「慌てるな!こちらには傭兵集団がいる。」
しかし、20数名いたギルドの傭兵隊はティガレックスの尻尾で薙ぎ払われ、いとも簡単に壊滅してしまいました。

「駄目です!各地のハンターに救援要請を…ぐわぁ!」

客車を引いていたアプトノス達が一目散に逃げ出して行きました。

そして、ティガレックスはリリ一家の乗っている馬車へと突進してきました。

「ひぃ!誰か助けてくれ。」

続く…
【竜王子ソル】

ティガレックスに襲われたリリ一家。ギルドの精鋭部隊に猛威を振るい、壊滅せしめたティガレックスの前に成す術は無かった。

猪突猛進という言葉がこれほど相応しい竜がいただろうか、ティガは容赦なくリリ一家の客車へ突撃をした。

「…不思議じゃ、こんな時でもバサの事を思うてしまうとは。ティガの死の咆哮よりも…おぬしのいない世界を生きて行く方が余程わらわにとって恐怖だったのじゃな。」

「お嬢様!」

執事のクロサワはリリを庇うように抱きました。

「クロサワ…すまぬ、おぬしまで巻き込んでしまって…。」

ティガは目前まで迫っておりました…ところが。

「…ングラー!」

リリは聞き覚えのある懐かしい声を耳にしました。

「アングラー!!」

リリは空を見上げると、日の光りを反射し、まばゆい輝きを放った白銀の巨大な火竜を目にしました。

「ああ、夢ではないのだな…ソル!」

その火竜はソルであった。その背中には芋姫が乗っておりました。

「バサや…来てくれたのじゃな。」

ティガは突撃を止め、急降下してくるソルの方を見上げました。

「ングワラァ!!」

ソルはティガの頭部へ鋭い後ろ脚の爪で攻撃しました。

「ファギャアア!」

ティガは目を潰され、のたうちました。ソルの爪に含まれた毒素が体中に回り始めました。
怒り心頭したティガは起き上がり、地面をえぐり、岩のつぶてをリリ達の客車へと飛ばしました。

それを、ソルは火球で全て粉砕しました。
そして、リリ達の客車の前へ立ち塞がりました。

「なんということだ…もう一体飛竜が舞い降りて来た!」

「あんずるな…ソルは味方じゃ!」

芋姫はソルの背中から飛び降り、二本の太刀を取り出しました。

「リリ…待たせたな。」

「待たせすぎじゃ!」

「…すまぬ。」

「アングラ…。」

ティガは再び突進を仕掛けて来ました。

「…ソル!お母さんプロジェクト第一!」

「ゲフ…!」

ソルは大きく後方回転し、突進してくるティガに尻尾による攻撃を見舞いました。

ティガは大きくのけ反り、足が止まりました。

空かさずソルはティガに体当たりをかけて跳ね飛ばしました。

「ングアアア!」
「ソル…仕上だ。」

ソルは不意に背を向け、お尻を持ち上げました。

「なんじゃ…どうしたと言うのじゃ?」

すると、勢い良くオナラをしました。
ティガは、鼻をつんざくような酷い悪臭に思わず涙が零れ落ちました。

そして、さらに追い撃ちをかけるようにソルは火を噴きました。
火はソルの放った高濃度のメタンガスに引火し、大爆発を起こしました。

さすがのティガも応えたようで、逃げ去って行きました。

「アウ、アウ…。」

リリは心の底からティガを同情しました。

「…これぞ、名付けて…桃毛のかほり……。」

芋姫は決め台詞を言い、些か満足していました。

「外道じゃ……。」

片やリリは軽蔑しておりました。
100年の恋も冷めてしまったかのように思えました。

「バサ!」

リリは客車から駆け出し、芋姫に抱き着きました。
芋姫はリリを優しく抱きしめ、5年振りの再会を果たしました。

続く…
【問答門戸…モンドモンド】

「命を救ってくれた事に関しては改めて礼を言っておく…。」

「…。」

「…が、しかし!」

オーダーティーカップのたたき付けるような音が耳に残った。

「娘はやらん!」

芋姫はリリ一家の新居であり、大豪邸である屋敷で父と問答しておりました。

ソルは暇さえあれば屋敷の上空を円を描くように飛行し、主が出て来るのを待ちました。

「父上!この期に及んでまだそのような事を…。」

「お前は黙ってなさい!そもそも5年もの間、手紙もよこさずに行方を眩ませるような男など、いつまた姿を消すか解らんではないか!」

「…。」

「それは、きっと何かのっぴきならぬ事情があったからじゃ…。」

「ならば…言い訳を聞こうではないか、え?どうなんだね?君は…何か言ったらどうだね!」

「…リリに言わなければならない事がある。」

「…どうしたのじゃ?」

芋姫はリリの顔を真っすぐに見つめながら真実を打ち明けました。

「私は…。」


どれだけの時間がたったのかは解らなかった。そのような心境に芋姫は月夜の樹海を一人、さ迷っておりました。真下は勇ましい波打つ絶壁の前に立ち、身を投げ出そうとした時。

「…お前か。」

「アングラ…ネオクラ!」

「……私に構うな。お前も好きなように生きれば良い。」

ソルは羽ばたきながら舌を丸めて笛を吹きました。

「ぼふぅ〜〜。」

「そいつは…酷い重低音だな。」

芋姫も草笛を吹き鳴らし、程よいベースラインとソプラノトーンである種のケミストリーを奏でました。

翌日の朝、リリは婚約者のエドと結納の儀式を行いました。
リリの瞳は以前の輝きを失い、どこか淡々としていました。

芋姫の隠された真実を知り、リリは困惑しながらも、計り知れない衝撃を受けたに違いありません。
昨日の芋姫の告白に遡ります。

「私は…。」

辺りは重い空気が充満していた。

「私は人間ではございません。」

「…何を言い出すかと思えば、人を馬鹿にするのも大概にしなさい!」

「バサや、おぬしはどう見ても人間ではないか。」

芋姫は不意に屋敷の外へ飛び出しました。

「バサや…どうしたのじゃ!」

リリは芋姫を追い掛けました。屋敷の外へ出ると、そこには巨大な六本の角を生やした猛牛の姿がありました。

「おぬしは…バサなのかえ?」

六双牛はそのまま森の方へと駆け出して行きました。

続く…
【婚儀でコンガ】

「ふんふ〜ん、ふふん、ふんがふんふんが♪」

「…。」

「ふふん?」

「……。」

桃色の毛皮が鮮やかな南国を思わせる牙獣が鼻歌混じりに芋姫を観察していました。

右手にはキノコを持ち、尻尾には縄張りの証となる牙獣の糞が握られております。

芋姫は昨晩、ソルと遊びほうけていたら、川に流され、密林へとたどり着きました。

岸辺へ流された芋姫を牙獣のババコンガが見つけました。

「ふふんふん!」

「…桃毛獣か。」

「うんぶかは、あもるふぃす?」

「…何処から来た?だと。」

「ふんふ!」

「…川に流された。私に帰る場所等ない。」

「ぐふっ…ぐふぉふぉ〜ん。」

「何も泣かんでも良い…。」

「ばふぉ〜ん!」

「こっちへ来い、だと?」

ババコンガは芋姫を自分の縄張りへ案内しました。
そもそも、何故、牙獣が芋姫を見ても襲う事がないのかと言いますと、芋姫から獣のような同じ匂いを感じたからです。
とは言いましても、ここで出会ったコンガは極めて稀な感情的な部類に入ります。

透き通るような白い肌に、女子と見違えるような細い目尻に長い睫毛の麗しい顔立ち、しかし、どこか儚い芋姫を見て何かしらの情けをかけてやりたくなったのでしょう。

しかし、その実態は漆黒の六本角の水牛なのです。

縄張りへ向かう途中に緑色の毛皮に極彩色のトサカが生えたババコンガに遭遇しました。

もう一匹、ババコンガが一緒に居ました。
どうやら緑色のコンガは雌のババコンガに求愛をしているようです。
しかし、雌のコンガは振り向きもしません。

「ぶるっふんふ、ふんがばふぃ!」

「あのコンガはキクちゃんと言うんだぞ…そうか、お前の"があるふれんど"か?」

「うふぃんぶんふ!」

「そうかそうか…何も照れる事はない。牙獣も色恋には感心があるのだな…勉強になった。」

ババコンガはお尻を真っ赤にして恥じらいました。

ところが、緑色のコンガが雌のキクちゃんを強引にてごめにしようと襲い掛かりました。

「ぶひょー!!」

キクちゃんは必死に抵抗しました。
そこに、優しいババコンガはキクちゃんを守るために緑のコンガに挑みました。

「ふんが〜!」

芋姫はしばし様子を伺いました。コンガの誇りをかけた戦いに首を突っ込む訳にはいかなかったからです。
「ふんが〜!」

緑のコンガは威嚇しました。違いに睨み合い、どちらが格が高いのかを知らしめるためにオナラの臭いで勝負しました。
より悍ましい臭いを放った方が勝者となります。

「これがコンガ達の戦いか…なんて厳しい世界なんだ。」

芋姫は右手で鼻を摘みながらコンガを見守りました。

優しきババコンガは負けてしまいました。
酷く落ち込んでいたので、芋姫はババコンガの肩に手をやりました。

「アチャーがアルサー…。」

「ぶふぉふぉ?」

「明日があるさ…という意味だ。」

「ふんふ!」

二人(牛と類人猿)は沈む夕日に向かって海岸沿いを走りました。

その頃、リリは婚約者のエドの屋敷に招待され、エドの部屋の中におりました。

部屋の中には悪趣味な夜具やらいかがわしい道具等が飾られておりました。

リリは明日の婚儀を控え、エドとは二度目の顔合わせとなりましたが、部屋の中の褒められたものではない仕様に不安を覚えました。

そんな中、エドが特産の高級ワインをトレーに運び、部屋に入って来ました。

「待たせたね…今夜はゆっくりして行くといい。」

「…。」

エドは暖炉の前の洒落た木彫りの丸テーブルにワインのトレーを置き、ベッドに腰掛けているリリの隣に座ろうとしました。
しかし、リリは立ち上がり、言いました。

「わらわは帰る…。」

リリは扉に手をかけました、しかし、何やら刺のような物が指に刺さりました。

「つっ…!」

扉は固く閉ざされ、部屋から出る事が出来なくなっておりました。

「何を怯えているんだい…今夜は楽しい夜になるんだからさ。」

リリは壁に背を付けてエドから逃げ出そうとしましたが、籠の中の鳥とはこの事をいい、さらに先程エドが仕込んでおいた扉ののぶの針に痺れ薬が塗られていたため、徐々に体の自由が奪われて来ました。

「あぁ…誰か…。」

「大きな声も出せない程に痺れて来たみたいだね。……これから朝まで僕のコレクションをたっぷりと官能しておくれよ。」

「…うぅ、バサや、もう助けてはくれないのじゃな。わらわの思いをどうして聞いてくれなんだ……。」

その時です。エドの背後の窓ガラスから巨大な飛行物体が頭からエドの部屋に突っ込んで来ました。

「ガッシャン!」

「…おぬしは、ソル!?」

「ゲフ…!」

エドは恐ろしさのあまり尻餅をついてしまいました。
「…。」

「バサ…。」

芋姫はリリを抱き上げ、エドを睨み付けました。
エドは芋姫の恐ろしい怒りの表情に恐れおののきました。

「だ…誰か来てくれ!!」

「悪いが…リリの御身は頂戴する。」

芋姫はリリを連れてソルに飛び乗り、去って行きました。

「アングラ!」

しばらく飛行し、リリと共に過ごした森丘へ降り立ちました。

ソルは地上に降り立つなり、すぐに眠ってしまいました。

「…リリ。私は…。」

「…今更なんじゃ!のこのこと現れおって。わらわは…わらわは…うぅ。」

リリは芋姫の頬を叩きました。まだやりたりぬともう一度手を振り上げましたが、芋姫はその腕を掴み、リリの柔らかな唇に口付けしました。

そして細く華奢な体を抱きしめてやりました。

「…離せ!この…この馬鹿者…うわぁあん!」

「これが…私の答えだ…。」

二人は永遠の愛を誓いましたが、エドを襲撃した事件がきっかけで、芋姫に最大の悲劇が訪れる事など知るよしもなかったのでした。
続く…
【桃の節句】

牙獣も胸踊る春一番の風と共に…



「っくしゅん!」

阿希様は花粉に蝕まれ、鼻水を何度も何度も懐紙で拭いました。

「ああん…ずび、どうして、っぐし、まいほしまいほし(毎年毎年)はふん(花粉)のきへつ(季節)が来るのかしら…。」

「阿希…資源枯渇を増長するな。」

「あによ〜。」

阿希は度重なる懐紙の消耗で小さなエベレストを築いてしまいました。地球の未来を案じた芭蕉布は阿希に花粉に効用のある薬草を煎じて飲ませました。

「それはそうと、3月3日は何の日でしょうか。」

「…牛祭?」

阿希は真っ赤なひな壇の横に立ち、いつものようにため息をつきました。

「桃の節句に牛を祭る国が何処にあるって言うの!ひな祭りよ、ひな祭り!」

「"暇な釣"程億劫なものはない。」

「ひ・な・ま・つ・り!」

「それにしても、何とも大きな暇段ヤサ。」

「実は…その、私も…お雛様になってみたかった…みたいな。」

阿希は恥じらいながらもしっかりと着物に帯を締めておりました。

「そうか…ならば私も雛になりましょう。」

「何であなたがなるのよ!」

「今日は牛祭ヤサ。」

「雛祭りよ!」

二人が言い争いをしているとババコンガのババさんがやって来ました。

「ふんふ!」

「あら…ババさんじゃない。」

「ぶぶんが、ぶふぉふんふす!」

「なに?桃の節句と言えば桃毛の節句!」

「ふんふ!」

ババさんは雛祭りにババコンガを奉りなさい、と言いました。

「やぁ〜だぁ〜!コンガの節句なんて全然風流じゃない!」

「ぶひょ〜!」

「いやいや、牛を奉るべきヤサ。」

「あなたは黙ってなさい!」

すると、飛竜の女王が割り込んで来ました。

「ギャフン!」

鮮やかな桜色の雌火竜・リオレイアです。

「うっ…見事な桜色ね。」

さらに事態はややこしくなり、イャンクックが参戦しました。

「キワケー!」

「あなたは!?見習い狩人に忌み嫌われるイャンクック先生じゃない!」

擦った揉んだの揚げ句、ひな壇には一人の人間と一頭の牛、火竜、鳥竜、一匹の桃毛獣が並び、異様な雛しかいない異様なひな壇が完成しましたとさ…

めでたしめでたし
【悲愴】

「いくら出す?」

薄ぐらい何ともお粗末な掘っ建て小屋に住む少年は煙草をふかしていた。まだ年端もいかないあどけない面立ちの少年の前に現れたのはリリの婚約者のエドだった。

「300万ゼニーだ…。」

「悪くないね…おじさん、その飛竜を討伐すりゃいいんだろ?たかが飛竜一頭に随分と執着なさっておいでだが、何か事情でもあるのかい?」

エドは周囲を見渡し、誰もいないことを確認し、静かに語り始めました。

「お前は知らないと思うが、その飛竜は人間に育てられた飛竜だ。」

少年は思わず煙草を床に落とし、落ち着いて拾いました。

「ぷは…おじさん!面白い事言うじゃん。人間に育てられた飛竜なんて聞いた事も無い、そもそも飛竜は人間に従うはずがないでしょ?」

「それが事実かどうかなど、この際どうでもいい!僕が依頼する事はその飛竜の討伐が本当の目的ではない…その飛竜と共に行動している男を暗殺するのさ。」

少年はエドのただならぬ様子を見て、今回の依頼が人殺しに荷担する事になると判断し、報奨金が破額の域に達しているのはそれが理由だと考えました。

「おじさん…俺に人殺しをしろと言いたいの?これでもギルド公認の一流ハンターとして稼業をまっとうするつもりなのさ!人殺しなんて人道に反する事はできっこないさ。」

「ほほう…お前の噂は良く耳にする。あの覇竜と呼ばれ、全ての竜を統べる強大なアカムトルムをたった一人で討伐した天才少年ハンター、だと。しかしなんだ、竜は殺せて人は殺せない?なんたる腰抜け野郎だ!」

「腰抜けだと!俺は腰抜けじゃない!」

エドは報奨金が入った鞄を開き、少年に見せつけました。

「いいか、確かに人殺しは人道に反する…しかし、その男は僕の愛する妻を掠って行った。ああ…今頃どんな酷い仕打ちを受けているのか、それを考えると僕は夜も眠れない。飛竜を味方に付け、力無き一市民から略奪好意を繰り返す罪深き罪人をこのまま野放しにしていいのか?」

「おじさん…そいつは酷い話しだ!任せてくれ、その大悪党を見事成敗しておじさんの無念を晴らしてあげるよ!」

「解ってくれたかい?ありがとう、後は妻が無事であることを…切に願うよ。」

エドは少年と話しを終え、不適な笑みを浮かべ、何やら良からぬ事を企てていました。
その夜、芋姫とリリは森丘の断崖絶壁の前に立ち、ソルは大きなあくびをかいて二人に背中を差し出しました。

「バサや…ほ、本当に大丈夫なのじゃな?」

「リリ…私にしっかりとつかまっていて下さい。」

芋姫はソルの背中に飛び乗り、リリに手を差し出しました。
リリは芋姫の手をしっかりと握り締め、芋姫の後ろに乗りました。

ソルは二人を乗せたまま崖を急降下しました。

「きゃあああ!」

リリは驚いて絶叫しました。
ソルは地面に着くか着かないか程で再び浮上しました。

「ソル…少しおいたが過ぎるのではないか?」

「ゲフ…。」

リリは呼吸を整えてから言いました。

「面白いぞ!もそっとやってたもれ!」

「…そうか。そうだな、リリ…お前はそうやって好奇心旺盛に目を輝かせていつも笑っていたな。」

ソルは二人を乗せて満月が輝く穏やかな空を飛行しました。

「バサや…。空を飛ぶのはこんなに気持ちの良い事だったのじゃな。」

「そうだ…この世界を外から見下ろす感覚が、たまらなく快感だ。自然の美しさ、地球の輪郭ばかりか、呼吸の音すら聞こえてきそうな感覚だ。」

「…バサや、おぬしの心臓の音も、しっかりと聞こえておる。おぬしの背中は温かいのう。」

リリは芋姫の背中に顔を埋めて空と流れ行く雲を眺めておりました。

しばらく飛行した後、陸に降り立ちました。
すると、まばゆい光がソルを捕らえました。

「閃光玉か!」

「きゃあ!」

二人はソルから振り落とされ、ソルは視界を奪われて混乱しておりました。

「アングラ!」

茂みの奥から一人の少年が現れました。

「俺は京太郎、一介のハンターさ。悪いけどお姫様は返してもらうよ。」

少年京太郎は巨大な大剣を振りかざしました。

「誰の差し金かは大方検討は着いている。悪いがリリを渡すつもりは毛頭ない。リリは…私のものだ。」

「アングラ!」

続く…
【無茶を通して、道理を引っこ抜け!】


新生飛竜討伐隊、その名も、DMS隊・隊長の名言の一つであった。

D⇒駄目で
M⇒元々
S⇒仕方が無い
隊

あの、デスメタル界の帝王ヨハネ・ク○ウザー2世

アニメ界の暴君・涼宮ハ○ヒ

MHシリーズのアイドル・プーギー

の一同が募り、過酷な狩りの世界へと挑む…


クラ○ザーさん装備

魔界の鎧

発動スキル

ブチブチ込めー!
魔界遊戯
SA・TSU・GA・I
一秒感にレイプ10回発言ホイップ・ラブクリーム


ハ○ヒさん装備

Repeat・Quiet・Highjack

発動スキル

超悪霊の加護
晴れ晴れ愉快
死んでもリボン外さない
SOSプロトコル


プーギーさん装備

緑と黒の衝撃

発動スキル

雪山で焼肉+2
森丘でダンシング
ガブラス耐性+1
【失った光】


京太郎は燃え上がっていた。それは純粋な少年の情熱であり、青春を謳歌するための一時であった。
少なくとも、京太郎の潜在意識の中に眠る正義感が抑え切れなかったのでしょう。

京太郎は溶岩竜ヴォルガノスの鎧を身にまとい、大剣センチネルを軽々と持ち上げました。

「さて、どうしようか…火竜を先に始末してから罪人を引っ捕らえるのが一番望ましいけど…。」

京太郎は芋姫の様子を伺いました。
芋姫は、両腕を垂らし、全く力の入っていない構えを取りつつも、的確にリリを守る立ち位置を取っておりました。芋姫の後方には南へ迂回する道があり、いつでも逃げ出せるよう、リリが傍を離れないように注意深く京太郎と距離を取って行きます。

「逃げられちゃ、せっかく苦労して見つけたのが無駄になる。」

京太郎は小さな樽爆弾を芋姫達を飛び越えるように放り投げました。

「…っ!」

芋姫はリリの腕を引っ張って逃走をはかりましたが、一足遅く、京太郎が予め地面に仕込んであった樽爆弾が連鎖的に爆発し、その影響で土砂が発生しました。

土砂崩れによって逃げ道が塞がれ、二人は逃げられなくなってしまいました。

「これで、もう逃げ道はないぜ。大人しく観念しな!」

「お前は何か勘違いしている…。」

「なんだって?」

「逃げ場がないのはそちらも同じ。たった一人で立ち向かう勇気は買うが、それは無謀というものだ。」

「そりゃまぁ、飛竜一頭と人掠いの二人を相手にするのは骨が折れるさ、だが、俺はそんなに甘くはないぜ!試してみるかい?」

「リリ…下がっていろ。」

「バサ!」

京太郎は光の如く、素早い踏み込みで一気に芋姫との間合いを詰め、強力な横薙を見舞いました。

芋姫は素早く後退し、腰に挿した二本の太刀を抜きました。

「人間に武器を振るうのは初めてだけど、お前は重大な罪を犯した。許しては置けない。」

「もとより承知の上だ…。」

両者は暫く睨み合い、最初の一手を打ったのは芋姫でした。
通常両手で扱う太刀を両手に軽々と握り締め、目まぐるしい速さで振るいました。

「あんた!やるじゃないか。掟破りの速さだよ!」

「無駄口を叩く余裕があるのか?」

芋姫は気刀切り三の太刀を両手で順序良く的確に繰り出しました。

それを京太郎は大きく体をのけ反らせて後転して距離を取り、芋姫の隙をついて、強力な溜め切りを見舞いました。
芋姫は間一髪、京太郎の真横を前転でくぐり抜け、真後ろに出ました。

両者は同時に振り返り、互いに首を狙って切り付けましたが、僅かの所で寸止めしました。

暫くの間、両者は硬直し、静けさの中に風の音だけが森丘一帯に響き渡りました。

その時です。ソル、芋姫、リリ、京太郎達をまばゆい光が崖の上から八方から差し込みました。

「なんだ?」

辺りを見渡すと、崖の上にはボーガンを携えたギルドの傭兵達とエドが見下ろしていました。

「京太郎…よくやった、後は我々に任せて早急に立ち去れ。」

エドの言い分に納得が行かず、京太郎は言い返しました。

「おじさん、こいつは俺の仕事だろ。勝手な真似は慎んでくれよ!」

「立ち去らないようなら、お前諸ともランゴスタの巣にするまでだ。」

京太郎はセンチネルを地面にたたき付けました。

「ふざけんなよ!それに、あんたはお姫様の婚約者だとか抜かしながら、お姫様はあの人掠いにお熱みたいだぜ!」

「…あの餓鬼も殺せ。」

ギルドの傭兵達は動揺しました。

「し、しかし…そのような事が本部に知れたら、我々も罪人として制裁を受ける事になります。下手をすれば死罪です。」

「あの男との戦いで死亡した、と思わせれば良い…この僕をこけにする輩は全て死刑だ!」

傭兵達は戸惑いながらも、ボーガンを崖下の芋姫達に向けて構えました。

その瞬間、目眩が取れたソルが傭兵隊に向かって火をふきました。

火は一部の傭兵隊に直撃し、吹き飛ばされました。
その拍子に逆上したのか、傭兵隊は一斉にボーガンをソル目掛けて放ちました。

「ひぃ、撃てぇ!」

ボーガンの矢がソルの左目と背中、両翼に刺さりました。

「ふぁぎゃあああ!」

「ソル!」

リリはソルを庇う為に駆け寄りました。

「リリ!駄目だ…。」

芋姫は止めに入りましたが、時既に遅く、矢がリリの脊髄を捕えておりました。

「…リ、リ。」

リリはソルの目の前で倒れ、永遠の眠りにつきました。
リリの死を目前にしたソルは、目から大粒の光が零れました。

「…あれは、竜のナミダ。」

傭兵の一人が呟きました。

「た、隊長、矢が…リリ様に…。」

エドは全身を震わせながら独り言のように言いました。

「ぼ、僕が、僕が悪いんじゃ…ない。」

「た、隊長、リオレウスの様子がおかしいです。」

怒りに震えたソルは地を揺るがす程の咆哮を響かせました。
「ふぁぎゃあああ!」

ソルは音よりも早く崖の上へ浮上し、強力な火球を傭兵達に放ち、大きな爆発と共に巨大なキノコ雲が立ち上りました。

「た、退避ぃーー!」

傭兵達は一目散に逃げて行きました。
しかし、ソルは容赦なく逃げ惑う傭兵隊に火球を放ちました。

「ああぁ!熱い、熱い、助けてくれ!」

「いてぇよぉー!お、俺の足がぁ…。」

芋姫はリリを抱き抱え、急いでソルを止めにかかりました。

「そぉる!!駄目だぁー!止めろぉぉぉ!」

芋姫の叫びも虚しく、森丘一帯は火の海と化し、多くの傭兵達の亡きがらが横たわり、正に地獄絵図のようであった。

ソルは芋姫を鋭い眼差しで睨みつけ、飛び去って行ってしまいました。

「ソル…。」

辺り一面が燃え上がっている様子に些か驚いた京太郎が死んだように立ち尽くした芋姫の背中を見た瞬間、思わず言葉を紡いでしまいました。

そこに、逃げ遅れてうずくまったエドを発見しました。
未だに体を震わせながら何かを呟いておりました。

「ぼ、僕は悪くない…僕の性じゃない!」

芋姫は愛しきリリを抱き抱えながらうずくまるエドの前に立ちました。

「お前が、お前さえいなければ!あは、あはははは!お前が……ああああ!」

気が狂ってしまったエドに見向きもせず、芋姫は黙って立ち去りました。



「私は、間違っていたのだ…。私がリリを殺してしまったようなものだ。」

阿希は芋姫に一杯の水を差し出しました。

「そんな辛い過去があったのね…ごめんなさい。」

芋姫は暫く考え、決意しました。

「…いいだろう、私が自ら火竜を討ちに行く。ナッシュ、それで構わないだろう。」

「おお!引き受けてくれるのか。」

「でも…そんな重い任務を引き受けるには。」

「構わない…いずれ、決着を付けなければならない。」


かくして、芋姫は幻の火竜がソルであるのか、それを確かめんと森丘を目指す事を決意した。
決着をつけなければ、そのような使命感と思いに駆られた芋姫が行く…

続く
【目眩がする程麗しい】


阿希様の下に一人の新米ハンターが現れました。


「…あれ?どちら様ですか。」

「……待たせたな、私だ。」

「ちょ、ちょっと!?誰かと思えば、芭蕉布じゃない!どうしちゃったの?」

「狩猟家業に従事する事にした…お蔭様で7階級まで昇進ヤサ。」

「それは、まぁ…おめでたいんだけど、どうして?」

「…。勘違いするな…我が主の身に大事があらば、私も一蓮托生の身…それを憂いてのこと。」

「なによ、一緒に狩がしたいんなら素直にそう言いなさいよ、このひね助!」

「…。」

「まぁいいわ…せっかくだから、あなたの昇進祝いに何か御馳走しましょう♪」

「…あの男も誘う。」

「京太郎ね…美味しいポピ酒を持って来てもらいましょう、ポポのタンにラオシャンメロン、フルベビアイスに鯛公望、特上ブランゴのカルビに…。」

「そんなに食べたら太るぞ。」

「いいじゃない…珠には贅沢も必要よ♪あと…。」

「…どうやら、京太郎とアイルー達は忙しくなりそうだ。」

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