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生活保護者の集いコミュの長男なのに…顔向けできない 高齢の母に生活保護知られ、連絡絶った

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https://digital.asahi.com/articles/ASR3S66N9R2VUTNB008.html?pn=16&unlock=1#continuehere

A-stories 家族に知られたくなかった… 生活保護と「扶養照会」
 電話は、実家に住む高齢の母親からだった。

 男性は、20代後半で栃木県内の実家を離れ、東京に出た。

 親元を離れて数年。30代半ばになっていた。母親とは、たまに電話で話す程度で、疎遠になっていた。

 電話に出ると、母親は不意に切り出した。

 「うちも生活が厳しくて……。あなたの面倒はみることができないの」

 会話の内容はあまり覚えていない。

 「とにかくショックだった」

 電話のきっかけは、男性が生活保護を申請したことだった。

 勤めていた派遣会社を退職した後、なかなか再就職が決まらなかった。

 徐々に生活が苦しくなり、手持ちの金も底をついた。

 とうとう、東京の都心で一人、ホームレス状態になった。

 初めて訪れた都内のある区の福祉事務所。職員は、生活保護を受けるためには「扶養照会」が必要だと説明した。

 扶養照会は、生活保護の申請があった場合、申請した人の親族が仕送りや支援ができないか、自治体が調べるものだ。

 職員は続けた。

ここから続き
 「家族の了承が得られなければ、生活保護は受けられません。家族全員に連絡をします」

 男性は長男だ。

 ――長男なのに生活保護を受けるなんて。「親に顔向けできない」。そう思ったが、仕事が見つかるあてもない。

 生きていくためには生活保護を受けるほかに思いつかず、照会を断ることなど思いもしなかった。

 母からの電話は、申請からほどなくして来たものだった。

 「本当は自分が親孝行して面倒をみてあげなければいけないのに」。自分の生活もままならない状況を、親に知られたことは改めてショックだった、と言う。

 男性はその後、仕事が見つかり半年ほどで生活保護の受給をやめた。

 あの電話があったのち、母親とはまったく連絡をとっていない。両親も、実家では一緒に暮らしていたきょうだいの近況も、さっぱりわからない。

支援者が同行、2回目は「照会」なし
 それからおよそ10年が経った2020年の夏。新型コロナの影響で仕事が減り、寮費の支払いもできなくなった。

 仕事をやめて寮も退出せざるをえなくなり、再びホームレス状態になった。

 「スマホが使えるうちに」と生活困窮者の支援情報を検索した。その地域で活動する支援者がいることを知り、生活保護の申請にも同行してもらうことになった。10年ほど前とは別の区だ。

 以前、扶養照会されてからまったく連絡をとっていない家族に、また改めて連絡がいくのは耐えられない。そう思って支援者に話すと、扶養照会は適切な理由があればされなくても済むと教わった。

 申請窓口で支援者からも説明してもらい、今回の申請では、家族には照会しないことになった。

 男性は45歳になった。

 「2回目は照会を避けられたが、理由があれば照会されないことを知らない人も多いはず」と話し、以前のことをこう残念がる。

 「1回目も、やはり知られたくはなかった。せめて自分にできるのは、親に迷惑をかけずに自活していくことだったのに」

 扶養照会は、民法上で「扶養義務」がある3親等までの親族が対象になる。生活保護を申請した人への聞き取りや戸籍の調査をもとに親族や関係性を把握したうえで、文書で照会するのが一般的だ。主に、親や子、きょうだいに照会している自治体が多い。自治体にとっては、仕送りは得られなくても、本人に何かあった場合に相談できる親族の有無や緊急連絡先を把握できるという意義もあるとされる。

 しかし、扶養照会されるのが嫌で生活保護の申請をためらう人は、珍しくない。

 そのことは、生活困窮者の支援団体による調査でも確認されている。

 困窮者支援団体「つくろい東京ファンド」は、2020年末から21年にかけて、生活困窮者向けの相談会に来た人たちにアンケートを実施。生活保護を受けたことのない106人に、利用していない理由(複数回答可)を聞いたところ、「公的支援に頼らず、自分の力で頑張りたい」(23人)、「自分は利用できないと思っている」(18人)、「過去に役所で嫌な対応をされた」(16人)などを抑えて最も多かったのが、「家族に知られるのが嫌だから」(37人)を選んだ人たちだった。

 「知られたらつきあいができなくなる」

 「今の姿を自分の娘に知られたくない」

 「年取った両親をビックリさせたくない」

 そんな回答があったという。

 制度や運用が変わったら利用したいかを尋ねる質問(複数回答可)では、4割にあたる45人が「親族に知られることがないなら利用したい」と答え、最多だった。

「やっぱり申請には行けません」書き置き残し
 つくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛さんは、2020年夏、保護申請をする予定だった日にいなくなった40代男性のことが忘れられない。

 男性は地方の出身だった。新型コロナの影響で仕事を失い、路上生活をしていた。

 稲葉さんらの支援でシェルターに入り、保護を受けて生活を再建しようとしていた。

 ところが、男性はつくろい東京ファンドのポストにシェルターの鍵を入れ、いなくなった。

 「やっぱり生活保護の申請には行けません」

 そんな書き置きが残されていた。

 その後、しばらくたって連絡がついた男性は、事前に照会が行くことを伝えたきょうだいから「生活保護を受けるのなら縁を切る」と言われたと、稲葉さんに説明したという。

 稲葉さんは言う。

 「生活保護を受ける権利を使うために、ここまでの精神的負担を強いる照会が必要なのか。考え直すべきだ」(川野由起、贄川俊)

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清川卓史
(朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
2023年3月26日14時13分 投稿
【視点】 経験したことがない生活危機に多くの人が直面したコロナ禍のなかでも、生活保護利用者の総数は増えませんでした。社会福祉協議会が窓口となった無利子の「特例貸付」には利用者が殺到し、フードバンクや食料支援の列に並ぶ人の数も右肩上がりだったにもかかわらず、です。
 生活保護制度は「最後の安全網」としての役割を十分に果たせていないと言わざるをえません。その機能不全の要因のひとつが、扶養照会だと思います。制度への偏見、スティグマとあいまって、利用を阻む大きなハードルになっています。
 利用すべき人が制度につながりにくくなること、行政が行う照会作業の事務負担の重さ。それらを考えれば、扶養照会は、その効用よりも弊害がはるかに大きくなっていると思います。対象となる親族の範囲も、時代にあっていません。少なくとも、対象を「夫婦間と未成年の子どもに対する親」に限定するなどの見直しが必要ではないでしょうか。
 広い範囲の親族に扶養について確認する生活保護制度の底流にあるものは、生活保障の責任をできるだけ家族に負わせようと求める家族主義的な日本の社会保障のあり方です。家族の姿が大きく変容したのに、福祉における家族主義は根深く残っています。このことは、生活保護に限らず、介護など様々な制度に共通する課題だと思います。
  生活保護と扶養照会を考える連載に注目しています。

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