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生活保護者の集いコミュの生活困窮者の住まいに「空き家」活用 “事故物件”を危惧し増えぬ現状も〈週刊朝日〉

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https://news.yahoo.co.jp/articles/e4fff487627536bfee4113723cdc12eed8b69c3a

 近年、高齢者や障害者、生活困窮者やひとり親世帯などの入居を拒まない住まいを「セーフティネット住宅」と呼び、国が支援を始めているのをご存じだろうか。実は、これに空き家を活用する試みが始まっているという。コロナ禍で収入が減った人たちを支える取り組みの現状と課題を取材した。

【室内写真】空き家をリフォームして生活困窮者に貸し出している

*  *  *
 宮本晨子(あさこ)さん(83)は、30年前に夫を、5年ほど前にひとり息子を亡くしているおひとりさま。今年1月から、東京都豊島区にある空き家を活用したセーフティネット住宅「共生ハウス西池袋」で共同生活を始めている。

 それまで長く住んでいた同じ豊島区内のアパートの家賃6万円が払えなくなってしまった。原因はコロナ禍による収入減だ。仕事は、警備会社の社員寮の賄い。十数年もの間、午前3時から午前9時まで住み込み社員の“母”となり世話をしていた。給与は月に10万円ほどで、他に夫の遺族年金などを含めると、ぜいたくしなければ十分暮らしていけた。

 だがコロナで状況が激変した。会社の業績が悪化して寮に住む社員の大半がいなくなり、宮本さんの給料も下げられた。

「5月の給料は1万2千円。そのうち4千円は『ごめんね、本当に少なくて』と社長の奥さんがポケットマネーから出してくれました」(宮本さん)

 家賃を払えなくなったのは昨年の秋ごろから。このままでは、建物明け渡しの強制執行が避けられない。困った宮本さんは同区の「くらし・しごと相談支援センター」で相談し、共生ハウス西池袋を紹介してもらった。

 共生ハウス西池袋はシェアハウスの形態をとる困窮者向けの一軒家だ。部屋は1階に1室、2階に3室。トイレや風呂、キッチンは共用で、家賃は共益費込みで3万9千円。入居時には敷金や火災保険料として家賃1カ月分がそれぞれ必要になる。

 宮本さんは賄いの仕事をやめ、6月から共生ハウス西池袋を運営する一般社団法人コミュニティネットワーク協会が開設した地域交流スペースで働いている。利用者に健康マージャンを教えるのが主な仕事だ。「これである程度の収入は見込める」と宮本さんは笑顔を見せる。

「本当にありがたいです。これからは貯金して、自分の葬式代ぐらい出せるようにしておかないとね」

 セーフティネット住宅とは、「住宅確保要配慮者」と言われる高齢者や障害者、生活困窮者、ひとり親世帯などの入居を拒まない住まいをいう。住宅確保要配慮者だけが入居できる住まいとして自治体に登録すると、建物の改修費や入居者の家賃などの一部が助成される。

 この制度に空き家を活用したのが、先に紹介した共生ハウス西池袋だ。

 オープンは昨年7月。現在は、宮本さんのほかに発達障害のある40代の男性と、同協会顧問の高橋英與(ひでよ)さん(72)の3人が暮らす。

「豊島区は空き家率が23区で最も高く、独居高齢者の割合も高い。(共生ハウスで)その両方を解決できると考えました」と渥美京子・同協会理事長(61)は言う。

 活用する空き家は不動産業者に紹介された。物件のオーナーが「社会の役に立つなら」と、住んでいなかった一軒家を貸してくれた。10年間の賃貸借契約を結び、1130万円かけてシェアハウスに改修した。改修費のうち150万円は豊島区からの助成だ。

 契約はオーナーと協会、協会と入居者とがそれぞれ結ぶ。協会は月々の賃料をオーナーに払い、入居者は協会に家賃を払う。これによりオーナー側は確実に賃料が得られ、協会は困窮者を支援できる。

 さらに協会がセーフティネット住宅として区に登録したことで、入居者1人当たり月4万円の家賃が補助される。

「おかげで池袋駅から徒歩10分ちょっとという好立地にもかかわらず、2万9千円という安値で提供できます」と渥美さん。入居の条件は豊島区民で月収が15万8千円以下であること、生活保護を受けていないこと、などだ。

■“事故物件”危惧 専用住宅わずか

 シェアハウスでは見ず知らずの人が一緒に暮らす。高橋さんは、運営を始めたばかりのこの住宅で入居者の利用状況を見るため、自ら住み込んでいる。

「生活する時間帯が違うので、お互いあまり関与していませんね。食事もバラバラで、自室で過ごすことが多い。一方で、玄関の鍵の使い方で困っていた宮本さんに発達障害のある男性が使い方を教えてあげたり、宮本さんが寮に勤めていたころは、僕らに仕事先から持ち帰った総菜をお裾分けしてくれたりなど、互助の関係もできてきています」

当面は細かなルールはつくらず、ゴミ捨てや掃除などは宮本さんたちの自発的な協力に任せている。問題が起きれば、そのつど解決していく考えだ。

 セーフティネット住宅を制度化した改正住宅セーフティネット法は、2017年に公布された。登録物件は全国に6万件ほどあるが、大多数は一般の人も入居できる物件で、住宅確保要配慮者の専用物件は2848戸にとどまる(6月4日現在)。

 共生ハウス西池袋は、住宅確保要配慮者の専用物件としては、豊島区内で2番目だという。

 総務省の住宅・土地統計調査(18年)では、全国に空き家は約849万戸ある。これらがなかなかセーフティネット住宅に結びつかない背景を、空き家活用株式会社(東京都港区)の和田貴充社長(44)は次のように解説してくれた。

「オーナーの不安がハードルになっています。生活困窮者への賃貸で家賃が滞納されたり、高齢者が孤独死して“事故物件”となったりすることを避けたいと考える人もいます。近隣住民とのトラブルを危惧する声もあります」

 社名のとおり、同社は1都3県、関西圏、中京圏を中心に空き家情報を独自に調べてデータベース化。「AKIDAS」というサイトで紹介している。

 経済的な理由などから、住まいを見つけるのが困難な人たちに空き家を提供するのは、一見理にかなっているように思えるが、必ずしもうまくいっていない。

 自治体での取り組みもあまり進んでいない。和田さんによると、空き家一つとっても、複数の部署が関わっているため連携しにくく、ここに住宅確保要配慮者を担当する部署が加われば、さらに連携は難しいためだ。

「共生ハウス西池袋のある豊島区のような例は、ほかに聞いたことがない」。そう和田さんは話す。

 一方で、生活困窮者に空き家を改修して貸し出す、独自の取り組みを始めている会社もある。京都府京田辺市にあるリノベーターだ。社長の松本知之さん(41)は10年ほど前に個人で購入した空き家を高齢者に貸したことをきっかけに、低所得者や生活保護受給者、外国人などに空き家を提供するビジネスを始めた。

 3年前に法人化し、現在は大阪や京都を中心に松本さん個人が持つ約20物件のほか、法人で約70物件ほどの空き家を買い取り、最低限のリフォームをして生活困窮者らに貸し出している。

■終わらぬコロナ 安い物件求める

 リノベーターが所有する大阪府寝屋川市の物件に3カ月ほど前から住むのが、ひとり暮らしのタツロウさん(仮名・63)。運送会社で配送アルバイトをしているが、コロナ禍で会社が請け負う荷物が減り、月収が3万〜4万円減ったという。

「貯金とかあればよかったんだけれど、まさかこんな状況になるとは。コロナはいつ終わるかわからないから、今のうちに家賃が安いところに住み替えようと思った」

 同社の取り組みを紹介するテレビ番組を偶然見て、松本さんに連絡を取った。敷金も礼金も、保証人もいらない。どんな人でも入居を拒まないと知り、思い切って電話したという。

 希望条件に合う空き家を見つけるまで数カ月かかったが、ようやく住める家が見つかった。空き家になっていた長屋の一区域だ。仕事場に近く、2階もある。以前住んでいた1Kのアパートとは雲泥の差で、家賃は前より1万円ほど下がって4万3千円。周辺の相場より断然安い。

「狭い部屋だと体が休まらないけれど、ここだとゆっくりできる。ただ、建物が古いので掃除は大変です。ベランダの水漏れは松本さんと2人で修理しました」(タツロウさん)

 松本さんによると、昨年秋ごろから、タツロウさんのように、コロナ禍で収入が減ったことで将来の不安を抱えた人が、より安い賃貸住宅への住み替えを相談してくるケースが増えた。直接電話で問い合わせる人のほかに、自治体から紹介された人もいる。

 課題は、リノベーターだけではじゅうぶんな数の住まいを提供できない点だ。実際に家を貸せるのは10人の希望者に1件ぐらいだという。

 大阪府の60代男性はリノベーターに物件を申し込んだが、男性が希望する地域では同社が空き家を購入するのが難しく、住まいは借りられなかった。その後も松本さんに何度かメールをしてきた男性の最後のメッセージは、「家を追い出されて、路上生活者になりました」だった。松本さんは「物件数が1ケタ、2ケタ足りない」となげく。

 カフェや店舗、グループホームなどで注目される空き家の活用法。困窮者向けの住まいにも目を向ければ、空き家の使い道はさらに広がる。(本誌・山内リカ)

※週刊朝日  2021年6月25日号

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