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生活保護者の集いコミュの手持ち500円、派遣切り。コロナ貧困の女性に伝えたい「生活保護を遠慮しないで」

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 コロナ禍で女性の自殺率や実質失業率の上昇が取りざたされるなか、今年2021年、3月13(土)〜14(日)日に東京都・新宿区立大久保公園で「女性による女性のための相談会」が開催されました。スタッフは全員女性、相談者は様々な悩みを抱えた女性たち。

コロナ禍で貧困に苦しむ女性たち
衣料品、食料品、生理用品、花などの無料支給品を配布。女性ならではの目線が活かされた相談会に注目が集まりました。

「コロナで派遣契約が終了。数年働いた職場だったのでショックでした」と話す女性は、仕事が見つからず、この日の所持金は数千円。「家族内のトラブルで家を追い出され、ネットカフェで寝泊まりしています。生活保護を受けてアパート暮らしをしたいです」と相談に来た女性もいました。

 前回に引き続き、この相談会の実行委員のひとりであり、長年労働問題に取り組んできたジャーナリストの松元千枝さんに、コロナ禍で困窮する女性について話を聞きました。

【前回記事】⇒貧困に悩む女性を、支援する女性たち「相談会には生理用品もお花も」

生活保護受給のハードルを高くしてきた役所の水際作戦

――相談者が生活保護を受けられるように、役所へ付き添いもされたとか。

生活保護受給のハードルを高くしてきた政府の水際作戦
ジャーナリストの松元千枝さん

松元千枝さん(以下、松元)「生活保護を受給させないようにしてきた役所の水際作戦のせいで、男性も女性も生活保護を受けることが“悪”だと刷り込まれています。手持ちが500円しかなくても、皆さん『もうちょっと頑張ってみます』と言うんですよ。そんなときは『仕事が見つかって、給料が入れば生活保護を打ち切ればよいだけなのだから受けても大丈夫。生活保護は、憲法で守られた私たちの権利なんですよ』と説明しています」

――困窮していても生活保護を受けたくない人も多いと聞いています。

松元「このコロナ禍で初めて厚生労働省が『生活保護は国民の権利だ』という広告を打ち出して、やっと社会の意識が変わってきましたが、役所にひとりで行き、生活保護の担当者に聞かれるままに質問に答えていったら、申請できなかったという話はよく聞きます。

 生活保護を申請すると14日以内に支給の可否が決まるはずなのに、『1ヶ月ぐらい施設に入って、そこで観察を受けてから可否が決まる』と周りの人から聞いたと言って、そのように思い込んでいる女性もいました。実際、実行委員のひとりがその女性に付き添って役所へ行き、申請をしたら1週間以内に支給が決まりました」


とにかく申請することが大切

とにかく申請することが大切――でも、実際に現金が500円しか残っていなくて、1週間や2週間も待てない人はどうすればよいのでしょうか?

松元「生活保護の申請をした後は、可否が決まる間、食費として1日1,000円が支給されます。それに加えて、ネットカフェやホテルに滞在している人には宿泊料が支給されたり(保護の受給が決まると、その月の保護費から差し引かれる)、無料低額宿泊所や施設などに入居することもできます。

 ネットには間違った情報が氾濫しているので、まずは行政のホームページを読み、相談会や支援団体に同行支援をお願いしたほうがよいでしょう。生活保護申請書も現在は民間のNPOのホームページからダウンロードして、記入したものを役所に持参することができます。役所は申請自体を断ることはできません。申請時には面接もありますが、とにかく申請すれば審査手続きは進むので、申請することが大切です。数年前まで、役所では申請書が市民の手が届かない、職員のカウンターの奥にに置かれていたぐらいですから……」

コロナ貧困
画像はイメージです

自分のことは後回しにしてしまう女性が多い

――役所は意図的に申請書を提出させないようにしていた、と?

松元「昔は申請に行くと、面接されて申請書を簡単に提出させてはくれなかったんですよ。いまでもまだこういった傾向があって、時としてニュースにもなりますが大分改善されました。とはいえ、今回女性の相談会を始めた一番の目的は、『(女性も)相談してもよいんだよ』と女性に発信したかったから。女性は常に社会で『お世話をする役目』を担わされています。相談会に来ても、自分の夫や親や子どものことについて相談はしても、自分のことは後回しという女性が多いです」


相談者の女性のほとんどが暴力の被害者……

――今回の相談会で松元さんが発見したことは何だったのでしょう?

相談者の女性の殆どが暴力の被害者……
「女性による女性のための相談会」では会場の出入り口を1カ所に限定し、外部から見えないように目隠し布を取り付けプライバシーを確保。付き添いの男性は外で待ってもらいました。

松元「来場した女性たちの多くが、何かしらの暴力をこれまで受けてきたことです。虐待、セクハラ、性被害、DV、パワハラ…幼い頃から大人になるまでに、人生のどこかの時点で暴力を受けています。痴漢が原因で男性と一緒に仕事ができなくなり、就ける仕事が限定された女性もいました。

 会場には『生活』、『仕事』、『法律』、『家庭と家族』、『心と体』などの相談ブースを設置していましたが、『法律』や『仕事』の相談ブースに来た方の話を聞くと、夫によるDVを受けて精神を病んでしまっていて、『心と体』の相談ブースにも立ち寄るなど、複数の相談を利用された女性が多かったです。とにかく、相談者のほぼ全員が暴力を受けていたんです。これは男性の相談会ではありえません」


性別で区別される研修・就職支援

性別で区別される研修・就職支援
写真はイメージです。

――生活保護を受けながら生活を立て直すために、どのような公的支援があるのですか?

松元「コロナ禍で設置された『TOKYOチャレンジネット』という、行政による研修・就職支援があり、『年越し・コロナ被害相談村』ではそこに 女性を繋げていったのですが、ひとつ問題がありました。そこで提供される支援が性別で区別されているんです。

 男性には警備、建設、フォークリフトの運転免許が取れる研修がありますが、女性は介護職を勧められました。私も今回初めて知ったのですが、暴力を受けたことのある女性は、他人と近距離になる介護職に就けないと言っていました。虐待やDVの被害者の多くにとって、介護職は恐怖と苦痛でしかないんですよね。必ずしもそうとは限らないのに、女性は“誰かのお世話”をするのが上手だと思われている。フォークリフトの運転は女性でもできますが、ITや簿記など、他にも女性が働きたいと思えるような選択肢を広げてほしい。そういった提言も行政にしていきたいと思っています」

小池都知事との面会で言われたこととは?

――松元さんと実行委員会は、相談会開催の2週間ほど前に小池都知事と面会をされたようですが、どんなお話をされたのでしょうか?

小池都知事との面会で言われたこととは?
3月2日に行われた小池都知事との面会の様子。「女性による女性のための相談会」への緊急支援の協力を要請しました。

松元「介護職以外にも研修や就職先を広げてほしいとお話したら、『介護職は人員不足だから』と。そして、『コロナ禍で感染防止のために一生懸命努めていますのでご協力をお願いします』と言われました。相談会にもお誘いしたのですが、残念ながらお見えにならなかったです」

――今年3月23日の閣議で決定された、新型コロナウイルスに関連する政府の支援策のひとつに、地域で女性支援を行う団体に最大1,125万円を自治体を通じて支給するため、13億5,000万円が計上されました。これについてどう思いますか? 

松元「これまで女性支援をしてきた団体には非常に喜ばしいニュースですが、民間に予算を出すよりも、行政でできるところは行政がきちんとするべきだと思っています。応急処置的な制度も必要ですが、女性の貧困の根底に眠る、女性の雇用や暴力について行政にできることがもっとあるはずです」


あまりにも根深い、男女の格差

――なぜ根本的な解決に行政は取り掛からないのでしょうか?

ジェンダー規範から見直していく必要がある
写真はイメージです。

松元「福祉の分野でも民間団体や業者に事業の一部を委託しているように、ノウハウがある民間に任せた方が適切だと思っていたり、行政も人手不足だという問題があります。行政は福祉政策の人員も予算もカットしてきました。その結果が、現在、コロナ禍で福祉に繋がっていない困窮者が増えている理由のひとつだと言われています。
 男女格差、非正規問題、マイノリティ差別は一刻も早く改善される必要があります。とりわけ、男女格差は賃金・収入格差にはっきりと現れていますから。

 もともと正社員でも女性は、結婚して子どもを産むと仕事を辞めざるを得なくなる人も多い。日本の育休制度は世界と比べても悪くはないのに、男性の取得率が低いですよね。男性だって本当はとりたいのに、企業文化がそれを許さない。そういったジェンダー規範から見直していく必要があります。

 そもそも、採用時に性別によって総合職と一般職に分けたり、就職に年齢制限を設けるなど、日本の社会には女性の選択肢が少ない。女性政治家が少なく、政策自体に女性目線が欠けていることも問題ですね。そして、あるべき姿の社会を報道するメディア側にも意思決定の場に女性が少ない、という点も問題だと思っています」

わずかな貯金で、何も支援を受けられない女性も

――今回の相談会で、松元さんが衝撃を受けた事例はありますか?

福祉制度の狭間で苦しむ女性の声
写真はイメージです。

松元「コロナ禍が継続して福祉制度の狭間にいる女性が存在していることです。
 ある女性は、DVが原因で離婚をしましたが、離婚時の財産分与で少しの貯金と手に職もありました。けれども、コロナ禍になって失業し、登録型の日雇い派遣の仕事をしていましたが、それもなくなりました。
 DVで精神を病んでいるので、障がい者年金をもらってはいますが、それは家賃に消えていく。家賃以外の食費や光熱費、あと月5万円ほど稼ぐことが彼女の課題になっていました。貯金も100万円を切っていましたが、預貯金は世帯の最低生活費の半分以上あると生活保護は申請できないんです。

 結局、家賃を削るしかないという結論にいたりましたが、ご本人もすでに都営住宅などの抽選に何度も応募されているんですが当たらず。相談員の私たちもどうすればよいかわららなくて、一緒に頭を抱えました。会場にある支給品をできるだけ持って帰ってもらうしかないかと想っていたんですが、ご本人は『こんなに親切にしてもらったのは初めて』だと言って喜んでいました。
 コロナ禍が長期化しているせいで、あらゆる制度を利用しても困窮状態から抜け出せなかったり、生活保護を受けられない女性もいるんです」


「あなたの責任ではない」と知ってほしい

――活動家ではない私たちが女性の貧困を改善するために、何ができると思いますか?

「あなたの責任ではない」と知ってほしい松元「一番重要なのは、意識改革だと思います。簡単なことではないですが、生活困窮している人には『自分たちのせいでこうなったわけではない』と意識してほしいし、彼女たちの責任を追及する人にも立ち止まって考えてほしいです。暴力を受けたのも、貧困に陥ったのも、すべてが自分の責任ではないことを自覚して、誰かに相談して支援を求めてほしいです。これは誰に対しても言えることです。

 私たちは何でも自己責任だと思わされているし、そういう考えに慣らされてしまっている。もし、なんでも自分の責任だと信じると、他者への眼差しも厳しくなってしまいがちですよね。そのため、社会に問題提起をしなければいけないときに、声がひとつになりづらい。
 自己責任ではなく、国が社会をよりよくし市民の命と生活を守るために、政策を変えていかなくてはならないのだ、という方向へ意識を向けることが必要です。私たちは、憲法25条で基本的生活を保障されているのだから、国には私たちの生活を保護する義務があることを皆さんに認識してほしい」

コロナ以前の世界に戻してはいけない

――コロナ収束後、困窮する女性たちをとりまく環境はどのようになると予測しますか?

松元「コロナ以前の世界に戻してはいけないと思っています。男女格差や非正規問題、マイノリティ差別のあった世の中に戻してはいけない。これまで、声も上げることができない被差別コミュニティもありました。困窮していない、特権を享受している人々が取り残されたコミュニティと一緒に声を上げるべきなんです。今がまさに、社会のあり方を変えていく機会ではないでしょうか。政治に訴えるだけではなく、私たちひとりひとりが意識を変えていってこそ、社会に変革を起こせると信じています」

【取材協力】
松元千枝(まつもと・ちえ)
「女性による女性のための相談会」実行委員、ジャーナリスト、メディア協同組合「Unfiltered(アンフィルター)」エディター、法政大学法学部メディア分析非常勤講師、東京大学大学院情報学環学術支援員。英字記者、海外通信社の東京特派員を経て独立。共著に『マスコミ・セクハラ白書』(文藝春秋 2020年)、共同翻訳には『世界を動かす変革の力 ブラック・ライブズ・マター共同代表からのメッセージ』(明石書店 2020年)、『ストする中国』(彩流社 2018年)がある。

<取材・文/此花わか>
此花わか
ライター。NYのファッション工科大学(FIT)を卒業後、シャネルや資生堂アメリカのマーケティング部勤務を経てライターに。映画、ファッション、カルチャー、ジェンダー、セクシュアリティをテーマに執筆。手がけた取材にジャスティン・ビーバー、ライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、デイミアン・チャゼル監督、ギレルモ・デル・トロ監督、アン・リー監督、深田晃司監督など多数。墨描きとしても活動中。Twitter:@sakuya_kono Instagram:@wakakonohana

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