ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの弱っている賃借人に声がけを!生活の基盤である「家」を貸すことの意義【太田垣章子のトラブル解決!

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://www.kenbiya.com/ar/ns/for_rent/chintai_keiei/5365.html

日本列島にコロナが蔓延るようになって、はや2年。これほど長く続くと、当初は誰もが思ってなかったのではないだろうか。

この間に何度か感染拡大の波が訪れ、その度に国や行政から生活の制約が強いられ、困窮する賃借人も増えている。リーマンショックは富裕層に打撃を与え、コロナは中間より下の層を叩きのめしている。

そして2年という月日の中で、ダメージはボディブローのようにじわじわ彼らを苦しめている。対応している私からしても、残念ながら出口が見えないことも多い。どうしようもない……そう脱力してしまう。

一方の当事者からすると、混沌とした期間が長くなればなるほど、心は修復する機会を失い、生きる意欲を持てなくなっていくのかもしれない。

伏せる

車の運転が何よりも好き

滞納者のAさんは、車の運転が好きでタクシー運転手として働いていた。プライベートでも、休みの日は自分の車でドライブするほど好きだった。ところがコロナでタクシー業界は、大打撃を受ける。

2020年4月の緊急事態宣言では、街中から人が消え、タクシーの売上も10分の1以下になり、勤務シフトも減らされた。当然収入も激減し、プライベートで車に乗りたくてもガソリン代が出せない。必然的に家の中に籠るしかなかった。

家賃5万円。きちんと仕事さえできれば、不安なく払えた。だがコロナが長引くと、貯金もみるみる減ってくる。このままだと払えなくなる日も近い、Aさんもそう感じた。

それでも「仕事さえすれば」Aさんは何度もそう思ったが、その思いも打ち消されていく。

実際に緊急事態宣言が解除されても、飲食店の多くは厳しい規制を受け、深夜にタクシーを利用する人は皆無。リモートで昼間に街に出ている人は、圧倒的に少なくなっている。

一日走っても、誰一人乗せることもない、そんな日も珍しくないのだ。人と言葉を交わすことも減り、少しずつ「仕事さえすれば」という希望が、妄想になりつつあることをAさん自身、気が付いていなかった。

コロナ禍から何人もの滞納者と関わってきた。皆、追い詰められていて、程度の差はあるが鬱状態だった。それは人と関わることが減ったことや、先が見えないことの不安も要因の一つだった。

「だって世の中が悪いんだもん」そう開き直れない、真面目な良い賃借人ほど、鬱の症状が強かった。そして悪いことに、自身が鬱状態ということに気が付いていない。リアルで人と会話しなくなったからだろうか。

人は前向きであれば、何とか乗り越えていける。だが死を選んでしまった賃借人の多くは、心を病んでいったのだと思う。そしてそれに気づかず、どんどん暗闇に吸い込まれていったに違いない。

強制執行の場で首から血を流していた

Aさんは訴訟手続きに入っても、何も反応しなかった。私たちは現地にも行ったし、置手紙もした。できることはすべてやったが、会うことはできなかった。物件横に停められたAさんの愛車も、ずいぶん動いていないようで埃を被っている。

明渡の判決が出てしまい、強制執行の催告。この日が分かっていたかのように、Aさんは不在。部屋の中には生活用品が溢れ、さながらゴミ屋敷のようだった。まるでセルフネグレクト。生きることに意欲を感じられないような室内だった。

自炊している様子もなく、食べている形跡もない。生存が心配になるような室内だった。執行官は断行日を記載した紙を貼り、連絡してくれるよう手紙も置いておいた。

この間もAさんからは連絡もなく、私たちも一度だけ物件を訪問したが会えず、手紙を投函しておいたが連絡がないまま断行日を迎えた。

執行官がインターホンを鳴らし、呼びかけ、反応がなかったので、執行補助者の方が室内に入って行った。そして私たちは「救急車呼んで!」という叫び声を聞いた。

救急隊に抱えられて出てきたAさんは、首から血を流していた。真っ白な顔をして生気が感じられない。執行補助者の方に聞くと、Aさんはちゃぶ台に突っ伏した状態だったとのこと。

「自分で切ったのか?」と声をかけると、「はい」との小さな声が返ってきた。体の状態からしても、しばらく何も食べていないようだった。

執行は中断され、病院に運ばれたAさんは、8時間後くらいに亡くなった。死因が何かは、私たちには知らされていない。

無力感だけが残った。もし声をかけてくれたら、生活保護に繋げたかもしれない。住居確保給付金のことも、もっと丁寧に伝えられたはずだ。けれど生きる意欲をどんどん失ってしまった人には、私たちの声は届かない。

現在オミクロンの感染者が激増し、政府はまた行動規制を検討している。

どうか弱っている賃借人に声をかけて欲しい。滞納するのは、悪い人たちばかりではない。弱者救済の制度すら知らず、追い詰められた人たちもいる。声をかけることで、救える命もある。生活の基盤である『家』を貸すという意義を、改めて関係者が考えるきっかけに、今回の事件がなってくれればと思う。

執筆:太田垣章子(おおたがきあやこ)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。