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生活保護者の集いコミュのセーフティーネットは消えていた コロナ禍で見えた女性の困窮

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https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2021122300004.html

「収入が減って家賃・光熱水費が払えていない。生活保護の相談に行ったが『若いから働きなさい』など2回追い返された」(30代女性)

 「離婚し保育園で働いている。借金もあるので風俗のアルバイトもしてきたがコロナで収入が減り、やりくりができなくなっている」(40代女性)

 「コロナの影響でコンビニのシフトがゼロになり生活できない。そのため家賃を2カ月滞納している。仕事を探しているが見つからない。夜の仕事をするようになったが月10万円くらいにしかならず生活は苦しい」(20代女性)

 「民泊の清掃業務の請負。昨年は収入が以前の50%減となった」(40代女性)

 「コロナ禍で疲れた。死にたい。クローゼットに首を吊る用意してある」(20代女性)

 これらの言葉は、2021年6月12日に開催された「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」に寄せられたものだ。

1万人以上の悲鳴
 昨年4月から隔月で開催されているこの電話相談会は6月の時点で8回目。全国の弁護士や支援者などが電話を受けるこの相談会で、私も1回目から相談員をしている。この日寄せられた相談は954件。うち生活費問題が567件。また、相談してきた人のうち、「月収10万円以下」が274件、「所持金なし」が68件、「所持金千円以下」が70件という深刻な状況が浮かび上がった。

 相談会ではこの1年半で1万人以上の悲鳴を受け止めてきたが、電話相談における女性の割合は約半数。「女性不況」と言われる中、女性の貧困が急速な勢いで広がっていることをひしひしと感じてきた。

 原因のひとつは、新型コロナウイルス以前から女性の非正規雇用率が50%を超えていたことだろう(注1)。また、コロナはサービス業を直撃したわけだが、飲食・宿泊で働く人の実に63%が女性(注2)。その多くが非正規。この国のサービス業を支えてきたのは、低賃金で働く非正規女性たちだったのだ。

 そんな非正規女性の平均年収は152万円(注3)。これでは貯金など到底できない。そんな女性たちの多くが、なんの補償もなく放り出されたのだ。野村総研は、21年2月の時点でパート・アルバイト女性の実質的失業者が103万人に達するという推計を発表している(注4)。


拡大新型コロナウイルスの影響で困っている人たちを対象に、弁護士や労働組合などが全国で一斉に電話相談会を開いた。「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」のこの会場では、用意された10回線がほぼ常に埋まっていた=2020年4月18日、東京都文京区
失業・即ホームレス
 女性の苦境は、コロナ禍初期から際立っていた。

 ここに20年3月前半の状況を読み解く資料がある。3月7、8日に「全国ユニオン」が開催した「同一労働同一賃金ホットライン〜新型コロナウイルス対策の雇用形態間格差を是正しよう!〜」に寄せられた相談だ。

 「3月2日から休みになった。補償がどうなるか説明がない」(パート/女性/テーマパーク)

 「週6日・1日5時間、20年以上勤務しているが、仕事がなくなった」(パート/女性/ホテル配膳)

 このように、初期に目立ったのは急な雇い止めや休業だ。特に多かったのが「休業手当てについて説明がない」というもの。

 一方、仕事をやめさせられ、「寮を追い出される」という相談もあった。

 「離婚して昨年11月から働いている。やっと慣れてきたが、雇い止めを通告され、寮も出るように言われ困っている」(派遣/女性/ホテル)

 離婚して寮に入っていたということは、頼れる人がいなければ、この女性はホームレス化に晒(さら)される可能性もあるということだ。

 このような「失業・即ホームレス」という事態が女性に降りかかったのもコロナ禍の特徴だ。私は15年間貧困問題に関わっているが、コロナ禍で初めて、「失業のみを理由とした女性ホームレス」に出会った。それ以前に出会う女性ホームレスの人々は、誰もが「失業以外の理由」があった人たちだったからだ。

 夫のDVから逃げている、虐待がひどい実家から逃げ出した、精神疾患がある等々。このような事情から住民票が移動できなかったりで結果的に働けず、ホームレス状態となっていたのだ。しかし、コロナ禍では、それまで派遣などで働いていた女性たちが失業し、家賃滞納であっという間にホームレス化に晒され、実際に一部は路上に出てしまったのだ。

 20年3月の電話相談には、以下のようなものもあった。

 「スーパーに試食販売で派遣されていたが、2月中旬から仕事がなくなった」(派遣/女性/流通)

 20年11月、東京都渋谷区内のバス停にいたホームレス女性が殺害されたが、彼女もその年の2月に試食の仕事を切られていた。亡くなった女性の所持金は8円、携帯電話は止まっていたという。

 このような女性の困窮の背景にあるのは、不安定雇用はもちろん、居住の不安定化、女性を守る余力が社会から消えたこと、風俗やキャバクラなど「夜の仕事」も打撃を受けたことが挙げられるだろう。

(注1) 内閣府「男女共同参画白書」(平成30年版)の「年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移」など
(注2) 厚生労働省「働く女性の実情」(令和2年版)など
(注3) 国税庁「民間給与実態統計調査」(令和元年分)など
(注4) NRIメディアフォーラム「なぜ『実質的失業者』に支援の手が届かないのか―速やかな経済的支援と円滑な労働移動支援を―」

仕方なしにシェアハウス
 まず居住の不安定化。

 コロナ禍が始まって、真っ先に支援団体などにSOSを求めてきたのはネットカフェ生活者だった。特に20年4月、緊急事態宣言が発出されるとネットカフェも休業要請の対象になる。そこで行き場をなくしたのが、都内で1日あたり4千人いると言われている「ネットカフェ難民」だった。もちろん、この中には一部だが女性もいる。次いで多かったのは「仕事を切られて寮を追い出された」人々。コロナで解雇となり、同時に住む場所を失った人たちだ。

 一方、「シェアハウス」からの追い出しも目立った。一般の賃貸物件と違って規制が緩いシェアハウスでは、わずか家賃1カ月の滞納での追い出しもまかり通っており、その際、「一括で10万円払うこと」など利用者に不利な契約を結ばされていることも多々ある。シェアハウスの特徴は、「若者の交流の場」的なキラキラしたものがある一方で、貧困ビジネスと言いたくなるような脱法的なものも存在することだ。

 そんなシェアハウスについてのデータは少ないのだが、国土交通省が行ったアンケートがある(注5)。

 回答者の5割強が女性で、4割強が20〜25歳未満。事業者は5割弱が「女性が圧倒的に多い」と回答し、最多年齢層として25〜30歳未満と答えている。入居者の就業形態はというと、正社員が32.8%、学生が28.3%、アルバイトが12.2%。入居時の平均月収は「収入なし」がもっとも多く18%、15万〜20万円が16.9%、10万〜15万円が16.6%。入居した動機については、回答者の4割台半ばが「家賃が安いから」と答えている。そんなシェアハウスの家賃は、個室だと5万〜6万円が29.0%、4万〜5万円が24.6%、6万〜7万円が18.8%。

 先ほど非正規女性の平均年収が152万円であることを書いた。が、正社員でも20代女性であれば年収200万円台というのは一般的だ。シェアハウスは「若い女性に人気」と言われるが、その中にはシェアハウスに住むしか選択肢がないという人も多くいる。一般の賃貸物件のように入居審査が厳しくないのも理由の一つだろう。現在、非正規で働く人々やフリーランスは賃貸物件の審査に落ちることが少なくない。よって一般の賃貸に住みたくてもシェアハウスにしか入れないというケースもあるだろう。

 そんな「女性の非正規化」「貧困化」というニーズに答えるようにして増え続けてきたシェアハウス。コロナ禍で露呈したのは、シェアハウスの一部がわずかな滞納で追い出されるなど「ホームレス化の入り口」になっているということだ。

 さて、次は「女性を守る余力が社会から消えたこと」について。

「派遣村」時代との違い
 ここで思い出してほしいのは、リーマン・ショックの起きた08年の年末から翌年の年明けに開催された「年越し派遣村」だ。

 6日間にわたって野外のテントで職も住まいも所持金も失った人々がともに年を越した派遣村だが、あの時、日比谷公園を訪れたのは505人。うち女性はわずか5人、1%だった。

 それから13年。20年末から21年の年明けにかけて、東京の大久保公園で「年越し支援・コロナ被害相談村」が3日間にわたって開催された。主催は当時「派遣村」を担ったメンバーら。この相談村で私も相談員をしたのだが、3日間で訪れたのは344人。うち女性は62人。派遣村の時は1%だった女性は、18%にまで増えたのだ。その62人のうち、29%がすでに住まいがなく、42%が収入ゼロ、21%が所持金千円以下だった。

 この事実を受けて思ったのは、「女性のホームレス化」は、私たちが思うよりも広範に、かなりのスピードで広がっているのではということだ。そしてそんな女性たちは身綺麗で、とても「ホームレス」状態には見えない。見分けがつかないから、隣にいてもわからない。しかし、女性は「困窮している」とバレるだけで危険に晒されるのだからバレないようにするのは当然だ。なんとかしてそんな女性たちと繋がることはできないか――。

 そんな思いから21年3月に開催されたのが、「女性による女性のための相談会」。2日間にわたって開催され、スタッフ、ボランティアは全員女性。このような形での開催となった背景には、困窮者支援の現場が「男性中心」だったことがある。

 それもそのはずで、これまで、相談会や炊き出しに訪れるのは9割以上が男性だった。しかし、コロナ禍で炊き出しの光景もがらりと変わった。コロナ前は近隣で野宿する中高年男性しか来なかったような炊き出しに、今や若い女性が並ぶ光景は珍しくない。仕事も住まいもあるものの、収入が半減して食費にも事欠くという理由で並ぶ女性もいれば、失業中の夫と子どものため、都内の炊き出しを巡って食料を集める女性もいる。また、相談会にはベビーカーを押した母親も訪れるし、その中にはDV被害経験がある女性もいる。

 女性の貧困が広がるとともに、支援の現場には「男性弁護士ではなく女性弁護士に相談したい」「男性の支援者には話しづらいので女性がいい」といったニーズが寄せられるようになり、女性だけの相談会が開催されたのだ

絡み合う様々な要因
 2日間で訪れた人のうち、最も多かったのは50代。次いで40代、30代。20代も10人いた。

 相談内容で最も多かったのは「仕事」のことで、次いで「心とからだ」「家庭・家族」と続く(複数回答)。相談員をして気づかされたのは、女性の相談の場合、「労働相談」「生活相談」と割り切れるものが少ないということだ。

 自身の病気、夫のDV、離婚、子どものこと、借金、パートでの問題など、様々な要因が複合的に絡み合っている。男性の相談を受けていて、「家庭・家族」というキーワードが出てくることはあまりないが(すでに路上生活が長いと家族と縁が切れていることも多いため)、女性は家族問題が大きな割合を占めている。冒頭で述べた6月の電話相談会でも、女性から以下のような相談があった。

 「コロナでシフトを減らされ、休業手当はあるが月5万円。夫は一切生活費を渡さない。昨年暴力を振るわれて警察を呼んでから食事は作らなくなった。作っても食べない。家に居場所がなくパートのない日でも家を出て車で過ごす。別居にも踏み切れない」

 このような、収入減とDV、家にもいられないが経済的理由から別居も難しいというような相談が少なくないのだ。

 一方、相談会場は東京・歌舞伎町だったため、近隣のネットカフェで寝泊まりする若い女性たちからの相談もあった。その中には「生理が遅れている」というものもあり、支援者が妊娠検査薬を買って近くのトイレで検査となった。

 ある意味、「女性不況」の象徴のようなケースもあった。コロナで派遣の仕事を切られ、以来、短期の仕事を繰り返してきたものの貯金も尽きて家賃も払えず残金が1万円ほど、という状況の女性だ。このような場合には後日、生活保護申請に同行することになった。

(注5) 国土交通省「シェアハウスに関する市場動向調査結果について」
https://www.mlit.go.jp/common/001151588.pdf

お金がないときは野宿
 一方、すでに3年ほど住む場所がないという女性もいた。日雇いで稼いでお金がある時はネットカフェに泊まるものの、お金がない時は野宿という生活を3年間も続けてきたという。緊急性が高いため、相談会の場から直接、某区に生活保護申請を行い、その日から1カ月間、ビジネスホテルに泊まりながら次の行き先を探すことになった(都内では、住まいのない人が生活保護申請をすると、1カ月間ホテルに宿泊できる。その間にアパートを探して転宅という流れ。ちなみに交渉が必要)。

 このように、コロナによってそれまでギリギリ成り立っていた非正規の暮らしが破壊された女性もいれば、コロナ以前から苦境に陥っていたという女性もいた。共通するのは、誰も自分が福祉の対象だなんて思っていないことだ。コロナがなければ彼女は今も路上とネットカフェ生活を繰り返していただろう。このように、コロナ禍によって初めて支援団体と繋がり、生活保護を利用して数年ぶりにアパート生活に戻れたという人々が多く出たことは、コロナ禍において唯一の「いい面」と言えるだろう。

 しかし、このようなことから痛感したのは、日本社会から、すでに「女性を守る余力」が失われていることだ。

 例えば年越し派遣村に来た女性が5人しかいなかった背景には、家族や友人というセーフティーネットの存在があったからだろう。派遣村当時、支援者たちの間で話されていたのは、派遣切りに遭い、住まいを失った人の4人に3人ほどは「実家に帰る」など、家族もしくは友人に頼っているのではないかということだ。しかし、誰にも頼れない人が4人に1人くらいいる。その層が派遣村に来ていたのだ。確かにそうで、特に女性の方が実家や友人といったセーフティーネットにひっかかる確率は高いだろう。しかし、この13年で、多くの家族や友人からは、セーフティーネットの機能を果たす余裕が失われた。一方、ある意味で「困窮女性のセーフティーネット」的な機能を果たしていた「夜の世界」が壊滅的な打撃を受けたことも、女性の貧困がむき出しになった理由の一つだろう。

 そんな風俗やキャバクラで働く女性たちから相談が来たというのもコロナ禍で初めて経験したことだ。

「夜の女性」からのSOS
 電話相談や野外の相談会とは別に、私は「新型コロナ災害緊急アクション」(貧困問題に取り組む約40団体で20年3月に結成。メール相談を受け付け、駆けつけ支援をしている)のメンバーでもあるが、そこには日々「今日ホームレスになった」「何日も食べていない」などのSOSが寄せられる。これまで寄せられた相談は700件以上。世代は20〜40代が中心で、女性も2割ほど。半数ほどがすでに携帯が止まっているのだが、そんな中、「寮を追い出される」など風俗で働く女性たちからもSOSが届いているのだ。

 コロナ禍初期から客入りは悪く、別のバイトで寮費を払っていたが今週中には出されてしまうなどの相談だ。また、キャバクラなど夜の仕事の女性たちから「家賃が払えない」などの相談も電話相談には初期から多く入っている。

 このように、2年近くかけて状況はじわじわと悪化している。21年7月には、「女性のための生活、仕事、子育て、なんでも相談会」を開催。こちらにも120以上の相談が寄せられた。

 9月末には、都内の炊き出しの行列が最多となった。新宿の炊き出しに394人。池袋の炊き出しに416人。やはり女性の割合は増えている。ちなみにコロナ前と比較して、新宿の炊き出しに並ぶ人の数は5倍以上という異常事態だ。

 初期は労働相談が多かった電話相談も、時間が経つにつれ生活苦の相談が増えている。20年8月から電話相談会の内容を分析している「貧困研究会」のデータによると、20年8月、電話をかけてくる人のうち無職者の割合は28.1%だったのに対し、21年6月は54.5%と半数以上に増えている。

 また、「預貯金」も減少の一途をたどっている。例えば20年8月、相談者の「預貯金」の平均値は200万円を超えていた。中央値は16万円。それが21年6月になると、平均値は28万円台に。中央値は0円。貯金を切り崩しつつ、ギリギリで暮らしながら残金が尽きるのに怯えている人々の姿が浮かび上がる。

 預貯金と反比例して増えているのが「借金・滞納」だ。20年8月は借金や滞納が「あり」37.0%だったのに対し、21年6月は43.0%。具体的には、公共料金(22人)、住宅ローン(26人)、家賃(30人)、医療、年金など公的保険料(24人)、税金(13人)。

 一方、20年の1年間で、女性の自殺は前年比で15.4%増えた(注6)。今年はどんな結果になるのだろう。

 非正規を増やし、単身女性への施策を怠り、また女性に家庭内のケアを押し付けてきた結果がここにある。

 このような「女性不況」打開の一助になればと、年末年始にはまた相談会を開催する予定だ。

(注6) 厚生労働省・警察庁「令和2年中における自殺の状況」

※本論考は朝日新聞の専門誌『Journalism』12月号から収録しています。同号の特集は「公助はあるか」です。

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