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生活保護者の集いコミュのサンタの国・フィンランドと日本、「生活保護」を比べてわかった「決定的な違い」 日本の「公助」は貧弱すぎる…

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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/90647

貧弱な日本の「公助」
日本では、新型コロナウイルスによる貧困と格差が広がっているという報道をよく耳にする。さらに、働く女性の2020年の自殺者数は1698人で、それ以前の5年間の平均と比べて3割近く増加した。女性は飲食・サービス業などで非正規で働くことが多く、雇用環境が悪化したとみられている。また、20年の児童・生徒の自殺者は499人と過去最多を記録した。

Photo by iStock


命にもかかわるような影響が出ている一方、日本ではまず自助と共助が先とされる。公助はどのような状況にあるのだろうか。

厚生労働省の「令和2年度被保護者調査(年次調査)概数集計」によると、2020年度に生活保護を受けた世帯数は161万6864、人数は202万6730人である。2020年の国勢調査で、日本の世帯総数は約5572万、人口は1億2622万7000人なので、生活保護を受けている世帯の割合は2.9%、人口では1.6%になる。

私の住んでいるフィンランドでは、社会保険庁が2020年に28万8329世帯、41万771人に対して生活保護を支給した。同年の世帯数は約277万、人口は約550万人なので、世帯数の10%、人口の7.5%に対して生活保護を支給したことになり、日本と比較するとかなり多い。

フィンランドで2020年の生活保護支給は、前年に比べて5%増えたが、年齢と性別を見ると、もっとも多かったのは18歳から24歳の女性で約10%増加した。コロナで打撃が大きかった旅行業と飲食業に、若い女性の就業者が多いのが理由だという。

18歳から24歳の男性、また男女を問わず25歳から44歳までの人では、約7%増加。
次に増えたのは18歳以下の男女で、約5%増加している。45歳から64歳では、増加は1%程度、65歳以上では男性で約4%、女性は約8%減ったという全体像である。

日本では、特に女性と子どもの貧困が深刻化していると言われるが、厚労省による生活保護の統計は世帯単位で、年齢と性別への影響はわからない。

「最後の経済的な支援」が持つ意味
フィンランドの社会保険庁は、生活保護を「最後の経済的な支援」としている。この「最後」の意味は2つある。1つは、まず失業手当や家賃手当、年金、給付型奨学金、育児休暇手当、病気手当、在宅育児手当、公的な養育費など他の手当を受け、それでも足りない場合に申請するという位置づけである。つまり他の公助を先に受給して、最後に受けるのが生活保護だ。

失業手当は3年以下の労働に対しては土日を除いて300日間、3年以上の場合は400日間支給される。職業組合に所属している場合、支払うのは組合。所属していない場合は、社会保険庁になる。金額は前者の方が大きい。

Photo by iStock(画像はイメージです)


家賃補助は低収入の人、または家計に対する手当で、学生も受けられる。

給付型奨学金は、高校以上のレベルで学ぶ場合に社会保険庁から支払われる。学費は小学校から大学まで無料、高校までは教科書や給食も無料だ。

在宅育児手当は、子どもを家で育てる場合3歳まで毎月支給される。現在の額は、月に341.69ユーロ(約4万4400円)である。

公的な養育費はシングルペアレント、もしくは離婚または別居している親が養育費を払わないとき、さらには女性カップルの子どもで認知する父親がいないときなど受給できる。これらは社会保健庁が支払う手当である。

「最後」の2つ目の意味は、貯金や持ち株、または多額の還付金、相続などによる一時的な収入が考慮されることを指す。ただし、車と持ち家の売却は求められない。日本では持ち家の場合、生活保護を認められないことがあるという。

日本の厚生労働省は、生活保護について「預貯金、保険の払戻し金、不動産等の資産の売却収入等(中略)を使い尽くした後に初めて保護適用となる」としている。「使い尽くした後に初めて保護適用」というのは、フィンランド的な感覚からすると「基本的な安全に欠ける」ことになる。それでは、生活の安全性やウェルビーイングを脅かす危険を伴うだろう。

フィンランドの生活保護の仕組み
これらの収入や手当をまず得て、それでも最低限の生活ができない場合に支払われるのが生活保護であり、「基本部分」と「その他の基本的出費」の2つに分けられている。

基本部分に含まれるのは食費、被服費、常備薬費、衛生費、近距離の交通費、新聞代、携帯・インターネット代、趣味・レクリエーション費、その他個人的・家族の日常的な出費である。この基本部分は支給される金額が決まっているので、内訳は個々にチェックはされず、領収書などを見せる必要はない。

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2021年現在、1人住まいの場合の基本部分は504.06ユーロ(約6万5500円)である。
シングルペアレントは、574.63ユーロ(約7万4700円)。10歳から17歳の子どもについては、1人目は352.84ユーロ(約4万5870円)、2人目は327.64ユーロ(約4万2600円)。10歳以下の子どもは1人目が317.56ユーロ(約4万1300円)、2人目は 292.35ユーロ(約3万8000円)である。

親の家に住む、18歳以上の人に対する基本部分は367.96ユーロ(約4万7800円)。この金額は、一人住まいの場合の73%に設定されている。親には18歳以下の子どもの扶養義務があるが、18歳を越えると義務はない。そのため、親と同居していても必要ならば生活保護を受けられる。

また、18歳以下の子どもは親と一緒に住んでいない場合、「基本部分」を申請できる。社会保険庁は申請者の親の収入と財産、扶養義務を果たすことができるかどうかなどを判断して決めることになる。

基本部分は最初、1、2ヶ月の支給を認められて支給が始まり、必要な場合は延長を申請していくシステムになっている。

また「その他の基本的出費」に含まれるのは、以下である。

・住居費(家賃、管理費、持ち家の維持費、電気代、住宅保険料)
・必要な引越し費用、賃貸住宅の敷金
・公的な医療機関での診察費、医薬費の自己負担金、メガネを作る費用
・子どもが別居している親と会う場合にかかる費用。これには、「自治体が定めた面会の合意に基づく場合」という説明がついている。
・身分証明、滞在に関する書類、パスポート取得の費用
これらの申請については、契約書や領収書を見せる必要がある。申請後、7日で結果について通知がある。「基本部分」「その他の基本的出費」どちらも非課税である。

子ども2人・失業中のシングルマザーの場合
生活保護やその他の手当を説明している社会保険庁のページには計算ツールがあって、自分の収入などを入力していくと、大体の受給額を計算できるようになっている。

また、社会保険庁は受給例として10代の子どもが2人いる失業中のシングルマザー、サンナの例を挙げているので、それを見てみよう。彼女に貯金はなく、収入は種々の手当てからなる。

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【収入】

1. 労働市場手当と子ども追加手当:664.96ユーロ(約8万6400円)。

労働市場手当は、失業手当を受けられない人を救済するための制度で、対象になるのは、失業保険受給を満たす雇用期間がない場合、初めて労働市場に加わって失業した場合、土日を除く400日間にわたって失業保険を受給した後、収入がなくなった場合などである。

経済雇用省の下にある雇用サービスに登録して求職活動をしているフィンランド市民、または、フィンランドに永住権を持つ17歳〜64歳の人に支払われる。課税される手当だ。

2. 17歳以下の子どもに支払われる児童手当とシングルペアレント追加手当:326.32ユーロ(約4万2400円)

3. 家賃手当:592.8ユーロ(約7万7000円)

4. 子どもの父親が養育費を払わないので、社会保険庁からの扶養手当:334.7ユーロ(約4万3500円)

以上の収入総計は、月額で1918.78ユーロ(約24万9400円)になる。

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一方、支出は次のように想定されている。

【支出】

1. 家賃:810ユーロ(約10万5300円)
2. 水道代:45ユーロ(約5850円)
3. この家族構成での「基本部分」の金額:1255.11ユーロ(約16万3160円)。

この3つの総計は、2110.11ユーロ(約27万4300円)になる。

収入から支出を差し引くとマイナス191.33ユーロ(約2万4870円)になるので、その額を社会保険庁が生活保護として支払う。つまり、様々な手当を受けた上で、さらに実際の赤字分の手当を受けるシステムである。

離婚しシングルマザーとして子育てをしているフィンランド人や日本人を個人的に何人も知っている。定収入がある、低所得、失業中など状況はさまざまだが、皆、それほど困窮することなく普通に暮らしていけるのは、こうした公助があるからだろう。

日本とフィンランド、考え方の違い
社会保険庁の生活保護のページでは、チャットで質問もできる。チャットボットに質問を書き込むと即座に答えが返ってくる仕組みだ。

なおフィンランドでは、行政が「やさしい言葉」で市民に説明することが義務づけられている。「やさしい言葉」とは、英語で言えばプレイン・ラングエッジ。平易で読みやすい言葉を指す。

読書障がいや学習障がいのある人、あるいは外国人などが、受けられる手当や支援の存在を知らなかったり、言葉づかいが難しいため制度が理解できなかったりすることがないように、配慮が求められているのだ。こうした親切さは、日本の行政にはないものだろう。

一方で日本の厚生労働省のハローワークのページには、「不正受給の典型例」が挙げられている。生活保護申請に関して不正行為が行われた場合、不正受給金額の返還が命じられるうえ、くわえて支給額の2倍に相当する額以下の金額の納付が命ぜられる可能性が記されている。それはいわゆる「3倍返し」と呼ばれるという。

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日本では、政治家による多額のカネの不透明な受領や税金の不正使用、無駄使いが横行しているが、一部が発覚しても追及されずウヤムヤのまま終わる。一方、生活に困窮した国民に対しては、細かく厳しいという行政のあり方が浮かび上がる。

厚生労働省のホームページには「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるので、ためらわずにご相談ください」とあるが、実際には申請しにくい雰囲気が作られている。過去には自民党の政治家による生活保護バッシングがなされ、役所の窓口では申請を抑制するための「水際作戦」も行われている。

「共助」に頼りすぎている日本
フィンランドの行政は、親と18歳以下の子ども、また事実婚・同性婚を含めた配偶者を家族と見なしていて、扶養義務とも重なっている。つまり、親子と配偶者以上に遠い親族に対する扶養義務はない。また、同居していても18歳以上の兄弟姉妹は、行政的には家族ではない。したがって、生活保護の申請が必要な場合は、それぞれが別々に行う仕組みだ

一方、日本では三親等まで扶養義務がある。三親等というのは親子、兄弟姉妹、祖父母、孫、おじおば、甥姪、曾祖父母、曾孫を含む親族である。生活保護の申請を受けた場合、行政は多大な労力と時間を費やして申請者の親族の居場所をつきとめ、扶養できるかどうかを照会する。

そのため、交流もない親族にまで生活保護を申請したことが知られてしまうことも、申請をためらわせる理由になっている。生きにくさを感じる人が多いのは、手を差し伸べず突き放す貧弱な公助に一因があるだろう。



様々な理由から、弱い立場に陥ってしまう可能性は誰にでもある。フィンランドの制度は公助に頼って生きることを奨励するものではないが、そうした人達を支援しケアする制度があることは大きな救いになっている。

それに対して公所の制度が貧弱であり、まず自助と共助が求められる日本。オミクロン株が流行の兆しを見せているが、今後さらなる感染の波が押し寄せた場合、苦しむ人たちを救うセーフティネットは用意されているのだろうか。

【参考文献】
厚生労働省、「生活保護制度の現状等について」、https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0420-7c.html
厚生労働省、「不正受給の典型例」、https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_dishonesty.html
総務省、「報道資料 令和2年 国勢調査人口速報 集計結果の要約」、2021年6月25日、https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka.html
KELA. Toimeentulotuki. https://www.kela.fi/toimeentulotuki
THL. “Toimeentulotuensaajamäärätkasvoivatvähän‒koronaepidemiatoiesiinjärjestelmänjoustavuuden” Tutkimuksestatiivisti4/2021.

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