ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの生活保護の「扶養照会」が破壊する家族の絆、娘と孫を搾取する虐待父も

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://diamond.jp/articles/-/262441

生活保護の申請を
「ためらわせる」扶養照会
 1月27日、参院予算委員会でコロナ禍による生活への影響への対応について問われた菅義偉首相が、「最終的には生活保護」と答えたことから、生活保護への関心が高まり続けている。現在、厚労省は「生活保護は権利」「ためらわずに申請を」と広報しているのだが、実態は「権利だから、必要ならためらわずに申請して利用できる」という制度ではない。

 生活保護への「ためらい」をもたらしている最大の要因は、「扶養照会」が行われて“家族バレ”する可能性である。「最終的には生活保護」という菅首相の発言の是非はともかく、生活保護を必要なら使える制度にするためには、「扶養照会」を撤廃する必要があるはずだ。

 タイミングを逃さずに、経験者の声を集めて広く伝えた支援団体などの動きに呼応する形で、2月4日、田村憲久厚労相は扶養照会の適用を緩和する方針を示した。また8日の衆院予算委員会で、菅首相は扶養照会を「より弾力的に運用」できるように検討していると述べた。ただし2月10日時点では、「より弾力的に運用」の内容は明らかになっていない。

 また菅首相は、扶養照会そのものの撤廃については否定している。このことは、法治主義の側面からは、評価すべきなのかもしれない。扶養照会は生活保護法に定められているため、撤廃するには法改正が必要である。菅首相の意向によって、強引に撤廃するわけにはいかないはずだ。

 同じ2月8日、一般社団法人つくろい東京ファンドと生活保護問題対策全国会議は合同で、厚生労働省社会・援護局保護課に対し、扶養照会の見直しに関する要望を行った。

 そもそもの問題は、扶養照会の位置づけの不明確さにある。扶養照会が必要であることは、生活保護法に規定されている。しかし、生活保護の申請を受けた福祉事務所は、申請者の親族の誰にどのような扶養照会を行うべきなのだろうか。あるいは、どのような場合に扶養照会を行わないようにしなくてはならないのだろうか。法律家や行政のエキスパートが通知類を総合しても、「イミフ」なのだ。

DVや虐待から生き延びた人々を
かえって追い詰めてしまうことも
 たとえば、「高額所得者である配偶者の暴力から逃げてきた」「多大な資産を持つ親の虐待から逃げてきた」という人が生活保護を申請している場合、その配偶者や親に対して「民法上の扶養義務者だから」という理由で扶養照会を行うと、本人の生命や心身が脅かされることになる。

 もちろん、厚労省の通知には、このような場面でも「扶養照会を行うべき」とは書かれていない。しかし、「扶養照会はダメです」とも書かれていない。そこにあるのは、扶養照会をすべきではないと考えて「差しつかえない」、あるいは、扶養は期待できないと考えて「差しつかえない」という文言だ。少なくとも、福祉事務所が扶養照会を行うことは禁止されていない。

 実際に扶養照会が行われてしまうと、何が起こるか。つくろい東京ファンドには、数多くの体験談が寄せられている。

 難病を患う30代のシングルマザー・Aさんは、妊娠中に失職した。現在は治療を受けつつ、生まれた子どもと共に生活保護で生き延びている。夫とは、出産以前に別れている。兄弟姉妹もいない。Aさんの父親は、母親とAさんに暴力をふるい続けていた。Aさんは、中学生のときに母親と共に逃げ出し、母子で暮らしていた。その母は、すでに他界している。

 生活保護の申請を受け付けた福祉事務所職員は、20年間音信不通となっているAさんの父親に対して、扶養照会を行った。Aさんは過去の事情を話したのだが、「規則だから」「扶養照会をしなければ申請は受け付けられない」と言われてしまい、仕方なく扶養照会に同意したという。父親は扶養照会によって、母とともに逃げたAさんの住所を知ることとなった。すると、何が起こったか。

「私の父親は、何度も住まいに押しかけてきました。子どものための手当や一時金の振込先は、父親の口座に変更されて奪われました。保護費も、家の中の家電製品なども、父親に奪われました」(Aさん)

 生活保護によって「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるはずの母子は、扶養照会によって、生活費も生活必需品も奪われる生活を強いられることとなった。

 その後、Aさん親子は転居し、いつ父親がやってくるか怯える状況から解放された。

「今は安心して暮らせていますが、あのときの恐怖は忘れられません。DV加害者への扶養照会は禁止してほしいです」(Aさん)

 扶養照会は、本人の生活や安全を脅かしただけではない。福祉事務所にも、転居費用という負荷をもたらした。

扶養照会が破壊する
なけなしの信頼と“絆”
 妻子と別れたBさんは、生活保護を申請した際、子どもが成人したら「扶養照会をする」と言われたということだ。

「拒否したかったですけど、生き延びたかったので応じました。今からでも取り消したいです。離婚した元家族に、心理的負担を負わせたくありません」(Bさん)

 関西在住のCさんは、生活保護の申請にあたり、扶養照会を断ることができなかった。もともとCさんは、両親や兄弟姉妹と絶縁状態だった。

「扶養照会された後、両親や兄弟姉妹が、私の悪口を言いふらしています」(Cさん)
 扶養照会によって、家族のホンネが顕わになってしまうこともある。両親から愛される兄を見ながら虐待を受けて育ったDさんは、家族から離れて自活することに成功していたが、虐待後遺症が悪化して働けなくなった。生活保護を申請すると、両親を含む家族に扶養照会が行われた。

 両親が気にしたのは、「自分たちは仕送りをしなくてはならないのか」という点であった。両親は比較的裕福なのだが、すでに成人しているDさんを扶養する義務はない。そのことをDさんが説明すると、母親は「ホッとしていた」そうだ。

「母は昔から、私にお金をかけることを嫌っていました。扶養照会のとき、『働けて生産性のある兄と違う弟には、少しのお金もかけたくない』というホンネが見えました」(Dさん)

親族に扶養を求めることは可能だが
実際に扶養されることは非常に少ない
 そもそも、血縁者の誰かが生活保護を必要とするとき、他の血縁者にも経済的な余裕はないことが多い。裕福かつ関係の円満な血縁者がいるのに扶養を行っていない場合には、福祉事務所が家庭裁判所に申し立てて扶養を求めることが可能なのだが、実際に扶養を求める結果となることは非常に少ない。2019年は、全国で678件だった。生活保護世帯を約165万世帯とすると、その0.04%に過ぎない。

 関西の都市部で生活保護を申請したEさんは、地方で貧困状態にある母親に扶養照会された。

「母は、障害者の姉と2人暮らしです。母の老齢年金と姉の障害年金で暮らしています。年金は、2人合わせて月あたり12万円です」(Eさん)

 持病の治療費などを考慮すると、母と姉にも生活保護の利用資格がありそうだ。

 血縁者同士の関係が、扶養照会で壊れることもある。特に地方では、福祉を利用することに対する偏見が現在も根強く、生活保護の扶養照会がもたらす影響は大きくなりがちだ。「縁を切られた」「怒鳴られた」といった体験は数多い。

 また「同じ自治体や近隣の自治体に血縁者が住んでおり、福祉事務所の窓口にいるのは近所の住民」といった状況にあることから、生活保護の申請をためらう人々もいる。「生活保護で暮らしている」という情報が一度漏れると、生涯にわたって近隣コミュニティから排除される地域もある。偏見や差別をなくす取り組みと、生活保護そのものを変える取り組みは、いずれも必要だ。

福祉事務所の判断によって
明暗が分かれてしまう不条理

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 扶養照会には、数多くの問題がある。そもそも、「本人に代わって、福祉事務所が血縁者に扶養を求める」という手続きが存在すること自体に、問題が含まれている。現在の制度でも、扶養照会は「扶養を期待できそう」「相手も扶養する気がありそう」という場合に限定して行ってよいのである。

 しかし、現在の通知通達類は、「基本、扶養照会は三親等内の血縁者全員に対して行うべき」「扶養照会をしなくても『差し支えない』例外があるが、その場合も禁止されているわけではない」と読み取ることも可能な内容となっている。結果として、生活保護の申請をためらわせる仕組みとして、極めて有効に機能してしまっている。

 現在のところ、貧困は「自己責任」であり、生活保護を申請して扶養照会をされてしまうのは「自己責任」であり、福祉事務所が扶養照会を行ったり行わなかったりすることによって負担や予想外の成り行きに苦しむことも、「自己責任」ということなのかもしれない。

 しかし、扶養照会の目的と範囲と内容、そして扶養照会をしてはならない場面の明確化は、貧困が「自己責任」であってもなくても求められているはずだ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。