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生活保護者の集いコミュの6人家族で「1週間の食費は1万円」極限の食生活

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https://news.yahoo.co.jp/articles/b01bf46ffeee72df0fd6d7e7e6b9b893a68dfa87

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「15万円の手取りではとても生活できないため、父親から仕送りを受けています。正直、この先、家族みんなで幸せになれるのか、とても不安です」と編集部にメールをくれた、36歳の男性だ。

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■妻と子ども4人、夕食は「すいとん」だけ

 ゆで上がったばかりのすいとんが皿の上に並ぶ。「やったー!」。歓声とともに四方から、真っ黒に日焼けした子どもたちの腕が伸びる。肉や野菜が入った汁物ではなく、文字どおりすいとんだけなのだが、子どもたちは味噌だれにつけて食べるのがお気に入りだ。

 小麦粉1キロ分の団子はあっという間になくなった。子どもは幼稚園から小学4年生までの4人。父親のシュウゴさん(仮名、36歳)は複雑な表情でこう話す。

 「今晩の夕飯です。おかずですか?  ありません。すいとんだけです。1週間の食費は1万円と決めているので。よろこんで食べてくれるのが救いですが、考えてみると(子どもたちのほうから)『すいとんを食べたい』と言われたことは一度もないですね……。子どもたちの栄養は学校の給食が頼りです」

 九州のある街で暮らすシュウゴさんは、妻と4人の子どもたちの6人家族。妻は膠原病を患っているので働くことができない。シュウゴさんは正社員のシステムエンジニアで月収は30万円ほどだが、妻の看病に加え、家事や育児もこなさなくてはならないので出社できるのは所定労働時間の7割ほど。遅刻や早退による賃金カット分や家賃、保険料などを差し引くと、手元には15万円ほどしか残らない。

 夕食の定番は“素すいとん”のほか、ケチャップをあえたパスタや、レトルトのもとと豆腐を合わせただけの“麻婆豆腐”など。シュウゴさんは「果物はぜいたく品。野菜もほとんど買えません。たまに鶏の胸肉を買うくらいです」と話す。

 生活保護水準を下回る収入でも、なんとか暮らしていけるのは、シュウゴさんの父親が多いときで月4万円ほどの仕送りをしてくれるほか、地域のフードバンクからコメの提供を受けているおかげだという。

■両親との同居から歯車が狂い始めた

 シュウゴさん夫妻はともに関東地方出身。妻はもともと看護師として働いており、結婚当初の年収は2人合わせて700万円ほどあった。「子どもは多いほうがいいね」「いつか一戸建てを持ちたい」。当時は2人でそんな未来を語り合っていたという。

 人生の歯車が狂い始めたのは、シュウゴさんが30代になり、4人目の子どもが間もなく生まれようというころ。妻はすでに仕事を辞めており、シュウゴさんの収入だけでは家計が厳しかったので一時的に妻の実家に身を寄せた。しかし、妻は子ども時代に両親から虐待を受けた経験があった。もともと不安定だった関係は同居によってさらに悪化。最後は追われるようにして家を出た。

 引っ越しにかかった費用の一部を妻の両親に立て替えてもらったこともわざわいし、実家を出た後も両親からは借りた額の何倍もの金額を請求されたり、「刺してやる」「お前らのことは逃がさない」といった手紙が送られてきたりした。「怖かったです」とシュウゴさん。警察に相談し、妻の両親が住民票などを閲覧できないよう措置を取ってもらったという。

 一方の妻は無事に出産したものの、体調がすぐれない日々が続き、最終的に膠原病と診断された。これ以降、シュウゴさんの勤怠は不安定になり、収入は激減。転職を余儀なくされることもあった。関東圏や東海圏などいくつかの地方都市での生活を経て、2年ほど前に「暖かいところのほうが妻の体調がよい」という理由で、九州への移住を決めた。

 血縁も地縁もない土地での暮らしは、家計にも厳しい。シュウゴさんは「妻の実家からできるだけ離れたかったので、(同じ関東地方にある)私の実家に戻るのは避けたかった。それに最近は妻の体調もよくなっており、九州を離れるという選択肢はありません」と話す。現在、カードローンなどによる借金は約100万円になるという。

 自動車や病院の電子カルテなどのプログラミングを手掛けた経験のあるシュウゴさんはシステムエンジニアとしては引く手あまただ。

 ただ、戸建ての社宅が利用できることや、不安定な勤怠への理解といった“条件”をクリアしようと思うと、時に転職には苦労した。社宅の明け渡しが1週間後に迫っても、次の仕事が見つからず、ガスは止められ、コメもなくなり、相談に行った自治体の担当者から、子どもたちを一時的に児童相談所に預けるよう提案されたこともあった。

 「なんとか転職先は見つかりましたが、家族にとって一番の危機でした。このときは子どもたちと離れ離れにならなくて済むように、家族単位で利用できるシェルターがあればいいのにと思いました」

 シュウゴさんは「世の中に私たちのような家族がいることを知ってほしい」というメールを編集部に送ってくれた。私は、シュウゴさん一家が直面している現状以上に、彼らがなぜ公的な福祉サービスを利用しないのかということを知りたかった。日本には不十分とはいえ、生活保護や社会福祉協議会による貸し付け、生活困窮者自立支援といった制度がある。膠原病に関しては障害者手帳の取得や障害年金の受給といった手立てもある。

 家族のためにというなら、そうした制度の利用は一通り検討したのだろうか。

■生活保護の利用につきまとう「心理的ハードル」

 シュウゴさんによると、社会福祉協議会の貸し付け制度は一度利用したことがあり、返済も終えた。ただその後は何度相談に行っても「『あなたの収入では返済は無理』と言われ、生活保護に回されました」という。

 生活保護は複数の自治体で相談したが、いずれも申請には至らなかった。利用を諦めた一番の理由は「担当者から、(扶養の意思を確認するため)妻の実家に『問い合わせの手紙を出します』と言われたこと」。シュウゴさんは妻の両親には個人情報の閲覧を規制する措置をとっていることを説明したが、担当者は「ルールなので」の一点張りだったという。

 車を手放すことや、自己破産を“条件”として提示されたことも、利用を思いとどまった理由の1つ。加えて心理的なハードルもあった。シュウゴさんはシステムエンジニアとして病院で働いていたことがある。生活保護利用者は医療機関では自治体が発行する医療券を使うので、医師や看護師は、彼らが生活保護利用者であることがわかる。

 「生活保護の人は陰で医師や看護師にいろいろ言われるんです。『あのおじいさん、生活保護なのにコードレスのイヤホン使ってる』とか、『あの人、生活保護なのにブランドバッグ持ってる』とか。何かというと『生活保護なのに』って……。だから、できれば生活保護は避けたかった」

またしても生活保護を利用することへのスティグマ(社会的恥辱感)である。本連載でも何度も指摘してきた。コードレスイヤホンは補聴器かもしれないし、バッグはコピー商品の可能性もある。そもそも生活保護費を何に使おうが基本は個人の自由だ。一部とはいえ、医療サービスを提供するスタッフたちの無知と偏見ぶりに暗澹たる気持ちになる。

 シュウゴさんは生活保護の窓口担当者の対応について「追い返されたわけではない」と理解を示す。しかし、実質的なDV被害者に対して加害者側に扶養照会をかけるというのは事実上の「追い返し」である。不当に申請を受け付けない「水際作戦」の中でも相当に悪質なケースといっていい。

 また、そのほかの福祉制度について、シュウゴさん「妻のソーシャルワーカーから『要介護度が低いので、介護保険は利用できない』と言われた」と説明する。障害者手帳と障害年金については対象になること自体、よく知らないようだった。

 介護保険が使えるのは40歳以上である。妻は30代なので、介護度にかかわらず制度の利用はできない。ソーシャルワーカーの説明か、シュウゴさん夫妻の理解のどちらかが誤っていると思われるが、いずれにしてもシュウゴさん一家は、国や自治体がさまざまに用意したサービスをほとんど利用できていないということになる。

 シュウゴさんの知識や情報が不足しているというよりは、行政側の不適切な対応や担当者の説明不足が問題なのではないだろうか。せっかくメニューがあっても、注文できない“画餅”では意味がない。

■希望はただ1つ「家族が一緒に暮らすこと」

 取材が終盤にさしかかったとき、シュウゴさんから「記事には批判的な感想やコメントも来るのですか」と聞かれた。中傷やバッシングを懸念している様子だった。そしてシュウゴさんはこう続けた。

 「社会や政治に不満を持っているわけじゃない、ということをちゃんと書いてください。妻を入院させて父親ががむしゃらに働けばいいとか、子どもを施設に預けて生活を立て直すべきだとか、世間からは言われると思うんです。(それをしないのは)自分や妻のわがままだし、これまでの私の判断が甘かったということは、よくわかっています」

 シュウゴさんの希望はただ1つ。「家族が一緒に暮らすこと」。

 生活に困窮する人が世間の顔色をうかがい、バッシングを恐れ、先んじて自らを批判してみせる──。シュウゴさんの懸念を杞憂とはいい切れない、社会のいびつさを思った。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

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