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生活保護者の集いコミュの中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に いま政治家が取り組むべきは「中年フリーター対策」だ

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デイリー新潮 12月26日(土)7時30分配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151226-00504429-shincho-soci&p=1

少し前まで夢ある子育て世代だったはずの中年の間に、フリーターが激増している。滅入る話は、そこに止まらない。彼らが老後を迎えたとき、一斉に「老後破産」状態に陥って、生活保護費が今の何倍にも膨らみかねないという。日本を覆すような話なのだ。ノンフィクション・ライターの白石新さんがリポートする。

 ***

 フリー・アルバイターを縮めた造語であるフリーターとは本来、少年や青年、いずれにせよ若者を対象とした言葉だったはずだが、最近、“中年”と呼ばれる世代のフリーターが激増している。

 彼らの収入は月15万から20万円程度と、生活保護受給者とあまり変わらず、家賃と光熱費を支払ってしまえば、やっと食べていける程度しか残らない。もちろん、年金を納める余裕などないし、それどころか、健康保険料すら支払えない。

 そんな人たちが増えているのはなぜなのか。そのことは近い将来、想像を上回る「老後破産」社会が到来することを暗示しているのではないだろうか。

■中年フリーター高田さんの場合

「不安は、ないんです。ただ……」

 と言葉を濁したのは、45歳になる高田淳史さん(仮名)だ。ある離島出身の高田さんは、高校卒業と同時に神戸にある石油関連企業に就職した。まだ、バブル真っ盛りの時代である。だが、それから数年して、

「阪神大震災があって、会社の先行きがあやしくなったんです。なにもかもが壊れてしまったあの地震のあとは、ぼくの価値観も大きく変わってしまって」

 勤め先の将来に不安をおぼえて退職し、東京に出てきたという高田さん。いったんは、ある会社に正社員として入社したものの、すぐに退職してしまった。それ以来、ずっとフリーターである。いろんな仕事をしてきたが、ここ5年ほどは、百貨店などの催事で使う冷蔵庫などの什器をリースする会社で働いている。といっても、日雇いである。おもな仕事内容は、冷蔵庫などの設営と撤去だという。

「早くて2週間前に、急なときは当日なんてこともありますが、会社から〈○月○日に○○百貨店○○店へ行けますか〉といった内容のメールが届くんです。自分の体力と相談して、1日にどれだけの仕事を掛け持ちできるか考えてから返信します。賃金は1現場につき4500円です」

 平均すれば、1カ月に30カ所ほどの現場を回る。4500円の“基本給”は1現場につき5時間までの金額で、労働時間がそれを超過すれば1時間1000円の残業代が支払われる。こうした合計で、手取りの月収は多いときで15万円ほどになるという。

「まず家賃を払います。次に光熱費。残りのお金でなんとか生活するという感じですかね」

 高田さんの自宅は東京都内にある。ひとり暮らしだから、なんとかギリギリの生活はできると語るが、

「蓄えはありませんし、年金も払っていません。病気になったりケガをしたりすれば、立ち行かなくなるのはわかっています」

 仕事は軽くない。生活にもまったく余裕がない。しかし、意外にも会社からは、それなりに“いい扱い”も受けているという。

「設営場所の周囲には高価なモノも置かれたりで、それなりに緊張感がある現場なので、なにも考えないで労働できる、というわけではないんです。それに、慣れる前に辞めてしまう人も多いだけに、長続きすると、会社も優先的に仕事を回してくれたり、仕事内容が比較的ラクなところを斡旋してくれたりするんです」

■ブラック企業の正社員にはならない
 会社から一定の評価を得ているのだろう。そうであれば、正社員にならないかと打診されたりしないのだろうか。

「そういう声をかけられることもあります。でも正直なところ、ぼくのような立場の、会社が責任を負わずにすむ人間を大勢雇っている会社は、本質的にブラック企業なんですよ。一部のポストに就ける人は潤っていますが、そうでない人は、精神を病むほど異常な量の雑務をやらされ、追い込まれているのを見ていますから。安易に正社員になったりすれば、それこそ病気やケガをするのと同じ結果が待っていると思います」

 そう冷静に分析する高田さんだが、その口調は重くはなく、意外なほど飄々としている。ただし、達観しているのではない。諦観しているのである。

「この時代にいまから正規雇用されることなんて、まずないと思っていますから。独身ですし、最後は国のセーフティネットに頼るしかないですよね」

■失われた20年で非正規雇用が爆発的に増加

 高田さんのような非正規雇用の、いわゆるフリーターが目立ちはじめたのは1990年代半ばごろのことだった。以来、その数は増えつづけている。

 厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、80年代半ばには十数%だったものが、今年は40%近くにまで達している。いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。

 労働経済ジャーナリストの小林美希氏によると、

「80年代後半、自由な働き方を示すものとして“フリーター”という言葉が誕生する一方、労働者派遣法などが改正され、企業が責任を負わずに簡単に労働力を確保できるようになりました。その後、折からのバブル崩壊で、93年大学卒業組からはじまる、いわゆる“就職氷河期組”がどっと社会に出ました。彼らが不本意ながら非正規雇用で就労した結果、非正規雇用者は爆発的に増えたのです」

 それから、およそ20年が経過したが、

「景気は回復せず、“失われた10年”が“失われた20年”になるとともに、フリーターたちは中年世代にさしかかっています。彼らの多くは、老後を考えて生活を変えたくても、いまの職場から動けないという状況におかれている。休んで収入がストップしたら、生活が立ち行かなくなるからです。ほかの可能性を考える精神的な余裕もなくなっています」(同)

■中年フリーター馬場さんの場合
 続いて紹介する馬場弘明さん(仮名)は、現在46歳。すでに同じ仕事を10年以上つづけている“熟練”の中年フリーターである。九州出身で、大学を卒業すると、いったんはコンピューター関連企業にSEとして就職したそうだが、

「企業体質が合わなくて、研修期間中にやめてしまいました。以来、フリーター暮らしで、もう15年間、空調設備のメンテナンスをやっています」

 メンテナンスと一口に言っても、その内容は細分化されており、およそ100項目にものぼるという。仕事に赴くのは都内が中心だが、時に地方への出張もあるそうだ。

「空調設備が置かれているのは、狭い場所がほとんどなので、無理な姿勢がつづくのがつらいですね。時間帯も、相手先の都合などによって早朝から深夜まで不規則なので、体力的には最近、かなりきつくなってきました。そのうえ老眼がすすんできたので、細かい作業の時は、目がつらくて本当に困ります。近視なのでコンタクトレンズを使っているのですが、老眼になると、近くを見るのが本当に難しくなるんです」

 そう言って笑う馬場さんの表情からは、苦悩が透けて見える。それでも、15年間、この仕事ひとすじに磨いてきた腕をもってすれば、それなりの見返りは得られるのではないだろうか。

「毎月、1カ月ほど前に提示される予定表に、働ける日を書き込みます。1現場あたり1万円の日雇いです。夜勤の時は1万2000円になりますが、体力的にきついので、あまりたくさんの仕事を詰めこむことはできません。毎月、だいたい12から13カ所の現場に出ていて、それでなんとか生活できる感じですかね」

 むろん、生活できると言っても、ギリギリである。

「年金も払ってないし、生活に余裕はありません。好きな音楽活動をつづけるためには、自由な働き方はいいんですが、時々、ひとりっきりになると、いろいろ考えますね。友人からはよく“孤独死するよ”と言われるんです」

 それでも馬場さんに、いまの生活を変えようという気持ちはない。

「実家の両親は、僕に結婚してほしいと思っているみたいなんですが、いまは交際している女性もいないし、結婚なんてまったく考えていません。この仕事をやめて、ほかになにかがあるという気もしませんね」

 そこまで語って、馬場さんはぽろっと漏らした。

「“日本は厳しいな”とは思います」

■簡単に立ち行かなくなる
 たしかに、日本の状況は日に日に厳しくなっているが、そのことは、中年フリーターの増加と軌を一にしていると言っていい。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、35歳から54歳までの非正規雇用者(女性は既婚者を除く)の数は今年、273万人を超えた。これは大阪市の人口を若干上回る数字である。前出の小林氏はこう指摘する。

「デフレがつづいているかぎりは、彼ら中年フリーターも、たとえギリギリであっても、衣食住をまかなって生活を維持することができます。しかし、一度物価が上昇すれば、たちまち立ち行かなくなります。それに、いまは働いているからなんとか生活できていても、老後になればすぐに限界が訪れます。たとえば、健康保険料を払っていないから、体調を崩してもなかなか病院に行かない。病状が悪化してようやく医者にかかったときには、自己負担の医療費が大きくのしかかってくる。年金も払っていないから受給できません」

 その結果、どうなるのかと言えば、

「将来、生活保護などの社会保障費が、爆発的に増えることになってしまうと思います」(同)

■中年フリーターの増加で生活保護費が5倍に

 まさに「老後破産」へと向かってひた走っている感のある中年フリーター。これまで時代に翻弄されてきた彼らだが、将来、「老後破産」を迎えるようになった時、日本の社会保障費はいったいどれほど嵩むことになるのだろうか。小林氏はこう予測する。

「2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう」

 ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。17兆円といえば、先ごろ新規上場した郵政3社株の時価総額と、ほぼ同額であるが、それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だと言ったほうが、より衝撃的かもしれない。

 それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの“老後破産対策費”と呼ぶべきものなのである。

■非正規雇用者を正社員にできないのか? 
 ところで、先に紹介した2人の実例には、驚かれた読者も多いと思うが、

「1カ月で十数万円稼げる中年フリーターは、実はまだ勝ち組なんです」

 そう語るのは、一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英氏である。不登校、ニート、引きこもりから貧困問題まで、長年、子どもや若者の支援活動に従事してきた田中氏は、中年フリーターに接して、こう実感するという。

「ようやく仕事に就けても、時給800円程度のアルバイト。グローバリゼーションのなかで、一度この流れにはまってしまったら、もう正社員にはなれないし、月収が手取り15万円を超えたらラッキー、という人々が、非正規雇用者のなかにはかなりいます」

 このような流れを変えるべく、行政も取り組みはじめてはいる。たとえば東京都は、今年から「東京しごと塾〜正社員就職プログラム〜」を開始した。30歳から44歳という、まさに中年フリーター世代を対象に、3カ月の職務実習を経験させ、正社員として働けるようにうながす、という支援活動である。

 それに対して、前出の小林氏は、

「企業にとって、非正規雇用の労働力はメリットが大きく、大幅に控えることはできませんが、その一方で、雇用の分かれ目が人生の分かれ目になっているのが現状ですから、行政が乗り出して正社員化をうながすことは必要でしょう」

 と、一定の評価をしながら、続けてこうも言う。

「こうした支援に積極的に参加できるのは、おそらくなんらかの方法で、自ら現状を打開できるような人が多い。ですから、むしろこうした取り組みに挑めない人を支援する方法がないかぎり、中年フリーターが減るようなことにはならないと思います」

■最後は国のセーフティネットに

 このままでは中年フリーターと、彼らが行き着く将来の「老後破産」は、増える一方にならざるをえないのか。冒頭で高田さんが「不安は、ないんです」と言って言葉を濁したことに触れたが、彼の言葉は、実はこうつづいていた。

「なんというか、本当に不安は、意外なほどないんです。ただ、それ以前に、希望が、ない」

 その言葉を、田中氏はこう読み解いた。

「いまの若者は、たとえ低収入でも幸福感をおぼえている人が多い。一方、バブルの時代に、それを享受していなくても、少なくとも空気に触れた経験がある人たち、つまり、主として就職氷河期世代の中年フリーターは、いまの日本を見て絶望してしまうんです」

 激増する中年フリーターたちは、こうして絶望しながら「最後は国のセーフティネットに頼る」という流れに逆らえずにいる。このままの状態がつづけば、彼らはそう遠くない将来、具体的にはあと20年もすれば、一斉に「老後破産」状態に陥ることになるだろう。

 だが、そうなったときには、「希望」は中年フリーターのみならず、この国に暮らすあらゆる人たちの前から失われてしまいかねない。だからこそ、いま国家が、政治家が急いで取り組むべきは、中年フリーター対策なのである。

「特別読物 急増の『中年フリーター』で空前の『老後破産』――白石新(ノンフィクション・ライター)」より

白石新(しらいししん)
1971年、東京生まれ。一橋大学法学部卒。出版社勤務をへてフリーライターに。社会問題、食、モノなど幅広く執筆。別名義、加藤ジャンプでも活動し、マンガ『今夜は「コの字で」』(原作)がウェブ連載中。

「週刊新潮」2015年12月24日号 掲載

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