生活保護者の集いコミュの（大竹しのぶ　まあいいか）日本がなくなってしまわないように

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11972064.html

2015年9月18日16時30分

このコラムを書いていた時、国会では安保法案を審議する参院特別委員会が開かれ、委員長への不信任動議が野党から出されて紛糾していた。

　私は、母と一緒にそのテレビ中継を見ていた。

　９３歳になる母が一言言った。

　「日本が、なくなってしまうわね……」

　安保法案が、これだけ長い時間を掛けて審議されても、理解されるどころか、反対意見が増えてゆく中で、なぜこの法案を、今期中に決定しなければならないのか誰もが思うことだ。

　唯一の被爆国として、ノーベル平和賞の候補にもなった「憲法９条」をこんなに簡単にないがしろにしていいものなのかということも、誰もが思うことだと思う。

　国会前の抗議集会には、老若男女、たくさんの人が溢（あふ）れている。

　学生団体「ＳＥＡＬＤｓ（シールズ）」メンバーの奥田愛基さんが国会の公聴会で言っていたように、個人個人として、意見を持って、集まっている。

　私も数日前の夕方、国会前での集会に参加し、何人かの人のお話を聞いた。大勢の叫んでいる人の、その正面には、国会がライトを浴びて立ちはだかっていた。

　その中の一人に、牧師さんがいらっしゃった。そして、聖書の言葉を引用して話された。平和を作りし者は幸いです、平和とは祈るだけではない、作るものなのだ、と。

　この声を、想（おも）いを、安倍首相はどのように思っているのか。

　安倍首相は「積極的平和主義」を掲げている。「積極的平和」という言葉を提唱したノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥング博士は言っている。

　「貧困や差別といった構造的な暴力のない状態が積極的平和である」

　今年８月、この言葉の意味をきちんと伝えるために来日して、お話をしてくださった。

　日本がなくなってしまわないように。私たち、一人ひとりが今こそきちんと意思を持ち、声にしてゆかなければ、と強く思う。