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生活保護者の集いコミュの参院選後、再提出の可能性も 予断を許さない生活保護法改正案の“真の問題点”

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http://diamond.jp/articles/-/38728 ダイヤモンドオンライン 生活保護のリアル みわよしこ

2013年6月26日、通常国会の閉会とともに、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案は廃案となった。背景として考えられる要因は、各党の党利党略・地道に粘り強く繰り広げられた反対運動の影響など数多い。しかし、7月21日に予定されている参院選の結果しだいでは、国会に再提出される可能性もある。

今回は、社会保障審議会・生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の委員を務めた藤田孝典氏(NPOほっとプラス代表理事)のインタビューを紹介する。

参院選の争点としては、忘れられがちな生活保護。そこを見つめることで、各党・各候補者が考え、思い描く日本の近未来が、浮かび上がってくるはずだ。

「国は国民を見捨てる存在である」

 前回レポートしたとおり、国会に提出されていた生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案は廃案となった。しかし、2013年8月1日からは、生活保護基準の引き下げが実施される。生活保護法改正案などの法案とは無関係に、2013年度予算で決定されているからだ。

 社会保障費削減は、少子化・高齢化に伴って「国是」とされている観がある。その中でも、生活保護に対する削減の動きは激しい。なぜ、最も弱く、最後のセーフティネットである生活保護によって救われなければ死に至る人々が、繰り返しターゲットにされなくてはならないのだろうか?

 藤田孝典氏(NPOほっとプラス代表理事)は語る。


藤田孝典氏(NPOほっとプラス代表理事)。1982年生まれ。大学在学中の2002年より、ホームレス支援活動に参加。さまざまな困窮者に対し、幅広い支援を展開してきた
「自民党の一部の議員たちは、私に対して、はっきり言ってますよ。『だって、生活保護世帯の人たちは、抵抗勢力じゃないですからね』と。抵抗してこないから、削減していいんだ、と。それ以外の人たちからは抵抗されちゃうから、削減できないんだ、と」

 人間の社会とは、政治とは、そんなものなのかもしれない。しかし、その身も蓋もない事実をそのまま認め、そのまま語ることに、私はいささかの抵抗を感じる。その私に、藤田氏は、

「もちろん、対象者が抵抗するかどうかによって社会保障のありようが変わっていくというのは、私から見ると、不公平感があるのですが」

 と答えつつ、さらに身も蓋もない言葉を続ける。

「そもそも本来は、国は国民を見捨てる存在なんだと見る必要があるんですよね。本人が権利を主張しなければ、当然、国は、政府は放っておくんです。それは一般的な話で、どの国でもそうです」

 では、どうすればよいのか。

「だから、自分の権利を求めていく、自分で権利を要求していくといった活動が必要なんです。本人が主張できないのであれば、誰かが主張する仕組みを整えていく必要があります。生活に困っている人たちに、『生存権、生活保護って、あたりまえだけど権利なんだ』と、より多く伝えていく必要があると思います」

生活保護に含まれているはずの
「防貧」を機能させるには?


藤田孝典氏の語り口は明快だ。深刻な状況について語りつつも、悲観的にはならない
 1982年生まれの藤田孝典氏は、まだ30歳だが、困窮者支援で豊富な経験と実績を持っている。藤田氏は、大学在学中の2002年からホームレス支援活動に参加しはじめた。大学卒業後は、社会福祉士資格を持つソーシャルワーカーとして、NPOを設立して困窮者支援に関わり続けた。その実績と実行力が評価され、2012年から2013年にかけて、厚労省・社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の部会委員を務めた。本連載でも数回、この特別部会の様子を藤田氏の発言とともに紹介している。当時、藤田氏は29歳で、部会委員の中では最年少だった。

 藤田氏の著書『ひとりも殺させない』(堀之内出版)の「はじめに」には、

「貧困や生活保護の問題は、一部の『かわいそうな人』の話だと思っている方も多いでしょう。しかし、わたしが出会ってきたホームレスの人たちは、最初からホームレスだったわけではありません。ほんの数年、数ヵ月前まで、自分がホームレスになるなんて思ってもみなかったと言います。(中略)わたしにも、あなたにとっても、それは将来のことかもしれないのです」

「(生活保護のありかたの変化には)これまでの貧困政策の不十分さを補おうという方向性と、貧困の現実から目を背けようとする方向性が、入り交じっています。それを見極めるには、現場の視点が不可欠です。(中略)わたしは、その現場のことを、より多くの人に知ってもらいたいのです」

 という記述がある。

 では、その「現場」から見て、生活保護とはどのような制度だろうか。

「生活保護には、救貧も防貧も、制度として含まれています。たとえば、1ヵ月に8万円しか収入がない人に対して『いや、頑張って、もっと働いてよ』ではなく、足りない分を支給して、『さらに就労支援するから、収入をもっと上げていってよ』という防貧の側面があったはずなんですよね」(藤田氏)

http://hotplus2011.blog.fc2.com/

ほっとプラスの日々
ほっとプラスは生活に困っている方の相談支援活動をおこなう団体です

藤田孝典氏が代表理事を務めるNPO「ほっとプラス」のブログ「ほっとプラスの日々」。取り扱われている内容は、困窮者への情報提供、電話相談などの案内、広報活動など幅広い

 その通りである。生活保護法と生活保護制度に対して、私は「なんとよくできた制度だろう」という感動を覚える。「自立の助長」に対して利用することのできる制度が、最初から数多く含まれているのだ。機能していない理由の1つは、充分な予算がなく、したがって弾力的な運用が困難ということにある。

「今はその、防貧の側面が削られて縮小されて、『本当にボロボロになってから救貧』というような制度になっちゃっていますけど」(藤田氏)

 いわゆる「世間の目」「国民感情」から見れば、「誰から見ても本当にボロボロになってから、はじめて生活保護を受給」の方が、納得されやすいだろう。なぜ、それではいけないのだろうか?

「たとえば若い人が、うつ病になって、病気が悪化してから生活保護に至って、そこで何年も療養が必要になったりしますよね。若いからといっても、生活保護から抜けることができない状態になっています。本来は、早めに積極的に生活保護を受けてもらって、早めに重厚な支援を受けてもらって、早めに社会復帰支援をして就労してもらう、というモデルを作る必要があります」(藤田氏)

 早めに生活保護を利用しなければ、問題はこじれていき、対応には長い期間と多額の費用が必要になる。社会にとっても本人にとっても損失が大きい。だから、早めに重層的な支援を行う必要がある。何があれば、そういう支援が可能になるのだろうか?

「窓口を広げなくてはいけません。ケースワーカーを増員して、福祉事務所の機能を強化しなくては。そのためには予算が必要です」(藤田氏)

削減される生活保護費が
「自立支援」の予算に?

 介護保険制度が開始された2000年、日本の高齢化率は17.4%だった。2009年に発表された日本の相対的貧困率は、16.0%。

「現在の貧困問題を解決するためには、介護保険がスタートした時と同じくらいの予算規模が必要なはずです」(藤田氏)

 2000年、介護保険のために確保された国家予算は、3.6兆円であった。

「2012年から2013年にかけて特別部会の部会委員をしていた時、さまざまな困窮者支援に関する議論の中で、予算の問題が気になり続けていました。厚労省からは、2012年の夏になって『生活保護費を削って財源にする』という話が出て。必要な予算を割くことを、財務省が了承しなかったのだそうです」(藤田氏)

 ちなみに、生活保護費の削減予定額は、2013年度から2015年度までの3年間で670億円である。この金額で、何ができるというのだろうか。

「本当に問題を解決するための予算ではないですね。『一応、何か作ってみました』という感じではないでしょうか。予算を取れる人も、特別部会にはいたんですが」(藤田氏)

 生活保護費は削減。生活困窮者の支援のために作られる予定だった新しい制度も、充分な予算が確保されていないので、機能することが期待できない。それならば「新しい制度を作る」というようなことはせず、ただ単に生活保護費の総額を増額し、受給者を増やす方が良いのかもしれない。生活保護費の増額には、財務省の了承は得られそうにもないけれども。

「財務省も国も、貧困問題に力を入れる気がないんです。あと10年か20年経って、日本の貧困問題がもっと悪化すれば、財務省も再分配に動くのかもしれませんけれども」(藤田氏)

 バブル崩壊後の「失われた10年」「失われた20年」に、さらに10年、20年が追加されてしまうということだろうか。

「日本国民が怒らないと、どうしようもありません。サッカーのワールドカップ誘致に反対してデモをやっているブラジルのように。日本国民が、沈黙する国民である限りはダメです」(藤田氏)

 では、充分な予算があれば、何が実現されるはずだったのだろうか。

「特別部会の1年間の議論で大事な論点は、必要な人達を早く生活保護に結びつけ、結びつけた人たちを多様に支援していくということでした。しかし、生活保護に特化したケースワーカーには、その支援は難しい。多様な自立を模索していくには、別の相談機関が必要。本来は、必要な人に必要な支援を結びつけていくための仕組みづくりをするはずでした」(藤田氏)

 しかし、2012年12月に、政権が交代した。

「特別部会は、いろんなことに配慮しながら進んでいって。生活保護から早めに抜けてもらうための模索として出てきたのが、まずは就労ありきということでした。でも目的は、生活保護から本質的に抜けることや、貧困から脱却することですよね?どういう視点で支援したらいいのか。就労支援ありきだと、それでうまくいく人はごく一部だと思うんです。特別部会では、中間的就労も含めて、社会生活を営めるように社会参加の場所を作って行き、社会的リハビリの場所を増やしていくことをやっていくはずだったんですが」(藤田氏)

 生活保護法改正案とともに国会に提出され、同時に廃案となった「生活困窮者自立支援法案」は、ただただ、就労支援に終始する内容だった。筆者には、法案の目的は、困窮者にとにもかくにも生活保護を利用させないことであるかのように見えていた。

厚労省にはなかなか把握できない
「水際作戦」に対策はあるか?


藤田孝典氏の近著『ひとりも殺させない』 。困窮のさまざまなパターンと必要な支援について、具体的に語る。有効な自立支援を考える上で、必読の一冊
 藤田氏は繰り返し、「水際作戦」の問題点を主張しつづけている。水際作戦とは、生活保護の申請に訪れた困窮者に対し、行政の職員がさまざまな手段で「あなたには生活保護の申請はできない」と言い、申請の意思表示をさせないことだ。困窮者に対し、「生活保護を申請し、受給する」という選択肢を最初から奪う水際作戦は、そうしなくては生存を維持できない困窮者から生存権を奪う行為である。

「水際作戦、これが横行しているので、水際作戦対策委員会とか、水際作戦の対策窓口を作らないと、どうしようもないと思うんです。それは、政府の内部でも外部でもいいと思います。厚労相の諮問機関でも、内閣府でも」(藤田氏)

 廃案となった生活保護法改正案には、「水際作戦の法制化」としか言いようのない内容も含まれていた。

「あの法案が通ってしまっていたら、行政の窓口で追い返されて生活保護を受給できない人が、どんどん増えていったと思います。だから、諮問機関や第三者委員会を設置する付帯決議を、参考人発言で提案しました」(藤田氏)

 生活保護法改正案は、その付帯決議案も含めて、参院で成立する見通しだった。その諮問機関や第三者委員会を構成するのは、藤田氏のイメージではどのような人々だっただろうか。

「市民を中心に、現場経験豊かな人を中心に作らないといけないかなあと思っていました」(藤田氏)

 なぜ、官僚や有識者ではいけないのだろうか?

「現場を知っている人でないと実情を伝えることができません。厚労省は、水際作戦とは何なのか、本当に水際作戦があるのかどうかを報告されていません。当然、市役所や区役所では『水際作戦なんかありません』と報告しますから、情報が上がるわけはないんです」(藤田氏)

 でも、諮問機関や委員会のメンバーが「取り込まれ」れば、御用機関になってしまうかもしれない。

「生存権が保障されているかどうかを、市民が監視して行かないと。その監視の仕組を作らないと……国はまた、これまでと同じように、悪いことをします」(藤田氏)

 藤田氏は、根拠もなく「行政が悪い」と責めているわけではない。

「生活保護の不正受給は、数としては0.4%です。非常に少ないわけですが、その0.4%も精査してみる必要があると思っています」(藤田氏)

 一般には、明るみに出ている不正受給の数倍の不正受給がある、と考えられている。しかし藤田氏は、不正受給として取り扱われることの妥当性を疑っている。

「そのケースが、どうして不正受給として扱われたのかを精査してみると、多くのケースで、ケースワーカーの説明不足であった可能性があると思います。端的に言えば、捏造された不正受給です。『とんでもない生活保護利用者がいる、悪いやつらがいるから取り締まって罰則を強化していく』というのは、福祉事務所の責任逃れです」(藤田氏)

 不正受給を行なっている生活保護当事者、または不正受給の可能性の高い生活保護当事者は、大変な労力をかけて探しても、容易には見つからない存在だ。

「私は10年くらい困窮者支援活動をやっていますけど、とんでもない人には会ったことがありません。ときには、『アルバイト収入があったけれども、お金ほしさに申告をごまかしていた』という人が来たりすることもありますけど、『じゃ、収入申告しましょう』と話をして、それで不正受給と判断されずに話がつきます。だから、生活保護法改正案にあった不正受給に関する罰則強化は、できれば撤回してほしかったです」(藤田氏)

 その部分だけを撤回させるまでもなく、法案自体が廃案になった。しかし、ともすれば「生活保護当事者vs.一般市民」という敵対が発生しがちな状況は、現在も続いている。

「おいしい甘い蜜として、『景気が回復すれば仕事が見つかる』とか、『みんなが幸せになるんだ』という、偏った情報が流布しています。困窮者が困窮に追い込まれるのは、本人が悪いというよりは社会のシステムの問題なのですが。現状を、多くの人達に『知ってる?』と伝えていくのが大事だと思います、あきらめずに」(藤田氏)

 社会運動家の稲葉剛氏(NPOサポートセンターもやい)は、生活保護法改正に至ろうとしていた政治の動きを、「列車の暴走」と形容していた。生活保護法改正案の廃案という形で、「列車の暴走」はひとまずは停止した。しかし、いつ再度の暴走が始まるか、予断を許されない状況が現在も続いている。

 一市民として、列車の暴走を止め続け、社会保障に関して根拠に基づいた冷静な議論の可能な状況を長く継続するためにできる行動の1つは、参院選に行き、投票を行うことだ。

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