日本曲者女優伝（芸一筋）コミュの七の巻・浦里はる美さん

さて今回は東映でバンプ役として活躍していた
浦里はる美さんについて語りましょう。

彼女から最初に衝撃を受けたのは、
1955年東映京都作品の『ふり袖侠艶録』でした。
歌舞伎の「鏡山旧錦絵」を映画にしたもので、
主役の腰元お初に美空ひばり、
彼女が仕える奥女中尾上に千原しのぶ、
そして尾上をいじめ抜く仇役の岩藤に浦里はるみという配役。
この岩藤が尾上を草履で打ち据えるシーンのはる美さんは、
それはそれは実に憎々しげで鬼気迫る迫力満点の演技でした。
ラストではひばりの仇討ちに遭い呆気なく殺されてしまいましたが、
その悪女振りがあまりにも圧巻でしたから、
それ以降は大ファンになり彼女の出る映画を追い回したものでした。

1934年生まれだということですから、
この映画が撮影された時の彼女はまだ若干２１才のお年頃・・・
それなのにこんな悪女の大役を難なくこなせたのは、
彼女が師事したという新派の花柳章太郎の薫陶の賜物かもしれません。

その後の彼女は東映の京都と東京を行ったり来たりで、
様々な映画に出まくり状態・・・
悪女／妖婦／芸者／女掏摸／姐御／娼婦／マダム／奥様などの
色んな役柄を難なくこなしていましたが、
妖艶で色っぽい眼差しと堂々たる容姿、
加えて伝法で蓮っ葉な台詞廻しにはたまらないものがありました。

数多い彼女の作品の中でも圧巻といえるのは、
やはり内田吐夢監督の『大菩薩峠』三部作でのお絹役であると思います。
悪側の大名側室でありながら机竜之介に情けをかけるという難役を、
颯爽とこなしている彼女には大女優の貫禄さえ感じたものでした。
上のカラー写真二枚と下の動画は本作第二部のビデオ画面から撮影したものです。
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最近テレビで観た彼女は知恵蔵主演の金田一耕助もので『三つ首塔』でした。
この映画でもまた彼女は犯人の悪女役でしたが、
悪女ながらも主犯の彼への愛を貫く姿には、
かなりの情を誘うところがありなかなか大した名演振りでした。

映画界が斜陽になり東映を退社してからの彼女は、
日活や松竹の作品に二、三本出演したあと
スクリーンからは姿を消してしまいました。

本屋の棚で彼女が書いた「女らしさを磨く－女優浦里はる美の宝箱」
という書籍を以前に見掛けたことがあったのですが
買わないまま見過ごしてしまいました。

俳優島田莊司のプログでは、彼女は宝塚の出身で、
かって雪村いづみの持ち家に妹と二人で住んでいた
ということを読んだことがあります。

さらにうろ覚えなのですが、彼女は現在さる有名料亭の女将をしていて、
芸能界かスポーツ界のある事件の仲裁役として暗躍したという記事を
数年前に何かの雑誌で読んだ記憶もあります。

今でもお元気でおられることを祈るばかりではありますが、
まだ７０才を越えたばかりでお若いのですから、
この辺で久しぶりにカムバックをして
銀幕でもう一度凄みを利かせて貰いたいと願うばかりです。

これで手持ちの原稿を全て費やしてしまいましたから、
次回からは書き下ろしに苦労をしなくてはなりません。

さて、次回は何方を取り上げることにしましょうか？

コメント(4)

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[1] mixiユーザー 12月08日 11:38

恐らく私は、TV版『白い巨塔』ぐらいでしか、浦里さんを見た記憶はないと思います。（２時間ドラマにも色々出演されてたようですが。

島田さんのサイト、読んでみました。妹さんのエピソードが壮絶ですね。
劇作家・北条秀司さんの記念碑建立に携わっていたというサイトも見つけたのですが、PCではエラーしてしまうので後ほどメッセージで送りますね。

[2] mixiユーザー 12月08日 14:18

きよすみ・はこさん

とにかく未だにお元気そうですが、
なんだかイロイロなエピソードが出てくるみたいですねぇ。
動画を撮るために『大菩薩峠』を再見したときには、
彼女の声のエロキューションに改めて感心しました。
メッセージを楽しみにしております。

[4] mixiユーザー 08月15日 11:21

波志江さん

素敵なニュースをどうもありがとうございます。
やはりまだお元気にされているのですねぇ。
安心いたしました。

あのお歳で芸能界へ再び引っ張り出すのはとても無理でしょうが
もう一度あのアクの強い演技を拝見してみたいものです。

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