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北川民次コミュの画家・北川民次を巡る旅part2

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画家・北川民次を巡る旅part2
5月5日、子供の日。
この日は、旅資金も底が見え始めたために名古屋栄のマンが喫茶に宿泊していた。僕らは海に向かって電車に乗った。行こうかどうか迷っていた「かみや美術館」に足を運ぶ事にしたのだ。

正午前に知多半田駅到着。1時間に1本のバスを持つ。待ち時間においしい紅茶を飲む。紅茶をカシスソーダで割って、カシスやブルーベリーの冷凍果実を浮かべた、紫色の紅茶。とてもおいしい。あまりに美味しくて、ゆうの話を聞かずにいたら、喧嘩になった。

12時35分、バスが来る。バスに揺られて風景を見ていると、川の周りに沢山の鯉のぼりが上げられていた。みんな、鯉のぼりを見上げていた。

バスを降りると、360度見渡せる開けた田園だった。かみや美術館に電話するとお婆さんが出て、どのあたりか聞くと、遠くにチョコレート色のレンガの館が見えた。心騒ぐ中、かみや美術館に向かって、ゆうと田園を散歩する。鳥のさえずりが響き、農業用機械のディーゼル音がこだましていた。

小高い丘に建てられた「かみや美術館」に到着。風の音だけが耳に
入ってくる。入り口に「北川民次のガラス絵画展」と書かれたポスターが張ってある。先ほど電話に出たお婆さんが僕らを出迎えてくれた。そのお婆さんの背後に、北川民次の絵画がずらりと並んでいる。その瞬間、「来て良かった」と直感がうずく。大作「雑草の如く」が美術館の一番奥にずでんと設置されている。

「絵に書かれる人々の顔に表情が無いとしたら、その理由は、それを描いた芸術家に思想が無いからだ。」

と北川民次さんは言っている。面白くて、鋭いことをおっしゃる人だ、と僕は思う。北川民次さんの若き頃の絵画は悲しさがにじみ出ていて、晩年に向けてその悲しさから立ち上がった陽気さが満ち溢れていく。生き抜いた人の絵だな、と感じる。戦後の北川民次さんの作品群は、強いメッセージと先見の眼差しと悲しみと陽気さが混在する、野太い線(もはやあれは線なのか?)と陽光の色だ。

 北川民次の絵は、矛盾と葛藤を生きる元気だ。

 見耽っていると、この美術館を設立された故・神谷さんの奥さんが畑仕事の帰りのいでたちでやって来られた。彼女は畑仕事用の桑を置き、服装を変えて再び館内に現れると、来場者に解説を始められた。ゆうが
「神谷さんは、北川さんが(仕事ではなく)本当に楽しんで描いた絵だけを収集されたんだと思う。」
と言った。仕事として作られた壁画なども僕に強く訴えかけてきたものがあったが、ゆうが言っていることも一理あるなと思った。この美術館に所蔵されている絵画は、素っ裸の民次作品の中でも、裸の内面を支えている骨のような作品が多い。北川民次の絵画を見るなら、田園に囲まれたこの美術館が一番いいだろうと思う。

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