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モデラーの日本海軍艦艇考証コミュの「長波」か「浜波」か?

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学研の「真実の艦艇史2」で発表された「長波」とキャプション付の写真(Pic,1)ですが、これは「浜波」ではないかと考えたからです。

きっかけとなったのは、月刊「丸」No.547で掲載された「駆逐艦『長波』残弾なし!」という手記です。
多号作戦で、「長波」は第四次輸送部隊に、「浜波」は第三次輸送部隊に参加しています。
先に輸送任務を終えた第四次輸送部隊の「長波」は帰還途中、後から出撃した第三次輸送部隊に合流して再び「浜波」と共に再びオルモックを目指します。

米空母艦載機の空襲を乗り切った「長波」は、一旦オルモック湾外に出たけれど、溺者救助で再度オルモック湾に戻りました。
またもや空襲があり、歴戦の強運艦も残弾無しという状況では、如何ともしがたく被害を受け沈没しました。

被害状況は、「一罐」に命中した一弾で、罐の火災は燃料庫にも引火し、一番煙突ふきんが折れまがり、右舷後部から沈みはじめたため総員退艦を令しています。

ここで、今度は丸エキストラ戦史と旅No.21に掲載された「浜波」の手記から「浜波」の被害状況を調べると、艦首に魚雷を受け艦首を喪失しています。
その後、至近弾多数を受け蒸気パイプが破裂、機関が停止し、三番砲だけが右八十度、仰角六十度くらいに固定したまま発砲をしていたとの事です。


「長波」と「浜波」を外観から判断できないかと比較しましたが、違いは射撃指揮所上の測距儀の形状くらいで、沈没前の写真からは判断できませんが、この二つの手記から判断して、この艦首を喪失した駆逐艦は「浜波」ではないかと推察されます。

Pic.2 長波
Pic.3 浜波


余談ながら、エピソードがあるので、「駆逐艦『長波』残弾なし!」から一部、引用します。

・・・さまざまなものにつかまって浮いている集団を、潮の流れはチリのようにオルモック湾の奥に押しつけてから、スリガオ水道の方にゆっくり流していくようだった。
「これならオルモックに上陸できる」と飛田艦長があらためて四周を見まわしたところ、意外にちかくに「浜波」の姿が見えてきた。しかもさかんに信号旗が上下している。
「おーい、浜波が救助にきたぞ、落ちついてがんばって泳ぐんだ。はなれるなよ!」とさけぶや、板を手ばなし上衣もぬいで、「浜波」に向かって泳ぎだした。
潮流は幸いに「浜波」の方向に向かっている。まわりの兵たちもにわかに生気をとりもどし、懸命に泳いだ。ところが、「浜波」に泳ぎついたものの、だれ一人として上甲板に現われてこないし、救助のための索梯子なども下っていない。
「おーいッ、長波艦長だッ、長波の乗員数十名だ!」
とどなったが、なんの応答もない。
やむなく二、三名の兵が後部のモンキーラッタルから上っていって、ぶらぶらしている舷梯をおろしたので、まず飛田艦長がはいあがって艦橋にとんでいったところ、一人の信号兵がすわりこんだまま、うつろな目で揚旗線をあやつっているだけだった。
「こらッ信号兵、司令は、艦長はどうした!」と、びんたをとったが、「………」口中でぶつぶつ言うだけで、どうにもならない。
なぜか艦橋には司令、艦長以下ひとりも見当たらないし、戦死者もいない。
上甲板にあがった数十名に艦長は、
「みんな集まれ、浜波は全員吹っ飛んでしまったのか、退艦したのかさっぱりわからん、みなで手わけして艦内の状況を調べて報告しろ!」
と命じながら、あまりのいぶかしさに考え込んでしまった。
みれば上部構造物や、煙突などに多くの弾痕があり、前部揚錨機から前方は、甲板が下に垂れ下がっているが、致命傷とみられる個所もなく、傾斜もなく浮いているのだ。
「一番砲塔前部、破壊されているが浸水なし」「砲塔、居住区に戦死者何名」「舵使用不能」という各所からの報告で、状況を判断すべくふたたび総員集合をかけた。
幸に「長波」の小出機関長、志賀機関士がおり、専掌別に人員を調べてみたところ、「長波」乗組員だけでうまいぐあいに、各配置にあてるだけの人員がそろっているのがわかった。
夕刻ちかくになったのか、敵機の来襲はないようだ。
「みなよく聞け、みたとおり浜波は浮いている。前部に破口はあるが後進でマニラまで帰ることができる。配置につき、あらゆる方法で運転可能な状態にせよ、かかれ!」
と号令したあと艦長は、「もしかして、運転可能な浜波をのこして全員離艦したのでは……いや、そんなことあるはずがない」と自問自答しながら艦橋にあがり、先日、舵故障を克服してパラワン水道を航行した「高雄」艦長をおもいだし、《オレの腕を見せてやる》とばかり、独力帰投を決意したのだった。
「罐の原動力となる真水がすくない」
と機関室から報告してきた。
「海水を混入してやるか」
「可能ですが、長時間はむりです」
「何時間ぐらい走れるか」
「四、五時間です」
という報告に、艦長もマニラ行きは不可能と判断、
「ようし、それではオルモックに乗りあげ陸上砲台だ、そのあとは陸戦隊だ」
と決心し、各部に伝えた。
やがて、誇り高い二水戦の力量がモノをいって、「浜波」は不死鳥のように動きだした。
舵がまるできかないので、主機を交互につかっての、針路をさだめる後進はきわめて難航で、「浜波」は流れている浮流物とあまり変わりなく、なかなか陸にちかづいてくれない。
「左後進一ぱい、右前進原速」をくり返すうち、「浜波」はどうやら陸岸に艦尾を向け、「右停止、両舷前進原速」で、先ほどとあまり変わらない速力のようだが、潮流にまさって陸岸にちかづきはじめた。ここで艦長が、
「各部よく聞け、まだ浮上している浜波は敵機の集中攻撃をうける。主砲、機銃とも使用できない。いまから陸上に陣地をきずいて陸戦隊となる。全員、小銃などで武装せよ。その他とうぶんの間たえるだけの糧食、毛布などできるだけ陸上に運ぶ準備をなせ!」
と令したとき、にわかに六機の敵機が襲ってきた。
「配置につけ、両舷後進一ぱい!」
「浜波」は敵機の乱舞するなかを、はがゆい動きながら、けんめいに航走した。
しかし、この敵機はあんがいとあっさり「浜波」や、陸上施設に機銃掃射をくわえただけで引きあげていった。
「乗りあげるぞ、全員つかまれ!」
と号令がとんだころ、煙突からシューッと熱蒸気がふき出し、
「罐爆発しますッ、罐室、主機室脱出する!」
と報告がきた。
と「浜波」は、ぎゃくに陸からはなれ、潮に流されはじめた。
「おい信号ッ、陸上桟橋ふきんに向け、発光と手旗で呼び出せ。『われ浜波、生存者多数あり、大発の派遣をこう』とな!」
この命令に、信号員はくり返し発信しつづけたが、応答がない。
「やむをえない、今夜はタラフク食って、ぐっすり寝るにしかず」と、残っていた糧食で最上等の食事をつくらせ、みなでにぎやかな夕食をとったあと、「総員吊床おろせ、巡検なし」などと、とぼけた号令がかかり、連日の疲労もあって、また、まだ駆逐艦にいるのだという安心感で、みなは明日のことなど考えるひまもなくドロのように眠った。
夜が明けたのか、「トントントン」というエンジン音で、みなが飛び起きてみると、一隻の大発艇がちかづいてきた。かくして飛田中佐以下は、決戦の日せまるレイテ島オルモックに上陸したのであった。

コメント(10)

 どうも解説を読む限り、最初の写真は米軍の最後の空襲時の撮影っぽいですね。艦影もそういう事なら「長波乗員が繰艦する浜波」という事になりますね。

 しかし、浜波乗員はどうしちゃったんでしょうね・・・
初カキコ、ありがとうございまーす。

「浜波」乗員は、「朝霜」が横付けして移乗しています。
本来なら移乗後に魚雷にて処分をするところでしょうが、その余祐は無かったんでしょうね。

ちなみに「艦長たちの太平洋戦争」に「浜波」座乗の32駆司令 大島氏の記事が掲載されていて、艦長は重傷、司令も気絶して気が付いたら「朝霜」艦橋に寝かされていたとの事。
おお、これはキャプションミスの可能性が高いですね。田村さんにお知らせしてはどうでしょうか?
>田村さんにお知らせしてはどうでしょうか?

と言われても接点は無いので。
>と言われても接点は無いので。
 桜と錨さんのHPか私の鳥町に書き込めば、きっとご覧になられると思います。良い方なので、十分に根拠のある指摘なら大丈夫です。
toshi様
煙突識別線の検証にこのトピの内容を使わせてもらいたいのですが、よろしいでしょうか?
田村さんにもお知らせして再検証を促すことにもなりますが。
>出沼ひさしさん

全く問題ありませんので、使ってください。
ありがとうございます。
2水戦の序列から考えても、この写真は32dg所属の駆逐艦である可能性が極大です。
いまさらですが、学研本「完全版 特型駆逐艦」にこちらのトピの内容が載りました。

私の名前ではなく「一読者からの指摘」とするようお願いしたのですが、手違いで名前が出てしまいました。

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