ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

日田の歴史って面白くて凄い!コミュの『ダンワラ古墳出土品の謎』河野一隆氏

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
『ダンワラ古墳出土品の謎』
                           (九州国立博物館企画課長 河野一隆) 

ダンワラ古墳出土品には謎が多い。金銀およびガラスやトルコ石が象嵌された鉄の鏡(重要文化財 金銀錯珠龍文鉄鏡(ルビ:きんぎんさくしゅりゅうもんてっきょう))は比類なき名品であるし、刃連(ルビ:ゆきい)町出土と伝えられる遺物も本墳に関連するならば、帯鉤がこれほど集積している点も異色である。しかも出土古墳の実態が今ひとつ明らかではない。国鉄久大本線の土取りで消滅したと聞くと墳丘を有した古墳のように見えるが、実際に出土地点を訪ねると崖面に横穴が開口している。なるほど、鉄鏡の附(ルビ:つけたり)には貝製の雲珠(ルビ:うず)または辻金具がともなっていて、馬具の年代観を重視するなら6世紀以後に盛行する横穴墓からの出土品でも悪くはない。しかし、最初にこの遺物を学会に紹介した梅原末治氏の報文には横穴ではなく、土中からの出土と明記されている。要するに謎が多すぎるのである。現在、考古学の発掘調査技術も飛躍的に進化している。たとえばX線CTなどの機器を駆使し、土ごと取り上げて研究室で分析するような新たな研究方法も、福岡県船原古墳遺物埋納坑などで実践されている。ダンワラ古墳についても遺物や出土地の基礎調査がまず必要であろう。
とは言うものの、この出土品には古代のロマンをかきたてるような要素がたくさん詰まっている。私が注目しているのは龍の眼に象嵌されたトルコ石。トルコ石象嵌製品は、中国では夏(ルビ:か)王朝(二里頭文化期)の頃に登場するが、金銀と共に象嵌された製品が増加するのは春秋戦国時代以降である。また、年頭に九州国立博物館で開催された特別展「黄金のアフガニスタン 守りぬかれたシルクロードの秘宝」でも、西暦1世紀に営まれた遊牧民の墓であるティリヤ・テペ出土の飾り板はトルコ石と金の対照が見事であり、それはバクトリア(アフガニスタン北部)の特徴でもある。出土した帯鉤も考え合わせると、ユーラシアを渡る騎馬民族の息吹が聞こえてこないだろうか。そんな想像をたくましくしながら、ダンワラ古墳が語る声に耳を澄ませてみたい。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

日田の歴史って面白くて凄い! 更新情報

日田の歴史って面白くて凄い!のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。