何とかナルナル?!プリキュア５コミュの『魔法使いプリキュア感想』

１月をもって、『魔法使いプリキュア』が完結した。ボク的には『スーパー魔女っ子大作戦』の為に観ていた感が強いが、いくつか感じたコトを書いておきたい。

＜魔法がショボい(笑)＞
まず観始めて気になったのは、「魔法使い」と言っても歴代の「魔女っ子モノ」に比べ「魔法のレベルが低い」こと。十六夜リコちゃん（キュアマジカル）の姉、魔法学校の先生でもあるリズ先生でも使っている魔法のレベルは、『おジャ魔女どれみ』のと比較すると「魔女見習い９級」位のレベルなのではないか。一時はどれみちゃんたち魔女界の脅威となった「先々代の女王」などは、人間に魔女であることを見破られると「魔女ガエル」になってしまう呪いを全ての魔女にかけてしまった。
「東映魔女っ子」の初代とも言える「魔法使いサリー」のサリーちゃんは、周囲の天候を変えることが出来、最終回で火災に対して雨を降らせて消火した。思うに『魔法使いプリキュア』の魔法のルーツは「東映魔女っ子」ではなく、「ハリーポッター（観たことないのだが）」から来ているのではないかと。後はやはり「プリキュア」は戦闘がメインで、その展開以上にストーリーに影響を与える強力な魔法を使えては収集がつかなくなってしまうからだったのかも知れない。
そういえば、何で朝比奈みらいちゃん（キュアミラクル）は魔法を使うことが出来たのだろうか？みらいちゃんが魔法界に行って魔法を使えるか試した時、確か「人間には魔法は使えない」というセリフがあった気がしたのであるが。はっきりとは描かれていないが、魔法学校の校長とみらいちゃんの祖母の結城かの子さんは知り合いらしいが、実は「もっと近い関係だった」ということなのだろうか！？

はーちゃん（花海ことは）がプリキュア（キュアフェリーチェ）になったのは、意表をつかれた(笑)！彼女の「はー！」と声をあげるトコロは、気に入っていた。タマに歩いている時とかに「はー！」とか言ってたので、聞いたヒトはブキミだったであろう(笑)。また「プリキュアが３人で終わる」というのも、ある意味意表をつかれた(笑)。

あるアニソンオフ会で女の子が言っていたが、『モフルン』の人気はスゴかったそう。それまでの妖精さんたちは、「フェレットみたいなモノ」や「犬やインコみたいなモノ」ではあっても、動物などの「そのものではなかった」。『モフルン』は「クマのぬいぐるみ」なので、「得体のしれないモノ」ではないので（ボクはその方が創意があっていいと思うが）人気があったのだと言うことである。

後オープニングとエンディングは、ほとんど観ていなかった。プリキュアの歌の歌詞は、初代の「ふたりはプリキュア」でもややギャグ色はあったが、個人的にはギャグ色が強すぎてイヤだったのである。同じ理由で「ハピネスチャージ」も。「キュアップラパパ」という魔法の呪文も、あまり好きではなかったのである。しかし「魔法アラ・ドーモ！」は、「ア・ラ・ア・ラ、アラモード♪」のカンジが気に入って、アニカラのレパートリーに入れた。

＜あっさりしたラスト＞
『魔法使い』で個人的に大きな成果と思えるのが、「ラストをあっさりにした」コト。毎回プリキュアシリーズは、ラスボスとの対決もあって３回位は「殺伐としたエピソード」になってしまうのである。『スプラッシュスター』では、なんと一度地球自体が砕け散ってしまったほどである。それまでのカラフルでキレイな映像と違い、ラストあたりは無彩色や暗い画面になってしまい、再度観る時にはそこだけ飛ばしてしまっていたぐらいである。
『コントン』って何？とは思ってしまったが、毎回各プリキュアシリーズ毎に「地球がボロボロになる」と言うのもあんまりだし、残酷ショーみたいにプリキュアたちがボコボコにされるというのも、観るのがツライ。しかし実際には、ミラクルたちは大気圏外でかなり規模のデカイ闘いをしていたのである。本来は『コントン』が「魔法界」と「ナシマホウ界」をグシャグシャに混ぜて、「つぶして食う」トコロまで行ってしまうはずだったのであるが、プリキュアたちはそれを、「未然に防いだ｣のである。
「精霊ラパーパが、恐怖を抑えている」という設定が、さらにラスト前の殺伐とした描写を避ける効果を出している。それとも人類らへの脅威は、「大破壊」などという実害ではなく、「ヒト知れずやって来る」という新しいアプローチだったのであろうか？さらに大学生？になったみらいちゃんたちが、復活した「ドクロクシー」の「虫歯を治してあげる」という行為で仲直りする、という明るいラストも用意した。
さらに、次回作の『キラキラプリキュア・アラモード』とリンクさせるという趣向も追加された。これは平成ライダーでもタマにやられている様だが、これからの定番になっていきそうなカンジである。

＜プリキュアの友情＞
「プリキュアはヒトリではいけない」と、『ハートキャッチ』に関して書いたことがある。それはプリキュアの源流が『ふたりはプリキュア』だからである。たったヒトリでは乗り越えられない困難でも、ふたりなら乗り越えられる。巨大なザケンナーも、ふたりでプリキュアになれば倒すことが出来る。性格も真逆な女の子ふたりが、時にすれ違い、時に対立しながら、少しずつココロの絆を強めて「ひとつの大きなチカラ」になっていく。それが、『ふたりはプリキュア』だったのである。
ボクがプリキュアシリーズで好きな友情エピソードは、『プリキュア５』での「絶望の仮面」に囚われてしまったメンバーを、夢原のぞみちゃん（キュアドリーム）が５人で手をつないで打ち破るシーンと、『フレッシュプリキュア』のイースこと東せつなちゃん（後のキュアパッション)と桃園ラブちゃん（キュアピーチ)との最後の対決と、その前後でのフレッシュ３人の強い絆を描いたシーンである。
そのシーンで『プリキュア５』の面々は、５人それぞれがジブンの悩みやココロのキズを支え合って克服し、「絶対に外せない」と言われていた「絶望の仮面」を打ち破る。『フレッシュ』は、友達と思っていたせつなが実は敵のイースだったことを知り、ラブちゃんはイースを倒してでも「悪いことをやめさせる」と決意し決闘をし、蒼井美希たん（キュアベリー)とブッキー（山吹祈里＝キュアパイン）のふたりは救援に駆けつけたものの、ピーチの「ふたりとも手を出さないで！」という願いを受け止めてそれを見守るのである。
その前には、せっちゃんが敵であることを知ってしまったラブちゃんは、ショックで自室に引き篭もってしまったのである。しかし美希たんはそっとするどころかズカズカとブッキーと乗り込み、ラブちゃんの頬を叩くのであった。「私たちはプリキュアなのよ！しっかりしてよ！」と活を入れるのである。ラブちゃんのココロのキズも承知の上で、あえて美希たんは毅然とした態度で突き放したのである。
しかし次の美希たんの「せつななんて子は、始めからいなかったのよ！」という言葉にラブちゃんは反発し、「せつながいないなんて、何てヒドイことをいうの!?」と言って部屋を飛び出してしまう。その後いつも立ち寄るドーナツスタンドのカオルちゃんの「罪を憎んで、ヒトを憎まず」の言葉に、ジブンの想いを突き通す覚悟を決め、美希たんの誠意も受け止めて、イースとの決闘に挑むのである。
涙を流しながら、イースと闘うピーチ。涙を流しながら、ふたりの対決を見守る美希たんとブッキー。「ラブちゃん（ピーチ)の想いが、イース（せつな）に届いて欲しい」そう願って、見守っていたはずである。だがその闘いは、ミスを重ねたイースが組織のラビリンスによって寿命を断たれ死を迎えるという悲劇によって終わる。悲しみに暮れるピーチら３人の目の前で命を失ったイースは、プリキュアの鍵の妖精アカルンのチカラによって『キュアパッション』として転生し、復活するのである。
どちらも、プリキュアの歴史に残る屈指の名シーンである。４人のメンバーたちのココロの苦しみの奥深くまで行き、「一緒に夢をかなえよう」と手を差し伸べたのぞみちゃん（キュアドリーム)。ただの仲良しこよしではなく、時には対立もし、お互いの想いをぶつけ合って絆を強くしたフレッシュプリキュア。これらを観てしまうと、魔法使いプリキュアの「３人仲良し」だけではかなりモノ足りなくなってしまうのである。

別に「ケンカをしろ」とは言わないが、ただ「メロンパンを一緒に食べて楽しかった」ぐらいで、そんなに彼女たちにはチカラになるんだろうかと。「トモダチづきあい」って、そんなに「よれば楽しい」なんてものでもない。特に女性は、「３人よれば、２対１の派閥ができる」と言う位である(笑)。それは例えコドモであっても同じで、また無邪気な故に残酷な時もある。
タマタマ出会った３人共いい子だった、というのもあるだろう。個人的な見解では、まぁボクの出会いの運が悪いだけなのかも知れないが(笑)、ジンセイでいいヒトに出会える確率ってそんなに高くない気がする。時にトラップみたいにヒトのジンセイの足を引っ張る、悪いヤツ（無意識にやってしまうヤツも）もいる。まぁそこまでシリアスでなくても、友情が培われていく過程がもっとあるのではないかと思うのである。
ただもっと魔法使いプリキュアの側に寄って考えてみると、「トモダチって、イイヨ！」ってことなのかもしれない。最近読んだボクの母校（大阪芸術大学系）の会報を読むと、インタビューを受けた教授たちは昔と今との生徒の違いを、「意思表示をしない」と言っているのが目に付いた。つまり、ヒトとのコミュニケーションをとろうとしない、またはその手段と行動力がない子が増えたということなのだろうか。
数々の障害を乗り越えて…ではなく、まずそれより前に「トモダチに会いましょう」と言いたいのでは。最終回でみらいちゃんは、「（リコちゃんやはーちゃんと）出会ってよかった、ジブンの（将来）やりたいことが見えて来た」と言う。その後マホウ界を巡り、他の魔法学校の仲間たちの成長も目撃する。「人々と出会うコトで、知らないコトを知ったり、見えなかったコトが見えて来る」。そして出会ったそれぞれのジンセイを知るコトによって、チカラを得るコトもできると。
ヒトリでモンモンとしているよりも、ヒトに会ってみたら思わぬトビラを開けてくれる…それは確かだと思う。

＜プリキュアへのラストメッセージ？＞
次回作の『キラキラプリキュア・アラモード』でも言えることだが、それまでの「魔女っ子モノ」に比べると、随分と「創意と工夫」が見られ、センスも良くなったと思うのである。それまでのアニメって、キャラクターの普段着が変わることもなかったし、魔法使いの服装もワンパターンだし、妖精やファンタジーの世界観なども独創的なデザインやアイデアもなかった。デジタルセルのアニメにしても、色使いも光や空気を感じるペイントは、アメリカのモノなどより高度だと思う。
後『キラプリ』では、それぞれのプリキュアが魔法の様な技を使い敵と闘うらしく、「殴る蹴る」の暴力的なシーンが減る様である。このカンジで行くと、『プリキュア・バトル』みたいな方向にはいかないだろうと予測でき、ホッとしている(笑)。何せ戦隊でもライダーでも、ヒーロー同士で「バトル・バトル」ばかりさせている東映やバンダイなので、「行き詰まったら、絶対バトルさせる！」と警戒していたのだ。
ヒーローの「正義やステイタス」などどうでもよくって、「とにかく刺激的にして客を呼ぶ」が、彼らの手法だからだ。それを望むファンも多いはず。ボクはココロ優しいプリキュアたちが、どんな理由にせよ敵対し合うトコロは絶対に観たくはない！もしやったら、東映もバンダイも「ブラック企業」だ!!署名運動して、抗議してやる!!

「魔女っ子モノ」も、「美少女モノ」も、今や多くの作品が制作され、どちらもジャパニメーションの一分野としてその地位を確立している。しかしボクにとっては、「東映魔女っ子モノ」（ボクはプリキュアを「スーパー魔女っ子大作戦」に出演させたい為に「魔女っ子」テリトリーに強引に入れたつもりだったが、今やアニメ雑誌等でも「美少女モノ」ではなく「魔女っ子モノ」になっている）は別格なのである。
「スーパー魔女っ子大作戦」の為に、歴代の「東映魔女っ子モノ」を観ている。今は「魔法使いサリー（１期）」、「ひみつのアッコちゃん（全３期）」、「魔法使いチャッピー」を全話観た。特に各シリーズの初代には、交通事故に遭ったコドモや、親を亡くした子、プレゼントももらえない貧しい子、開発事業などで自分の土地や農園などを暴力で奪おうとするヤツラを懲らしめる話等が、必ず制作されている。昔の「東映魔女っ子モノ」は、「社会的弱者に救いの手を差し伸べる」作品だったのである。
今はスポンサーなどとの関係もあり、あまり社会的なメッセージ色の強い作品は作れないのかもしれない。しかしそれとは違った切り口でメッセージを込めた作品を作ったのが、同じく「東映魔女っ子モノ」である『おジャ魔女どれみ』である。両親の離婚、登校拒否の子、老人介護の現実、不治の病と闘うコドモたち。それぞれにスポットを当てて、丹念にそのテーマに向き合って描いていた。しかもそれらのエピソードを、朝の８時半のコドモ向け番組でやっていたのである。
これはおそらく、戦隊もライダーもウルトラも、ドラえもんもちびまるこちゃんも、ポケモンもやったことのない快挙であるはずである。ボクはプリキュアの感想の中で、「ボクにとっては最後の砦」と書いた。戦隊もライダーも、言葉使いが悪い主人公やキャラクター、インパクト重視にギザギザにトガったモチーフや、ゴチャゴチャとした観る相手にストレスを与えるデザインをしたり、「仏像顔」だったはずのウルトラマンも「怒り顔」になってしまった。
もう「清く正しく美しいヒーロー」は、ヒロインであるプリキュアぐらいしかなくなってしまったのである。今や「アイドルマスター」から始まったのか、「アイドルモノ」が花盛りである。「美少女ヲタク」が喜んでいるのもあるが、女の子たち、お母さんやお姉さんたちの支持まで受けている。どれもキチンと観た訳ではないが、「厳しいプロの道を駆け上がっていく」というよりは、「ほんのり幸せな日常」を描いている印象がある。おふざけギリギリのコメディ色も感じる。
まぁ他の作品がそんなカンジであっても構わないが、「プリキュアだけはそうなって欲しくない」のである。ボクはやっぱり、どんなに勝ち目のない強敵に打ちのめされても、仲間と手を取り合って立ち上がり、みんなの応援を受けて奇跡を起こして逆転するプリキュアの活躍が大スキだ。ＤＸシリーズより愛は落ちるが、ＮｅｗＳｔａｇｅシリーズも、トモダチの作れない女の子、イジメっ子や泣き虫の子、お母さんの庇護からヒトリ立ちできない子など、それぞれに手を差し伸べるエピソードを描いていた。
初代からつづく、「東映魔女っ子モノ」のスピリットを失って欲しくないのである。次回作の『キラキラプリキュア・アラモード』では、その「アイドルモノ」に近いニオイを感じるのである。ボクの個人的な願いではあるが、「美少女ヲタク」が喜びそうなただの『ポヨヨンな魔女っ子モノ』にはなってくれるな！
…と言っておきたいのである。
まぁこれからは細田監督とか、まだ観ていないが『この世界の片隅に』とか、良心的な作品を作るアニメ作家も出て来ているから、彼らにジャパニメーションの道徳になってもらうというのもいいかもしれない。プリキュアがその他の美少女モノと同じになってしまったら、ボクはそれまでの好きなプリキュアシリーズと生きて行っても、まぁ一生持つだろう(笑)。まずは、次を観てみないとわからないが。