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戦う企業法務:倒産法研究会コミュの法人格否認の法理の現代的考察の必要性

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コムスンが介護事業を、同一グループ内の別会社に事業譲渡することにつき、厚生労働省は、グループ会社への事業譲渡は凍結すべきだとの考え方を示し、それが行政指導というかたちで報道されています。
しかし、グッドウィルの記者会見等一連の報道をみていると、凍結とはいいながら、依然、グループ会社への事業譲渡の構想を完全には捨ててはいないようです。

事業譲渡そのものは、当事者間の合意および競争法上の観点から公正取引委員会への届出(30日の待機期間)が必要である一方で、譲渡会社が保有している許認可は、当然には移転せず、個別に許認可監督官庁への再許可申請等が必要となるのが一般的です。今回のコムスンの事業の受け皿となる会社が、事業承継に必要な許認可をすでに取得しているおり、事業譲渡に伴う資産の移転がコムスンの債権者からみて詐害行為に該当するようなことがなければ、法律上は、当該事業譲渡をとめることはできないのでは、と考えます。

それでも、世間や厚生労働省が当該事業譲渡の凍結を求めるのはなぜか?
それは、同じグッドウィルという親会社の傘下にある会社であり、いわば同じ会社のなかのA部門からB部門へ事業の主管が移ったのみであり、実態は何もかわっていないのではないか、というある種の常識感覚が働いているからです。その常識感覚は正しいものの、かといって、法律上認められている行為を、「法律上の根拠」もなしに、差し止めるがごとき行政指導は、行政指導も企業の取引活動を規制する法律に準じたものと考えるのであれば、逆に「安定性を欠く」として、危ういもののように私は感じます。たまたま、世論、マスコミ報道の論調にあった「指導」であるがゆえ、あまり問題にされていないようですが、最初にこの報道を読んだとき、何を法律上の根拠として凍結を迫ったのだろう、と素朴な疑問を感じたのです。同じ会社グループのなかでの事業譲渡であり、むしろ、「法人格否認」の考え方で整理はできないものなのか、とふと思った次第です。

一方、先日の倒産法研究会では、「法人格否認の法理」と債権回収についてとりあげ、多いに議論しました。法人格の否認が認められるためには、2つの法人(または一方の相手方が個人)の間に、同一性があることが必要です。同一性の判断基準のポイントとしてあげられるのは、同一性判断のためのポイント
商号(屋号)
目的(営業内容)
本店等所在地
取締役等
従業員
営業用資産
取引先等
出資者

等ですが、研究会で発表された判例動向によれば、法人格否認の法理を真正面から認めた判例はさほど多くありません。

結局、法律上は限界があり、世間感覚としてはこんなものは認めてはならないという意識がありながらも、それに左右されて、正当な法律行為ができない、とすれば、そちらのほうが問題となりそうです。
ただ、企業再編が進み、企業統治のストラクチャーも一社のなかですべてを抱え込むのではなく、分散化していくのが今後も続いていくのであれば、「法人格否認の法理」についてもっと現代的な面からの考察を加え、実務取引における安定性を確保する手段としてなりえるようなかたちにしていくことも必要ではないか、と思っています。

コメント(1)

参考記事:
コムスン:「事業譲渡、認めないで」 福祉3団体、県に要請 /青森
6月9日11時1分配信 毎日新聞
 虚偽申請で新規指定と更新が禁止された訪問介護最大手「コムスン」が、関連会社「日本シルバーサービス」への事業譲渡を検討している問題で、県内の福祉関連3団体は8日、シルバー社が事業所の新規指定を県に申請した場合でも、県は認めないよう要請した。
 要請したのは県内の特別養護老人ホーム経営者らでつくる「県老人福祉協会(中山辰巳会長)」などの福祉関連3団体。中山会長は要請理由を「不正を起こした企業の関連会社が事業を継続しても、利用者にきちんとしたサービスを提供する保証はない」と話している。コムスンの事業譲渡には福祉関係者などから「脱法行為」との批判も出ており、中山会長も「県は法令に準じて指定を可否するだけでなく、利用者や国民感情も考慮すべきだ」と述べた。
 県によると、県内にコムスンの事業所は8カ所あり、訪問介護や障害者福祉、補助用具の販売や貸与のサービスを行っている。正確な利用者数は把握していないが、事業所が都市部にあることから、「受け入れ施設はほかにもあり、『介護難民』は生まれない」と見ている。県はシルバー社が新規指定の申請をしてきた場合の対応について「国の対応を見極めてから判断する」と話している。
 一方、県は8日、コムスン利用者のための相談電話(電話017・734・9297、平日=土、日除く=午前8時半から午後5時15分まで)を設置した。【村松洋】

6月9日朝刊

最終更新:6月9日11時1分

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