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登記の勉強と情報コミュの詐害行為の受益者が時効援用権者として適格であるか?

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http://www5.famille.ne.jp/~lmsd0998/law/text/repo/lawcv040305.html

詐害行為の受益者が時効援用権者として適格であるか?


詐害行為の受益者が、時効によって直接利益を得る者と言えるかどうかである。



2.1.詐害行為


詐害行為とは、債務者が無資力になること、つまり債務超過に陥り債権者を害することを知りつつ(悪意)行う財産権に対する法律行為である。このとき行われた行為の性格が債権者に対してどの程度背信的性質を持った行為であるか(詐害性)と当事者の意思(債務者、受益者、転得者)とが総合的に判断される。



2.2.時効が問題になる権利


時効が問題になる権利は、債権者取消権によって取消のターゲットとなる被保全債権に対する財産行為と、債権者取消権自体の二つである。



2.2.1.被保全債権の時効(最判H10.6.22民集52.4.1195)


被保全債権の時効を、詐害行為の受益者は援用することが出来るのか?判例に基づいて考える(図を参照)。


この案件に於いて最高裁は、原審を破棄して、受益者は被保全債権の時効を援用することが出来ると判示した。


2.2.2.債権者取消権の時効


446条によると債権者取消権の時効は、取消の原因を知りたる時より2年、また20年の経過によって消滅すると定められている。原因を知りたる時より2年とは詐害行為を知った時から起算して2年(大判T2.12.10民録21−2039)、20年の経過は除斥期間であると解釈されている(通説)。



2.3.学説(被保全債権の時効について)


学説に於いては、被保全債権の時効援用を認めない学説がかつて存在した肯定説が多数を占めている。肯定説は、制限説に立ちながらも広く援用を認める立場に立っており、多数あるが、援用者の線引きについては争いがある。


この立場の学説では、抽象化してしまい、無制限説との大差が無くなってしまうなどの問題があり(「時効によって直接利益を取得し義務を免れるもの、時効のかかる権利または義務によって権利を取得しまたは、義務を免れるもの」、前半部分は直接利益とできるが、後半はもはや間接利益ともいえ、無制限説と大差ない)、類型化論など、抽象的一般論ではなくケースに応じて細かな検討を加えるべきとの主張もある。


現在の有力説では、


1.時効援用によって義務を免れるもの(実定法説からの帰結)


2.直接の当事者


3.時効援用が妥当と考えられる第三者


a.当事者が第三者のために時効を援用すべき関係にあるとき(145条の趣旨から)


b.その他特別の事由


この説に依れば、詐害行為の受益者は、1と3.aに該当し援用が認められる。



2.4.私見


幾つかの私見を述べる。



2.4.1.被保全債権の時効について


時効制度における各種学説の対立、ここでは制限説、無制限説の根本は、時効制度を特別な例外手段として捉える(訴訟法説)か、まっとうな資本循環のためにシステムである(実体法説)と捉えるかということに起因する。時効制度を例外として捉えるならば、その援用権者はストリクトに判断すべきであるが、積極的に肯定するならば、無制限説、もしくは一定の配慮の元の無制限説つまりは近年の広く援用権者を認める制限説に帰結する。


これはより根本的には、大日本帝国憲法下における忠孝思想の一端との関連も認めうるのではないかと思われる。



あえて、判例に否定的な立場を取るのなら、債権者取消権が問題になる場面というのは、一般的には複数債務者が競合し、その時点に於いて抜け駆け的に弁済を得ようとした場合や、債務者による財産の隠匿である。債権者取消権は、債務者の財産の保全と言う目的のために行使される権利であり、被保全債権の時効援用を詐害行為の受益者までに拡大してしまうと、詐害意思を下に行った行為であるにもかかわらず、債権者は被保全債権を改修することが出来なくなり、消極的に債務者に財産の隠匿を認めてしまうことになる。此では取引における公正さを著しく害してしまうおそれがある。よって詐害行為の受益者は原則的に援用権者として認められても、債務者との通謀や悪意のある場合、否定されるべきであろう。悪意通謀の下に詐害行為に荷担している受益者にとって時効の利益はたまたま得られる棚ぼた的利益であるといえるので、その利益と取引の公正の維持の利益を比較考量すれば後者が勝ると判断すべきであろう。



2.4.2.債権者取消権の時効について


受益者が債権者取消権の時効を援用できるかについてであるが、受益者は債権者によって直接利益を脅かされる関係にあり、当然にこの時効を援用できる。債権者取消権の名宛人になる受益者にとって、債権者取消権の行使によって失われる利益(詐害行為自体のからの受益)は直接の利益であり、価格賠償は義務を負っていると考えられるので、当然に援用できるものである。

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コメント(3)

判例H10.06.22 第二小法廷・判決 平成6(オ)586 所有権移転登記抹消登記手続(第52巻4号1195頁)

判示事項:詐害行為の受益者と取消債権者の債権の消滅時効の援用

要旨:詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用することができる。

主    文     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         
理    由 上告代理人松村博文の上告理由第一点の三について
 一 本件は、被上告人が、上告人に対し、詐害行為取消権に基づき債務者と上告人との間の贈与契約の取消し及び贈与された不動産につき経由された所有権移転登記の抹消登記手続を求める事件であり、原審の確定した事実関係は次のとおりである。
 1 被上告人は、AことB次が代表取締役をする株式会社三協に対して、金銭消費貸借契約及び準消費貸借契約に基づき昭和五六年八月二二日から昭和五九年二月四日の間に生じた合計二一五〇万円の債権を有し、三協の連帯保証人であるBに対して、右同額の連帯保証債務履行請求権を有していた。
 2 また、被上告人は、Bに対して、昭和五二年七月六日から昭和五六年一二月二一日の間にBの依頼で立て替えた費用合計一一八九万八九〇二円につき、右同額の求償債権を有していた。
 3 Bは多額の債務を負担していたところ、Bと上告人は、他の債権者を害することを知りながら、昭和六元年二月一日、Bの所有する第一審判決別紙物件目録(一)ないし(四)記載の不動産につき贈与契約を締結し、同年四月一八日、上告人への所有権移転登記を経由した。
 4 上告人は、本訴において、被上告人の三協に対する債権は期限の定めのない商事債権であり、五年の経過により時効によって消滅したから、Bに対する連帯保証債務履行請求権も消滅し、また、Bに対する求償債権は立替後一〇年の経過により時効によって消滅したとして、消滅時効を援用した。
 二 原審は、右事実関係の下において、上告人は、債務者Bがした贈与契約の受益者にすぎず、被上告人の有する債権について消滅時効を援用し得る立場にないとして、上告人の消滅時効の抗弁を排斥し、被上告人の請求を認容した。
 三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 民法一四五条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されるところ(最高裁平成二年(オ)第七四二号同四年三月一九日第一小法廷判決・民集四六巻三号二二二頁参照)、詐害行為の受益者は、詐害行為取消権行使の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり、その反面、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば右の利益喪失を免れることができる地位にあるから、右債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、右債権について消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。これと見解を異にする大審院の判例(大審院昭和三年(オ)第九〇一号同年一一月八日判決・民集七巻九八〇頁)は、変更すべきものである。
 これを本件についてみると、前示の事実関係によれば、上告人は、Bから本件不動産の贈与を受けた詐害行為の受益者であるから、詐害行為取消権を行使する債権者である被上告人のBに対する求償債権の消滅時効を援用し得るというべきであり、被上告人の三協に対する債権についても、右債権が消滅すればBに対する連帯保証債務履行請求権は当然に消滅するので、その消滅時効を援用し得るというべきである。
 したがって、以上と異なり、上告人は右各債権の消滅時効を援用し得る立場にないと判断した原判決には、民法一四五条の解釈適用を誤った違法があるというべきであり、その違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり、その余の上告理由について判断するまでもなく原判決は破棄を免れない。そして、記録によれば、被上告人が債務者の承認による時効の中断等の再抗弁を主張していることがうかがわれるから、消滅時効の成否について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    河   合   伸   一
            裁判官    大   西   勝   也
            裁判官    根   岸   重   治
            裁判官    福   田       博



時効
.詐害行為の受益者とは何であるか?


詐害行為の受益者とは、無資力の債務者が、悪意を以て、債権者の有する被保全債権を害する行為を相手方と通謀の上でした(詐害行為)とき、その相手方のことである(詐害行為の相手方)。



1.1.債権者取消権


債権者取消権とは、債権者代位権と並び、基本的には債権者が債務者の責任財産を保全するための強制執行の準備段階として機能する制度である。しかしながら、判例上、終局的債権回効果が認めあられており実質上は強制執行に代替する機能を有する。(大判明治43.7.6.民録16−537、など)



1.1.2.債権者取消権とはなにか


債権者取消権とは、債権者が債務者の責任財産の散逸を防ぐために債務者が積極的になした財産を減少させてしまう法律行為を取り消す権利である。



1.1.2.1.制度趣旨


債務者の責任財産の保全のための強制執行の準備段階である。しかしながら、本来は成立するはずの法律行為を取消てしまうという強力な効果を持っているので、責任財産保全の必要性、債務者の財産処分の自由、相手方の取引の安全という三点から、その運用には注意が払われる。



1.1.2.2.存在理由


425条によれば、「取消は總権利者の利害のため」となっていることからも、債務者の責任財産の保全がその本来の目的であるが、取消権者に事実上の優先弁済を認めている。



1.1.2.2.1.責任財産保全制度説


散逸責任財産を取り戻し、その後、債権者平等の原則に基づいて配当。第一点の問題はこの趣旨の則ると取消可能範囲が広がり取引の安全を害する。第2点の問題は、債務者が受領拒否すると、執行不能となるので、取消権者へ危機渡される結果、優先弁済と同じ効果を生む。



1.1.2.2.2.責任説


散逸した財産を改修することなく転得者または受益者の手元にあるまま債務者の責任財産として扱うとする方法だが、判例とも整合性が採れない上に、新たな制度構築に近いので現実的に純然たる解釈から導くには無理がある。



1.1.2.2.3.優先弁済肯定説


事実上の優先弁済を肯定し、取消権の効力を相対効として解釈する方法。425条が空文化する(すべての債権者のため云々)がそのことによって合理的解決を目指す。




時効
時効の援用について、
?詐害行為の受益者がする、詐害行為取消権を行使する債権者の債務者に対する債権の消滅時効の援用。
?後順位抵当権者がする、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効の援用。
?物上保証人に対して債権を有する者がする、被担保債権の消滅時効の援用。
認められるのは3個である。

あなたの答え:「×」  ◎◎ 正解です!! ◎◎

2個である。
?は当該被担保債権の消滅に直接利益を受ける者であり、援用できる。
?は後順位抵当権者は先順位抵当権に何ら権利を有しない。
?は債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない場合、代位して援用できる

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