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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十七章 朔風13

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十七章 「朔風」13 死ぬほど不味い薬



「それと…、眠ってる間の授業を書き留めたノートね。」

「え?!本当?!助かる!!ありがとう!アル!」


そういって、レナスとアルティアが抱き合ったのは、数日前の事だった。
皆から羽根ペンを受け取ったのと同日である。


初日以外は、一人で朝食という事もあり、無音の空間にのみ、スプーンを皿につける音だけが響く。


レナスは、左手にスプーンを持ち、不自由になってしまった右手に無理矢理握らせる形をとりながら、なんとか食事を進めている。
その度に、両手とも同時に動かさなければならない…、なんとも窮屈でそれでいて…


「食べづらっ!」


誰も居ない部屋で、イラだったレナスがついに叫んだ。


もしも他の誰かがいたら、こんな食事の仕方をしなかっただろう。
だが、一人で食事をするようになってからは、いつもこのスタイルだ。


『はやく…動かせるようにならなきゃ…。』


思うように動かない体に圧し掛かるのは、焦る気持ち。


「はぁーー……」


思い切り溜息を吐き、重い感情を追いだそうと、最大限努力する。
視線を上げ、ベッド脇の棚においてある皆からのプレゼントに目をやる。


『使ってやれないの…可哀想だものね…。』


よしっ!
そんな思いを胸に、再びスプーンを握りなおした



*******



「ちゃんと食べてくれてホッとしていますよ。」

「ちゃんと食べないと、回復だってしない。ってのが、マダムの口癖でしょ?」


食事が終わると、マダムが医務室に来るのが日課になっている。

レナスはマダムに右手を差し出すと、マダムはその袖をまくり、診察に入る。
その度に、マダムの表情は少しだけ曇るのを、レナスは気付いていた。


「あれから、感覚に何か変化はありますか?」


あるはずも無い変化は、マダムも知っている。そしてこれから、そんな事は起こりえない事も。
しかし、それでも敢えて口にしなければならない。


「いいえ…何も…。」

「ちゃんとリハビリを頑張れば、必ず…!ね?」

「はい…。」



全く同じ会話。



そして、この後、レナスにとっての地獄の時間がやってくる。



「では、コレをお飲みなさい。」

「…………いつもの…ですか…」


眉を吊り上げたマダムが、レナスの左手に無理矢理渡すのは、カップにたっぷり入った液体の飲み薬。


「これ…今までに無いくらい不味いんですけど…。」


青い顔をしたレナスの表情は完全に固まり、額に汗が滲む。
しかし、マダムが一瞬で鬼の形相で容赦のない言葉を放つ。


「飲まないとでも言うのかしらっ?!!」

「……い…… いただきます ……。」


その剣幕に、つい返事をしてしまったレナスは、一瞬で後悔した。

カップの中は、どす黒い液体が、今まさにかき混ぜられたようにくるくると暢気に踊っている。

しかし、鼻を劈く何かが腐ったような悪臭と、そのコガネムシのように黒光りする液体の色からするに、良心的な薬などとは到底思えない。


そして、何よりレナスはこの薬の味を何度も体験している。思い出すだけで、冷や汗は頬を伝い、カップを持つ手がブルブル震える。


暫く、手の中にある揺れる液体と、マダムを交互に見比べるが、徐々にマダムの顔が険しくなる。


『この薬より…、怒らせたマダムの方が怖い…』


レナスは、スーハーと、
一度深呼吸し、二度深呼吸し、三度深呼吸した
コレでもかというほど全身に力を込め、全霊とも言える覚悟を決める




カップに口を付けると、一気に喉の奥へ流し込む





一瞬白くなる世界





そして、真っ白になった頭に意識が戻ってくる




「うがぁぁぁぁッッーーーー!!おえぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!!!」




レナスは内臓全体を庇うかのように、苦しみ悶えた。

白亜紀の生物が他の生物に捕食され、喉元を食いつかれたかのようなうめき声。
逆流してくるものを吐き出してしまわないように、口元を押さえながら暫しベッドの上で身悶える。



「ん゛ぅぅぅん゛う゛ぅぅぅぅ〜〜!!」



舌が曲がるどころではない。舌は勿論、食道や胃が腐り落ちてしまうほどの苦さに、胃をひっくり返して全て洗い流したくなるほど。

そして、何かが腐ったような臭いなんてものではない。胃の奥の奥から襲い掛かってくるのは、内臓を抉り取って行き、尚且つ頭の天辺にまで突き刺さるような…そんな悪臭に体の中から意識すらも遠ざかっていきそうだった。


この時間差攻撃には、流石に地獄に落ちるより苦しいことだと、心底思えた。
無意識に、水を求め、ベッド脇の水差しを、右手で掴もうとする



ガシャンーーーー!!



利き手が使えないのを忘れ、手からすり抜けた水差しが、中身と共に床で散った。
それでも、洗い流したい気持ちが抑えられず、零れた水に縋ろうと手を伸ばす。


しかし、そのマダムがレナスの伸ばした右手を掴み、制す。


「何度も言っているでしょう!水はダメです!!薬の成分が変わってしまうのですから!」


いくら、ヴァンパイア制御薬の開発で薬を飲み慣れているレナスでも、この時ばかりは、マダムが悪魔、いや魔王に見えてしまう。


手を口に当てたまま、睨むというより、脅えた表情でマダムを見るが、頭の中は水の事でいっぱい。
堪え切れず、のた打ち回り、足をばたつかせ、その度にベッドがギシギシ悲鳴を上げた。


その魔王は、自身のエプロンを広げ、そこに割れた水差しのガラス片を一つ一つ拾い始める。


【ガラスで怪我でもしたら、大変です。私が拾います。】


その言葉も、レナスには、あまり聞こえれていないようだ…。そして、とどめの一言。



「不味いのは解っていますが、スネイプ先生が毎日調合してくれる神経回復促進剤なのですから、私は貴女に飲ませる義務があります。」



結局水をもらう事が叶わなかったレナスは、1時間ほどベッドで悶え苦しんだ。



これも既に日課と化している。



********



やっとの事で口の中の麻痺が静まるが、この薬の不味さで心底疲れ果ててしまう。


「ハァー…あの…、ハァー…、マダム…。」

「なんです?」


何とか呼吸を整えるレナスと、水差しの欠片を片付け終えたマダムはエプロンを調えている。


「以前、ヴァンパイア制御薬の開発時に…、偶然出来上がった【無味薬】ってあるんですけど…」


レナスが以前作り上げた無味薬。
偶然出来上がったが、その効果は絶大。どんな味も無味に変える優れもの。薬の成分が変わってしまうことも無いとされている。


以前スネイプがレナスの為にと薬剤としての許可を申請した処、見事に薬として認可された。
そして、薬嫌いのシオンに難なく薬を飲ませた実績もある。


今のレナスには、ある意味一番必要な薬だ。


「それを使うのは…」

「いけません!」


レナスにグイッと近づき吊り上った眉に比例する剣幕を見せ付けた。


「今回の薬は、とても繊細なのですよ?!!だからこそ、お水を飲む事も許されないのです!無味薬がどんなものか知りませんが、成分が変わってしまう可能性のある物を許可する事は出来ません!」


繊細って…とてもそう思えない殺人的な味なんだけど…。
レナスは、諦めなかった。


「薬の成分が変わることは無いと思うんですが…、……ダメ…ですか?」

「ダメです!」

「どうしても…?」

「ヴァルキュリア!しつこいですよ?!」


マダムの頑なさに、口を尖らせる。
するとマダムが言った。


「どうしてもと言うのなら、この薬を調合した本人に直談判なさい。」


レナスは驚いたようにマダムを見る。


「本当?!」

「私は、嘘は付きません。」


少し眉を吊り上げ、意地悪そうにレナスを見下ろす。
しかし、次には眉間にではなく、目尻に皺を寄せるように、にっこりと優しく笑った校医の女性。



さりげないマダムの優しさに、レナスも表情が緩み、笑顔になる。



悪魔や魔王に見えていたマダムが、白衣の天使に見えた瞬間だった。



********



そこからは毎日違う会話をした。

手のリハビリは一人で。

しかし足のリハビリはマダムの手を借りて行うため、何も会話が無いのも、気が滅入る。


最初でこそ、マダムは話題に困り、学校生活等の苦労などをレナスに問うていたが、
一緒にいる時間が徐々に増えたせいか、どうでもいい雑談が増えた。


マダムが小さい時、ヌガーが大嫌いだった話や、
生徒の悪戯で、パチパチカエルを机の引き出しに入れられ、カエルがパチパチと破裂して大変だったという、なんでもない笑える話。


『マダムって…意外と面白い人なのかも…。』
レナスがクスクスと笑うと、「なんです?」と、マダムが怪訝な顔をする。


その度に、レナスは「なんでもありません。」とでも言うかのように、笑いを堪えながら首を横にふるのだった。


リハビリの内容は、レナスがベッドに仰向けに寝転がり、その右足首を持ったマダムが、足を大きく大きく回す事による筋肉運動を促すというものだ。

足首ごと、太ももを上下に何度も動かす。そのまま左右にも。

最後は、両の膝を立て足首をマダムが押さえてから、腹筋へを移行する。


「これっ…、効果っ、ちゃんとっ、現れるんっ、ですかっ?」


腹筋をしながらマダムに問う。


「神経回復薬を飲んで神経を刺激すれば、必ず効果は現れますよ。ほら、あと2セットです。」


効果が現れるのはいつになるのか?
本当はそこが一番聞きたかったのだが、レナスはそれをしないで置こうと思った



『思ったよりも…時間かかるのかも…』



やはり、考え事は尽きない。



*******



「はぁ…疲れた…。。」


一日の一通りのリハビリスケジュールをこなすと、マダムは自室へと帰っていく

それからは本当にレナスの体が休まる時間だ。


ドクンッ― ドクンッ―

適度な運動によって早くなった鼓動が、耳に響く。


「いつになったら…歩けるのかなぁ…。」


ベッドの上で、呼吸と同時に胸を上下させながら、自身の右足を動かしてみると、思ったよりもスムーズに動く気がした。
そして、更に右足を曲げたり伸ばしたり、足首を回してみたりと、自身の感覚を確かめる。


「歩けそうな気がするんだけどなぁ〜…。」


ベッドの上で大の字に寝転がり、天井の一点を見つめ、瞳を閉じる。



「歩いて…みようかな…。」



目を閉じたまま一言呟く。






「我輩は、決して薦めんが…?」


「そんなの、やってみなきゃわかんないじゃん……。………??」



……………



……………




………―――ッッ??!!!





「うわぁぁぁぁぁーーーー!!!何デスカ!!いきなり!!」




空耳だと疑った。
しかし、ギョッとしうて目を開けると、そこには魔法薬学教師の嫌味人間。

黒髪をセンターで分け、襟足が外に跳ねた髪型。顔は青白く鉤鼻があり、眉間の憎たらしい皺が痕になっている。
レナスの、死ぬほど苦手な薬を調合している張本人のセブルス・スネイプが自分を見下ろしていた。


「何だとは何だ?」

「だって…!全然気付かなかったもん!!」

「我輩が、ノックをし忘れる君と、同じ人種だとでも思っているのかね?」

「………あー、はいはい、スミマセンデシタ!」


身に覚えがあるレナスは口を尖らせ、眉間のシワが渓谷の様に深くなるスネイプ。

しかし、レナスは尖らせた唇はそのままに、視線を天井へ向ける。


『あれ?扉のノックの音なんて…聞こえたっけ…?』

レナスの疑問符は直ぐに解消された。



ドクンッ― ドクンッ―


いきなりのスネイプ出現で、心臓が早鐘を打っているのが耳に響く。



そして繋がる。



「そっか…、さっきも煩かったからか…」


レナスは自分の顎を掴んで納得する。もちろん、それも左手が行うのだが…。


「何を訳の解らない事を言っているのだね?」

「あぁ、いや、なんでもない!!」


とっさに慌てて両手を振るが、右手のほうはうまく動かないようだ。


「それで…?」

「ん?何?」


レナスが首を傾げると、渓谷だった眉間が更に更に深くなる。


「我輩が作った薬に、何か文句でもあるのか?と聞いているのだよ。ミス・ヴァルキュリア?」


その形相は般若の如く。
しかし、静かに怒りを露にしたスネイプは、コレでもかと言うほどレナスに顔を近づけ、威圧する。


「あぁ…いや…。文句って言うわけじゃぁ…。」


『マダム…いったいどんな言い方したんだ?!』


スネイプの怒りにたじたじと言った具合のレナス。少々混乱したが、レナスには容易に想像できた。
マダムがどのような形で伝えたかは定かではないが、スネイプはそれを「不味い薬を作るな!」と受け取ったらしい事を。


スネイプの機嫌の悪さがピークに達する。


「そんなに飲みたくないのなら、飲まずとも結構だ!!」

「無味薬をさ…!!」


スネイプの怒声を遮るように声を荒げた。当人は聞き違えたか?と思うような表情をしている。


「あの薬、飲まなきゃいけないのは知ってるし、毎日作ってくれるのはありがたいと思ってる。でも…どうしても飲みにくい薬だから…。許可してもらえれば、無味薬を使ってもらえると、もっとありがたいんだけど、ダメ?!」


一気に吐き出した。レナスにとって切実な問題だったからだろう。
しかし、スネイプは心底意地の悪い顔をした。


「下らん!」


踵を返し、部屋を出ようと足を踏み出した時。スネイプのローブをガシッと掴むレナスがいた。


「ちょっと待ってよ!ダメなの?!!」


グイッと引き戻されかけたスネイプが、レナスの方を振り返る。
それこそ鬼の様な形相で…。


「無味薬の効果は絶大だが、今度の薬は繊細な技術を必要とする!調合時に薬の成分が変わらない保障が無い。よってお前の申し出は却下だ!以上!」


レナスが掴んだローブを思い切り奪い取り、出口へと足を進めようとするが、またグイッと引き戻された。


「ねぇ!何とかならない?!堪えられないんだってばー!」

「ええい!放せ!」


奪い取られても、レナスの左手は諦めなかった。
ベッドから離れようとしたスネイプの長いローブを、再び左手が捉えている。


「無味薬は元々、薬の成分変わらずに調合できるじゃん!なんでダメなのさ!!」

「余計な副作用がある可能性を考慮しての事だ!放せっ!!」


レナスが左手で力の限りローブを引っ張る。右手に握力が無いならば、と右腕にしっかりとローブを巻きつけ、必死に粘る。
しかしスネイプも負けじと引っ張る。ギリギリと綱引きのようにお互いが力をこめる。

まるで、犬が玩具を取り合っているような光景は、何とも滑稽だったが、お互い真剣そのものだった。


「セブルスだったら、無味薬使っても、ちゃんと調合できるはずでしょー!!」

「厄介な副作用は御免だ!引っ張るな!!放せ!!」


スネイプが勢いに任せ思い切りローブを引っ張る。

スポッと抜けたような感覚で、背中を向けた。

すると…



ドテンッッ――!!



という音が背後で響く。



「うぅぅ…痛い…。」


泣きかけのレナスが、スネイプのローブを握ったまま、床に倒れこんでいる。というより、顔から床に落ちた様だ。
効果音をつけるとすれば、「ベチャッ!」という音が適切だろう。


その姿に半分呆れはしたが、落ちた衝撃でどこか痛めては居ないかと心配になったスネイプだが、その考がふっとんでいくような光景を目の当たりにする。


「良い。って言うまで放さないからー!」


などと言いながら、更にスネイプのローブを腕に巻きつけているのだ。その顔の中心にある鼻がすこし赤く色づいている。


プチッと、頭の何かが切れる音がしたスネイプは再び怒声を叩きつける。


「いい加減諦めろ!」

「やだ!本当にマジで!お願いしますからぁ!!」


命乞いにも似た、悲鳴にも似た、悲痛な訴え。

そして、スネイプのローブを握り手繰り寄せながら、レナスはローブの主の足にしがみ付く。


「一生のお願い!もう悪い事しないからぁ!!いい子にするからぁー!!何でも言う事聞くからぁー!!」

「こらッ!放せ!」


まるで子供の様に、今までに見たことも無い我が侭を見せ付けるレナス。それほど本人には切実な問題なのだと、改めて知るスネイプ。


右手が使えずとも、右腕は動く。その腕でスネイプの足をしっかりホールドし、左腕でそれを支える。
いくら引き剥がそうにも、スネイプの足からレナスが放れる事はない。


そして、余りにもピッタリと、きつくしがみ付くレナスに、いつもとは違う感触を覚えたスネイプ。


「お前…!む…!む!は、放せ!!」

「やだぁ!無味薬使ってくれるって言うまで放さないーー!!」


スネイプがもがけばもがくほど、引き剥がそうとすればするほど、レナスの温かく柔らかい感触が足を伝ってしまう。


「放せと言っている!!この馬鹿娘――!!」


そして、レナスの頭をひっつかんで引き剥がそうとした時、彼女を真下に見下ろす形になった時だった。


「………………―――!!!」


見ようと思ったわけではない。
しかし、スネイプの目に入ってしまったもの…。


しがみ付くレナスの前襟が乱れ、そこから見えてしまった、豊満なふくらみをもった柔らかい素肌。
先ほどスネイプの足を伝った柔らかい感触の元凶。


その瞬間にスネイプはレナスから目を逸らしたが、頭から放れない。


「どうしても…ダメ…?」


潤ませた翡翠の瞳で見上げられる。
そんなレナスの態度に、少し可哀想に思ったスネイプ。
しかし、その角度と潤んだ瞳と、その見上げる何ともいえない切なげな表情の全てを掛け合わせると、
実に卑猥なイメージが頭を過ぎってしまう。


そして、再び視界に入る膨らんだ素肌が、止めを刺す。


「わ、わかった…。だから、放せ。」


その言葉に、一瞬静止したレナス。
瞳孔が開いたまま、スネイプを見上げる。


当のスネイプはレナスから顔を背けている。


「本当…?本当に本当…?!」


今度は膝をついたレナスが、スネイプの腰辺りにあるローブを掴む。


「嘘は言わん。だから放せ!」


これ以上はたまったものではない。
そんな心境のスネイプは、出来るだけレナスから放れたかったが…


「ありがとうセブルスーー!ちょーアイシテルー!!!」


立てひざをついたままのレナスは、ガッチリと腰にしがみつく。男のサガを知らない無意識な行動なだけに、焦りがピークに達するスネイプ。


「いい加減にしろ!!」


その怒声も、飛び上がりたいほどの嬉しさを噛み締めているレナスの前では、空振りに終わる。



そして…




ガチャリ―――



「レナスー!今日の分のノートもってきたよー……、………??!!」



扉が開き、笑顔を覗かせたのはアルティア。


以前と似たような光景に、笑顔のままフリーズ。


そして、スネイプも何ともいえない表情でフリーズ。


目が合う2人。


それでもレナスは、スネイプの腰を放さない。



「な、何してるんですか…?」


笑顔がひきつった表情のまま、何を口走ってるのかアルティア自身にも解らない。


「ふ、フルーウェーブ!!こ、これはだな…!!」


焦ったスネイプも、自分が何を言ってるのか解らない。

しかし、レナスだけが喜びのあまり興奮している。


「アル!聞いて!あたし、あの死ぬほど不味い薬に無味薬混ぜて飲んで良いって!!たった、今許可が下りたんだよーー!!」


レナスが、静止したアルティアの手を取って飛び跳ね、抱きしめた。


「そ、そうなんだ…?良かったね…。」


先ほどの事もあり、苦笑いを浮かべるアルティア。



…………??



何かが



何かがおかしい



アルティアが違和感に気付き、自身の口に手を当てる



数秒遅れて、その違和感にスネイプが気付き、目を見開く




もうこの2人からは、今しがたの誤解を招きかけない行動など頭にはない




気付いていないのは、嬉しそうに飛び跳ねているレナスだけ。




そしてアルティアが、口にした





「レナスが…」






【レナスが立った―――!!!】






****続く****

コメント(4)

苦いお薬の効果かな?ウッシッシ
確かにあまりにもまずい物って飲み込めないからねげっそりあせあせ(飛び散る汗)

一瞬、『アルプスの少女ハイジ』の、あの名場面が浮かんでしまいました(^∇^;)
レナスと教授のやり取りにふきました(笑)
レナスってば天然さんだ…無意識の色仕掛けの勝利(^^;…教授、よく堪えましたね〜。
無味薬万歳!…私も欲しい。
みけちゃん

にっがーーーい薬だから、効果が出てくれないと、レナスは何のために頑張ったのか…って感じよね(ノд-。)

今回の場合は、この世のものじゃない味。って感じみたいだから、あんなに我が侭言うとは思わなかった…( ̄▽ ̄;)

アルプスの少女ハイジ。
私も、アルティアがそう言った時に、「クララ?!」とか思っちゃった…(T▽T)
いや、アルティアは確信犯かもしれない…。
めいさん

ええもう、吹いて下さい(≧▽≦)
私も書いてる途中、あんな展開になるとは思わなかったのですが、ついフラフラ〜〜〜と、あんな感じになっちゃいまして…。
レナスだったらどうするか、教授だったらどうするか?って考えてたら…あんなんなっちゃいました(T▽T)

しかし、そこで襲い掛かるセブちんじゃない!と自分自身に言い聞かせ…(笑)←実はそっち系書くの大好きだけど…自粛。
無味薬私も欲しい〜〜!!そして、是非セブちんに襲われたい…←いやいやなんでもありません…。

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