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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十四章 障害5

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十四章 「障害」5 矛盾



≪何故…何も言えなかったのだ?≫


頭の中で、レナスとの会話が時を無視して交差する。


≪止める事など容易かったはず。≫


疲れきって居眠りをしていた事には、当然気付いていた。
あの場で、とてもレナスを咎める気にはなれなかったスネイプ。

だが、生徒全員までもが気付くほど眠りについていたレナスを、どう見逃すか…。
ソレだけを考えた為の行動だった。


≪ホグワーツ教授失格だな…≫



そして、更に、彼女とのやり取りを思い返す。


。。。。。。。。。。



「授業中に居眠りをする程、疲れきっているとでも…?」

「ごめんなさい…。」


「何故そこまでせねばならんのだ?」

「…時間が無いのなんか、分ってるでしょ?」


「無理を続けて楽しいかっ!?」

「必要な事だから…。」


≪こんな討論をしたかった訳ではないのだがな。≫


「いい加減にしろ!荒療治が聞いて呆れる!」

「ボガートの事…?」


「…………。」

「そうだよね…。自分でも何も出来ないなんて思っても見なかった。ダンブルドアや、シオンが、私に何も言わなかったって思ってる?」


「…………。」

「事前に、ちゃんと教えてくれてたし、授業の参加を避けたほうが良いとも言われてた。」


≪まさかとは思っていたが…。≫


赤い髪の生徒を見る漆黒の瞳。
やるせなさの中に垣間見える、戸惑い。


そして、淡々と語りだされる真実。


「荒療治はね……、全部、承知の上。隔離の話も、私から切り出した。」


≪まさかとは思っていたが、自分から今の状況を望んでいたとは…。≫


黒い髪が頬を撫で、漆黒の瞳は床に落ちる。
そして、何も言葉が出てこなくなった。
零れそうな涙を浮かべ、少女から女性へと変わった赤い髪の生徒を目の前に。
たったの一言も言えずに…。



今まで、どんな時でも見守って来た、目の前の生徒。
幼い頃から知る、レナス・ヴァルキュリア。


≪もはや、マグルと同じになってしまったな。魔法も使えず、体力も常人以下だ。≫


人である事を望んだレナスだったが、魔法使いである事が唯一の救いだった。


≪魔力を取り戻すのは、並大抵の事ではない。消耗するだけの体力を搾り出し、思うような成果を得られず。その果てに待つものは何か分っているのか?≫


魔力を失った事への焦り。
しかし、その焦りを隠そうと、常に笑顔を作り続けて来た。
その笑顔を作る余裕など、もはやありはしない。



≪体力の消耗は、気力にも反映される。冷静さを欠かして当然だろうが…≫



「焦っても良い結果など、付いてくる筈もなかろう?」



その口から出た言葉は、驚くほどの穏やかな口調だった。
そっとレナスの頭に手を置く。

俯くレナスは、何かを振り絞るかの様に、その手を払いのける。


「ガキ扱いすんなよ!!」

「……レナス…」

「私は、そんなに頼りないか?!」


歯を食いしばったまま、細い肩を震わせ、スネイプを睨みつける。
レナスが、今まで溜め込み、押さえ込んできた心。
負の感情が決壊する。


「あんたから見りゃ、ガキががむしゃらにもがいてて滑稽だって思うかも知れないけどな!!だけど、如何しようもないじゃないか!」


感情的になって怒声を荒げる。
それは、相手がどうでも良い存在だからではない。
レナスが、スネイプを信頼するからこその爆発。
少なくとも、スネイプはそう確信している。


「焦って悪いかよ!!このままじゃ、あたしは息をする事さえ許されないんだっ!」


今にも暴れだしそうなレナスの両腕を掴む。


「落ち着け!」

「放せよっ!!」


掴まれた腕を、なんとか引き剥がそうとする。
腕力ですら常人以下になってしまったレナスに、大の大人であるスネイプの腕をそう簡単に引き剥がせるはずもない。


「何故分らんのだ!薬の効果が切れるのは時間の問題だと言ったはず!身を削るような事をしても、時を待つしかない事もある!」


≪薬の効果でこうなったのだから、その反作用のある薬を作れば効果が消えるのではないか?一般的になら、そう考えるのだろう。≫

≪しかし、ホグワーツに携わる者は皆知っている。薬の効果を消すために、反作用の薬を飲むことが、どれ程の事態を招くか。時には、人間としての形状を保つ事さえ出来なくなり、命を落とす危険性すらある。≫


≪魔法薬学とはそう言う物だ…。≫


≪薬に頼り、この状況を打破する事は…不可能…。≫


「私には、待つ時間なんかない!」

「それが原因で、授業で居眠りをされらた敵わん!」

≪居眠り?どうでも良い。そんなものは!≫


「お前は生徒であり、未成年だ。我輩は少なくとも監視する義務がある!」

≪義務?そうだ、これは義務だった。当初はな…。≫


腕をつかまれたままのレナスは、再びスネイプを睨みつける。


「魔法薬学の教師のあんたには、もう私の事なんか関係ないだろ!」


レナスの言葉が、スネイプに突き刺さり、そして抉る。


≪関係ない…?≫

≪そうだ…。我輩は…何故知らなかった…?レナス自信が選んだ、荒療治と、隔離の事を。≫


そして、レナスは搾り出す。


「いつだってそう…!【大丈夫か?】とか、【無理をするな】とか…!」


レナス自身も気付いていない矛盾。
さらに、それがレナス自身を混迷させた。


「泣いて叫べば、誰かが助けてくれるのか?!」

≪レナスは、どの様な事も、自身の力で立ち向かっていた。≫


「誰かが守ってくれるのか?!」

≪魔法省を相手に、万能な盾などありはしない。≫


「どんなに辛くたって、どんなに苦しくたって、やるしかないんだ!!」


≪もう、我輩はお前にとって関係のない、不必要な人間なのか?≫


「誰も助けてくれる訳じゃないのは分ってる!自分でやるしかないんだよ!!」


≪我輩の力では、お前に何も出来んのか…?≫


「それなのに、【大丈夫か】とか、【無理をするな】とか、勝手な事ばっか、言わないでくれ!!」


≪もう、何も届かないのか…?≫


「そんな、中途半端な同情、要らない!!」


吐き捨てた言葉を投げつけ、スネイプの腕から逃れたレナスは、教室から飛び出した。


。。。。。。。。。。



その背中を、見送るスネイプ。
彼の頭の中は、一つの事でいっぱいだった。


≪それが本音か…?≫


≪レナス……。≫


≪我輩は、手を引くべきなのか…?≫



混沌と渦巻く。
スネイプとて完璧な人間ではない。幼い頃から見守るレナスからの言葉に、動揺しない訳がない。



≪違う…≫


≪こんなものは≫



誰よりもレナスを見てきたスネイプ。


≪何時の時もそうだった…。≫


口が悪く、反感を買うこともある。
しかしそれは、常に周りを拒絶する事で、自身を守る盾にしている事をスネイプは知っている。


レナスの感情の奥底に隠れた、彼女自身も未だ気付いていない矛盾に、触れようとしている。

既に、レナスから受け取った血液の効果は消え、彼女の感情を読む事などない。
だが、スネイプは、今のレナスの気持ちが手に取る様に分った。




≪お前は、誰よりも望んでいるはずだ…。≫




【助けて……。誰か…。助けて…!】



≪誰にも、すがる事を許されない。そう自身を戒める。≫
≪だが…≫





≪すがりついて、泣いて叫びたい、と。一番救いを求めてるのは、【レナス自身】なのだろう?≫





≪【普通】の人間なら、容易に許されて当然の事にも関わらず。自らそれを抑え込んだ。≫


≪国家を動かすほどの権力、魔法省。ソレを相手に真っ向から立ち向かい。そして、いつ現れるとも解らないヴァンパイアに脅え。いつ裏切るとも限らない人の中で生きようとしている…。≫



≪そのためには、どの様な事も乗り越えていかねばならぬと知っているからだ。≫


≪まだ、17歳の少女。生きる意味も、術も、知らなくて当然の年頃だ。そんな物を背負うには…≫



≪…重すぎる…≫




≪そんな重圧に耐え抜いて来られたのは、お前に揺るがない、絶対の自信があったからだろう。強大な魔力という秀でた才。≫


≪しかし。それを失った事で、こんなにも脆くなる。≫
≪気にかけて当然だ。お前が、手のかかる生徒である限りはな。≫



≪だが、それすらも、彼女の重荷になるというのか?≫



ぼうっと立ち止まったまま、開かれたままの扉に目をやるスネイプが、時を取り戻したように扉に手をかける。



≪今更、考えてどうするというのだ…?≫



≪我輩は、レナスを見守ると決めたのでは無かったか…?≫
≪いつ、いかなる時もだ…。≫


扉を閉じ、誰も居なくなった教室を見渡し、今立ち去った生徒の余韻を探す。

そして、決意と言うものを新たにする。


≪我輩は、役に立てば良い。レナスが卒業していくその時まで。必要とされれば動けば良い。≫


魔法薬学教授、セブルス・スネイプとして。
そして、一人の人として。


≪いましばし、お前を見守るとしよう。今我輩に出来るのは、これくらいだ。≫



そして、過ぎった想い。
嫌な予感とでも言うのだろうか…。


≪自身の爆発した感情に呑まれ、凶を招かねば良いのだが…。≫





****続く****

コメント(17)

やっぱり無理して笑っていたのね…。

無理して笑顔を作れば作る程、本当の気持ちがどんどん暗くなっていく気がします。

今回も、セブちんとレナスの2人の感情の赴くままに書いてみました。


セブちんが…なんとなく大人になった…かな?
せぶるす先生の文末の一言が
超〜気になるンスけど!

波乱の予感キタ━(゚∀゚)━!?
なんて言ったらいいか…考えてる顔考えてる顔バッド(下向き矢印)バッド(下向き矢印)
今まで無理矢理笑っていたぶん、苦しいともいえなかったんですねがまん顔がまん顔
それって、心に凄く負担になると思いますバッド(下向き矢印)バッド(下向き矢印)

頑張っても報われないなら、余計にですよね泣き顔泣き顔

確かに信頼してる人の前では、気持ちが爆発しちゃって、ぐあー!ってなりますげっそりげっそり
私も気を付けなくちゃがまん顔がまん顔あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)

それにしても…
スネイプ先生の成長っぷりは何ですかハートハートあせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)

ついこの前、数話前までは、子供っぽい部分があったのにほっとした顔
あのスネイプ先生もかわいらしいですが、今回のスネイプ先生も素敵すぎます目がハート目がハート目がハートハートハートハートハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)
ちょっ!


一旦落ち着かせてください目がハート目がハート目がハートハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)
しらけさん

セブちんは、ずっとレナスを見てきてるから、何となくレナスの性質的なものを把握してるのかも。

そして、最近はちょっとだけ大人になったものだから、それが鋭敏になってるって言いますかね。

今のセブちんは、かなり敏感です(*´ -`)←って事は…波乱があるのか…??!!wwwwwww
大人になったから…かなり鋭敏、っと。
了解れす爆
そりゃー波乱だ笑

|∀゚*)φ_メモメモ ←何かを多大に勘違い
璃っちゃん

頑張ってる事が報われないのは、辛いね…。
けど、シオンはこんなものを跳ね除けるくらいじゃないとダメとか言ってるから、やっぱ、落ち込んでる暇なんかないのかな…。

まだ高校生くらいの年齢なのにね…。

うちんとこのセブちんは、ハリポタ本編より若い年齢から始まってるから、かなりガキです。
いま27歳くらいの年齢で、今の私と変わらない年齢だからね。
感情的にもなるし、考えたり悩んだりもする。

けど、そこから一歩踏み越えると、人間って変わるのよ。
いまのセブちんを見てればきっと解るよ☆←おいおい。

はい!一旦落ち着いてください(≧▽≦)


しらけさん

そうそう。
大人になると、鋭敏になって、ちょっとした事でね、ムクムク〜〜ってね〜。なっちゃうわけなんですよ。


こりゃもうセブちん、大人だなぁ〜〜って。



何言ってるの私( ̄□ ̄;( ̄□ ̄|( ̄□ ̄||( ̄□||||カガ゙ガーン!
  (  ) ジブンヲ・・・・・・
  (  )
  | |


 ヽ('A`)ノ トキハナテ!
  (  )
  ノω|


 __[警]
  (  ) ('A`)
  (  )Vノ )
   | |  | |
しらけさん

捕まってる!!捕まってる!!
あれ、絶対セブちんだよね!!

警察、ポリスマンがぁぁぁぁぁぁ!!
手錠〜〜〜〜!!!

やっぱ、凶悪犯ぞろいの、アズカバンの牢獄行きですか…
ウヒャ━━━━━━ヽ(゜Д゜)ノ━━━━━━ !!!!!
ぃぁぃぁ?ワカリマセンぞ?
せぶるす殿に手を出す輩かも。爆

せぶるす殿でも桶れすが笑

面白いAAだったのでコピって参りました次第でしてね=ャリ。
しらけさん

トキハナツって事は……
シオンの可能性も……?←(-_-シ)

あああああ!すみません!
嘘です!


というか…
手錠プレイ…


いいなぁ……←馬鹿…
しらけさん

じつは……

もってる…←マジで

実家にも一個ある…



ち、ちがうんです!!


私は、趣味で買ったから実家に有るんだけど。←なにが違うんだ!!

今の家にあるのは、舞台の小道具の一つで……ヾ(lll><)シ
ぶはっ(笑)

なかなかやるな、おぬし(笑)
しらけさん

そりゃもう指でOK

手錠で繋がれた事もございますわよ(≧ω≦)ハート
あの頃は17歳で、若気のいたりってやつですよ(ノ_<*)
なんだか凄い会話に…目がハート目がハート目がハート

さしゃさんが手錠で繋がれたりしていたと思うと、もうヨダレがほっとした顔ほっとした顔ほっとした顔あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)

いえ、なんでもありません顔(願)あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)
璃っちゃん

いやはや(^_^;)
あれです…繋がれてイベントでひきずりまわされてました…(笑)

セクシーさの欠片もございません(ToT)

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