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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十三章 薬6

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十三章 「薬」 6 変化



「何処か、体への変化を、感じますか…?」


ソファに座った私とシオン。
口元をタオルに包んだ氷で冷やされたまま、シオンからの質問が繰り出される。


「薬の臭いで、頭がフラフラした。」

「あぁ…、クスモは熱を加えると、容積が増えるだけでは、ないのですよ…。」


ってか…。心の底から思う。
クスモの事そんなに詳しいんだったら、避けられた事態なんじゃ…?
そんな疑問を知ってか知らずか、シオンは言葉を続けた。


「麻酔効果のある物質が気化しますので…。鼻の利く貴女には…少々酷だったでしょう…?」

「なるほど…。」


痛みを感じなかったのも、いつも以上に頭がまわらなかったのも、イライラしたのも…。全部それか。


「でも…、それが何?」

「他に、何か…ございますか…?」

「ん?他?」


他に何か…?
何を意図したいのかわからないまま、自分の体のあちこちを確かめては、思い返してみる。


「顔と、口が痛い。あと、歩いたせいで息が切れて、疲れた!」


にょび〜!って両手を突き出して、伸びをしてみた。
痛みなんか、我慢できる程度のものだもの。コレくらい平気!

ん?あれ?
自分で言葉にしてみて、初めて違和感に気が付いた。


「疲れ…。ですか?」

「いつもは、歩いたり走ったくらいじゃ、息切れなんかしないのに…。」


あてがわれた氷を手渡され、今度は自分で頬を冷やす。
なんか…冷たさで、頬の感覚がなくなって来た…。まるで、虫歯になったみたいな画になってるよ…。


「恐らく…。息切れ、疲れの原因は…」


言葉を言いかけたとき、掌を壁に向ける。

まるで吸い寄せられるように、大きなガラスが手元に納まる。
それを、くるりとひっくり返すとあたし自身が見えた。


「これに、あるかと…。」


いきなり取り出したのは、顔や胸元までが映る程度の、少し大きめの鏡。


「これが…なに?」

「お気づきに…なりませんか?」


ん?

鏡を出したって事は、見た目に変化が出てるって事だよね?

自分自身をじっくり観察しないといけないってのは…なんだか恥ずかしかったけど、シオンがここまでするんだから、何か重要な事…なのかも…。

まずは、あてがってる氷をどけ、膝の上に一時的に置く。
今度は、ひんやりと膝が冷えていく。何かが刺さるような…そんな冷たさ。

今度は、じっくり鏡を覗きこむ。
あちゃ〜。やっぱ、頬は腫れて、青く痣になってる。最悪だぁ…。
髪はいつもの赤。鍋が飛んできた割には、焦げても無いし、切れ毛も無い。

他に、変化?
同じ年の女子は、顔にできるニキビに悩んでたけど、生まれてこの方、ニキビなんて物が出来た事は無い。
これも半人間だからなんだけどね…。これもいつもと変わらない。


「変化なんか、何も……。」


言いかけた時だった。


「………?………ッッ?!」


気付かなかった…。


あたしの顔に、いつもくっついていた、あの忌々しいものが…。


「気が付かれましたか…?」

「何で?!なんで?!!」


思わず、立ち上がった。
その勢いで、膝からタオルがボトッと落ちる。


「何か要因があるかと…思いますが…?」

「要因たって…、あたしは何も…」


ソファに一人残されたシオンが、落ちたタオルをゆっくりと拾う。

あたしはと言うと、更に更に鏡を顔に擦り付ける勢いで、鏡を覗き込む。


「ここまで変化が出て居るのですから…、何か…。」


あの忌々しい…ヴァンパイアの証である、





――  紋 様 の 消 滅  ――





頭の中が、どんどん混乱していく。



なんで?!なんでですか〜!!
何がオコットルトデスカァ〜〜〜〜!!?


どの角度で、どう鏡を見ても、紋様が無い!


ってか…。紋様がない顔なんて、初めて見た…。


今まで、この紋様があるから、ずっと鏡を見るのが嫌いだった。
けど、絆創膏を貼ったりすると、窮屈で息苦しいとさえ感じていたから、隠す事もあまりしなかった。



にしても……



紋様が無い顔って、ちょっと…良いかも…。
なんて、鏡に向かう角度を、変えてみる。
ついでに、表情も…。


うん…。コレ…、ちょっと良いかも…。



って、そんな暢気な事やってる場合じゃないぃぃぃ〜〜!!



動揺してる…!まずい!!
落ち着け!落ち着けあたし!!



「少し…落ち着いて、いただけますか…?」

「………ってか、今自分に同じツッコミを入れた所です…。」


鏡を下ろし、ついでとばかりに、肩もガックリと落として項垂れる。
ベッドがあろうものなら、頭から突っ込んでしまいたい気分…。
なんか…あんまり力が入らない…。


「紋様が消える事、それは即ち…。ヴァンパイア制御の礎と、成る…。」

「自分でも、びっくりだよ…。」


とりあえず、落として割らないうちに、鏡をテーブルの脇に置いた。
なんで?どうして急に…?そんな疑問を抱えながら。


「必ず何か…要因があるかと…。」


足と腕を組んで何かを考える仕草をしてる。
その妖艶な、流し目でこっちを見てる視線は、この際おいといて…。


「要因かぁ…。」


あたしは、今日起こった事を振り返ってみた。


朝。
寒くてベッドから起きるのがすっごく億劫で…やっと起きて着替えて、歯を磨いて…。
その時、髪を整えたけど、紋様は確かにくっきりとあった。髪を少し整えただけで、鏡から視線を引き剥がしたのを覚えてる。

授業が始まってから、隣にアルが座ったから、何か変化があればその時に教えてくれるはずだし…。

という事は、授業中に何かが起こったんだ。


ものすごい臭さにまとわり付かれたっけ。


あとは…?


セブルスと怒鳴りあって、鍋が顔に当たって怪我して…。
そして、今に至る訳なんだけど…。



ん?そういえば…前もこんな事無かった?



あれは、ギルの半人間としての制御の訓練を任された日。
紋様が薄くなっていて、その時もシオンが教えてくれた。


それから、何がそうさせたのか、すっごく探したっけ。


けど、結局解らなくて…。


暫くは、薬品に触れずに過ごした。
あれから、大体3ヶ月かぁ…。


そして今回も、いきなり。


薬も何も使ってないのに…。



自然と重ね合わせてみる、過去の出来事。

確信なんか無いのに、あたしは、疑いもしなかった。



あの時起こった一日の流れ。
そして、今日の流れ。


必ずあるはず。
共通する出来事が…。


コツコツと鳴り響く音が自分の足音だって気が付いたのは、随分考え込んでからだった。
手のやり場は定まらずに、何か物を取ったり放したり、髪をいじったり、梳いてみたり…。
ローブのポケットに手を突っ込んだり。
かなり忙しい。

終いには、シオンが育ててる、ハーブ達にまで話しかけてる。
……植物に、しかも食材達に話しかけるあたしって…イタイかも…。



ふと…思い出した。



頭の片隅の引き出しに仕舞い込んいて…。時々忘れて居た事もあったのに…。
何故か、今になって、自然とその引き出しに手が伸びて、そしてソレを取り出す。



あの時の、クロウディアの言葉。



「どうか…なさいましたか…?」


あ…。なんか…思いついちゃったかも…。

うん…。そうだよ…!


「主…?」


紋様が薄くなっていた時の流れと、今起こった事の共通点。
クロウディアの言葉。


そうだ…。これで繋がる…!


「そっか…。アレは、そういう意味だったのか!」

「何か…心当りが…?」


でも…、一個だけ難がある…。
ダメだ…。それをクリアしないと…とてもじゃないけど…。


浮き上がった気持ちが、沈んでいく。
仕方、無いよね…。


ふっか〜〜〜い溜息を吐いてから、少し気を取り直した。
考えてても仕方ない。停滞するのは、より高く飛び上がるため!!
めげないもん!!頑張るもん!


ふと、目をやると、シオンがこっちをじっと見ているのに、気が付いた。


「あれ?なんか言った?」

「………いえ…何でも…。」


聞いていなかった事に対して、まるで、呆れたように瞳を閉じて、溜息をつく褐色の肌の主。

組んだ足をほどいて、立ち上がったと思ったら、キッチンに向かう背中がある。

その背中は、何をするのかと思えば、湯気がふわりと立ち込め始める。
どうやら、紅茶を入れてるみたい。
あたりに、紅茶の独特な香りが立ち込めて、すっごく良い香り。

そういえば、さっきの授業、ものすごい強烈な薬品の臭いで、鼻がバカになったかと思ったけど、今はそれが回復してきたみたいだ…。紅茶の繊細な香りがわかるって、すっごく幸せ!!


「召し上がりますか…?」


振り返ることなく、飛んでくる声。
わーい!紅茶だ〜!紅茶だ〜!
少し香りが強いアールグレイの紅茶がいい〜!
あ、セイロンも捨てがたい!



「って……、飲めるかっ!!」



この口元を見てから言え!!

そうだよ!
口の中はまだ、切れたまま…。

コーヒーが一番美味しい温度が90度、緑茶は80度に対して、紅茶ってのは、100度が一番美味しい温度!

香りも味も大切にする紅茶。100度を少しでも保つために、カップまで温めるくらいなんだから。


熱いってのー!


100度の飲み物が飲めるわけないでしょ…!鬼か!


銀のトレーに紅茶のポット、カップ、ソーサーを乗せてテーブルに歩いてくる。
ムキーって睨む私に対して放った一言。


「これは…失礼を…。」


テーブルに置かれた、ティータイムセットは1セット。


「あたしが飲めないのわかってて…わざとでしょ…。」

「はて…何の話で…?」


ニヤリと笑ってそう言うと、紅茶をカップに注ぎ、口を付け始めた。
自分だけ…。


この状況下で、自分だけ飲む?普通さ…。


むすっとしてたはずなのに…。
なんだか、お腹の下がくすぐったくて、クスクス笑い出したあたし。


それを、何事かと、カップに口を付けたまま、横目で見てるシオンが居る。


あれ?そういえば…。


「ねぇ?シオンってさ、苦いもの苦手って言ってたよね?」

「……?…それが何か…?」

「以前、コーヒー飲んでなかった?あれ、苦いよね…?」


以前、シオンに薬を飲ませた時、苦手すぎてダダをこねてた。
なのに、なんで?コーヒー苦手なんじゃないの…?


「あぁ…。苦手なのは、薬の苦味だけ…ですよ。」

「………??」

「良薬口に苦し…と言い、仕方なく飲む者は居ても…。好き好んで薬を飲みたがる人間が居るとは…思えませんが…?」


あぁ…言われてみると解る気がする。
薬の苦さと、コーヒーとかの苦さって、全然違うもんね。


「まぁ…座って下さい…。」


カチャリと音を立てて、カップを置くと、あたしをテーブルに招くシオン。
椅子を引いて、仕方なく招かれた場所に座る。

ってか、あたし、今紅茶飲めないのに〜!

その恨めしそうな視線に気が付いたのか、フッと笑ったかと思ったら、指をパチンと鳴らすシオン。


すると、コトリと音を立てて、グラスが現れ、少しだけゆれる。
カランと鳴る沢山の氷がキラキラ光ってる。


「コレでしたら…傷にも障らないかと…。」

「え…?」


言うなり、少し濃い目に出た紅茶を、グラスの氷にめがけて、ゆっくりと注ぐ。
湯気が出ていたけど、氷がぐんぐん小さくなるにつれて、湯気は消えて、その代わりにグラスの周りに沢山の水滴が付き始める。


「………ありがとう…。」

「いえいえ…。」


えへへ〜って笑って、グラスを手に取った。
ひんやり冷たくて、すっごく香りがいいの。
これなら平気〜!


なんか…。思い出す。


きっと、同じ事を考えたんじゃないかな〜?
なんて思う。


あの時、すっごく嫌がったりして、絶対に飲もうとしなかった薬。
いやいや飲んだら、青くなって、白くなった、シオンの顔色。

熱の前に、薬の味で死ぬんじゃないか…?とさえ思ったくらい。
だから、あの時、無味薬を混ぜて飲んでもらったんだ。


少しでも…楽になればって思って。


シオンもきっと同じなのかも…


そんな風に思ったら、こそばゆくなって、誤魔化すようにグラスに口を付けると、それを見たシオンが少しだけ笑った。


余計にこそばゆくなって…
あたしは、ニカっと笑って、またグラスに口をつける。





無言のままの空間。
何を話すわけでもない。



何も喋らなくても、かなり楽…。そういう存在って、きっと少ないと思う…。



でも…。
喋らなくても、頭の中では、いろんな事を考えてしまうわけで…。
あたしは、何気なく、さっきの続きを思い返してた。


目の前にいる、常に冷静を装った人物。
やる事成す事、全部が普通の魔法使いの上。あたしんあんかとは比べ物にならない程のポテンシャル。
能力も然ることながら、知識も半端じゃない。100年以上生きてるって言うのも頷ける。
だって、ダンブルドアと対等に渡り合っちゃう人なんだよ?


でもね、そんなシオンも、
実は、それほど完璧じゃないって知ったときは、ちょっとホッとしたんだった。


なんていうの…?
あたし、立場無いじゃん〜〜!みたいな?


まさか、薬が嫌いだなんてね〜!
へへん!あたしは、あんたの苦手な【薬】を飲むために頑張ってるんだからね〜!


そうそう、あの後、セブルスに無味薬を使った事がばれちゃったっけ…。

でも、咎められるどころか、セブルスは無味薬の流通許可証を貰ってくれて…。

わざわざ申請してくれた手間とか、そういうのを考えると…。やっぱりセブルスは良い人だって思う。


そう、あたしが小さい時から、セブルスはそうだった。
素直じゃなくて…、不器用で、ぶっきらぼうだけど、すっごく優しくて…。


初めてあたしがやってた事を認めてくれたって事なんだよね…。
その形が、無味薬という薬になった。


今は、その薬も、堂々と使っても許される。
魔法省に文句なんか言わせない!こっちには許可証があるんだもんね!




あれ?




無味薬を使っても許される…?





それじゃ…もしかして…。





「あ……。出来るかも…!」




思わず、急に立ち上がった事で。繋がった。一本の線。



できる…。やっと…



やっと、辿り着いた…!





「どうか、なさいましたか…?」



今度ははっきりと聞こえた。
シオンの質問。






大丈夫!




いける!!





ヴァンパイア制御薬が…




完成する…!!






****続く****

コメント(10)

やっとここまで辿り着きました。

長かったですね。
しかし、彼女の生きる人生としては、早いのかも知れません。
が、これからも、頑張っていただきましょう。


今回、いろんな所に話が飛びますね。しかし、どれも必要なことだったので…。


さてさて、いったい何が原因で、レナスの紋様が消えてしまうなんて事態がおこったのか?
皆さんも一緒にお考え下さい(* ̄▽ ̄*)ノ"←正解しても、特に景品は出ませんが(;>_<;)

なんとなくワカータダンヌよ…=ャリ
しらけさん

多分しらけさん正解だと思う(≧ω≦)b

さあ!
さしゃからの熱い抱擁を受け取って下さいハートハートハートハート

\(^▽^)/←両手広げて待ってるハート
ちょ、一寸待って…

カメラカメラ(゚∀゚ )三 三( ゚∀゚)

ビデオビデオ(゚∀゚ )三 三( ゚∀゚) ←何を映す気だ


カメラヽ(`Д´)ノ ぉしっ!桶ぇ!

両脚広げて待っててくらs(R-18

変態 ゥフフ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ァハハ 同盟
しらけさん

チュチュチュゥー!! .....((((((ノさ ̄〓)ノ ?( ̄□ ̄しノ)ノ ヒエェ!!


ごめん…もはや、悪のりレベルだわ…←実は楽しい(*´∇`*)

カメラもってこい〜〜!!
はれて、18禁解禁!そして、さしゃ×しらけ、夢のコラボ!


あ、しらけ×さしゃ か?←いや…問題視しないといけないのは、そこじゃない……(;>_<;)

変態 ゥフフ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ァハハ 同盟


の゛っ(さ*`Д爻Д´*し)ぷし。
すすすすすすすすぃませんです
わざわざノってもらって!(ぅゎゎゎ申し訳ない!
真に有難う御座んす

の゙っ (し*`Д爻Д´*さ) ぷし。
18禁解禁かー
…んじゃ、ポロリもあるな目がハート←アホ
しらけさん

何をいうの?
あたし達、あんなに深く愛し合った仲じゃない…!←まだ言うか( ̄▽ ̄むかっ(怒り))

いいのよ、いいのよ!
楽しければいいのよ!!
みけちゃん

ポロリ?
あのN○Kのお母さ○といっしょの、ねずみ?

ってそれじゃな〜〜〜い(T▽T)

ポロリかぁ…。
あれだね、もうやるしかないね!!

って、物語の中で、解禁したら、とんでもない事しでかしそうなあたし…。

でも、考え中…。←狙ってるらしい…。

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