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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十二章 特訓と成果2

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十二章 「特訓と成果」2 キーワードと謎




「ご馳走様でした。」


しばらくお茶を楽しんで、寮に戻ろうかと思った時に、話の本題が出てくるなんて思わなかった…。


「所で…セブルス・スネイプのあの右手ですが…。」


ギクッ……


「確か…薬をお渡ししたはず…ですがねぇ…?」


あはははは〜……


「おかしいですねぇ…。アレよりも早く完治する薬など、存在しないのはずですが…?」


シオンのまっすぐ向いてくる鋭い視線を、直視出来ない。
視線が一点に固まる。

どう誤魔化そう…。
怒るよね……。本当の事言ったら…。


「い、いやぁ〜、あたしドジってさぁ〜。薬のビン割っちゃって…。ごめ〜〜ん…。」


乾いた笑いをしながら、私は頭をぽりぽり掻いた。

そんな私をキッと睨んでくるシオンが詰め寄って来る。
ひぃぃぃぃ〜、なんか、教師って立場になった途端に、怖いよぉぉぉぉ〜〜!!


「それで…切ったんですか…?」

「え?」


ガチッと掴まれる左腕。まるで捻りあげるように晒される。
ローブの袖に隠していた、滲んだ赤が映える、包帯を。


「この…腕の、事です…。」

「痛っ……」


思い切り捻りあげられた事で、裂いた傷が開いたのか、包帯に滲み出た赤が、じわっと一気に広がる。


「で?あの男の腕を治す代償として、貴女が傷を負った…と?」


うっわ〜、あたしが何をしたかとか…全部お見通しって…感じ?みたいな…?
相当怒ってる様子…。


「……見ていられなかったから…。」


ぽそっと呟いた時には、既にシオンが包帯を取っている。


「って、なにやってんの?!きゃー!ちょっと!えっちー!!」


ジタバタ騒いで、腕を振りほどこうとはしたんだけど…すんごい握力。
ってかちょっと痛いんですけど…!


「騒がないで…戴けますかね…。」


優しい表情で言われたんだけど…笑ってない目に…正直ビビって動けなくなった…。


あううう……。

いったいどっちがご主人様なんだよ〜!


「ほぉう…?これは……また、深く行った様ですね…」


包帯を取って露になった傷。
私が自分で噛み切った傷でもある。


「どうして貴女は…、こうも、生傷が絶えないのでしょう、ね…?」

「ううう…ごめんなさい…。」


今度はソファに座らされた。
なんていうか…、夏休みに、クロウディアの所でもこんな感じだった気がする。


掴まれた腕は、ぱっくり傷が開き、拭きとっても拭きとっても溢れて来る赤。
心臓の鼓動と共に、その赤が勢いづいて、腕を伝って、滴り落ちる。
それと連動して、ズキズキ痛み出してくる腕。
傷の割にはそんなに痛みを感じない。だけど……


見ていてエグいって思う…。
赤く染まって、裂け、開いた傷…。
こんな……汚い……気持ち悪い……

それでもシオンは動じない。彼の指や、手にも、私から流れ出た赤が張り付いて行くのに、そんなもの気にする様子も無く、止血を始めてる。


「もう二度と…このような事が無い様に…お願いしたい物だ…。」

「二度とって…。」


薬を塗られて、テキパキと新しい包帯を撒いていく。
でも、今回の事って、私がセブルスにぶつかって、それで怪我させちゃったのが悪いんだし…。


「例え、どんな理由があろうとも…、自分を傷付け…血を分け与える行為は…見ていて気持ちの良い物では無い。」


確かにそうだ…。私にも身に覚えがある。
忘れていた訳じゃない…。
でも…、でもね…。


「仕方が…」

「【仕方が無かった。】しかし、この行為は…必ず貴女自身を、滅ぼす事に…なる。二度と、お使いに成らぬよう……」


先を越される考え、思考。
抜け道を全部塞がれた気分。私が今から言おうとしてるのは…全部言い訳…なんだよね…。
それでも、口から勝手に言葉が出掛かった時。
今度は…シオンが…


「たまには…オレの【お願い】とやらも…聞いて戴けますか…?」


その言葉に驚いて、彼の目を見張る。
シオンの口から、そんな言葉が出てくるなんて…思っても見なかったから…

確かに…【お願い】は、私ばかりで。シオンがそんな風に言ってくる事は珍しい事。

眉を少し落として…。
それでも、真っ直ぐに見てくる深紅の瞳。


「オレ自身…貴女のこの力で生きながらえて居るのは事実…。そのオレが言えた義理ではない…。」


だが…、これは……あまりにも…


彼から紡がれる言葉は、途中で力なく散ってしまう。


包帯を巻いた腕をそっと撫でてくるシオンの手。
この傷が痛々しい。そう思っているの…?



けど…


その時のシオンは…


すごく、すごくね…。


心が痛いって…、言ってるみたいだった。


それでも、笑顔を向けてくるシオン。

そんなシオンが、一層…



訳が分らないって思う。
膨らんで弾けた様な気持ち。



込み上げてくる。
よくわからない。



拘束されてる方とは反対の手で、彼の手を握った。
自然に力が入る。


ギュッって…。相変わらず冷たい手。
紅茶を飲んでいたはずなのに…。それでも冷たさを保ってしまった手。
まるで…それが当然で、染み付いてしまっているかの様な…。


「ごめん…約束…する…。もうしないから…。」


とてもじゃないけど…目を見て言う事が出来ない。
約束を守れないとかじゃなくて…。


泣き出してしまいそうなシオンが…そこに居るから…
そうさせてしまってるのは……あたし……



呟くようにしか出てこない。



痛みが……流れ込んでくるような…



もうしない…約束するから…。



だから……



だからそんな……



そんな顔しないで……





ふと頬に触れてくる手に、ビクッと体が跳ね上がる。
何事かと、自然に顔を上げた。


見上げたシオンの顔は、相変わらず視線を落としていたけれど…。
すごく暖かくて…。


「【お願い】を…聞き入れて…戴けますか?」

「うん……。」


涙が出そうになった。

本当に、本当に…

小さな、小さな、トゲ

それが…すごく痛かった。



それでも、笑ってみせた。
作った様なものじゃなくて…。


【大丈夫だよ】って。


そしたら、彼も柔らかい笑顔を、返してきた。


やっと…。ね。


頬にかかる髪をサラサラと弄ぶシオンの手。
そういえば、今日は髪を縛ってない。


「随分と…伸びましたね…。」

「うん…、なんか切りたくないっていうか…。」


小さい時から、髪を切りたくなくて、ずっと伸ばし続けて来た。
この前までは、背中にあった毛先が、今では腰の辺りにまでなってる。

赤い髪はヴァンパイアの証ではあるけど、それほど嫌じゃないし…。
不思議だね…。
顔の紋様とかは嫌だって思うのに…。


「恐らくは…【ヴァンパイアの血】に…寄るものでしょう。」

「え?なんで?」

「ヴァンパイアは、今成す形を、保とうとする…。肉体の変化は皆無。何百年と体も老いず変化が無いのはそのためだ…。髪を切っても、またすぐ再生する程に…。しかも、髪の赤は、自身の血に染まるとも言われている。自身の血を拒絶するヴァンパイアなど…居はしない…。」


……それでか…。
私は知らない間に、肉体の変化を拒絶していたの…?


たかが、髪。

たかが髪だよ。

でも、それを切りたくないと思う事で…どこかでヴァンパイアの血を受け入れていたの…?


どんなに、この血が嫌だって思っても、生きる事を捨てたくないと思う。


入れ替える事なんかできない。


私の体には、ヴァンパイアの血が流れてる。


生きる為に必要で、最も憎むべきもの…。



それでも…生きる為に受け入れるしかない…。


改めて気付かされる事で、重いものが圧し掛かってくる。


そう…、【私が生きる】っていうのは…そういう事なんだ…。


私自身を生かすのは、この血。

この、ヴァンパイアの血。


「まぁ…貴女の場合は…少々【特殊】…でしょうが、ね…。」


暖かい笑みで、頭を撫でてくるシオン。

私の事を、落ち込ませたいんじゃないと思った。
気付かせたかったんだと思う。


私が私である為に、それはとても必要な事で。
私が私である為に、目を背けてはいけない事。


「【血で血を洗う】……。」

「え?」

「以前、クロウディア・デリルが言っていた言葉ですよ。」

「何か…知ってるの?」

「いや…ただ…思い出しただけだ…。」


貴女の血を侵し、悪にするのも、
又、洗い流し、善にするのも、
内側に流れる、貴女自身の血。
しかし、それは同時に…

血は…自身が携えている、【意思】でもある…。


要は…どうありたいか。
血を手懐けるのも、また【自身の血】では…ないのでしょうかね…?


「ううう…?全っ然…意味が分らないんだけど…?」

「その為の、研究…なのでしょう…?」


更に覗き込んでくる笑顔が、なんだかすごく…
心強かった。


「うん。頑張るよ!」


お互いに笑い合う。

暖かい空間。


スッと、柔らかかった空気が一変した。
シオンから笑みが消えて、真剣に覗き込まれる顔。


え?なに?

この雰囲気って……



顔が近寄って来る…



うそ!!またですか!!



ってか、今お前は、教師の立場であってだね!!!



た、確かに一回キスしたけどもね!!




ってそうじゃなくてぇぇぇぇ!!




グイと、目をつむって、顔を思い切り背ける。


「主……」


その言葉と共に、顎をつかまれて、背けた顔を戻される。


ふええええ!
絶対絶命!!



「頬の紋様が……」





…………え…?




一瞬硬直する私。




眉間に皺を寄せて、シオンの顔を見ると、まだ彼は真剣な顔をしてる…。
いつもみたいに、目を閉じて、迫ってくるような事は無い……。



おんまえ…このやろ……

私のこの、戸惑いを返せ!!!


今度は、シオンの目の色が変わっていく。

真剣だった顔が、どんどん驚きへと変わっていって…。


「紋様が…薄く……」


その言葉と同時に、近くにあった手鏡を渡された。


仕方なく覗き込んでみる。


「うそ……」

「これは……」


お互いの独り言が漏れる。


頬にあった、顔の紋様を指でなぞる。

髪を掻き分けるようにして…。


間違いない。


今までよりも、明らかに、顔のあった紋様が薄くなっている。

刺青かのようにくっきり浮かんでいたけど…。

今は、まるでその上から肌の色を上塗りしたかのような…。


「なんで…?あたし…、制御薬完成してないのに…。」


紋様が薄くなる、あるいは消えて目立たなくなる。
それは即ち、ヴァンパイアの暴走の制御を意味する。

いったい、どうして?
身に覚えがない…。薬だって飲んでないし、心当たりもない。


口元に指をあてて、シオンが一点を見つめて考え込んでいる。

私はというと、アタフタするしか出来なかったんだけど…。


「なるほど…。」

「何か…分ったの…?」


期待と不安を交えた質問をした。
けど…回答は……


「いえ……。」

「そっか……」

「ただ……」

「な、何?!」

「いえ……」


もう!こいつの、こういう焦らしたような態度は、いっつも何ていうか、イライラする〜〜!!


「もう少し突き詰めれば…薬の完成は近いやも…しれませんね…。」

「突き詰めるって…?」

「【血で血を洗う】に、ついて…です。」


ふええええええ。
わけが分らないよ。


「薬品を扱う【研究】よりも、貴女の目で【見極める】事の方を優先にしたほうが…良いかもしれません…。」


余計にわかりません〜〜〜!!!


「兎に角、やってみる価値はあるかと…。よく言うじゃぁありませんか?【火の無い所に湯気が、なんとやら…】ってね。」

「【火の無い所に、煙は立たぬ】だってば。」

「あぁ…、そうとも…いいますね。」

「いや…、そうとしか言わないから…。」

「そう怖い顔をしていると、嫁の貰い手がなくなる…」

「大きなお世話だ!!このやろー!!」


。。。。。。。。。。



結局あの時は誤魔化されてしまった。
意外な所で、変な間違いをするシオン。
本気なんだか、からかい半分なんだか…。ってか…わざとか…?

ってか、なんで、あそこで追求しないかな…私も…。

いや、そんな事はどうでもよくて…。


未だに紋様が、何故薄くなったのか、その謎は分らない。
その変化は一晩で終わってしまって、今ではまた元の通りにくっきり紋様が浮かび上がってしまっている…。


彼が言ってた【火の無い所に、煙は立たぬ】っていうのは、きっとそうなった原因があるからって言いたかったんだと思う。


でも、未だに、その煙の片鱗すら見えてこない…。
本当に…、研究を進めないで、それを【見極める】だけで、何か解決になるのかな…。


でも、あいつは、何か気が付いたみたいだった。
これが、ヴァンパイアの制御薬に繋がるなら、大きな変化だもんね。


よし…なんだか、難しいけど、がんばろう!!


「レナスはけーーーーん!!」

「うげっ!!いきなり飛びついてくるな!」

「だって〜〜!居残りさせられて走って戻って来たんだも〜〜ん!!」


後ろからのドスンという衝撃で倒れこみそうになるが、それを足の筋肉で支える。

振り返りざまに、ゲホゲホと咽こむレナスに対して、ニカニカ笑うギルガには、反省の色など無いようだ。


「ほんじゃー!ハグリッドん所へ、レッツゴー!略してLG!」

「また訳のわからない事を…。」


嬉しそうにスタスタ歩いて行くギルガを目で追った後、レナスもしぶしぶそれについて行く。
嬉しそうに歩く少年の隣で、赤い髪の生徒が内心頭を抱える。





さぁて…私は、いったい……



いつ、研究開発に集中すればいいんだ……?





****続く****

コメント(1)

【血で血を洗う】
そういや、そんな事言ってましたね。

なんだか遠い昔の事のようだ…。

さぁて…なんだか、レナスの体に変化が起きてきたみたいですが…。まぁそのうち…ね。

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