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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十一章 臨時教師9

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十一章 「臨時教師」9 すれ違い




全ての授業が終わり、既に生徒達は寮へと戻って行った。
残すは夕食というイベントのみになったホグワーツは、廊下ですれ違う生徒は殆ど居ない。
そこへ通じる場所でも、殆ど誰ともすれ違うことも無く、彼女はその場に立った。


行く先は地下



大きな荷物を片手に持ち、胸元で薬のビンを握り締めた赤い髪の生徒は階段に差し掛かる。
両の手が塞がっているため、今回の階段では手すりは使わない。
一度転んだことがあり、頭から血を流した経験など、今の彼女にはどうでも良い事らしい。
しかし、どうしても素早く進んではくれない足。
素早かった足が、階段の中盤ではすっかり慎重になり、その素早さは激減。

ならば、一旦寮へ戻って重い荷物を置いて来よう。などと言う思考の余裕は、今の彼女には無い。
手に持ってる薬のビンをローブや、ポケットにしまってしまえば良いものを、その考えに到達する事もない。


長い階段を、無事に降り立った所で、再び走り出す。


頭の中で回りだす出来事。
自分の浅はかさ。

しかし、今はそんな事どうでもいい。



息を切らし、扉の前で、ドサッと大きな音を立てて荷物を放る。
荒くなった呼吸を整えるかのように、両手で薬のビンを持ち胸元へと持ってくる。

まるで何かを祈るように、目を閉じ、ゆっくりと深呼吸をする。


大きく  大きく


決意したかの様にドアノブに手をかけ……




勢いよく開く!!




かと思いきや、




そろぉ〜っと扉を開き、教室の中を覗き込む。




《あ…またノックしなかった…。怒られる…。》



一瞬、過去が蘇る。



(君は、挨拶もまともに出来んのかね?)



《うぅ…、また嫌味が飛んでくる…!》



目をギュッと瞑って、打ち付けられる様な嫌味に備える。



……………?



しかし、いつまでたっても、あの陰険教師の声が飛んでこない。




《居ないって事ないよね…?この気配って、絶対あの人だし…。》



置いたというより、放ったに近い重たいバックを持ち直し、教室へと足を踏み入れる。

ゆっくり歩く度に、床からもギィーと悲鳴があがる。


《あれ?奥の書庫…?違う、あの人の自室だ…。》


ズラリと並ぶ、生徒の机。
壁面には、一面の薬の棚。

レナスにとっては使い慣れたもの。しかし、同じ空間のはずなのに、いつもと違う様な気がしてならない。



一体、何が違うのか…?



レナスにはそれが解らないでいた。

今度は手に持っていた荷物を、丁寧に机の上に置き、着ていたローブを脱いだ。
魔法薬の教室には沢山の薬のビンが並んでいる。
ヒラヒラしたローブを引っ掛けて薬のビンを割らないようにと、いつもレナスは、ローブを脱ぐ事にしているのだ。

脱いだものを、荷物の上に乱暴に置いた時には、既に視線は奥の扉に向いていた。

歩く音にあわせて靴の音が木霊する。

少しづつ、しかし、確実に扉に近づく。



《やっぱり…自室の中だ…。》



スネイプの部屋とも呼べる場所へ来るのは本の数回。


《前回は、ハロウィン前に来たんだっけ…。その時はあの人眠ってて……。あぁ…痛い思い出だ…。》


1年前の事が頭を巡り、眠っていたらとも考えたが、思い切って扉に手の甲を向ける。




――  コンコン  ――



「誰だね…?」

「あの…。私…、レナス…です…。」


レナスの言葉をまち、しばらくすると扉が開いた。

中から顔を覗かせたのは、明らかに不機嫌そうにしたセブルス・スネイプ其の人。
眉間に皺を寄せて、まるで敵を見るように、自分より視線の低いレナスを見下している。


「あの…話が……」


レナスの言葉を待たずに、背を向け、自室にあるソファに腰を下ろすスネイプ。
背中を向け、レナスの方には見向きもしない。

そのそっけない態度に、酷く寂しさを覚えるレナスだったが、少し息を吐いて、自分自身を励ます。


「あの…。さっきの事、謝ろうと思って…。」


自然と薬のビンを握る手に力が加わる。


「手…怪我してるって…聞いたから…。」


振り絞るように出す声が、ガタガタと震えだす。


「あの…。薬をね…持って来たの…」



気まずさと、申し訳なさもあったのだが…。



しかし、レナスが何よりも恐れるものは、別にある。




自分が知っている、セブルス・スネイプに
自身が【信用されていない】という事実。




「あの…セブルス…」


「さっさと出て行きたまえ!我輩は、君の相手をしている暇は無い!!」


突然乱暴に投げつけられた言葉。

それがレナスの胸を深く抉る。


押しつぶされそうになった気持ち。

しかし、ここで引き下がるわけには行かない。
ツカツカと足を速めて、スネイプが座るソファの前に膝をつき、腕を取る。


「怪我してるんでしょ?ちゃんと治さないと……」

「触るな!!」


殴りつけるように払われる腕。


宙を舞う薬のビン。



「あっ!!」




―― ガシャン ――




宙に浮いたビンが音を立てて床に落ちる。
その瞬間、中身を埋め尽くしていた薬が、流れ飛び散る。

一瞬硬直するレナス。込み上げてくるもの。

胸を鷲づかみにされたような邀撃。


それを誤魔化すように、一歩踏み出す。


「ごめん…。片付けるね…。」


レナスは、スネイプに背中を向け、割れたビンの元へ歩み寄り、ガラスの破片を集め、一つ一つ丁寧に拾う。


右手で拾い、左手に集める。
手を切らないよう、慎重に…。


欠片が左手に溜まるたびに、込み上げてくるものを制御できないで居た。

ぼろぼろ零れ落ちていくもの。
目の前が滲み、それを袖で拭う。

時々もれる嗚咽を堪えながら、何とか作業を続けていく。


その背中を見るスネイプは、自分が感情的になり、しでかしてしまったことを一瞬で後悔した。
肩を揺らし、涙を堪えきれずにいるレナスが痛々しく思えた。


「すまない…」


その言葉と同時に自分の傍に寄る気配を見上げるレナス。
涙で滲んだ目の前を再び拭うと、すぐ隣に膝をつくスネイプは左手を伸ばし、拾い始める。


「あっ!いいよ!やるから…。」

「しかし…」

「右手…怪我してるのに、ガラスなんか触ったら……!」


レナスは、スネイプの腕を制したが、遅かった。


「ッッ――…!!」


一瞬走った痛みでスネイプはガラスを落とす。


「だから言ったのに…。」


今度は左手から赤がにじみ出る。


レナスは、スネイプの腕を取り、彼の顔を覗き込むようにして、小首をかしげる。




「診せて?」



そう言った彼女の言葉に、スネイプは素直に従うのだった。



****続く****

コメント(3)

なんだか〜大人な雰囲気のよかん〜〜★

ってか、両手けがするセブちん…。

どじだね〜〜。
セブルス最後は素直に従ったんですねw
どうなることかと思いましたがとりあえず安心(^ω^;)
モーフィアスさん

セブちんが、レナスに冷たいのには理由がありますからね(*^▽^*)
それも、彼の優しさ…って事だと思います。

私も書いてて、どうなることかと思いました。
時々、セブちんは、突拍子も無い行動にでたりするので…((((*ノノ)

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