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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十一章 臨時教師2

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十一章 「臨時教師」2 個人




大広間で新入生を迎える少し前に、在校生達は荷物生理のために一旦寮へと足を運ばなければならない。
そのため、フクロウ一同は、昇降口に集められることになる。下部妖精がフクロウ小屋へ彼等を運ぶためだ。


ルリの入った籠をそっと置き、別れを告げるアルティア。


「じゃぁ、また後でねルリちゃん。」

『アルちゃんとお別れするなんて…寂しいです…。』


少し見ない間に、アルティアの事をご主人様ではなく、アルちゃんと呼ぶようになったようだ。
ただフクロウ小屋に行くだけなのに、今生の別れのように寂しがるミミズク。

どうやら、飼い主に似て、相当の天然のようだ…。


「あのさ…。またすぐに会えるんだから、そんな寂しがらなくても…。」


レナスが冷静に、そして的確にツッコミを入れると、ルリは目を丸くした。


『あぁ!そうでした!!そうですよね!またお会いしに行けばいいのですよね!す、すみません!』


あせあせと言った具合に、慌てるルリは、気を取り直したようだったが、レナスは、ハァ〜と呆れた溜息が漏れる。


「もし良かったら、シオン君のところに遊びに行って見たら?フクロウ小屋はいつでも出入り自由だし。」

『あ!それは名案です!でも…先輩はいずこに…??』


アルティアの親切な提案に、ルリは翼をバタバタさせて喜んでいる。
すると、レナスの頭の中にまたあの光景が浮かんでくる。

シオンが【先輩】と呼ばれ、額に縦線が何本も爛れ落ちていくような…、青ざめた顔。
ふにゃふにゃと力が抜けて、その場に倒れこんで、ツッコミを入れようにも、本人が気に入ってしまって、呼び方を変えてくれない現状を受け入れるしかない…。
諦めたのに、納得がいかないといった表情を。


それを思い出して、再びクスリと笑ってしまいそうになるレナスだった。
そして、そんなルリと遊んであげたら、きっとシオンは一日でヘロヘロになるのであろう事は想像がつく。
いつもからかって遊んでくれる礼だ…。シオンを、ヘロヘロになったところで、ここぞとばかりにからかって遊ぶのも悪くない…。
などと、S心を全開にするレナスは、ニヤニヤと笑う。
そんな気持ちを隠して、親切そうにルリに話しかける。


「シオンなら、いつもハグリッドの所にいるよ。あっちの、湖に向かった所にある小さい小屋。外にでっかいカボチャの畑があるから、すぐに分るよ。」


丁寧に指差し確認までして、ルリに教えるレナス。
シオンをからかえるチャンスなど、滅多にやって来ない為、楽しみで仕方が無いようだった。


「……なんか…レナス…Sだね…。」

「え?やだなー。そんな事ないよー。」


棒読みで、絶対零度の微笑みを携えるレナスだったが、しっかりアルティアには伝わってしまった様だ。



*******



とりあえず、寮に戻り、荷物整理をすることにしたレナスとアルティア。
他の生徒達も、わらわらと寮に戻ってきている。あっという間に、寮は女子で溢れかえった。


懐かしい顔を見ては挨拶をし、久しぶりと声をかわす。
去年、何も考えられず、閉じこもっていたレナスだったが、今ではその片鱗さえも感じさせない明るさがある。


皆が大広間に向かい寮に生徒が少なくなった頃、ベッド脇に荷物をかまえ、それを整頓しながら、それぞれが、この夏に考えた未来の設計図をお互いの、耳に入れる。
報告とでも言うように。


「へぇ?アーサーが試験官なんだ?」

「うん!私が魔法省に就職するんなら、まずは、ウィーズリーおじ様が所属する、【マグル課】がいいんじゃないかって事になってね。半人間がいきなり政治に関わるのは難しいだろうから、まずは魔法省に就職して、少しづついろんな事を計画していこうって!」

「自分の課に就職する人間を、上司であるアーサーが試験するんだったら、誰にも文句言われる筋合いなんか無いしね。悪くはないんじゃない?」

「でも、試験は厳しく行くから〜なんて、おじ様に言われちゃった…。」


乾いた笑いをするレナスとアルティア。
ふと、レナスの頭の中にも、ダンブルドアからの言葉が頭をかすめた。


「私も採用試験は厳しくいくから〜……。なんてダンブルドアに言われたっけ…。」


再び乾いた笑いが2人を包む。
しかし、2人は肩を落とすどころか、今度はクスクスと笑い出した。


「まぁお互いがんばろうって事で!」

「そうだね!あ、レナスの方は?お婆様、レナスに何か話があったんでしょ?」


そういえば…!などと、話をしていなかった事を思い出すレナスは、掻い摘んで話をする。

魔力が不十分であること。
ホグワーツではそれを学べず、それを集中的に引き出す帰還が必要になること。
その期間とは、ホグワーツを卒業してから約2年間であること。
そして、それをクロウディア自ら、修行という名目で看てくれること。


すると、アルティアは案の定驚いたようだった。
驚きのあまり、顔の筋肉がおもいっきりゆるむ。
しかし、目だけは見開き、明らかに何か言いたそうな表情であることは、レナスにも見て取れるのだが…。別の部分が気になって仕方が無い様子。



「……アル…口半開きになってる……。」



年頃の娘なのに…。
しかも、生徒の誰よりも美人なアルティア。
そんなアルティアが、口を半開きにしてみせたり、緊張すると鼻水を出したりするなど、誰が想像できるだろうか…。
これも、レナスにしか見せない姿ではあるのだが、だからこそ、レナスは言わずには居られないようだ。
当のアルティアは、レナスの突っ込みに、慌てて口を閉じ、口元を拭う。


「ご、ごめん…。ってそうじゃなくて!だって、お婆様ったら、私にはそんな事、なにも言ってなかったから…。それだったらそうって言ってくれればいいのに…。?」


まるでのけ者にされたとばかりに、アルティアは口を尖らせるが、レナスはそれを否定する。


「まぁ…アルの気持ちは分らなくもないけど…。変な言い方すれば、私の将来に、アルは関係ないからって事でしょ。」


一見冷たい親友の言葉に、アルティアは眉を落とす。


「クロウディアは、お遊びとか、生半可な気持ちで私に声をかけたんじゃない。きっとアルに話したら、私にも話すって思ったんでしょ。親友に相談しながら決めてしまった未来。そんなモノでは、一人で歩んで行くのは難しい。中途半端な感情で決めたものなんか脆い。これは私が一人で決めないといけないって思ったんだと思う。」


眉を落としたままのアルティアに、レナスは語り続ける。


「そりゃ、私シオンの事があったから、どうしたもんかって…、すぐに返事できなかったから、偉そうな事いえないけど、最終的には決めたのは自分。自分で自分の責任を持てってのと、それぐらいの覚悟を持てなければ、そんなもの何の価値も無い。」


厳しく言った後に、レナスは、パッと笑って見せると、最期にこう付け足した。




そんなクロウディアは、すっごく厳しい人だって思う。




でもね……



だからこそ…



すっごく優しいって思うんだよね……



未来を考えて、決めるチャンスをくれた。考えることを許して、進むことを導くといってくれた。



優しさの形って違うと思うけど…。



私は、そんなクロウディアを、尊敬するよ。





これから、師匠になる訳だしね。




アルティアは思った。
自分で未来の展望を出した時、誰にも相談はしなかった。しようとしなかったと言ったほうが正しいだろう。

どうして行きたいか…。そんな話をするのなら、有効的とも思えるが。
何をしたいか…。それを考えるのに、他人の意見を参考にして何になる?

真剣に考えているからこそ、自分で決めた。
半人間という、普通の人間とは違うハンデだからこそ、自分で答えを出した。
それ故、今があり、これからがある。
もしも、誰かの手を借りて決めたとしたら…?
おそらくは頼ってしまうだろう事を予感した。


何をしたいかさえも見出せない。
他人に何をしたいか決めてもらって、何が将来なのか。

すぐに不安になって、誰かを頼らなければ考えすら纏まらなくなってしまう。
果たしてそれで良いのか…?



全ては一個人。
結果として別々の道を歩む、一人の人間。



己に責任があり、だからこそ自己がある。





そこに身に覚えがあったのだろう。
落としていた眉をあげて、にこっと笑ってみせるアルティア。
自分よりも背が高いレナスを可愛らしく小首をかしげ見上げる。手を自分の後ろで交差させながら…。


「がんばろうね。」


といってみせる。
レナスは、アルティアを見て、笑顔を返す。


優しい笑いを浮かべて。





それぞれが決めた未来への一歩が開幕する。




その準備期間は







あと1年。







****続く****

コメント(1)

でた…。レナスのS心!!
って元々レナスSだからね〜。

自分でやりたいことを決めるのって難しいですよね。
将来に夢を持ってる人は、いいとして、
好きなことが分らないとか、何をしたいか分らない時。
そんな時って、何をしても見つからない時もあるし、逆にいろんな事してるから、見付かることもあるんだもんね。

この2人には、是非やりたいことを実現していただきたいです。

あと、1年。

っていっても、あと数ヶ月以内でおさめたいなぁ〜。

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