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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十章 進路8

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十章 「進路」8 兄妹



あれから、ビルやアルに提案して、家事をみんなで分担しようという事で意見が一致した。
子供とは言え、何も出来ないわけじゃない。だったら、皆でやるべきだってね。


その翌日から始まって、まず私とアルが早朝起きて朝食の支度をする。
私以外料理らしい料理を作れる人間がいないから、私は基本的に食事を担当。
アルはその補佐。女の子だしね。

同じ時間に洗濯が始まる。ちょっと大変だけど、昼間は昼間でやることが多いため早朝に終わらせてしまおうって事になった。
こればっかりは、体力仕事のためビルとチャーリーとパーシーの3人が担当。
って言っても、体力だったら、私とアルの方があるんだけど…。
そこは男として譲れない!とか何とかビルが言い出した。


フレッド、ジョージ、ロン、ジニーはまだ幼いため、早朝の仕事は任せないことにする。
その代わり、昼食と夕食の手伝いと、洗濯物を取り込む作業を担当。

そして、夜は全員でさっさと寝る。
これは、年上組が早朝に起きなければいけないということで、意見が一致した。


やってみると案外簡単に済んだ。
昼間、家事が終わった頃、手が空く時間も増えて、学校の宿題に手をつける時間も、そして子供達と遊ぶ時間も設けることができたから。



さてさて…。
シオンはと言うと…。

ジニーとロンに気に入られてしまって…。


「コウモリさんかわいい〜〜〜!!」

「僕が先に遊んでたんだぞー!!」


なんて具合に取り合いになってた…。
翼やら足やらを引っ張られて、まさに縫いぐるみの状態…。
当の本人からは何も言葉が出ず、遠い目で硬直してる。
ってか意識が飛んでる!魂が口からでてる!!


「し、シオン!!!?ちょっ!!ロン!ジニー!お願い、放してやって!も、もげる!足もげる!!」


そんな風に止めたけど、気に入りすぎて聞き入れてくれなかった…。
シオンには子供達を怖がらせないでやってって言ってあったから、威嚇なんかしないでいる。
というか、しゃべらないようにとも言ってあるから、今もそれを守り通してる。

いや、ここまで来たら、威嚇くらいしていいと思うぞ!!


「いい加減にしろっ!シオンは玩具じゃない!!」


これ以上黙って放っておけないって思った私は、むりやり2人の腕を掴んで、シオンを解放させた。


シオンを腕に抱いて、子供達から離れ寝室に一人でこもる。ベッドにコウモリをそっと寝かせると、キューと鳴いて目を開く。
どうやら怪我とかはしてないみたい。

そして、誰からの干渉も無い状態で会話が始まる。


『いやはや…危うく手足をもぎ取られる所でした…。』

「大丈夫か?身の危険を感じたら、子供相手でも威嚇くらいしようよ…。」


そういって、少し撫でてやると、目をパチパチとさせてこっちを見てくる。

コウモリの時のシオンは、なんだか不思議だ…。
人型のシオンとは、性格も声もちょっとだけ違う。
コウモリの時は、なんていうか…いつものあの小憎たらしい余裕があまり無いっていうか…。
声だって、少し高くて…。子供っていうのかな…?


『では…その様に…』

「なんだったら、どこかに気分転換してきてもいいよ?」

『何を仰られる…?!以前、貴女に新たな敵が現れたのをお忘れか?!その様な事が起こらない為に私がここに居るのです!』


だぁ…もう!また説教かよ!
でも、もっともだ…。
去年の夏、セブルスと一緒に居る時、私は危うくインキュバスの亡霊の餌食になる所だった。
そして、ハロウィンの時も、その亡霊からシオンに助けてもらってる。

またいつ現れないとも限らない。
ホグワーツに居てさえも襲われた。だったら、ホグワーツの外で警護なしにって言うのは危険。

シオンは出来るだけ私から放れない様にしてるし…。


「そんなに気張り詰めなくていいよ。私だってあの時程未熟じゃない。常に警戒はしてる。だから、少し気を抜く時間を作ってよ。」

『気を…抜く…ですか…?』

「そうそう。まだ夏は長いんだし、クロウディアの所に行っても今の状態じゃ疲れちゃうでしょ?」

『善処…してみますかねぇ…』


私が頼りないからだ!って言えばいいのに…。シオンは絶対にそうは言わないで居てくれる。
私が自分で力をつける時まで、きっと今の状態が続くんだと思う。

苦労をかけてすまないとは思うけど…。
なんとなく、気にかけてくれるのが嬉しくもあった。


きっと来年の今頃は、ホグワーツへの就職活動が始まる。
そうなったら、のんびりする時間なんてなくなっちゃう。

今のうちなんだよね。シオンに羽根を伸ばしてもらえるのは…。


「ねぇ、シオン。クロウディアの所に行って、またあの孤島に行ったら、今度は一緒に行こうよ。」


シオンの大好きな、フルーツ狩り。


彼の小さな頭を撫でながら、笑ってみた。
すると、深紅の瞳をキラキラさせて返してくる言葉。


『ご要望とあらば……。』


そして、シオンも笑顔を返してくる。
コウモリだって言っても、そういう顔つきはわかる、嬉しそうな顔。


私は、シオンを肩に掴まらせた状態で部屋を出た。
この時から、私の背中にはシオンが常にくっついてる。という構図が誕生した。



******



シオンを背中にくっつけた状態で子供達が遊んでる庭に戻る。


すると、ジニーがギャンギャン大泣きをしてる。

全員が固唾を呑んで見守る光景…。


「泣くなよ〜。」

「うわあああああ〜〜〜〜!!!」

「泣いてちゃわかんないだろ?!」


ビルがなんとかなだめようとしてるけど…難しいらしい…。
ビル自身にもイラついた感情が出てきてるのが、ありありと分る。


「何?どうしたの?もしかして、あたしが怒ったから…?」

「ううん…その後も楽しく遊んでたんだけど…。ジニーが、突然、怒ってロンに飛び掛ったって思ったら、泣き出しちゃったの…。原因が分らなくて…。ロンに何か知ってる?って聞いても知らないって言ってるし…」


アルに耳打ちをするように質問をすると、困ったような顔で返された。

ロンの方に視線を送るけど、何がなんだか分らず困惑してる表情。


原因が不明で泣いてるって事は……。


「いつまでも泣いてると、もう知らないからな!!とにかくロンに謝れ!」

「ねぇ?ビル、ちょっと待った。」


ビルの肩に手を置くと、振り返ってくる。
イライラした彼の目は私にまで一瞬睨みを利かせてくる。
でも、相手が私だと理解するとハッと我に返ったようだった。


「【泣く】って事は、【納得】ができてないから…、なんじゃないかな…。ジニーにはジニーの理由があるんだよ。ちょっといい?」


泣いてるジニーの横に立って、頭に手を置く。
そして、膝をついて、彼女の視線に合わせけど、彼女は目をこすって、泣くばかりだった。


「ねぇ?ジニー?何があったのか…話してくれないかな?」


それでも返答してこない。
当然だ、これだけガンガン泣けば、呼吸も声もまともになんか出るわけないもんね。


彼女の頭を撫でて、抱きしめてやる。
優しく、そしてそっと。

ここでは厳しさなんかいらないから。


「大丈夫だよ…。私たちは、原因を突き止めて何が出来るか知りたいの。だから、ゆっくりでもいいから話して?」


顔を覗くようにそう言うと、ジニーはようやく私の顔を見てくれた。
真っ赤に貼らした目で…涙を堪えながら。


「あ、あれ……あ…れ…」


ジニーが必死に指を指す方向。

小さな鉢植え。
ティーカップくらいの小さなもの。
それが割れて横たわって、中からはピンク色の小さな花が顔を出してはいたけど、無残にも潰れてしまっている。


「ふ〜む…。ねぇロン?もしかして、さっき何か足に当たらなかった?」

「足に?小石みたいなのは当たった気がするけど…。」


なるほどねぇ。


「はーい。原因発覚。要するに、あの小さな鉢植えをロンが倒して割って、んで花を踏んでしまった。ジニーはそれを見て怒った。感情のコントロールがきかなくなって、泣いてしまった…と。まぁ、感単に解釈するとこうなるわけだね。」


片手を上げて掻い摘んで話すと、みんなの視線が、鉢植えとジニー、そしてロンを順序良く目におさめていく。


「あ、…あの花…。」


アルが何かを思い出したようだった。


「この前、ジニーと2人で川に行った時、一輪だけ咲いてて。気に入ってたみたいだったから、それを根元から摘んで、プレゼントしたの。」

「ようするに、ジニーにとって大切なものって事だね。」


ジニーがアルになついてるのは見て取れる。その人からのプレゼントを台無しにされてしまったとあっては、怒って当然。


「と…言うわけで…ロン。何かジニーに言うことあるんじゃない?」


突然話をふられて、驚いた表情をしてみせるロンは、眉をつりあげた。


「なんで?!僕知らなかったんだ!それに、あんな皆が通るような場所に置いておくほうが悪いんだろ?!」


僕だけが悪いんじゃない!
そう言うロンに対して、皆の視線が注目する。


「ねぇ?ロン。確かにあの場所っていうのは、人間がいつ足を引っ掛けてもおかしくはない。でもさ、ジニーが今何で泣いてるか…ちょっと考えてみてくれないか?」


ロンが眉をひそめて、納得いかないという顔をしてくる。


「君は、チェスが好きだよね?勝負の最中にチェス盤をひっくり返されたらどうする?」

「え?そりゃ怒るよ。勝負を邪魔されたんだったら…当然だよ!!」

「でも、その相手はわざとじゃない。そんな場所でチェスをしてるほうがわるい。見えなかったんだから仕方ない。そんな言い訳をされて、果たして納得がいくか?」

「納得いくわけないだろ?!」

「………ジニーも、同じだって…わからない…?」


はっとした表情を見せるロン。
気づいたようだった…。自分がしてしまった事を。


「大切な人からの大切なものを壊されてしまった。知らなかった、分らなかったでは済まないと思うんだよね…。修復は不可能でも、誠意くらい見せてもいいんじゃないかな…?」


ロンは、俯いて肩を落としてる。
みんなが見守る中、ロンがジニーの方に向き直る。


「ジニー…ごめん…。」


やっとの事で紡ぎだした言葉。


「よく言えました。」


叱ることをせず、彼の頭にポンと手をのせる。
怒られると思っていたのか一瞬身をすくませるロン。

皆の視線がある中で、自分の非を認めることは、すごく勇気の居ること。ましてや謝罪はもっと難しい。
でも、ロンはそれをやってのけた。怒る理由なんかない。


「ジニー?ロンもこういってるし…、許してあげてくれないかな…?あと、皆が通る場所に置くのは危ないから、これからは別の場所にしようか?室内ってのはどうかな?」


ジニーの顔を覗き込むと、目を晴らしてはいたけど、うんと頷いてくれた。
ありがとう。と頭を撫でると、少しだけ笑顔が戻ったようだった。


「アルも…。折角のプレゼントだったのに、台無しになっちゃって…。」

「え?私の方は…大丈夫だよ。」


アルに声をかけると、驚いたように言葉を返してくる。


花なら育てられるけど、多分この花は、サクラソウ。
自然界にしか生息しない花。
ようするに人口で育てるのは不可能。

いっくら植物やら、薬品やらと戯れる時間が多かったって言っても、今回サクラソウの事で私の出る幕は無さそう…。

何とか…したかったけどね…。







その日の夜。

夜遅くに泥まみれになって戻ってきたロンの手には、そのピンクの花をつけたサクラソウが握られていて


「はい…。これあげるよ。」


そういって、照れくさそうにジニーに手渡すロンの姿があった。




****続く****

コメント(3)

本当にホームドラマになってきたな…。
まぁいいか。

ってか、ちょっとロンがいいおにいちゃんに見えた。

そして、シオン君、まだまだ秘密がありそうですね。ってあるんですけどね。すんごいたくさん。

レナスも負けじと良いおねぇちゃんしてますね〜☆
このホームドラマのノリが楽しかったりする。

料理以外の家事が苦手な私とは大違いだわ…(≧◯≦)
僕も幼い頃は自分が納得いかないことに対しては謝れませんでした。
...今でもその頑固さは残っていますがねw

時間かけてサクラソウチューリップ探してきたんですね!良い兄です^^
モーフィアスさん

納得いかないことには、私も謝れないっすm(。≧Д≦。)m
だって、納得いかないんだもーーん。
でもそこで、なんで衝突するのか、お互いが何をいわんとしてるかって考えるようになりました。

レナスってまだ10代なのに、それが分ってるみたいで、ほっとしました。
彼女は、日に日に精神的にも成長を遂げているみたいですねo(*^▽^*)o~♪

ロンは、ジニーに元気出して欲しくてサクラソウを探してきました。
良いお兄ちゃんっぷり…。
ロン!良い子に育ってほしいです(〃∇〃) てれっ☆

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