ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第八章 成長期5

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ハリポタ二次小説 レナスの物語

第八章「成長期」5 行く先々




自分の耳を疑ってしまった…。
嘘だろ?


アルティアは少し恥ずかしそうに、もじもじしながら、しかしハッキリと言葉を口にした。


「魔法省の役職に就いて働きます!」


聞き間違いであって欲しいと思った言葉が、白くなった私の頭の中で木魂する。

アルの顔をぐり!って効果音が付きそうなほど勢い良く見た。彼女の顔は真剣そのもの…。どうやら本気らしい…。


「お前…自分で何言ってるのか解って言ってんのか?!!!」


思わず言葉に出してしまった。
意外過ぎる言葉に、どうしても異論が出てきてしまう。それを抑えられるほど、私は大人じゃない!


「解ってないんなら、先に言っとくぞ!魔法省は、半人間を撲滅しようとさえしてる。」


アルは私の顔をまっすぐ見た。何もかもわかってるよ…。そんな目をして…。でも言わずには居られない…。


「お前が、魔法省を訪れた時、半人間ってだけで追い掛け回されて侵入者扱いされて…。大臣のコーネリウス・ファッジにいたっては、私たちを…、半人間や、半獣を、アズカバンに送り込む事だけを考えてる!そんな所に就職?!何をどう考えたらそんな危ない考えになるんだ?!!」


ドクドク沸きあがってくる感情。多分アルはアルなりに考えての答えなんだと思う。




でも…私は…



どうしても…



魔法省のやり方を好きになれない。



どうしても…



どうしても…



「ありがとう…レナス。心配してくれて。」


私は、言うだけ言って俯いた…。

硬く拳を握った私の手を、アルが優しく取った。

ふわりと、まるで、包み込むように…暖かく。


「レナスは…、不可能だって思った事を、可能にしようとしてるじゃない?」


優しく微笑みながら言葉を口にするアル。


その言葉に、はっとした。

今まで私は、許されないだろうと思った薬の研究をする事を許されて…。
まだまだ完全じゃないけど、それでも、前に進んでる。
不可能だと思ったことに、少しずつ手が届きそうな位置に来てる。

だけど…だからって…


「寄りによって、なんで魔法省なんだよ…」


少し眉間に皺が寄るのが自分でわかった。私が魔法省を嫌悪してるって言うのはある。でもそれは私個人的な考えだって解ってる。


でも…それでも…


「聞いて、レナス。私…少しでも…役に立ちたいって思ったの。」


意味がわからない…何言ってるんだ…?


「レナスが、ホグワーツの教師になるって、話してくれた時から、漠然と考えてたの。」


ちょ、ちょっと、待てよ…アル…何言ってるんだ?


「私が、魔法省に行って、何かの役職に就けば、半人間は蔑まされずに済むかもしれない。レナスも…ヴァンパイアハーフだったとしても、これから、レナスの生徒になる子達と、仲良くやっていけると思うの。」


その言葉に、ふつふつと怒りが込み上げてきた。


「ふざけんなよ……」


どこまで…、どこまで…お前は……


「どこまで自分を犠牲にすれば気が済むんだ……?」


アルは半人間のためだって言った。半人間よりも冷徹な人間たちが巣食う魔法省に、真正面から飛び込んで…どんな目に合うかとか考えて言ってるのか?


彼女が握ってる手を振り払って、これでもかと言うほどアルティアを睨みつけた。こんな…こんなの…間違ってる!!


「お前一人犠牲にして、のうのうと暮らせってのか?!冗談じゃない!!ぜんっぜん嬉しくない!!馬鹿かお前は!!!」


罵りたいんじゃない…罵声を浴びせたいんじゃない…
充分だろ……。
これ以上…傷を増やして、えぐる事なんかないんだ!



「私ね…もう…嫌なの……。こんな…こんなふうに生きるのは…。」



思わずアルの顔を見た。その顔は、少し寂しげというか…悲しそうな顔っていうか…。

いたたまれなくなった…


「今まで、私も、おばあ様も、ずっとずっと蔑まされて、化け物扱いされて生きてきたの…。隠れて住んだり、学校に行けなくなったり…。凄く寂しくて…苦しかった…。」


只でさえ、か細い声なのに、一言一言が消え入りそうなほど弱弱しかった。
胸が締め付けられる。苦しい。


「どうして、半人間だからって、こんな風に生きなきゃいけないの?私たちが何をしたっていうの?ただ…生きたいだけ。生きていたいだけなのに…。」


悲痛に訴えるアルの瞳には、うっすら涙が滲んでる。


同じだ…。一年前の私と…。薬の研究をし始めた時の私と…。
アルも私も、同じ…。

きっと…痛みも……同じなんだと…思った…

アルは、自分自身の袖で涙を拭った。


何かを決意したかのように……


「だからね!根本から変えてやろうと思ったの!魔法省が私たち半人間を敵視したり、危険視するなら、根元から変えてやるの!!」


手を、ぐっと握ってガッツポーズをするアル。



なるほど……


半人間が、蔑まされない世の中か…


アルらしい…



さっきまで、溢れてた感情が、自然と収まっていく。大きく揺らいでいた大波が、落ち着き払った、たゆとう漣のように…。


「この気持ちは…レナスがくれた物なんだよ?」


正直驚いた…。一瞬なんの話しだか解らなくて、目を丸くした。ものすごい、間抜けな顔してたと思うけど…、そんな事気にもしなかった。

私が?…なんかしたっけ…?
そんな気持ちでいっぱいだった。


「レナスが薬を研究し始めた時の事は正直、私と出会う前の事だから、よく知らないけれど…、話してくれた事があったよね?」


話したこと……?アルと話したことなんか沢山ありすぎて…。


その時、ふと思い出した、会話の内容。



。。。。。。。。。



アルと出会った頃…。
ちょうど…、地下でトロールが暴れた事件の直後……かな…

夜中の談話室。この時から、人前で話せないことを、誰もが寝静まった頃を見計らって話してたっけ。

それこそ…明け方まで。

この話しをしたのは…、薬の研究をしてるって、アルに知られてしまってから…。


「レナス、薬の研究してるんだね?」


期待に満ちた目で、私の言葉を待つアルティア。


「ああ…まあ…。」


ぶっきらぼうにそう答えた私は、その時、なぜか凄く恥ずかしく思えた。
自分のコンプレックスを曝してしまうみたいで…それを自分が嫌悪してる事実が…受け入れきれてない事実を恥じたから。


「きっと…大変だとおもうよ?半人間の制御薬なんて、誰も研究しようとしなかったのに…。」


眉を落として、アルが言葉にする事を少し躊躇うかのように口にする。


「だからだよ。」

「え?なあに?」


すかさず返した言葉に疑問をもったのか、アルはふわふわした金色の髪を揺らしながらこちらを覗き込んできた。


私は、そんな可愛らしいアルの顔をまっすぐ見て、少し笑って話しを続ける。


「誰もやらないなら、誰もやろうとしないなら、だったら自分でやってやる!そう思っただけ。」


そう、あの時そう思った。薬の研究をしようと、ダンブルドアに申し出た時の気持ち。


「でも…もし完成…しなかったら…?」


申しわけ無さそうに、しかし…アルは不安に満ちた顔で、消え入りそうな声で話す。


「確かに…薬の研究なんて、何十年かかるし、時には何百年だってかかる時がある…。だけどさ…。」


ニコッて笑って、アルのほうを見た。アルは私のほうを不思議そうな顔で見つめ返す。
心配してる所に、不安で張り裂けそうな心境なのに、どうして笑っていられるのか…?
そんな疑問に満ちた顔だった。


「だけど、やってみなきゃ、始まらない。もし完成しなかったら?とか、もし失敗したら?とか…確かに考えたら怖いけどさ…。でもそんな事考えてたって、動かなきゃ始まらない。何もかも、ここからがスタートなんだ。悩むのも、怖がるのも、泣き言を言うのも、自分ができる限りの事をしてからにしようって思って…。」


私の力説が効いたのか、アルの表情が、ぱっと明るくなった。


「頑張ってね!私レナスの事、応援…してるから!」



。。。。。。。。。



笑顔で、これから先を保証なんかされてなくても、自分のやれる事をできるってだけで、私の胸は期待に満ちて膨らんでた。

自分でも忘れてた…この時にこんな志があったなんて事…。
それから暫くして、この志がどこかへ行ってしまった事もあったけど…。ちゃんと覚えてる。

めげそうになる事もあったけど、実際放棄してしまった事もあったけど…、それでも、進みたいって気持ちは、今も変わってない。


「私ね、あの時の言葉…沢山沢山考えたの、自分には何ができるんだろう?って…。私の歌は、人間の深層心理に入り込む事ができる。勝算があるとすれば、そこに賭けたいの。私にしか出来ない事をやって見たいの。やるだけやってから、悩んだり泣き言を言って見ようかって思うから。」


決意に満ちた言葉を聞いて、誰にも止められないんだろうなって直感で思った。
現にダンブルドアも、未だに沈黙を守ってるのが良い証拠だって思う。


「てっきり…歌手になるとか言うと…思ったんだけどね…」


アルが自分で出した結論や決意を否定したいんじゃない。きっと歌うことを選ぶって思ったから、そういう意味では…やっぱり、ちょっとだけ…複雑だった。


「歌うことより…もっと大切な事があるって思ったんだよ?自分や、自分と同じように苦しんで生きてる半人間、半獣が、笑って暮らせるように!」


まったく……呆れちゃうっていうか……天然の癖に…妙な所が頑固で…それでいて…



まっすぐなんだよね… アルティアって奴は……



少しだけ笑ってみた…魔法省はやっぱり、気に入らないし、あの場所の地下には妙なものがあるって噂だ…。
心配は尽きない。


でも、信じてみよう…アルティアの選んだ道を。



諦める事なんか簡単で、誰にだってできる。
まずは、進む必要があるのだから…。



「それが…君の決めた道なのじゃね?アルティア。」


ダンブルドアが、今度は優しい眼差しでアルティアの言葉を投げかけた。
でも、私の時と同じように、また神妙な顔つきになる。


「君がこれから、やろうとしてる事には、困難が待ち受けておる…。それでも…やるかね?」


真剣に、まっすぐアルを見つめる、ダンブルドア。
アルもその視線に答えるようにまっすぐ見つめ返す。


「ここで…留まるくらいなら…。私やります!」


そう言ったアルティア…。


なんだか…


一段と、大人っぽく見えた。





そして…私も…ちょっとずつだけど…




近づいてく




それぞれの行く道へ





****続く****

コメント(8)

やっと成長期ってタイトルが馴染んできましたね☆

アルって天然だっておもってたし、ぜんぜんしっかりしてないって思ってたけど、ちゃんと考えてるんだね〜なんて思っちゃいました。

実は、高校の時の友人がいたんですけど…、ちゃんと考えてるんだなぁ〜?なんて思ったのがかなり衝撃的でした。

ってこんな解説いらないっすね(^_^;)

まあ、いろいろ考えてるのは、自分だけじゃないってことですかね?
レナスもそのへんは勘違いしちゃってた訳ですね。

頑張ってるのは自分だけじゃないんだぞ!うんうん(*^_^*)
アルの目は、きっと遠くを見つめているのでしょうね…

半人間・半獣と人間の、友好関係を築けているであろう、遠い将来を。

半人間界のマザー・テレサかな。
しらけさん

幻想だとおもうけど…。

現実は甘くないのを、彼女も知ることだろうね。

でもまぁ、まだまだお子ちゃまだから、しゃーないってかんじで(^_^;)


あ、踊る○捜査線に出てくる。

青島くんと、室井さんみたいな感じなんじゃないかな?←知らなかったらすまん。

室井さんが、俺は偉くなって上に行く。そして、下っ端がやりやすいようにしてくれる。
だからお前は、下っ端で頑張れ!かならず、やりやすいようにしてやる!みたいな?

なんか、この関係が好きです。
レナスもアルも、困難だけど、素晴らしい将来を思い描いてますね。
2人の夢が成就しますように(*^-^*)

私の取りあえずの目標は、N○Kのケータイ大喜利で、ネタを読まれる事だなー冷や汗
まあ、難しいけど、挑戦する事に意義があるから、頑張ってみますo(^-^)o何度でも指でOKぴかぴか(新しい)
みけちゃん

困難だからこそ、幻想に近い望みだからこそ、2人は諦めないんだろうな〜o(^-^)o

たくさん悩んでもらいますよ〜2人にはね( ̄ー+ ̄)ニヤリ←いじわるな作者


携帯おおぎり!!

あれ面白いよねハートハートハート
やっぱ、みけスライムさんって名前で出すのかな?

わーハートハートハート毎週チェックしなきゃハートハートハート

ぜひ3本を沢山とって、名人になってくださいハートハートハート
クラウドさん

有言実行!!この2人は、がんばりますね!これから、まだまだ長いっすよ☆

苦難も困難もあるけれど、まあ2人だttらあ大丈夫でしょうね☆


クラウドさんも、がんばってください!!

あたくし、皆さんの励みにもなればとおもって、書いてますから☆☆なんてね☆
行動を起こさなきゃ始まらない、というレナスの言葉は自分にも響きましたヾ(^_^;
理に適ったセリフですね
よし!僕もやってみるか☆(何を)

アルティアには魔法省に入ってハーフに対する軽蔑を止めてもらいたいです☆
差別とか大嫌いなんで(笑)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

さしゃの二次小説(ハリポタ) 更新情報

さしゃの二次小説(ハリポタ)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。