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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第七章 ハロウィン8

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第七章「ハロウィン」8 秘密



私はずっと前からこいつの事を知ってた。


冷ややかな目つきでインキュバスを睨む。
浅黒い褐色の肌、茶色の髪はツンツンと跳ねていて襟足だけが長く、その整った端正な顔立ちに添えられた赤い瞳。
黒い服に、黒いローブを着ているスマートなスタイルは、嫌でも目を引く。


何者かなんて思う事は無かった。私の良く知る者なんだから…。確認なんかしていない…。確証もないのに…。

わかってしまった…。


「手を…引いていただこうか…?インキュバス……。」

「また……レナスに変な虫がついたんだね…。許せないなぁ…そういうのって…!!!!」


冷ややかに睨む彼とは違い、ナックの目の色はもはや狂気だった。
いけない…このままじゃ……。

私が身を乗り出した時だった。目の前に立っていた彼はそっと腕を出し、私が動くのを制した。


「貴女は…今動くべきではない…。ここは…オレに……。」


彼は横目で私を見やり言葉を発したあと、またインキュバスに視線を戻す。

今はとにかく、ヤツをビルの体から引き剥がさないと……。でもどうやって?彼は何をするつもりなの…?


「体をのっとったのなら……霊体を引き剥がせばいい……。」


そういった一瞬だった。彼の背中から翼が生えた。コウモリのような…私と同じ翼が。瞬時にインキュバスの背中に回りこみ、腕を伸ばした。

まさに一瞬。腕を振り下ろしたと思ったのに…。まるでその場から動いていないかのような、落ち着き払った表情。
ビルの体は床にドサリという音とともに沈んだ。
そこに残ったのは、半透明になった、ナックの霊体…いわばゴーストだけだった。


「君……今…何したの……?」


ゴーストの目の前で倒れたビルを、彼は大きな腕で抱き上げ、呼吸が正常かどうかを確認する。

その後ろでから声だけを発するナックに対し、相変わらず涼しい顔で背中を向けている。


「僕に何をしたのっっっ?!!!!」


インキュバスは明らかに動揺していた。
私も何が起こったのか良くわからない…なんで…?見ていたはずなのに…。
動体視力も、身体能力も人一倍あるのがヴァンパイアの特性。それでも私には動きを追いきれなかった。

インキュバスである、ナックといえども、何が起こったのか見えてすらいなかったようだ…。


「少年を傷つけるわけには行かないからな……。」


そう小さく呟いて、ビルを床に寝かせる。ゆっくり立ち上がって、彼は再びナックと対峙する。
小さな頼りない剣をぐっと握り、鞘からは抜かずにゆっくりと構える。


「今すぐに退散するのなら……、見逃してやっても……構わん……。」


背中から全身にかけて何かが走った…。
寒気…ちがう…。わからない…。
異様な…そう、これは…威圧…。ダンブルドアの威圧はすごかったけれど…、彼の者は違う…。ただのプレッシャーじゃない…。

私に向けられているわけじゃないのに…。この空気…呼吸さえも持っていかれそうな、威圧感…。
でも不思議と、怖いとか恐ろしいとか感じなかった…。


「どうする…?霊体だけの貴様を……消滅させる事など…容易いのだが……?」


今すぐにでも殺してやりたいといった目つきでナックは私の目の前に立つ彼を睨み付ける。
けれど、一瞬私の方に視線をよこすインキュバスは、口角だけをあげて笑うと、さらに透明さが増した。


「待て!!逃げる気かっ!!!」

「また会いに来るよ…!!その時は、君を誘惑する男ドモを…根絶やしにしてあげるからね!!!」


私が叫んで駆け寄った時にはすでに遅かった…。僅かに光だけが閃光になって消えた。
また…取り逃がした……。


それより…!!


「ビル!!しっかりしろ!!ビル!!」


床に横たわるビルに駆け寄って、急いで呼吸を確認してから、胸を撫で下ろす。


「大丈夫…。呼吸は……正常です…。」

「とにかく…医務室に運ぶ。手を貸してくれ。」


私は彼に、さも当然のように肩に手を置いた。
ビルを医務室まで運ぶために、誰も居ないルートを通って、医務室に行くのに、かなり時間がかかった。


あれ…こいつ…前は壁をすり抜けてなかったか…?


大騒ぎになったら、それこそ大変だし…何より、彼がこの姿でここに居てはまずいと思ったから。



******



「大丈夫。ただ眠ってるだけです。いったいビル・ウィーズリーに何があったっていうのかしらね…?」


医務室に無事に着いた私たちは、マダム・ポンフリーにビルの状態を説明して、診察をお願いした。

説明を求められて、どういったものかって思ったけどここは出てくる言葉に任せようと思う。


「倒れてたんだよ。多分祭りだー!っていって、バタービールでも飲みすぎたんじゃないか?」


余裕って表情で誤魔化したけど…嘘は苦手だった……。ばれなきゃいいけど…。


「まったくもう…。お祭りでハメを外すのはいいけれど…大概にしてほしいものだわ。」


少し呆れたように怒ったマダム・ポンフリーは、私の横に立つ青年を不思議そうに見つめた。

あ……やばい……。


「あなたは……どちら様かしら?」


やばい…どうしよう…。知られたらまずいよね…!!
よし、ここは私が!!!!!


「通りすがりの・ただの・かっこいい・オニイサンです!!!!」


苦しい…苦しすぎる…そして下手だ…下手すぎて泣けてくる……!!!

嘘がうまくなりたいって、初めて思った…レナス・ヴァルキュリア、16歳の秋でした……。って遠い目をしてる場合じゃない!!


「通りすがりのって……どなたかの保護者…?にしては、若すぎるわよね?」


お願い…引っ張らないで!!その話題から離れてくれ!!

すると、隣にいた黒い影が私の横を横切って前に進み出た。
彼は、マダム・ポンフリーにゆっくり歩み寄り、意外な言葉を口にした。


「オレが…どこの誰か…。そんな事はどうでもいいでしょう……?それよりも……」


ゆっくりと言葉を発しながら、マダム・ポンフリーに手を伸ばした。彼女の頬に触れてそっと撫でる仕草は、まるで恋人に愛を語らうかのような仕草…。


まてまてまてまてまてまてまて!!!!!!激マテってなもんだ!!!!
おまえ…そゆキャラだったのか????!!!!!


「髪に糸くずが付いていますよ……。貴女のような女性に会えて……幸運に思いますよ。マダム……。」


とうのマダム・ポンフリーは、頬を赤くして、彼の赤い瞳をとろけるような表情で見つめてる…。

やばい……。ほっといたらコイツ、マダム・ポンフリーを惚れさせる勢いだ!!!


「ちょっと来いっっ!!!!!」


私はとっさに、彼の腕を引っつかんで、医務室から出ようとした。忘れかけていた言葉を発してから。


「ポピー!!ビルの事!お願いしますね!!!」



*****



「そこまで引っ張らなくても…姿を消したりしませんよ……。」

「うっさい!!だまってついて来い!!」


ギロリと睨んで、ぐいぐい腕を引っ張って歩く。他の生徒に見つからないように、話す必要があるから。


にしても……。人がいない場所が地下以外にあるのか……?


……あ…、あの場所だったら……!!



必要の部屋。


本当に必要な時にだけ出てくる部屋。
その扉の前で、扉を開くと、少し広い部屋になっていた。


掴んだ腕の主を部屋に放り投げるように押し入れ、自分もその扉の中に入り、しっかりとカギをかけた。


「少し…加減をして下さい……。」

「うっさい!!いきなりやって来てなんだよ!!」

「何を怒っているのか……見当もつきませんが……?」


冷ややかな目つきは相変わらずだったけど、心底疑問に思ってますって顔してくる。


「何から話そうか…。まずは……。なんで、ライブ見に来ないのさ!!」

「貴女の重要な質問って、まずはソレなんですか……?!」


ああ、ツッコミを入れたければ入れればいいさ!!誘ったのに、来てもくれない!セブルスも見に来なかった!本当にむかつく!!


「あんなに頑張ったのに……!」

「見ては…居ましたがねぇ…。」


うそ…?!
目を見開いて、彼の方を見る。少し微笑んだ顔は……なんていうか、すごく綺麗な顔をしてた。


「なら……いいけど…。」


思わず言葉がにごる…。なんか…いつもと違う。視線が合うだけで、なんか……私…変だ…。


「気に…ならないのですか?」

「何が……?」


彼は、少し近寄って来て、私を見下ろす。
さっきのインキュバスとの対峙で感じていた空気が嘘みたい…。
今は、優しい雰囲気が漂っていた。


「オレが…誰なのか…とか…。なぜ…オレがこの姿なのか…とか…。」


目を細めて、少しバツが悪そうな顔をした。


「シオンは気にするの?以前に言ったと思うけどな……。私はお前が何者でも構わないって。まあ人に変身できるのにはびっくりしたけどね。」


そう…。コイツは…。



シオンなんだ。



私の大切な家族。


人間に変身できるのなんか知らなかった。得体の知れない能力を持ってるとかは…まあ思ったけど、嫌なものじゃないって思った。普通のコウモリじゃないって事は解ってたし…。

戸惑わなかったって言ったら嘘になるけど…、でもだからって嫌だとかそんな事、微塵も思わない。

それが何かおかしな事…なのか…?


「そこまで信用していただいているとは光栄ですが……。もう少し驚くと思いましたので…。」

「驚いたのは、マダム・ポンフリーに対して、あっまーい言葉を吐いてたお前に一番驚いたっつーの!!」


まったく………。まさかこんなキャラだったとは思わなかった……。
ってか…女を魅了するインキュバスより、美形ってどゆことよ!!


「先ほどのインキュバスですが…。」

「私の話はどうでもいいのかよ?!」


まるで漫才だ…。のれんに腕押しのような態度をとられるのはなんか…釈然としない!


「あの者でしょう?夏、貴女を貶めたという、【新たな敵】というのは……。ですから……忠告をした筈なのですがね…。」


嫌味とも取れるように言われて、少しムッとしたけど……その通りだ…。
シオンは気をつけろって忠告を確かにしたし、私自身も自分に言い聞かせていたはずなのに…。


「どちらにしても、ダンブルドアに報告する必要が……ありますね…。」

「いいよ。お前、普通のコウモリじゃないなんて知られたら、追い出されちゃうだろ?私から話すから、ここを出よう。早くコウモリの姿に戻ってくれないか?」


少し呆れたように言ったら、シオンが少し困った顔をして、私から視線を逸らした。
ん?なんだよ…。


「どした?」

「それが……困った事に…元に戻れなくなりましてねぇ…。」


はいいいいいいいいい???!!!


「戻れなくなったって…なんでよ!!?」

「数十年ぶりに人型になったので…戻り方が解らなくなりました……。」


呆れた……!!呆れて物が言えない……。
じゃあ…このまま…元に戻れないんだったら…でられないじゃん!!!


「ん?……数十年ぶりって……お前いくつ……?」

「さぁてねぇ…。100歳を越えてから…、数えるのが面倒になりました。」


100さい……。100ねん以上生きてるのか…!!!??


「ジジイじゃん……。」

「それだけは言わないで下さい…!」


なんだかおかしくなってきた…。クスクス笑う私にシオンが眉間に皺をよせて少しムッとした表情を見せた。
私を見る赤い瞳は、まるで宝石のように光っている。


「じゃあ…しばらくここで待機するしかないね。私も今目立つ事出来ないし……。」

「追いかけまわされる…からですか?」

「まあそんな感じ…。」

「オレは…コウモリでなくても出られますが…?」


不思議そうに言われたからキッと睨んでやった。


「は?!人型のお前と一緒に歩いたら目立つんだって解らないか?!」


ただでさえ、男達から、彼氏はいるのかとか言われてるのに、こんな絵に描いたような美形が私の横を歩いてみろ!余計に追いかけまわされる!

仮に、別行動をとったとしても、シオンが人型の状態で、女子生徒に見つかってみろ!祭りに乗じて、どんなふうに口説かれるか、はたまた群がられるか……考えただけでゾッとする!!


「とにかく!!お前がコウモリの姿になるまで、待つからな!!」

「はい……はい……。」


人を馬鹿にしたような態度。
まったく……。どこまでわかってやってるんだか……。


って……たぶん……どこまでもわかってやってるんだろうな……。



****続く****

コメント(22)

『激マテ』来たーーーっ!!(爆笑!)

シオン君、確かにそれは『激マテ』だ!(笑)
…というか…綺麗な顔して天然て… いいなぁ目がハート
きゃー!シオンかっこよすぎ!!(≧ω≦)

なんだかスネイプ先生の影が薄ッ・・・・・げほげほε≡(´д`*)
みけちゃん

激マテは何処かで使いたかったの☆☆わーい!!笑ってもらえた☆☆
綺麗な顔して天然…というか…あいつは…確信犯です!!

どうしようもない、確信犯です。まったく……。
ペシュールさん

シオンかっこいいんですけど…。スネイプ先生の影が薄いのは、それこそ激マテ!!笑

かっこいいのは、彼の最低条件です(*^。^*)
うは揺れるハート

まるで
漫才だぁぁぁ〜〜(笑)

話を聞いてないトコとか…もぅ
最高だネッ指でOK
しらけさん

漫才になっちゃったんだよね…(●^o^●)
なんていうかね…。最初はこんな感じじゃないかな〜って。気の赴くまま…というか…。イメージがこんな感じ☆☆

シオンはレナスを敬っているのかねぇ……。
話聞いてない時点で、敬ってないよね…。
マジメに心配してるからこそ、話を本題へ戻したンじゃん?

ダイジョブダイジョブ(笑)
しらけさん

真面目に…。そう思う??!そう思ってくれるなら、安心だ!!レナス大事にされてるね☆ひゃっほう(●^o^●)
>さしゃ殿
ヒャッホ━━━(シ`Д´)人(´∀`さ)━━━ィ!!
しらけさん

わっほ━━━(シ`Д´)人(´∀`さ)━━━い!!

変態同盟参上!!!!
カッコ良すぎるぴかぴか(新しい)
シオンがマダム落としに行ってる!?がく〜(落胆した顔)

今のうちにナックを始末しておけば(^ω^;)
モーフィアスさん

シオンくんかっこいいですよねハートハートハート

マダムを落とすのが目的ではなく、マダムにいらん詮索をさせないためにあえてあのような不埒な行動に出ました(笑)

ナックさんは…また来るとおもいます(ToT)
|∀=`) =ヘラ

…二度見ダンヌ(笑)

|艸^`) ムフー

|彡タプッ!!
しらけさん

あたしもこれ好き。

もっと細々書くべきだったか…(^_^;)
ゃ、ワシゎこのテンポ好きだケドね?手(パー)
しらけさん

まじですか!!

おっしゃ!がんばるるるるる!!
しらけさん

3度も読んでくださるとは!!
有難いですm(_ _)m

ハァハァしちゃってるし…(* ̄∇ ̄*)
もし――ここで潮ンが
人間の身体のままで強引にレナスと表へ出ていたら・・・

平気で「恋仲だ」とか言いふらしそぅ。

ナックの注意を自分にひきつけ。。。
ぉぉぉ、イケるw
しらけさん

それで、余計にレナスにたかる男子たちが増えて……・゚゚・(×_×)・゚゚・。
今回、シオンが外に出て行かなかったのは、後に繋がっていくから。都合が悪かったのね。

人型から、コウモリに戻れなかったのも、天然じゃなくて、本当に戻れなかった…。なんて裏設定もあります。
工工エエェェ(;゚Д゚)ェェエエエエ!!!!!

_| ̄|○ ←わざとだと思いこんでいた人
しらけさん

あれって、実は天然。
わざとではないんだね〜。そして、あのタイミングで元に戻ったのも実はわざとではないのですよ。

長年、人型になってなかったから、本当にコントロールできなかったんだねぇ〜。でも、わざとやってる場合はもちろんあるよ〜。
その境が微妙なんだけどね〜Σ(*´・ω・`ノ)ノ

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