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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第一章 「シークレットボイス」2

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第一章「シークレットボイス」2 解放



「……危険…す。」


何が危険だって?


「何人も…学ぶ権利が……」


ダンブルドアの声…。昔、ルーピンが変身した時もそんな事を言ってたっけ…。

頭の上に手を乗せた。酷くズキズキする。

どうやらベッドに横になってるみたいだ…。うぅ…目がチカチカする。医務室だ。

頭がハッキリしない。気持ち悪い。


「今のままでは、彼女をホグワーツにおく事は他の生徒を危険にさらす事になります!」

「今はそれを抑える薬を開発しておる。何人も学ぶ権利はあるのじゃ。」


マクゴナガルとダンブルドアの声。

あぁ…私の話をしてるのか。そう思った時、まどろみの中から引っ張り出された気分だった。まだグラグラする頭を振って、起き上がった。


「気がついたかの?」


ダンブルドアの言葉と同時に、そこにいた先生全員の視線が私に刺さった。

最悪だ…。

ハッキリと記憶がある。暴走してマクゴナガルを襲い、殺そうとしていた。
それがもし…無防備な生徒の群れだったら…。

先生達が私に向ける、化け物を見る視線は現実的だった。
私がどんなに人間でありたいと望んでも、ヴァンパイアの血はそうさせてくれない…。


「気分はどうかの?幸いマクゴナガル先生にお怪我はないでの。」


私の血は薄くなってるから、傷付けた相手がヴァンパイアになってしまう事はない。
そう言いたいのだろうか…。


「先ほどは、君に対して魔法を使ってしもうた。悪かったのう。」


目線をあげる事ができない…。たまらず、両手で顔をおおった。
ここにいたくない。


「……ここを出ていきます…」


やっとの事で振り絞った声は低く言葉にするのがやっとだった。


「何を言っておるのかね?」


ダンブルドアは、意味がわからないとばかりに、ベッドの隣にある椅子に腰かけた。
恐れるでも、嫌悪するでもなく…ごく自然に。


「私は、人を傷付けようとした。小さい時にはなかったのに…年々酷くなる。ここにいたら、本当に誰かを殺してしまうかもしれない。」


相変わらず視線をあげる事ができない。
押し出すように言葉にした。喋る事は酷く困難な事だと思った。


「今回、君の力が暴走したのは、何故と思うかね?」


ダンブルドアは静かにきいてきた。

わかったら苦労はしない…。
月の満ち欠けでだった。以前は、周期は3ヶ月ごと。暴走といっても、気力で乗りきれる程度の物、体調を崩すだけの物だった。今回のケースは、数年ぶりだ…。

考えあぐねていると、ダンブルドアはにっこり笑った。


「わしの感が正しければ…じゃが、君は最近特に力を入れていたようじゃな。授業に試験に課題に、開発じゃ。」


相変わらず返事ができない。力を入れなきゃ、崩れ落ちそうだった。


「今回、君が暴走したのは、心の負担ではないかの?不安も期待もあったじゃろ。じゃが、やることがありすぎて思うようにいかない。違うかね?」


本当に何もかもお見通しなんだろうな…。
ダンブルドアは構わず言葉を続けた。


「今回は、ちと頑張りすぎたのじゃよ。」


頑張らなきゃ生きて行けない世界じゃないか。
ヴァンパイアハーフの何がわかるの?
体が勝手に動くのに、何もできない…そんな経験したことないくせに!
化け物に産まれた訳でもないくせに!!
誰もヴァンパイアの薬を開発しようなんてしなかった癖に!!
ずっと見て見ぬふりしてたくせに!!

一気に爆発した。ドス黒い感情が自分を飲み込んでいくのがわかった。
ダンブルドアを睨みつけ、言葉を吐き出してやろうと、できるかぎり汚く罵倒してやろうと口を開いた。


ダンブルドアの半月メガネの向こうにある目を見据えた。


その瞳は、青く透き通っていていて、優しかった。
全てを見通しているのだと…そう思った。

本当はわかってる。魔法省から中々許可が降りなかったこと。ダンブルドアが真剣に向き合ってくれていた事。

内側から何かが溶けていった…暖かい気持ち。

目の前が滲んで、知られたくなくて…膝を丸め、毛布を顔まで持ってきた。


ホグワーツに入学して、極力目立たないよう過ごしてきた。友達も作らず。誰も傷付けぬように。

私が何者かと知られるのが怖い。

どうか、怖がらないで…あの時みたいに…。何もしないから…。どうか…。

独りは怖い。本当の孤独。

傷付けるのはもっと怖い。

助けて…。せめて…誰かが一緒に悩んでくれたなら…。

一緒に生きてくれる人がいたら…。


涙が止まらない。苦しい…。
昔、話を聞いてくれたジェームズはいない。ピーターもいない…。シリウスに裏切られたから…。
手紙をやりとりするリーマスは……案の定苦労している。
気持ちを共有できる、唯一の仲間。でも…そんな繋がりで彼を思うのはもっと辛い。

彼は大切な、残された友達だから…。


私の考えてる事がわかったのか、顔を埋めている私の背中を、ダンブルドアは優しく撫でてくれた。


「決して独りではない。焦る必要など無いのじゃよ。疲れてしまったら…頭がいっぱいになる前に、カボチャスープでも飲みに来なさい。」


思わず顔をあげた。


「覚えてて下さったんですか?カボチャスープ…」

「もちろんじゃよ。君の、一番好きなものじゃろ?」


ダンブルドアは弾んだように答えた。


ホグワーツに迷い込んだ日、ボロボロになった私に、暖かいカボチャスープをくれたダンブルドア。
変わってない…。10年前と。

あの時のまま。優しいままだった。


少し気持ちが楽になって、笑ってみせた。

顔がこわばって、うまく笑えない。ここ最近全然笑ってない事に初めて気が付いた。



ダンブルドアは立ち上がって、先生達と向き合った。


「セブルス。引き続き、レナスの指導を頼むぞ。」

「承知しました。校長。」


******


退学を免れた私は、相変わらず忙しい毎日。

放課後は図書室にこもっていたから、魔法薬の教室に行けなかった。今日くらいは行ってみようかな…。


不安なまま向かった。本当に爆発でもしたらどうしよう…。



「失礼します。」

ひと呼吸してから、ドアをノックして教室に入った。

いつもと違う事に気が付いた、入り口から見える書庫でスネイプが本の山とにらめっこしてる。あちらこちらに散らばっている本と向かい合う姿が、何だか面白かった。


「何なさってるんですか?」

少し声が弾んだ自分がいる。


「我輩の様になると、書庫がいくつあっても足りぬのでな。」

要するに…整頓してるわけか。なんだかまたおかしくなった。
いつも几帳面そうに見えるのに、整頓とかするんだ?魔法でやれば早いのに。


「お手伝いしましょうか?」

背中越しに声をかけたけど、相変わらずこちらを見ない。


「我輩の書庫をそうたやすく触れさせると思うのかね?」

相変わらず嫌味だなぁ。


「薬、使わせて頂きますが?」

「構わん」

手短に答えて、スネイプは奥の部屋へ入っていったのが見えた。


荷物をテーブルに置き、薬棚に目をやる。
何をどうしたら良いかさっぱりだ…。
ため息しか出ずに、テーブルに戻り、ドカッと椅子に腰かけ、だらしなく突っ伏した。


奥からスネイプが出てきたが、気にせずにいると、私の頭のすぐそばにトコンという音とともに小さい瓶を置いた。
ビックリして顔をあげると、スネイプがこちらを見ている。


色が白いのはいつもだけど…なんか疲れてる感じがしたのは気のせいかな…?


「何ですか?これ…。」

「アレドロフレアとマンドレイクを調合したものだ。」


まったく意味がわからない…。何の薬だって…?
スネイプは再び本の山へと向かった。


「アリドロフレアは強力な鎮静剤、マンドレイクは石化の呪いをとく薬だ。それらを混ぜると、強力な中和薬になる。ヴァンパイアの血とて例外ではないだろう。それをベースに使いたまえ。」


目を丸くするってこういうのなんだろうな…。手伝わないなんていったくせに…。


ふと、本の山に目をやると、【ヴァンパイアの血】【魔法薬と調合】【吸血鬼の生存】【現在の魔法と薬】そんなタイトルの本がたくさんあった。
図書室には無かった本。

もしかして…手伝わないなんて言って、沢山調べてくれた…?
少し疲れた様に見えたのは、ずっと本の山と格闘してたから…?
…ずっと協力してくれてたんだ…。
私が机にかじりつくのと同じくらいの時間、沢山沢山調べてくれたんだ…。


………独りじゃなかった……。

ダンブルドアだけじゃなく、この人も…ずっと、ずっと一緒にいてくれたんだ。



嬉しくてつい口から出た。


「セブルス。………ありがとう」


満面の笑みってヤツをやってみた。
つい昔の呼び方で、名前を読んでしまった…。ヤバイ。怒られる!

そのとき、彼はこちらを向いた。
少し無器用に笑って、こう言った。


「健闘を祈る」


その瞬間から、私は孤独という鎖から解き放たれるのを感じていた。




Fin

コメント(9)

ペンタさん

ハリポタの中で陰険で有名な、スネイプ先生。 男の先生です。

名前;セブルス・スネイプ。
科目;魔法薬教師  スリザリンの寮の監督教師。要するにスリザリン組の担任教師。

そっか…そこからの説明がなかったですね。失礼しました。うっかりです(>_<)


ホグワーツ魔法魔術学校は、4つのクラスからなっています。

☆グリフィンドール (ハリーポッターや、レナスの寮。勇気があり正義感がある子たちの寮とされています。)
☆ハッフルパフ (おおらかな子があつまるクラス。)
☆レイブンクロー (頭がいい生徒が集まるクラス。)
☆スリザリン (実力はあるけど、心理的に、悪い魔法使いが育ってしまう寮。とされています。)

スリザリンは少し特殊で、ハリポッターの両親を殺した、ヴァルデモート(例ののあの人)と呼ばれる、悪い魔法使いの出身寮でもあります。
ハリーはスリザリンに嫌われちゃいます。

レナスはあまり関係ないみたいだけどね。


スネイプ先生の話に戻ります。
ハリーポッターをいじめるのが大好きな嫌味、陰険教師。しかし、私は彼が大好きです。なぜなら…本当は、とても良い人だから。

影でハリーを支えたりして…。
でも、やっぱ、嫌味なのはかわらない笑

そして、私の物語でも、かなり嫌味なのは変わらないけど、でも良い人っぷりはかなり見せてるつもり…なので、その辺りは追々ですね笑


スネイプ先生の特徴

いつも黒い服に身を包んでいて、口から出てくるのは嫌味ばかり。
自分の事を我輩という。

それぞれの寮の減点が大好き。
自分がいるスリザリンの寮だけは、大好きで、めちゃめちゃエコひいきする奴です。
肌は色白で、髪は肩の長さ、洗っていないかのようなベタベタの髪質で、高い鼻はカギ鼻。

多分今のご時世にいたら、キモイと言われてしまうタイプ…。それでもいい!!私は彼が好きだ!!!←あくまで、私の見解
私も大好きだー!!!

・・・・・

・・・・・・・


(暴走、失礼しました(^_^;)
ぺシュールさん

ですよね!!そこが良いんですよね!!

彼は海外では嫌われてるけど、彼の魅力は永遠です!!
ペンタさん

すみません。私の書きやすいように書いてしまったので、そのへんの説明がなかったですよね。

また何か分からない部分があったら教えて下さい。

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