中国のクラシック音楽コミュの最近入手したＣＤから

最近書き込みがないようなので、トピックをたてました

８月に香港に行きましたが、空き時間にちょっとＣＤを買ってきました。

・「慕士塔格」新疆愛楽楽団

　今回入手したもののなかで、一番ユニークなものです。10曲のうち大半は地元新疆の民族音楽や民謡にもとづく管弦楽作品ですが、１曲だけベートーヴェンの「第９」第4楽章後半が収録されています。指揮はアメリカ人と新疆の人、オーケストラも名簿で見る限り漢民族だけでなく「少数民族」の人が多数います。そういう時代になってきたんだなあ、という感じです。
　地元系の曲目は雄大な自然を感じさせるものが多く、逆にいうとややメリハリにかける感じもありますが、聴きやすい曲ばかりです。演奏もつぼにはまっています。
　「第９」では、地元の通信会社の合唱団が参加。ソリストはいません。おそらく中国語の歌詞で、演奏水準も含め違和感は多々ありますが、「やはり第９なんだなあ」という感じと、「みんなでがんばっている」感じがして、音楽とは別な部分かもしれませんが、ある種の感慨をもちました。

・メンデルスゾーン／チャイコフスキー　ヴァイオリン協奏曲
　姚珏（Vn）潭利華指揮中央楽団

　だいぶ以前の録音ですが、最近再刊されたもののようです。オーケストラは再末期の中央楽団でいささか厳しいところもあるのですが、ヴァイオリンはなかなかすばらしいと思いました。透明感と切れ味のある音色で、聴き応えがあります。機会があればもっとこの人の演奏を聴いてみたいと思います。

・「梁祝」　劉元生（Vn)　張永寿指揮香港交響楽団

　これもかなり以前の録音、いかにもな中華系ヴァイオリンで、ポルタメントが多用されたゆらゆらした演奏です。オーケストラはおそらくセミプロの楽団です。おもいっきり中華風の演奏、という意味ではおもしろいです。

・「黄河」「梁祝」民族楽団版
　鲍蕙荞（pf）张鑫华（柳琴）阎惠昌指揮中央民族楽団

　二曲の協奏曲を、民族楽器オーケストラで演奏したものです。編曲は以前入手した上海民族楽団盤と同じ楽譜のようです。中国の民族楽器はかなりのところ西洋楽器と対応でき、また民族楽団と言っても一部には西洋楽器を入れているので、予想されるほど変わった演奏にはなりません。むしろ、もともと民族性の強い二曲ですから、けっこう「はまって」いておもしろく聴けます。

・This is Classical Music 2 　葉詠詩指揮香港シンフォニエッタ

　今回コンサートを聴きに行くつもりが、当日はすでに完売で涙をのんだ香港シンフォニエッタ。これは入門向けCDで「くるみわり」「カルメン」などが入っています。正攻法で、入門向けだからと言って手を抜くことは一切なく、洒脱な演奏で楽しく聴かせてくれます。これが二枚組千円ちょっとですから、お買い得です。

・「黄河」　金根哲（pf）　金炳華指揮朝鮮国立交響楽団

　中国のオーケストラではありませんが、中国の曲で、香港のレーベルから発売されているので、ついでに紹介します。
　けっこうマイナーなディスクを集めているつもりですが、北朝鮮の演奏家のものは初めてです。国立交響楽団だけあって演奏の水準は高く、「黄河」はもちろん、併録の「ルスランとリュドミュラ」序曲、「美しく青きドナウ」などでも、完璧なだけでなく音楽的にもすばらしい演奏となっています。ただ、「黄河」では、第二楽章最後に中国国歌のフレーズがでてくるところを、思いっきりまるでファンファーレのごとく高らかに鳴らしてしまっていて、日頃このオーケストラに求められている演奏の「性格」を思わされました（この部分、中国のオーケストラはたいてい、大草原に響きわたるようなおおらかな響きを聴かせます）。ピアニストもすばらしく、第4楽章の最後では、オーケストラともども、私のもつＣＤのなかでも屈指の堂々たる響きとなっています。
　北朝鮮の演奏家については、最近悲惨なニュースも韓国メディアによって報じられており、演奏環境は厳しいものがあるとうかがわれます。しかしそのなかでも、芸術的な高みをめざしてがんばっている演奏家がここにはいる、と感じさせられてました。それだけでも、このＣＤを手に入れた価値はあったと思います。　