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空想歴史愛好会コミュの『深緑の瞳』

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空想歴史小説としては三度目のトライ
最後まで書き続けることがひとつの課題です
なるべく短編・完結を頭に描きつつやっていきます
はたしてどうなるか…

コメント(67)

(どういうつもりだ?我らもなめられたものだっ!)
六つの影がひとつの獲物に次々襲い掛かる!
「がっ」「なにぃ?!」
先に仕掛けた二つの影が頭を切り落とされる…
四つは散し、遠巻きに久を取り囲む
(何をやった?)
久は不適な笑みさえ浮かべながら左へ
すると左から囲いはじめていた二名が襲い掛かる
「!!」「?!」
久に近づく直前で先の二つと同じ運命をたどった
(手応えがなさすぎる…八陣そのものがおとりなのか?)
久は残る二つの影を打ち倒し周囲を警戒する
おとりであれ我らが先行できたのは事実…
先を急ぎながら考えをまとめる…
(!…まさか今のが一陣か?…となると敵は400近い…
半蔵め総動員してきたのか?…ならば十二士も呼んだか?!…
…!まずいっ…考えてみれば単純なことだった…
夜叉は十二士に囲まれたのだ!…先に抜けた仁助が狙われる!
新兵衛は一点突破に成功したが、先を読まれていた
突破した先には伊賀最高峰の異能集団が待ち受けていた…
fhhhiiiiiii-----------------
新兵衛の草笛が響き渡る…
と同時に仁助が急停止し真左へ進路を変えた…
(…?!…あれは…罠か?……)
草笛の合図がなければ通過していた路に光る糸を見た…
(確かあれは久が使う糸…伊賀でこれを使う…十二士か?)
仁助が与力と合流を試みる
だが、それを遮る風が吹いた!
「ぐえっ!」
風は一瞬に通り抜け仁助の胴を薙いだ…
風の名は朧…神速と言うべき俊敏な動き身上としていた
(…むっ…鎖帷子か?…)
仁助は小柄で首が短くずんぐりした体型であったため
俊敏な朧の攻撃を胴で受けることになってしまったが
これが幸いし、致命傷を免れていた
とはいえ、その衝撃は尋常ではなく身動きがとれずにいる…
(ならば仕留めるまで…)
再び仁助に向き直ろうとしたその時!
途方もない大木が朧と仁助の間に割って入った!
ずがぁぁぁぁぁーーーーーーん!!!!
与力が投げつけた大木と同時に仁助の元へ向かう法衣…
ひるんだ朧へ煙幕を張る
(小癪なっ!甘いわっ!)
大木の動きを寸前でかわし煙幕を掻い潜る…
先には夜叉を背負い、仁助を小脇に抱える与力と法衣
(ちょうどいい…4人とも片付けてくれる!)
俊敏な朧は視覚で捉えきれない二人はあらぬ方向を見ている
(もらったぁ!)
刀身が法衣の首筋へ伸びていく…
だが、そこに別の影が…
朧の横脇へ手刀が喰いこむ
その衝撃はすさまじく、肋骨を粉砕したっ!
「がはっ!」
吐血しながら朧が弾ける!
岩を背にようやく止まった身体がゆっくりと沈み込む…
驚愕の表情を浮かべたその先に黒い塊がある…
覆面をした黒装束の男が最期を看取り法衣へ近づく
二人とも事態が飲み込めず動けずにいる
黒装束が腕をとった
『…ここを突破すればいいのだろう?』
半蔵は新兵衛に配下の半数を遣った
一重に6人八組の八陣で襲い掛かり
それをさらに二重の八陣で取り囲み、十二士へ誘った…
目的は新兵衛を足止めすることにあった…
もっとも手強い夜叉を偶然にも十二士で囲い重傷を負わせた
仕留めそこなったがもはや最前線に復帰できないであろう
半蔵にとって新兵衛は獲物ではなく
最大の目的に対する単なる一障害物でしかない
十二士とはいえ、送り込んだのは二人のみ…
「さぁ!真田の娘をひっとらえるのだっ!」
久と同じ技を持つ痣丸は遠目で朧が崩れるのを見ていた…
(あの朧を凌ぐとは…何奴だ?!黒装束…
夜叉以外にあれほどの使い手がいたとは!
のんびり構えていたが…そうもいかなくなったようだ…
まずはこの報せをお頭にとどけねば…
…ふむう…あ奴…我の存在をも見つけておる!…
何としたことだ!…)
冷徹な男が怯えを感じている。じっとりと手が湿っていく…
(向かわなければこぬ?か?…敵ではない…
朧は奴を邪魔しただけだ…放っておけば害はないか…?)
深緑の瞳は遠くを睨みつけながら地に置いた右手を離した…
『もう襲い掛かるモノはいないようだな…
…合流先までうまく辿れそうだ…』
言葉ではなく肌でその凄さを体験した法衣は…
『…同じ忍びか?…この国ではない?…伴天連か?…』
溢れ出る疑念をもはやとめることはできない
『ではなぜあのお方…似すぎておる…血を受けているのか…』
『…あの魔王は死したはず…生き返るなど…』
僧でもある法衣は比叡山の生き残りでもあるのだ
『…どこから…誰だ?…おまえは誰なんだ!…』
新兵衛が最後に合流すると一人の男が動いた…
深緑の瞳が怪しく光り、中央に座す。
「…多く…語り…できぬ…」
はじめて聞く声色に思わず後ずさりしてしまう…
すでに意識を取り戻している夜叉が新兵衛に振り返る
「いずれにせよ、はっきりさせねばならない…」
表情に固い意志を覗かせる
皆の眼目が集中する…
「恐らく藍姫、弥助は半蔵の手に落ちているであろう…
我らの取る道はひとつ…手を借りねばならぬ…」
深い森の中で奇妙な光景である…
七つの腕がひとりの両腕を掴んでいた…
半刻も経っていないであろう…だが七人には永き時であった…
それは創造を超えていた…
天を遥かにこえる船…
様々な生命体…
異能の世界…人々…
すべてを理解できないが全員が彼の存在を信じた…
開放された接触テレパスではすべてが真実であり
互いの不信感はパズルピースを埋めるがごとく解消される…
七つの知識を得た男が口を開く…
「元の異界に戻るにせよ、天空をこえるカラクリがいる…
そして鍵を握るのが藍姫の持つ石なのだ…」
七人は夢の中を彷徨いながらそれぞれが頷く…
先に我を取り戻したのは夜叉であった…
「…もっともなことだが…取引は…」
そう言い放ちながら断る意思はなかった。新兵衛が引継ぐ…
「…藍姫を弥助を助けてからだ。石のことはわからぬゆえ…
事が済めば藍姫に引き合わせよう。我らの前で…
これが我らに約せることだ…後は姫が決められる…」
時は過ぎ…八つの影が輪になり策を練っていた…
「…ふむ、これでいいだろう…異論はないか?」
すると久が神妙な面持ちでつぶやいた…
「…はづき…葉…月…しっくりくるかなぁ…」
黒装束の男を眺め回し連呼しはじめた…
「はづきっ!」「葉月」「はぁずぅきぃ」
首を傾げながらも次第に納得したような表情を浮かべる…
「何の話だ?」訝る新兵衛に蔓が割ってはいる…
「なまえだよ。な・ま・え。なければやり辛いぜ、やっぱ」
「決まりっ!あたいが名付け親だぞ、感謝しろっ!」
時は遡る…それは朧が息を引き取った頃合であった…
ひとつ…またひとつ…次々に襲い掛かる追っ手に斃れていく…
もはや動く影はふたつしかない…
そしてその影すらも動きを止めた。
四つの人型が音もなく現れる…
「ようやく捕らえたか…時がかかったな…」
「我らが束でかかるほどの者か?」
「…どうやら二手に分かれたようだけど、手緩いね」
「早く済ませる!頭の下へいくぞっ!おいっ!早くしろ!」
ようやく追いついた配下へ息をつく間もなく怒鳴りつける
一月もの間捕らえ切れなかった娘の顔を見ようと屈み込む…
「…!…なっなによこれぇ?…」
そこには古びた着衣をまとう木切れが…
「…空蝉?」
気づくとまわりの景色が次々消え失せていく…
「小癪な真似を!」
「…かすかに匂う…幻術使い…確か詠師とか…」
「まだ楽しみは残っているわけか…」
彼らは四天とも死天とも呼ばれている
「ふんっ、小手先の術など苦しい証拠よ。急ぎ追うぞ!」
「さすがに騙し切れぬか…」
四天が去った側の木切れがむくっと起きた!
真田の忍びでも最長老の詠師は辺りを窺う…
微かに漂う気配が次第に大きくなっていく…
「…?!…くるっ!…」
上空から物凄い速さで降下してくる…十…二十…
「鴉?」
気が狂ったように襲い掛かっていく…
死を賭した攻撃を肩に受けよろめく…
獣に術は通用しない…眼前の鴉を打ち倒すしかない…
黒い塊が音もなく崩れ、空に飛び立つ…
残された仲間の屍に埋もれた詠師の変わり果てた姿が見える
「年は取りたくないものだ…」
そうつぶやくと男は幻術使いを四散させた…
「さて…あとは奴等に任せるとするか…」
半蔵の懐刀…裏四天の一人朱雀…
表の十二を凌駕する異能の持ち主である
すべての戦力を投入する価値が真田の娘にはあった…
正確には娘が知る、伝え聞くあるものの存在…
誰もが欲し、そして敵に決して渡してはならぬその存在…
半蔵は手勢を長倉山砦に向かわせていたが
捕縛の報を聞くと川沿いに陣を止め、方円に守りをかためた
『何としても手掛かりを掴まねば…』
冷徹な男にしては珍しくあせっていた…
動きを捕らえ、これを襲ってからすでに一月…
主君を取り巻く状況は目まぐるしく変化していた…
あらゆる方面へ手を伸ばし最期の一戦に向け準備は怠りない
だがここでしくじれば待ちに待った時が遠のいてしまう
朧を失ったとはいえまだ十一の使い手がいる
さらに裏四天も側に配し万全を期した。あとは待つだけ…
半蔵の傍らに四天の紅が近づきいくつかの品を手渡す
その中で一際異質の存在がある…
『石?…見なれぬな…伴天連のものか?…』
暗青色に怪しく光る石…
石四隅に銀細工の爪がでており背後で十字に繋がる
見ると文字が刻まれている…縦に九字…横に九字…
中央で交わっているため全部で十七文字になる…
『…かなり古い…これを読めるのは…』
半蔵は特殊な墨でこれを布に書き写し慎重に折り畳む
「これを天海に手渡せ…四天総力で務めるのだ」
紅を下がらせ、自ら幔幕の裏へまわっていく
「どうだ…?」
我を失った娘の側につく男が首を横に振る…
「やはり居士の手がかかっておりまする…これ以上は…」
手にした香を差し伸べ再び娘は深い眠りについた…
『小癪な真似を…ならば奴の術に乗らねばならぬか…
石…娘…そして…おそらく昌幸か?…揃えねば…
…おびき寄せるか…それとも…!!!!!!…何だ?
この感覚…体の中まで覗き…この私が…?…脅えている?』
そう遠くはない場所で黒装束の男が地に手をかざしていた…
黒装束の腕に七つの手が伸びている
その場の全員がすべての敵の位置を察知し、そして
手強い敵となる十二士…半蔵…それぞれの存在を知り得た
「十二士の一人は打ち倒したはずだが…五つ…感じが違う」
新兵衛が漏らす…
「藍姫はその五つに囲まれている…手強い…」
黒装束を通じてはいるが、その感覚には確信があった…
「とにかく捕捉した!助けるぞ!」
そう言い放つと八人は三手に弾けた!
敵の総数は400近い…50対1の戦いに挑むしかない!
『この気配…あの男がくるのか?…』
震える腕をおさえながら遠くを目にする…
崩れゆく朧のイメージが自分にかさなっていく…
『ちっ!…臆病になったものだ…くそっ…』
怒りの感情に少し落ち着きを取り戻す
すぐさま配下に合図をおくり、頭に向ける…
『頭はこの感覚を捕らえているだろう…理解を超えるが
我らのこの数に挑む愚か者がいることを…
愚かだが…一人…いや夜叉を含めると二人は異質だ…
十二士四天でかかっても勝てるか…』
【半蔵の布陣】
二間ほどの川沿い東側に藍姫・弥助らを取り囲む本陣。
ここには半蔵の配下100余りが守備につく…
四天が去ったため、今は別の十二士四名が指揮をとる
川向こう長倉山砦方面西南に十二士痣丸ら六十
西北には別の十二士が六十を率いている
西側は小さな小川がいくつも流れ込む山手となっており
遠くに見える山頂まで扇状に広がっていた
一方本陣を構える東側は見晴らしの良い草原が広がり
この草原から森の入り口までに百を配していた…
鷹の目をもつ十二士…雁助が草原の果てを監視する
不気味な気配が消えてからそれほど時は経っていない…
『…むう?…敵の数は少ないが我らの包囲網は抜けられぬ
問題はどこから来るかだが…』
異様に大きな瞳をギョロつかせあたりを窺う
すると北から薄煙が流れ込んできた…
『煙幕…真田の坊主か?…』
煙は次々に広がり草原を覆いつくすように伸びてくる…
『このまま紛れるつもりか?そうわいかぬわっ!』
雁助は術を施し風が巻き起こる…煙の進行が止まった…
押し返される煙に不敵な笑みを浮かべている男がいる…
『…半蔵…死を彷徨い蘇った我が身を再び味わえっ!』
男が声にならない叫びをあげると次々に火の手が上がった!
ごぉぉおおおぅーーーーーーーーーーーーー
意志のある生き物のように次々と敵を屠っていく…
「た、助けてくれぇー」「うわぁ!」「ひぃー」
伊賀の精鋭が見る影もなく崩れ去り、本陣に駆け戻る…
すでに雁助を含む半数以上が火達磨に変わっていた
四天の後を任された十二士が建て直しに躍起になっている
『夜叉…しぶとい男だ…だが俺の目は誤魔化せぬぞっ!』
守兵の一人が大火傷を負い、のた打ち回る仲間に歩み寄る…
うがぁあああーーー
転がる仲間に守兵は…
側にいた別の守兵が手を貸そうとした時である!
『あ奴っ!仲間を斬ろうとしている!正気か?』
がきぃぃいいいいっ!
狂騒していた仲間は刀身を受け止め反撃すらかけてきた!
『…?????…何だ?…何がおきているんじゃ?』
二人は縺れながら川に向かっていく…
仲間に扮した夜叉を見破ったのは裏四天の白虎であった
白虎は様々な技を持つ裏四天でも正統派である
とにかく基本性能に優れていた
肉体の強靭さ、俊敏さ、術を見破る頭脳…
『…こいつは…十二士を凌駕する…て、手強い…』
思わぬ強敵の出現に動きを止められ、次々と新手が終結する
いくら夜叉とはいえ互角の敵に加え、この数では…
『…時を…時を稼がねば…まだか…』
ちらりと本陣、川向の北東方面を確認する…まだ動きはない…
それにしても先程から行動範囲を川沿いに封じられている
『…水で動きを封じれると思うなっ!』
北東に陣を張る十二士沙門…蜘蛛に似た体型をしており
そのひょろりとした手足は俊敏で頑丈であった
木々の間を自由に行き来しながらあたりを警戒している…
『この感覚…半蔵様に似た畏怖を感じる…』
蜘蛛男の動きが止まった…
『おかしい?…静かすぎる…』
仲間の気配すらも薄らぎ…不気味なほど静寂な森…
背後に異様な気配を読み取り、一気に十間近く跳躍する…
『糞っ!この私が後ろを取られるなど…』
滅茶苦茶に動き回り振りほどこうとするが…
『…この星では力の使い方がわかっていないらしいな…』
深緑の眼下にはひょろながい手足をもつ生き物が横たわる…
まるで小さな虫のように胴をつぶされている…
『この先が本陣…五つ…彼らもそうであってほしいが…』
小川沿いに本流へと走り出していく
…葉月の異能は抜きに出ていた…
瞬く間に北東に陣を張る六十余命を打ち倒し
またもや十二士をものともせずに屠った…
次に相対するは恐らく裏四天…あるいは半蔵本人…
力の存在を認識する葉月に分がありそうだが…
川向こうの本陣…そして川沿いには夜叉の姿も見える…
『…あれは…夜叉…さぁ!はじめるぞっ!』
葉月は本流の水上に手をかざし、しばし念ずる…
ざわざわと水面が揺れ動き…次の一瞬!
本陣側の水面から人の数倍に近い水柱が…いや水壁が現れた!
水は竜のごとくうねり、本陣へ押し寄せた!
さすがに半蔵・裏四天は驚きを隠せない…
「なっ!何だっ!」
幔幕を打ち破って数条もの水柱が襲い掛かる…
水柱は藍姫を取り囲むように伸びていった…
『!…きたかっ!』
水壁がおきる数瞬前…葉月の気配を感じ取った夜叉が身構える
その姿に白虎がいち早く反応した…
『…むっ…何か…くるっ!』
水壁が突如現れ、本陣の味方を飲み込む…
火炎を逃れ…間もなく…次は水壁である…
ひぃぃぃぃっ!うわぁああぁぁぁあああああああー
もはや冷静でいられるはずもなく
水壁に行く手を阻まれ炎に身を投じるものが続出した
『馬鹿が…これでは奴等の動きを止められん!』
夜叉はすぐさま本陣に向かう為川中へと移動させていく
『何をしたのかわからぬが…奴だけには襲わぬ!』
連れて白虎もその背後に追いすがる…
だが一瞬遅く夜叉との間に水流が飛び込んでくる…
『くそっ!ここまでか?!…だがこの水量…破れる!』
同じ頃、半蔵も見破っていた…
『所詮川の水だ…我を止められるものかっ!』
だが…着地した水流が凍りつき、氷壁となりはじめた…
驚愕の表情を浮かべる半蔵…
『真田の忍がここまでやるとは…委ねるか…』
氷壁の向こう側では侮蔑され、憤慨する半蔵の姿が見えた…
「…姫は返してもらう…」
夜叉は言い放つと、藍姫を抱え本陣を出て行く…
幔幕の外では川の上流から新兵衛らも到着していた
弥助らも救い、葉月の打ち倒した北東方面へ
季節外れの氷に囲まれた川はキツイ日差しで幻想的に輝く
急ぎながらも新兵衛らは、改めて葉月の凄さを感じている
「葉月っ!お勤めご苦労!」
久が肩を軽く叩く…葉月は軽く笑みを返したが気は抜けない…
『恐るべき敵だ…あの五人は違う…次はこう簡単にいかぬな』
目的は達したとはいえ半蔵の怒りは消えない…
長倉山砦に辿りついた半蔵に寄せられた報せは
十二士朧に続き、雁助・沙門らの憤死と仲間の半滅である…
一度は死の淵に追い遣った夜叉には生還され
新兵衛ら八人いずれも打ち倒すことが出来なかった…
『それにしてもあの技…夜叉ではない…あ奴は火の使い手…
真田…飛助?…才蔵?…いやっ?違う…
敵に委ねたとはいえ心してかからねば…』
蝋燭の炎に半蔵の影が揺らめく…
手には小県の地図…そして刻まれた文字が描かれていた…
半蔵の手を逃れ小県へ向かう一行…
前を行く新兵衛に葉月が近づく
「…二つ…非常に大きな力がこの先に…
数も多い…二十から三十以上…避けて通るか?」
少し思案した新兵衛が振り返る
「蔓!久!先の様子を見てくれ!仲間かも知れぬ」
二人はコクリと頷くと二手にわかれて消えていく
藍姫・弥助らの意識が戻らないため無理は出来ない…
真田の勢力圏に近いが…
にわかに緊張が高まっていった
蔓はひとつの影に近づき合図を送る
久はその後方に位置し、状況に応じ加勢や伝令役となる
聞きなれた合図が帰り蔓は影の前へ姿をあらわす
「おおっ、蔓か?探したぞッ!」
警戒心が崩れ、好々爺の顔つきになる…
影は真田の城下に遣えていたはずの組頭であった
「まずは頭に…!」
少し離れて久もあとをつける…
『…葉月は…二つ…そういっていた…頭と…誰?』
…警戒する久の背後にせまるものがいた…
蔓が面会したのは確かに頭であった
「新兵衛配下の…確か蔓と申したな…」
無造作に近づいてくる頭に蔓は緊張の面持ちだ…
頭とは初対面だが、数々の伝説を作った男なのだ…
この男があの…
近況を手短に報告し、すぐさま久に合図を送る
『…やはり頭!…よしっ!………!?…』
気配を隠していた存在に気づく…敵意は感じない…
葉月の出会いから久の異能は急速に発達しているのだ!
「誰っ?」

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