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文章を書きたい。コミュの風鈴/サボテン/うちわ

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コメント(4)

宣伝用のうちわを煽ぎながら大通りを行き来する人々
ちょっとした路地裏に入ると聞こえてくる風鈴の音
打ち水された道路
夕日に映える赤いサボテンの花
そんな夕涼み
殺人的な暑さから逃れるように空調の効いた事務所のドアを開ける。
ちりん、と涼しげな音が響き、大層嬉しそうな妖(アヤカシ)の姿が目に入った。

*リアル*

「…何やってんのお前」
「お、おかえりー」

汗を吸ったYシャツが気持ち悪い。ネクタイを緩めながら、いつしか事務所に住み着いてしまった座敷童に問いかけた。
彼の右手にはうちわ。左手に風鈴。目の前には花屋からもらってきたサボテン。その向こうには、花畑や海、白亜の町などの美しい風景を映し出すスクリーンセーバー。時折彼の右手がひらめいては、左手に持ったガラス細工をちりんと鳴らした。

「…なに、やってんの」
思わずもう一度聞いてしまった。
小さな座敷童は誇らしげに立ち上がると、恐らく一から十まで花屋からの受け売りであろう知識を披露しはじめた。

「サボテンはな、キレイなもんがすきなんだ」
ほう。
「きれいな音とか、絵とか、景色とか、えっと、そんなだ」
へえ。
「だからだ!」
……。

「…楽」
「ん?」
「…これが、そうなのか?」
「何が?」

風鈴の音。液晶画面に映し出される、花、空、海、街。
それらが美しくない、とは、言わないが。

「楽」
「だからなんだよ」
「出るぞ」
「…は?」

一度キーケースに戻した車の鍵を再び手に取り、緩めたままだったネクタイは面倒だからそのまま抜き取った。

花でも、空でも、街でも、海でも、なんでもいい。
ただ、画面越しじゃない手の届くリアルを、見せてやりたくなったんだ。



おわり。
 うちわでパタパタと風を送るが、厳しい残暑の熱気は夜になっても収まらなかった。
「あっちー」
 敦はそう呟き、一生懸命自分に風を送る。クーラーが壊れて一週間。旧型のクーラーを後生大事に使っていたのが仇となり、本来ならあっという間に終わるはずの修理も進まない。いつ電話をしても、取り寄せ中と言われるだけだ。
 窓際に吊るした風鈴は、ちりりとも鳴らない。風が吹かないからだ。
台所では、妻の美由紀が夕食を作っており、その熱気でまた暑さが増す。
「お前も暑いだろう」
 窓の縁に置いたサボテンの鉢。丸っこい棘棘の体も、心なしかしなびているように見える。
自分が飲むためのペットボトルの水を、サボテンにとくとくとかけてやった。
「あー!!」
 背後から怒鳴り声。
振り返ると、美由紀が立っていた。素麺がたっぷり入ったガラス鉢を持っている。
「ちょっと、水はやっちゃ駄目って言ったでしょう」
 素麺をちゃぶ台の上に置き、慌てて敦に駆け寄った美由紀は、その手からペットボトルを取り上げた。
「何するんだよ」
「水をあげすぎたら腐るから、あなたはやらないでって言ったでしょ」
「暑そうだったから、ちょっとかけてやっただけじゃねぇか」
「その少しが命取りなのよ。素人の癖に」
「てめぇだって、花屋でパートしてるだけじゃねぇか。偉そうに言いやがって」
「何ですって・・・」
「サボテンの世話よりもなぁ、たまにはまともな飯でも作れってんだ。暑いったら素麺ばっかり作りやがって」
「だったら、あんた作りなさいよ。別に食べてくれなくて結構ですけど」
 ちりーん・・・。
 ヒートアップする二人の耳に、涼やかな風鈴の音。そして流れ込んでくる涼しい風が、二人の心から熱を取り去った。
「・・・悪い、言いすぎた」
「・・・いいけど。食べる?」
「おう、腹ペコなんだ」
「じゃ座ってよ」
 夏の夜は更けていく・・・。

お粗末さまです。
暑い、と友人は団扇を扇ぎながら呟いた。
もうすぐ夏も終わるというのに連日真夏日である。
彼はクーラーをつけようとしたが、夏場に彼にこきつかわれた為か退職されてしまっていたのだ。
だから仕方なく、彼は窓を全開にして扇風機と団扇で耐えているのだった。
「暑い」
さっきからこればかりだ。
「オマエはそんな窓辺にいて暑くないのか?」
鍛えかたが違うからな。
暑さには強いんだ。
「オレには耐えられないぜ」
そう言って2リットルのペットボトルの水を豪快に飲む。
「オマエも要るか?」
遠慮しておく。
私はそんな水飲みではないからな。
彼はペットボトルを置くと再び団扇を扇ぎ始めた。

夕暮れ時に窓の外から美しい声を聞いた。
歌だったのかも知れない。
「癒されるなぁ」
同感。
彼女の澄みきった声を私はすぐに好きになった。
久しぶりに友人と意見が合ったような気がする。
「やっぱり夏にはこれだね」
この歌を聴いていたいのならずっと窓を開けてればいいのに。

私はいつまでも彼女の歌を聴いていたかった。

秋になって彼が窓を開けるようになったが、しかしあれ以来彼女の歌を聴くことはなかった。

〜〜〜〜
〆切を大きく過ぎてスミマセン

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