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おもしろ歴史館-新裏太郎山通信コミュのマガジン第十三号 『「日本は先進国」のウソ』

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先日のテレビ報道で、北朝鮮の核施設爆破の瞬間が、あたかも映画の1シーンかのように流されていました。北朝鮮(正式の国号を使用すべきでしょうが、便宜上北朝鮮と表記します)の核放棄への一里塚になればよいのでしょうが、これまでの彼の国の外交姿勢や内政を見ていますと、そうそう楽観視していいものやら。事実、これで1歩前身という肯定的な評価(ブッシュに追随する福田政権はもちろん、日本共産党もそういう評価?をしていました)に対し、まだまだ予断を許さないとか、これで拉致問題が更に遠のいたとする見方もかなり有力です。
この急展開は、評価する側がいう、6カ国協議の賜物というより、アメリカと北朝鮮のそれぞれのお家事情での接近でしかないという側面が極めて強い気がします。ブッシュの言う「非核化」や「平和」が、いかにご都合主義で欺瞞に満ちたものであったか、また北朝鮮が、前近代的でファッショとでも言うべき政治体制をとっている国であることを考えれば、今回の措置が果たして評価に価すべきものなのか、大いに疑問です。何故なら、核の真の放棄はもちろん、自国内の民衆への圧迫、外国人拉致といった国家犯罪を終焉させるには、金正日体制のソフトランディング的な崩壊(金正日の亡命を含む)に向けてのシナリオしかないと思われるからです。
ダブルスタンダードは、アメリカのお家芸ですが、それにしても無理難題でイラクを攻撃し、フセインを崩壊させただけでなく、国そのものを混乱の局地に追い込んでおきながら、一方での金正日体制への「甘さ」は際だっています。それに闇雲に追随する小泉、安倍、福田と続くポチ政権も同罪なのですが。
国家の存在価値の第一は、国民の生命と財産、安全を保証することです。しかし日本という国は、その最低限のことすらやってきませんでした。外交関係だけでも、北朝鮮による拉致被害者即刻帰国に向けてのこれまでの不誠実さ、高藤さんはじめイラクでの人質にされた人々への対応、ミャンマー軍事政権への長井さん殺害への抗議の生ぬるさ等々、どれをとってもまともな極めて不十分です。

余談かもしれませんが。しかしこれまでの歴史が明らかにしているように、日本の対外侵略の突破口は、常に「在留法人保護」を口実に行われてきました。1874(明治7)年には、「琉球民殺害事件」を口実に台湾に出兵して一部を占領、その後の日清戦争後の本格的植民地化の足懸かりを作っています。また1932(昭和7)年には、第一次上海事件(関東軍の依頼を受けた公使館付武官田中隆吉が中国人を買収し、日本人僧侶を襲撃させ、内一人を殺害させた。こうして日本人の反中国ムードと危機感を煽っておいて、ついには犬養毅政府は、陸軍を出動させた)を引き起こしています。

拉致の問題も、そうした政府の姿勢を厳しく問いただす姿勢があって初めて可能だと思うのです。

さて、今号は、お薦め本の紹介です。
『「日本は先進国」のウソ』杉田聡 平凡社新書
惹句に「先進国が聞いてあきれる」とあります。このところの派遣労働のひどい実態やワーキングプアといった「先進国」らしからぬ貧しい国情が明らかになってきたこともあり、一気に読みました。ややセンセーショナルな標題という気がしないでもありませんが、極めて丁寧な分析による官僚国家日本の告発になっています。
筆者は、「先進国」の範疇には、日本はとてもじゃないが入らないことを幾つも例示しています。それを
章立てから見ていきます。
第1章 環境後進国としての日本
第2章 過酷な労働と貧しい労働の果実
第3章 名ばかりの「男女平等」
第4章 ゆがむ教育
第5章 貧しい政治の現実
として、具体的な数字や実態に即して、日本「後進性」を立証していきます。もちろん、「先進」であるとか「後進」であるとかは、きちんとした物差しがあるわけではありません。しかし筆者が問題としているのは、より進んだ国(多くは西ヨーロッパ各国)に比して、立ち後れた問題が山積しているにも拘わらず、「先進国」という幻想を振りまいて、あたかも問題が存在しないか、あったとしてもそれを矮小化している為政者や官僚のありようです。例えば第4章です。
  近年の教育を見ていると、政府は教育制度を破壊しようとしているしか思えない。教育には教員が不可欠である。…だのに教員を萎縮させやる気をなくさせる政策を次々と打ち出してくるというのは、一体どういうことなのか。
  1990年頃から教育現場では、生徒に対する「指導」に代わって「支援」という言葉が使われるようになった。それは確かに重要なことだ。子どもは教育権(学習権)を有し、自分の力で知識を吸収し成長する存在だからである。だが一方、教師を支援する任務を有する文科省や各地の教育委員会が、そうするどころか、教員を統制し、それを通じて教育を破壊しつつあるのだ。それでいて教育における基礎的な条件整備には、満足に目もくれていない。その場しのぎの教育政策のために、教師も子どもも翻弄されている。…これほどまでに先進国の名に恥じる教育行政が、一体ありうるのだろうか。…04年現在、公的支出全体に対する教育予算は、OECD諸国30か国中、日本は最下位から数えて3番目である。後略
こうして、様々な分野での日本の「後進性」が立証されていきますが、それに止まりません。
第6章 先進国の条件
が、また優れています。具体的なアクションプランが提起されているからです。労働問題では、
資本金10億円以上の大企業572社についてみると、その連結内部留保の合計は、06年度までに実に221兆円に達している。…そのわずか5,4?を取り崩せば、基本給を一人月額3万円(ボーナスは6か月分)引き上げることができるのである。
本来は時短を含むより進んだワークシェアリング、ありはパートタイマーに対する差別をなくしたオランダ型の「労働と生活の両立」も求められよう。しかし現時点では正規雇用者の労働時間と年休取得を労働基準法通りに遵守させつつ、非正規雇用者の正規化を図ることが短中期的な目標として現実的であろう。
他にも、優れた提起がなされています。新書という形態ですが、内容は実に充実し、読み応え十分です。
さて、秋葉原の事件は、大きな社会的衝撃を与えました。様々な要因があるのでしょうが、問題を一個人の特異な育ちや性癖に帰すだけでは、何らの解決にもなりません。また、恐らく文科省や教育委員会が言い出すであろう「命を大切にする教育の徹底化」もまた、茶番でしかありえません。決して許されない事件であるからこそ、社会的な背景と原因を究明することが焦眉の課題でしょう。そのための、糸口を見つけ出すという点からも、お薦めの1冊です。
本来の業務である学校の仕事が、この4月から急激に増え、多忙な日々です。加えて近現代史研究会の調査や原稿、依頼された資料整理にもせかされています。まあ、これは生き甲斐でもあるのですからいいのですが。今年秋の「黒坂黒太郎35周年記念コンサート」の実行委員長も引き受けました。これもまた、忙しい。(とは言いながら自分のアイデンティティーに直結するものだからいいのですが。)しかし、この本の紹介だけはぜひ早くしておきたいと思い、やや雑駁ながら第69号として発行しました。
それにしてもこの間、本通信68号との間が空きすぎました。反省。

?この政党は、福祉や医療政策の先見性と弱者への視点、対米追随の外交への批判といった点では、他党の追随を許さない優れた提言や施策を持っています。しかし、対北朝鮮に対しては、今の金正日体制のままで問題を解決しようとしているようにみえます。彼の政権に幻想を抱いている気がします。基本的に、今の北朝鮮は、前近代的な軍事独裁国家です。(日本も世襲がまかり通っている点では、明らかに民主的な後進国ですが、この問題については、65号で触れました。)そうした国家をそのまま存続させたままで、問題の解決が図れるとは到底思えないのですが。もちろん、北に対して即時軍事行動せよというファナチックな国家主義者には断固反対です。しかし人道主義的な立場からの国際世論を盛り上げて、金正日体制に揺さぶりを掛けていくことはいくらでも可能だと思うのです。ミャンマーでも軍事独裁政権は、ハリケーンで被災し塗炭の苦しみを味わっている自国民を助けるよりも、自らの支配体制温存を選択しました。

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