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日本の生命線・台湾防衛運動コミュのオバマ演説の改竄より大胆な中国の戦略的宣伝工作

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■常套手段―オバマ演説の一部を削除 

産経新聞(一月二十七日)の記事「中国メディアがオバマ演説の一部削除」によると、中国の主要メディアは。オバマ大統領の就任演説の「先人たちがファシズムや共産主義に対し、ミサイルや戦車だけではなく、強固な同盟と揺るぎない信念を持って対峙したことを思い出してほしい」との部分から、「共産主義」を削除して報じたと言う。

そして「外国要人の発言を紹介する際に、中国にとって都合のいい部分だけを大きく取り上げ、都合の悪い発言を削除するのは、中国メディアの一貫したやり方だ」と指摘されているが、この国はもっと凄まじいことを大胆でやってのけている。

たとえば米国政府の重大な声明の改竄もそれだ。

■対米関係で最重要視するのが台湾問題

この国が対米関係の上で、最も重要視しているのは台湾問題である。なぜならば米国が台湾を防衛している限り、「中国統一」と言う「民族の大業」「建国の最終目標」は達成できず、「中華振興」と言う名の海洋への勢力拡大と地域での覇権確立も望めないからだ。

たとえば昨年九月、オバマ、マケイン両大統領候補が、台湾への武器売却への支持を表明し、中国が猛反撥した際、外交部の秦剛報道官は定例記者会見で、「台湾問題は中米関係における最も重要で、最も敏感な、核心となる問題であり、中米関係の重要な政治的基礎である」と強調している。

■曲者である三つの米中コミュニケ

ところでその時、同報道官は「中米間の三つの共同コミュニケの遵守」を求めている。これはいつもながらのお決まりのセリフだ。

この「三つ」と言うのは七二年の上海共同コミュニケ、七八年の米中国交樹立に関する共同コミュニケ、そして八二年の所謂八・一七共同コミュニケのことだが、これがセリフが曲者なのだ。

実はそれらのいずれにおいても中国は「台湾は中華人民共和国のもの」と主張している。それに対して米国側は「両岸の中国人が台湾は中国のものと主張していることを認識する」(七二年)、「台湾は中国の一部であるとする中国の立場を認識する」(七八年)、「中国がそのように主張していることを認識しておく」などと表明している。

そこで中国は、米国は中国の主張を認めると誓約したとし、「三つ」の遵守要求の繰り返しているのだが、これが米国の多くの人々に誤認識を植え付けるための宣伝戦なのだ。

■外交文書の巧妙な改竄宣伝

実際には米国側は「中国の立場、主張がそのようなものであることはわかりました」と言うに止めているだけであり、台湾を中国の領土であることを「承認します」とは言っていないのだが、これは注意深く読まないとわからない。そもそもこのような誤解を招きやすい立場表明を米国させたこと自体が、中国の手の込んだ宣伝戦の勝利とも言える。

さらに、その上において中国が行ったのが、外交文書の巧妙な改竄なのである。

上述の「米国政府は台湾は中国の一部であるとする中国の立場を認識する」と表明された七八年のコミュニケだが、これを起草する段階でのこと。

「アクノリッジ=acknowledge」(認識する)と書き込もうとする米国に対し、中国は「レコナイズ=recogniz」(承認する)とすることを望んだ。そこで、「acknowledge」は中国語では「認識到」だが、「承認」と言い換えることもできるとし、コミュニケの中国語版では「アクノリッジ」の意味として「承認」の二字を用いたいと申し出た。米国はそれを了承し、コミュニケは発表されたのだが、その後中国は、その「承認」とは「レコナイズ」の意味であると宣伝し始めたのだ。

かくして二〇〇〇年、国際社会に対して鳴り物入りで公表した文書「台湾問題と中国の統一」(台湾白書)では、次のような事実改竄を行っている。

――― 一九七八年十二月、中米両国は国交樹立コミュニケを発表し、アメリカは「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認し」、「中国の立場、すなわち中国は一つしかなく、台湾は中国の一部であることを認める」と表明した。

■台湾防衛を決意を鈍らせるための宣伝戦

こうした作り話を世界に散布するなど、大胆とはこのことだ。コミュニケを遵守していないのは明らかに中国の側だろう。

このような大々的、かつ執拗な宣伝工作の結果、米国では政府関係者ですら、「台湾は中国の一部」と誤解していると言う。二〇〇四年の米大統領選挙でのケリー候補でさえ、「台湾は中国のもの。一国二制度がいい」と発言していたほどだ。「嘘も百回言えば真実になる」が宣伝戦の要諦だが、こうしてもたらされた誤解こそが、米国政府の台湾防衛の決意を大きく鈍らせて行くことになるのである。

さて、先の産経の記事によれば、「3億人近いインターネット人口を持つ今日の中国では、情報操作はほとんど機能していないのが実態」「中国メディアへの抗議が各ネット掲示板に殺到」とのこと。オバマ演説の改竄をも厭わない政府に、日ごろの不満、不信感が爆発した形だろう。

■日米は「民族の大業」に奉仕するのか

だが、このような民衆の反政府感情も、台湾問題での情報改竄に関しては盛り上がらない。仮に政府が「台湾は中国の一部ではない」などと真実を語ったとしたら、それこそ激しい政府非難が巻き起こり、政権の存続を脅かす事態となるのではないか。

このような民衆だからこそ、中国政府は「中国統一」を「民族の大業」と喧伝して民心を結束させ、政権基盤の強化を試みているのだ。

そしてその「大業」に奉仕させようと、中国政府は今日もまた、米国に対して「台湾は中国の一部」との戦略的宣伝工作を加えているのである。

もちろん日本に対してもまったく同様のことが行われている。「台湾は中国の一部」ではないかと少しでも考えている人がいれば、「自分は中国の危険な宣伝に騙されている」と気づいた方がいい。

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