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高天原・天神嶺コミュの 【 第3ターンリア3・『 新しい君 』 】

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第3ターンリアクション ・ 3―3            ■ 担当:たつおか ■


『  新しい君  』




――――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――


 騒動の起こるおよそ10分前―――眠りについていたキリンジは突如として覚醒し、その眼(まなこ)を開いた。
「…………」
 そこから物音を立てぬよう掛け布団を捲り上体を起こす。そして取り出した得物の槍を握り締め、立ち膝に構えると瞬間――
「――ぬんッ!」
 キリンジはその槍の柄を、激しく障子戸の向こう――廊下へと突き出した。そんなキリンジの行動に一拍子おいて、何者かの影法師が障子戸の向こうに立ち上がる。そしてキリンジが槍を引きぬこと同時、倒れこんできたそれは障子をぶち破ってその部屋へと倒れこんだ。
「ん、んん? な、なんだぁ!? 何事だぁ?」
「な、何の音ですか?」
 その突然の衝撃に、寝ぼけ眼で跳ね起きるニコとタクミ。布団の上から見渡すそこには、うつ伏せに倒れこんでいる何者か人影と、それを屈みこんで見つめているキリンジの姿。
 やがて起き上がってきた二人に一瞥くれると、
「二人とも獲物を取れ。何者か、侵入してきたようだぞ。しかもこの姿を見るに――」
 言いながら、そのうつ伏せとなった何物かをひっくり返すキリンジ。そこには鍔無しの鉄帽と口元に装着されたネックハンドの通信マイク。カーキのフィールドシャツとパンツのその姿は紛うことなき『軍人』の兵装それであった。そして防弾処理されているであろう袖無しジャケットに刺繍された青の軍章に、
「これって、キリンジさん!」
「あぁ、とんだ国連軍のお出ましだ」
 あろうことか彼が国連軍の兵であることも知り、キリンジはなおさら深くため息をつくのであった。
「派手な銃火器の類は所持していない。コイツは斥候だな」
「だとすれば表にはこの人の報告を待つ本隊が居るということですよね?」
「どーすんだ、おっちゃん?」
「どうするもこうするも無いだろ」
 立ち上がりキリンジは小さくため息をつく。
「降りかかる火の粉は振り払うまでさ。もっとも、その火の粉が出る前に出火元からは離れたいが」
「こちらから出ると言う事ですね」
 キリンジの言葉にニコとタクミも覚悟を決める。
「とりあえず着替えろ君達。タクミは女部屋に行って静達と合流するんだ。ニコは私と一緒に表の偵察とそして逃走経路の確保だ」
「でもさ、おっちゃん。ヌコロフのおっちゃんが居ないよ?」
「渚君も、ですね」
 渚が居ない――その事実にキリンジ達の心はどこか重く沈んだ。警戒こそはしていたものの、今日一日の付き合いで彼との距離は驚くほどに近くなっていたからであった。そんな渚が今回の事件の原因かと思うと、一同は騙されたことよりも彼と戦わなければならないことに心を痛めた。
 そうして深くため息を重ねた次の瞬間――その一瞬、足元を上下させるほどの爆音が宿に響き渡った。
「爆撃か!? ニコ、タクミ!」
「準備は出来てるよ! おっちゃんこそ、お酒の方は大丈夫なの?」
「あんなもの量ではないさ。――役割は今言った通りだが、この地にはヤマタノオロチの分身も居る。各自、臨機応変に当たっていこう」
「ラジャ! また会いましょう、キリンジさんにニコ」
「おう! タッ君も気をつけてな!」
 かくして一同は部屋を出てそれぞれに行動を開始する。
――無事で居て、みんな!
 女部屋へと向かったタクミはただそのことを祈りながら廊下を走る。
 そして辿り着いたその部屋。
「大丈夫ですか、皆さん!」
 勢い良く障子戸を開いたそこには――
「ッ!? き、きゃああ!」
 静を始めとする着替え中の女子達の姿があった。
「す、スイマセン!!」
 急いで障子戸を閉めるとそこに背を向けて息を止めるタクミ。やがて大きく息を吐き出して気持ちが落ち着くのを確認すると、
「すいませんでした。静さん達は全員無事ですか?」
 タクミは障子越しに彼女達の安否を確認する。
「わ、私達は大丈夫です。何があったんですか?」
 そして返される静の答えにとりあえずは安堵のため息をつくタクミ。
「詳しい状況は判りません。ただ、この爆破騒動の前に国連軍の兵士が僕達の部屋に侵入してきました。もしかしたらこの爆発も彼らの仕業かもしれません」
「タクミさん、私からもお知らせしなければならないことがあります。東の海上に、ヤマタノオロチの分身と思しき光が確認できました」
「こ、こんな時に――ですかッ?」
 次いで返されるシュラの言葉にタクミは下唇を噛む。キリンジの不安が的中してしまった。
 そしてそれと時同じくして、
「おお〜い、タッくぅ〜ん!」
 立ち尽くす廊下の向こうから、こちらへと走ってくるヌコロフと渚の姿が見えた。
「ヌコロフ、それに渚君も!」
 そうして合流を果たした二人にタクミの声は思わず明るくなる。――がしかし、すぐにその表情は眉をひそめた警戒するものへと変わった。まだ渚の疑惑が晴れたわけではない。
 そんなタクミの思いに察してか、
「僕は、この騒動とはなあんも関係ないよ」
「渚君は違うんだなぁ」
 渚とヌコロフの二人は同時に言葉を発していた。
「え? そ、それはどういうこと? っていうか――渚君、君は何者なんだい?」
「タッ君、詳しい話はあとで話すんだなぁ。とりあえず渚君は安心なのよ、今はこの状況をどうにかすることを考えて」
 そうヌコロフに説得され、タクミは湧き上がる疑念と言葉を飲み込んだ。言われる通り今はそんなことを確認している時間はない。
 やがて障子戸が開き、中から女性陣一同も姿を見せた。
「お待たせしました。とりあえず会場のヤマタノオロチも放って置けません。誰か私とそちらの処理に向かってくださる方はおりませんか?」
 そんなシュラの申し出に
「それなら、僕の出番だ」
 タクミが一歩前に出た。
「水中活動なら僕が適任だと思います。それからヌコロフ、君も来てくれるかい?」
「OKなんだなぁ。水場は僕とタッ君に任せて♪」
 そうしてそれぞれに役割分担を申し出る二人の傍らから、
「僕もそっちに参加するよ」
 渚もまた、その作戦への参加を申し出ていた。
「渚君、でもザッシュの君の海上での行動は――」
「もちろん満足に手伝えるとは思ってへんさ。ただ、海上のそのポイントまで移動するのに泳いでいくわけには行かないやろ? 港にあったボートを僕が運転しよう」
 渚はかのポイントまでの水先案内人を申し出たのであった。
「急に現れてこないなことを言うのが怪しいっていうのはオノレでも判ってる。――だけどお願い、信じて」
「…………」
 まっすぐに向けられる渚の視線を、タクミもまた正面から受け止める。そしてその瞳の中に彼の偽り無い想いをタクミもまた見極めると、
「――よろしくお願いします、渚君」
「タッ君――あぁ、任せといてや」
 タクミは強く渚の手を取った。
 それと時同じくして、
『居たぞ! C班、容疑者達を発見しました』
 一同の立つ廊下の突き当りから新たな国連兵が現れた。そして口元にセットされたネックハンドから本体へ連絡後、そのSMG(サブマシンガン)の銃口をこちらへと向ける。
「発砲する気なんだな!?」
 そんな国連兵の動きに身構えるヌコロフ。しかし次の瞬間――そこから駆け出した静とクアンの一撃が、かの国連兵を打ち倒した。
「このままでは、いずれここも危ないと思います。私が引き止めますから、タッ君とシュラさんは例のポイントへと向かってください」
 木刀を構えた静が一同を促し、
「不本意ではあるが、姫様の援護は任せたぞお前ら! ここには私も残る! 行け!!」
「クアンちゃん」
 クアンもまた静の隣に並び、この戦線からの離脱を後ろ押しした。
「ありがとう、二人とも! 絶対また、全員無事で会おうね!」
「いくで、みんな!」
 地上では国連軍、そして会場においてはヤマタノオロチの分身――かくて地上と海に分かれての同時作戦を一同は開始する。


 長き戦いの夜の幕は切って落とされた。



―――――――――


「かかった。さ、乗って!」
 渚の運転のもと、一同を載せたモーターボートは海上へと走り出す。
 見上げる夜空には、天高くに太陽の如き満月が煌々と月の粉を降り注がせ、さながらそれを反射(かえ)す海上の移動は黄金の麦畑を進むかのようであった。
 そんな月光の光景のなか、海中から天へと一条の蒼き光を上げる分身の存在は先の池袋で見たもの以上に異様に見えた。
「光の力が強くなっています。おそらくはヤマタノオロチが力を蓄え始めた証拠なのでしょう。早くどうにかしなければ大変なことになってしまいます」
 それら光景の全てを目の当たりにし、シュラはその眉元に力を込める。
「ヌコロフはん、どう? 陸からの追っ手は見えるかい?」
「いや、無いみたいなんだなぁ。海岸が何やら騒がしいのよ。あそこに残ったみんなが足止めをしてくれてるのね」
 ヌコロフの言う通り、ボート上から振り返る海上5キロには誰の追っ手の姿は見えなかった。
「早く、ヤマタノオロチの分身を処理して戻ろう。みんなを放って置けないよ」
「そうなんだな。」
 タクミの言葉に頷きながら、獲物のブーメランを強く握り締めるヌコロフ。もしかしたら『海中戦』ともなりかねない今回は、これを投擲することは難しい。故に今回は、その片翼を強く握り締めることで、これを鈍器として装備することをヌコロフは選択したのであった。
「そろそろ辿り着くよ。かなり近い」
 渚の言葉に一同は顔を上げる。
 見れば前方数十メートル先にはもう、かの蒼光の発信源が見えていた。
「あまり深いポイントに居るようではないみたいだね。じゃあ、そろそろ潜ろうか」
 そうして分身それに接触すべく、タクミは海中へダイブしようとしたその時であった。
「ッ!? な、なんだ!?」
 その瞬間、一同の乗るボートのすぐ下を何か巨大な影が高スピードで通り抜けた。
 突然のそれの出現に息を飲むタクミ。
 見間違いや幻などではない。たしかに『それ』は海中にいる。そしてそれは瞬く間にボートを追い越してかの光の元まで辿り着くと――すれ違い様にヤマタノオロチの分身を奪い取り、さらに推進速度を上げた。
 その光景に呆気に取られる一同であったが、
「――ッ、しまった! 奪われた!!」
 すぐに状況を理解すると、タクミもすかさずに海中へと飛び込んだ。
「先に僕が追いついて、アレを止めなきゃ」
 そしてその体勢を、頭を先にして伸ばした両腕を体の脇につける流線型の形にするとタクミもまた、かの者に引けをとらぬスピードで推進を開始した。
「うっひょー。タッ君、早いんだなぁ」
「こっちも飛ばしますよ、みんな?まっていて」
 その後を追い、先の二人ほどではないにせよ渚もボートのスピードを上げる。
 一方のタクミは、
「いた! 前方10メートル!」
 すでに先の影へと近づきつつあった。
 その体積の大きさゆえか、かの影はかなりのスピードを出しているとはいえ水の抵抗と負荷は相当に受けているようであった。それに比べて小柄で、さらにはその影のすぐ背後に位置して泳ぐタクミは、水流・水圧の抵抗を受けることなく推進することが出来るのである。
 そして、
「追いついたぞ! そこまでだ!!」
 ついに追いつくと、タクミはその進行方向上に躍り出てそれの動きを止めた。
 空から降り注ぐ月光は、海中の中でさえをも明るく照らし、そこに舞う砂粒の結晶を何とも幻想的に煌かせている。
「――とうとう、私に追いついてしまいましたね」
「ッ!? まさか、あなたは!」
 そしてそんな深海のステージに居た者は――誰でもない、かのしおさい庵の女将・レイシアの姿であった。
 解いた黄金の髪を海中に漂わせ、太古の種族の意匠を髣髴とさせる白の腰布と胸当てに身を包んだその姿は、紛うことなきライジン族の装いそれであった。
 そんなレイシアの姿を前にようやくタクミは悟る。
「あなたが――ライジンの新たな刺客だったのですね」
「いかにも。森羅万衆は最後の一人――水のレイシア」
 そう――彼女こそが、今のタクミの敵であるのだった。
「レイシアさん―――」
 そんな彼女にタクミは説得を試みようとする。しかし、
「もはや、話し合いは不要でしょう」
 それを悟り、レイシアは半ば一方的にその交渉を拒んだ。
「ここで話し合いがつくようなら、今日の私達の出会いは無かったはずです。もう、こうして対峙してしまった以上は、覚悟を決めてください」
「それしか――それしか方法はないというのですか!?」
「…………」
「レイシアさん、僕は――」
「受け入れないなさい、タクミさん」
 なおも説得を続けようとするタクミの言葉をレイシアは一喝のもとに遮った。
「今夜、あなたが私に打ち明けた戸惑いに対し私は、『それは自分の運命を受け入れていないからだ』と過ぎたことを言いました。しかしそんなあなたの迷いは、今この瞬間にも現れています」
「レイシアさん」
「あなたはライジンと地上人が対立していることは『理解』していても、その事実を『受け入れよう』とはしていません。そんなことでは、やがては自分を見失いその命すら失うことでしょう」
「…………」
「まさに今宵は、あなたにとって運命の分かれ道となります。この戦いにより、あなたは答えを見つけ出すことでしょう。それが出来なければ死ぬだけです」
 タクミに語り続けたまま、レイシアはその片腕に抱いていたかの魔人の分身を海中に放る。そして解放された両手の片一方を顎下に沿え、そして残りを標的(タクミ)へと向ける何かの武道の構えのような型を取ると――

「いざ、勝負!」

 レイシアは放たれた矢の如き速力でタクミへと迫った。
「……乗り越えろというのか!? 運命は、これを!」
 そこからつま先を前にして繰り出される蹴りの一撃を、タクミは胸の前で両手を交差させて受け止める。海中での負荷とそして重力の開放された場であるにも拘らず、そこに打ち込まれたレイシアの蹴りは、ガードしながらもその本体にダメージを伝えるほどに重く鋭いものであった。
 そして攻撃はそれだけに留まらない。
 その一撃によって間合いを詰めたレイシアは、その至近距離から矢継ぎ早に他の連撃もまた繰り出す。
――くッ……海中という制約を受けた状況でありながら、なんて鋭い攻撃を
  出してくるんだ!
 そんなレイシアの技の威力に耐えながら眉をひそめるタクミ。それら攻撃にはトリックがあった。
 主に『突く』ことを主体とすることによって、近距離であるならば攻撃はその速度と威力を失わずに標的へと届くのだ。もっともそれでも水の抵抗は出るが、そんな状況下においてもこれだけの攻撃を繰り出せるレイシアの実力は――『森羅万衆』の肩書きは伊達ではなかった。
――防戦に回ったのは失敗だった……ッ
 その連撃の中、ガードを固めるしかないタクミは下唇を噛み締める。反撃しようにもタクミには、このレイシアに対応できるほどの体術など持ち得てはいないのだ。下手に動けば、そこから付け入られるだけだろう。しかしながらこうして打たれ続けていても、いずれはこのガードも打ち崩されることは火を見るよりも明らかであった。
 そしてその瞬間は、以外にも早くに来た。
 あの嵐のような攻撃の最中、ふとレイシアの手が止まった。
「――え?」
 そんな突然の静寂に、その一瞬呆気に取られるタクミ。そしてそんなタクミのガード上に、レイシアはポンと拳を置いたかと思うと次の瞬間―――
「う? うぐあぁ……!?」
 その拳から体内へと突き抜けてくる衝撃に、タクミはガード上から内臓を揺す振られた。
 そこに置かれた拳を中心に――まるでそこが爆心源かのよう、そこから発せられたダメージはタクミの体内中に余すことなくダメージを広げた。
 そのあまりの衝撃に胃の内容物を吐き散らし悶絶するタクミ。そしてその一瞬遠くなりゆく意識の中でタクミは彼女が何をしたのかを理解した。
 拳を標的の上に置いた状態からの攻撃――それこそは、
――『寸勁(すんけい)』……まさか、僕がこんなモノを受ける日が来るなんて!
 別称を『ワンインチ・パンチ』ともいうそれは、攻撃部位と相手との距離が非常に近い状態から強い衝撃を加える技法である。
『発勁』と呼ばれる中国武術特有の力の出し方を含むこの攻撃は、従来ならインパクトと同時に分散してしまう衝撃を、一点に集中させてその内部へと響かせることが出来るのだという。そしてそんな攻撃はその効果通りに、ガード上から見事にタクミの体内へと爆発的なダメージを伝えたのであった。
 ともあれ、その衝撃に体勢を維持できなくなりガードを解いてしまうタクミ。
「残念です。あなたとも――これで!」
 そしてレイシアの手刀がその首筋へ突き立てられようと放たれたその時であった。


「んあーッッ、ヌコロフチョォォ―――ップゥ!!」


 突如として辺りに立ち込める異臭――そして何処かより飛来してきた物体の衝突を背中に受けて、レイシアは攻撃に移行していた体を仰け反らせた。
 感触としては、何か物体が体当たりを敢行してきたようである。
 突然のそれに振り返るそこには、
「まさか、あの女将さんが新手のライジンだったとはねぇ。せっかくお料理のレシピを教えてもらおうと思ってたのに、残念なんだなぁ」
 推進力の助けとしているであろう放屁の気泡を撒き散らしながら、両手でブーメランを握り締める輪姿のヌコロフと、
「ヌコロフはん、下がって! くらえー!!」
 さらにそこへと水系魔法にて追撃を加える渚の姿があった。
 そしてそれら二人の攻撃に怯むレイシアの隙を突き、
「今だ、バブルトーム!!」
「う!? くぅ……!!」
 噴出すよう窄めた唇から発生させる気泡の渦に紛れて、タクミもまたその戦線から一時離脱を果たした。
 そうしてヌコロフと渚の元へ戻り、深く息をつくタクミ。
「二人とも、助かったよ。あぶなかったぁ……」
「大丈夫、タッ君? 怪我の具合はどうなんだな」
「ちーとばかしの間、休んでいておくんなはれ。とはいえ、君が復活する前に僕達で済んでしまうかもしれまへんが」
 未だダメージが深刻に残るタクミをかばうよう、ヌコロフと渚がその前に立ちはだかりレイシアと対峙する。
「うかつでした、あなた達の存在を忘れていただなんて。そしてあなた達は、誰よりも先に倒しておかなければならない相手のようですね」
 一方ではレイシアもまた、再びあの両掌を前面に揃えた構えを取り体勢を整える。
 かくして始まった第二戦。その狼煙とばかりに、渚が海中を掻いでレイシアの前へと躍り出た。




―――――――――


「もうタッ君から言われたかもしれまへんけど――戦いをやめて話し合う訳にはいかないでっしゃろか?」
 獲物となる小太刀二刀を構えながら、レイシアの前へ出た渚はその説得を試みた。
「申し訳ありません、渚さん。答えは『否』です」
 そしてそれにレイシアもまた心痛な面持ちで応える。
「先のタクミさんへも言ったことですが、話し合いで決着がついていたのなら、今日のこの対峙は無かったでしょう。それが叶わなかったから私達は今こうしているのです。――どうか、理解してください」
「なるほど、気持ちは察します。ならば僕も――手加減は出来ませんね」
 レイシアの応えに頷く渚の雰囲気が――変わった。
 その口調が陽気で調子の良かった大阪弁から、一般の標準語へとシフトする。そしてその変化と同時、レイシアを見据えるのその瞳には元の渚など微塵も感じさせない冷酷な眼光が宿っていた。
――凄まじい威圧……まるで別人だわ。気配がココまで変わるなんて!
 その射るかのような眼力に当てられ、レイシアは腹の奥底が縮み上がるかのような旋律を覚える。このままでは、これに戦意を喪失しかねないその威圧を前に彼女も改めて己を鼓舞し、その闘志を奮い立たせるのだった。
 そしてそんな想いを表すかのごとく、
「もはや最初から、トップでいきます!」
 レイシアは渚へと躍り掛かった。
 そうして彼女から突き出される拳足の連撃――そのひとつひとつを慎重に見極めながら、渚は受け流すようにしてその攻撃をかわしていく。
――水中だというのに、なんていう速さと攻撃力だ。僕の体と装備じゃ、
  ガードして危ないなこりゃ。
 その攻撃を前に小さくため息をつく。そして繰り出された攻撃のひとつに小刀の背を当て、一際大きく引き込んで受け流し、彼女の体勢を崩させると――
「受けに応じていては分が悪すぎる。ここからは攻めていきますよ」
 今度は渚が攻撃に転じた。
 そこから両手の二刀を実に起用に扱い攻撃を展開していく渚。主体はやはりレイシアと同じ『突き』ではあるものの、渚の繰り出す攻撃は彼女のそれとは大きく違った。
 右の突きを繰り出す。
 それに対し彼女が体位を右に傾けてかわすと同時に、
「え? ――くう!?」
 空振りとなったはずの刃ではあったが、手首を返し二輪車のグリップを握るかのようそれを逆手に持ち直すと、刃はそこから右に逃げたレイシアを追った。
「なんという柔軟性ッ!? ――しかし!」
 思わぬ攻撃の追跡に今度は頭を下げ、姿勢を落としてそれを交わすがしかし――その時にはすでに、残りの『左手の刃』がレイシアの顔面目掛けて放たれていた。
――さっきの攻撃はフェイント!? これが本命!
 二度の回避行動で、もはや彼女にそれをかわす体勢は整っていない。
 そして渚の渚の突きは外れることなくレイシアの顔面に突き立った――
「んッ? まさか、そう受けるか!」
 ――と思われたその瞬間、その顔面に突き出された刃を彼女は上下の歯牙を噛み合わせることによって受け止めていた。いわば、歯で行う『真剣白羽取り』である。
 そうして渚の連撃をしのぎ、今度はレイシアが反撃を繰り出さんとしたその瞬間、
「んあー! 今度はボキなんだなぁ!」
 背後から迫ったヌコロフの体当たりが、またも彼女の背を捉えた。
「くうぅ……!」
 その衝撃に眉を大きくゆがめるレイシア。
 かのヌコロフの攻撃――決してそれは避けられないものではない。しかしながら前方に渚と対峙している以上、それを避けるわけにはいかなかった。もしあのヌコロフの攻撃を避けたのならば、そこには明らかな隙が生じる。そしてそこを渚に付け込まれてしまっては、致命傷は必至であった。
 体当たりのヌコロフと双刃の渚。この二つを比べるなら、まだ一撃必殺の威力を持たないヌコロフの攻撃を受けた方が、ダメージ的には軽く済むのだ。
 それでもしかし、
「今だ、差し込め! ヌコロフさん!」
「いくんだなぁ、ヌコロフチョーップ!」
「ぐううぅ!!」
 それら攻防の繰り返しにレイシアの体力は徐々に削られていく。
 渚に対応すれば背後からヌコロフが――そしてヌコロフに対応すれば今度は渚が攻めてくるという二人のコンビネーションに、ただレイシアは翻弄され続けた。
――この渚という少年、この子には『恐怖』というものが無いのッ!?
 目の前で攻防を続ける渚の、どこまでも冷酷で落ち着いた立ち振る舞いにレイシアは固唾を飲み込む。
 防御にしても、この渚には相手の攻撃に対する恐怖がない。まさかと言うようなタイミングで紙一重にレイシアの攻撃をかわすその様には、まるでそれを受けた時にどうなるかという『恐怖』の感情が一切無いかのようであった。そしてそれは彼の放つ攻撃にしても叱りである。渚から仕掛けられる攻撃には一切の情け――やはり『感情』というものが無かった。斯様にして渚は、自分や相手に対する一切の感情を断ち切ってこの戦いに挑んでいた。
 そしてレイシアをこの窮地に到らしているのは渚の存在だけではない。
――それだけじゃない……このヌコロフも! このコンビ、急造で組まれた
  とは思えないほどに息が合っている! まるで、この二人で一個の生き
  物のような――いえ、ひとつの『軍隊』のような統率性を誇っている!
 やがて数度目のヌコロフの体当たりに、ついにレイシアは方膝をついて体勢を崩した。
「終りなんだなぁ! 渚君、決めて!!」
「言われなくたって! これで!!」
 そしてその戦いの終りを察し、ヌコロフに後ろ押され渚も最後の一撃を繰り出そうとしたその時であった。
「む? ――え?」
 目の前へのレイシアへと止めの一撃を放とうとしたその瞬間――レイシアは突如として、渚の目の前から消えた。
「ど、どこだ? そんなッ!?」
 移動をしたとか、目くらましをしたと言うことではない。
 まさに彼女は突然に、一同の前から『消えて』しまったのだった。
「ど、どうしたんだな? 渚君、レイシアさんはどこに行ったのよ!?」
「わ、判らない。本当に消えてしまった……さっきまで目の前に居たのに!」
 突然のそれに辺りを見渡すヌコロフと渚。
 天からの月光が降り注ぐ海底は、そこに舞い漂う砂粒が星空の如き無数に煌き反射(かえ)す、なんとも幻想的な光景を広げている。そんな良好な視界のどこにも、つい先ほどまで目の前に居たレイシアの姿は微塵として見当たらなかった。
 そして変化は現れた。
 突如として、
「ん? ッッぐあ!?」
 渚の体が打ち上げられるかのよう浮き上がった。
 口元から大量の気泡を吐き出すと同時、そこから溢れた鮮血も混じって海中に漂う。その鋭さと一点を貫く破壊力は、間違いなく消えた彼女・レイシアの攻撃によるものであった。
「な、渚君! ん? んあぁ!?」
 そしてその衝撃は、渚に近づいたヌコロフにも与えられる。
 浮き輪上から、無防備な脇へとその一撃を見舞われヌコロフもまた激しく吐血してのたうつ。
「ぬ、ヌコロフさん!」
「だ、大丈夫ッ。傷は大丈夫だけど……浮き輪が破れちゃったんだなぁ。もう、泳げないのね……」
 掛けられる渚の声に何とか応えたものの、搾り出すよう気泡を吐き出すとヌコロフは力なくその場に浮いた。
『浮き輪無くても、今まで潜ってたやん!』――と、突っ込みたいのを堪え、渚はそんなヌコロフを抱き寄せ周囲に警戒する。
「一体……一体どうやって消えたというんだ? 急に目の前から居なくなるなんてこと、可能なのか!?」
 その未知の状況を目の当たりにし、固唾を飲み込む渚。
 そんな二人へと、何処から迫ってくるであろうレイシアの、海中を掻き分ける気配が迫っていた。
 それを前に渚もより細やかに周囲の様子に気を配る。――配るもやはり、彼女の姿を発見することは叶わない。
 そんな状況にありながらも、見えないレイシアの接近だけは――その気配は感じた。
 そしてそれが身近へと迫り、渚達へ止めの一撃が繰り出されようとしたその時であった。
「バブルストーム!!」
 突如として上空から舞い降りた気泡の渦が、まるで二人を守るかのよう包み込んだ。
『――ッ!?』
 その渦に攻撃の機を逸し、一旦そこから離脱するレイシアの気配。
 そうしてヌコロフと渚の前に現れたのは、
「お待たせ、僕はもう大丈夫ッ」
 誰でもないタクミその人であった。
「助かったよ、タッ君。もう判ってると思うけど、突然レイシアさんの姿が消えた」
「高速で動いてるとか、眼くらましをしてるとか、そんなレベルじゃないんだなぁ」
「うん……思った以上に厄介な相手みたいだね」
 渚とヌコロフの言葉にタクミも苦笑いをひとつ。
「でも、大丈夫。ここは僕に任せて、二人は一旦ボートに上がって。もう呼吸(いき)も限界でしょ?」
「そ、それはそうだけど、この状況にタッ君だけ置いていけないんだなぁ!」
「そうだよ、君を見捨ててなんか」
「あはは、大丈夫。僕には僕の考えがあるから。だから安心して上で待ってて。どうにかしてレイシアさんを海上に引きずり出すから、そこでの止めをお願い」
 心配する二人とはよそに、似つかわしくないほどの笑顔で応えるタクミ。そんなタクミの笑顔に二人は彼の優しさと――そして、生きては帰らないという覚悟を見たような気がした。
「……判ったよ。だけど、絶対に生きて帰って来てね」
「それだけは約束して欲しいんだな!」
「大丈夫、だいじょーぶ♪ 心配性なんだから二人とも」
 その身を案じて声を掛けてくる二人に微笑むと、タクミは再びバブルストームの渦を立ち上げ、ヌコロフと渚を海上のボートまで導いた。
「ふぅ。やれやれ……」
 そうして改めてまた、海底に一人タクミは残される。
 眼前には月光の降り注ぐ海底の光景が――昼に初めてレイシアを確認した時と同じ光景が広がっていた。
「しかもこの場所、皮肉にも僕が昼間に居たポイントと同じ場所だ」
 そんな偶然につい笑みが漏れる。
 かくして再度、森羅万衆・海のレイシアと対峙を果たし――
「ごめん、ヌコロフ……約束、守れそうにないや」
 タクミは覚悟を決めるのであった。




―――――――――


 考えがあるといったタクミではあったがその実――作戦らしいものなどは何一つとしてなかった。ただ、ああでも言わなければヌコロフ達は引き上げてくれなかっただろうから、それ故についた嘘であったのだ。
「けっこうヤバいかも……」
 それに加えて先の戦いでのダメージも癒えきってはいない。まだ痛みの残る胸元を押さえながら、タクミは小さく咳き込んだ
 しかしそんなタクミにも容赦なく、見えないレイシアの攻撃は打ち放たれた。
「グ! うぅ……!」
 何処かより放たれるえぐるような一撃――それの直撃を腹部を受け、タクミは吐き出した血ヘドを海中に舞い上がらせる。
 先の攻防とは違い相手の姿が見えないとあっては、もはやガードすることすらままならない。
 ただレイシアの気配を探ることしか出来ないタクミは瞬く間にその連撃に晒され、やがては疲弊し動けなくなっていった。
 そして数度目の攻撃に鮮血を吐き散らした瞬間――その血煙の向こうに一瞬だけレイシアを見つけ、
――そうか……そういうことか。
 それを目の当たりにし、ようやくタクミはレイシアの、このステルス殺法のからくりを知った。
 しかしながら時すでにタクミには、それに対応するだけの体力・気力は残されてはいない。
――考え付いた所でもう遅かったか……僕の中の『答え』も、ついに出なかっ
  たなぁ。
 そうしてその最後の瞬間(とき)となるであろうそんな中で、タクミは実に色々なことに考えをはべらす。
――こんな時まで、何を考えてるんだろう。思えば僕の人生は、何かを
  『考えて』ばかりだったような気もする……
 脳裏には今まで『稲田匠』として生きた24年間が目まぐるしく、それら情景を蘇らせていた。
――『君は穿ち過ぎるな』
 キリンジの言葉を思い出す。そして、
――『タクミさんは、獣化した自分を『認めて』はいても『受け入れて』は
   いないんだと思います』
 あの宴会におけるレイシアの言葉もまた思い出した瞬間、
「……何をやってるんだ、僕は?」
 その瞬間、タクミは悟りに到った。
「何を今まで、難しく『考えて』いたんだろう」
 思わず呟く。それほどまでにタクミは今、自分のなかに見つけられたその『答え』に衝撃を受けていた。
 今までの自分は何をするにも『考えて』いたように思う。
 それこそ極端な例になると、水を飲み息を吸うことにすらその何故に考えをめぐらせていたように思う。
「そうか……僕は、『穿ち過ぎ』ていたんだな」
 今度はキリンジの言葉を繰り返す。
 この『考える』ということこそがタクミのアイデンティティであると同時に、全ての『戸惑い』の原因であったのだ。
 世の全てに答えを求めようというタクミにとっての獣化――理知とは対極となるそんな『獣(本能)』の存在は、知の探求者であるタクミには受け入れられざることであった。
 知性的でいようと無意識にも思うがあまり、本能的である自分を受け入れることに戸惑っていた――それこそが、タクミの戸惑いの正体それであった。
「こんな時になってそれに気付くなんて、僕は何て馬鹿だったんだ。あやうく自分の死ですら、『考え』倒そうとしていた」
 タクミの視界に――その見つめる世界に光が差した。迷妄から脱却した目の前の世界には希望が――そしてその体には再び気力が漲っていた。
『考える』ではなく『感じる』ということ――タクミはあの獣化の日以来ようやく、『タツジン』としての自分を受け入れたのであった。
「僕は僕だ……どんなに考えようと、どんな姿になろうともそれは変わらない。ならば僕はもう『考え』ない! もう後も先も何もない。ただ今を生き、勝つことを実行する!」
 そう己自身へ、誓いも新たに吼えると同時――タクミは自ら、己の右手首を深々と噛み切った。
 その傷に動脈が傷つけられ、そこから噴き出すおびただしい量の出血が辺りの海域を赤く染めていく。
 そんなタクミの様子を、
『――何を考えているのですか、タクミさん?』
 その数メートル先の間合いからレイシアは見守っていた。
『もはや、酸欠と死の恐怖からパニック状態にでもなったというのですか? ……そうなのだとしたら悲しいことです』
 そんなタクミの凶行を目の当たりにし、レイシアは小さくため息をつく。そして、
『ならば、これで一思いに。――あなたがあなたであるうちに、仕留めて差し上げます!』
 レイシアはその身を翻すと一際早くそして強くに、前方のタクミへとその体当たりを敢行した。
 彼女の巨体とパワー、そしてこのスピードを乗せた一撃を受けようものならばタクミ如きの小さな体などたちどころに砕かれてしまうことだろう。
 かくしてタクミまで数メートルと迫ったその瞬間、
『ッ――!?』
 その一瞬、タクミが――こちらを見た。迫りくるレイシアと目を合わせた。
 そして次の瞬間には――そんなレイシアの攻撃は、まるで水流の中の落ち葉が揺らぐようフワリと柔らかに避けられてしまった。
『私の技を見切った? いえ、そんなことは無い。見えているはずがない!』
 そんなタクミの一連の動きに必死にレイシアは浮き上がる疑惑を振り払う。全ては偶然であったと思い直す。
 そして今度はその両手を広げ、それを航空機の両翼のよう水平に構えると、再度レイシアはかの体当たりを敢行した。
 この構えならば確実にまぐれの誤差を修正し、この体の何処かにタクミを捉えることができる。先の攻撃に比べ若干移動速度は落ちるが、タクミはこの海域において自分の姿が見えないはずである。何ら問題は無い。―――そうレイシアは高をくくった。
 かくして再び、タクミへと迫るレイシア。
 そして、
『今度こそ、海の藻屑と消えなさい!』
 レイシアの一撃がタクミを砕こうとしたその瞬間――
「――見えた! そこだァ、バブルストーム!!」
 タクミは間違いなくレイシアへと向き直ると――その突撃目掛けて、バブルストームの気泡渦を発射した。
『ま、まさか!?』
 そんなタクミ行動に驚愕するレイシア。そしてその一撃に勢いを殺された彼女を、タクミはその胸元へ両手を添え受け止める。
「あなたのステルス殺法の正体――それは、光を屈折させることにより自分の像を、対象の目に届かなくさせていたから――ですね」
 驚愕にその表情を歪めるレイシアに、タクミはその技の原理を問いかけていた。
「全てのトリックのタネは、その『鱗』です」
 そうして彼女の表皮に、細やかに浮き出ている蒼の鱗をタクミは指摘する。
 物体の映像が目に届く現象――すなわち『見える』ということの原理は、その物体に反射した光が見る者の瞳に返るからである。
 レイシアのステルス殺法は、その体皮上に光を反射させる鱗を発生させることで光を操作し、彼女を見る者へと自分の像の光を届かなくさせていたのであった。
「僕も……ここまで追い詰められなければ気付きませんでしたよ」
 そういってタクミは力なく笑った。
 あのレイシアの猛攻を受けていた最中、ほんの偶然からタクミは、吐き出した血反吐の混濁する空間に彼女の姿を見た。それこそはその鮮血の濁りにより光の屈折率が変わったからであった。
『まさか、あなたはその為にこの血を……!?』
 そしてレイシアも悟る。かのタクミの自虐とも取れる奇行の目的を。
「これしかなかったんです、この一帯を濁らせられる方法は。海底の砂を巻き上げては、その砂煙であなたの姿を見失ってしまいます。あくまで半透明の液体でなければならなかった。そうなると僕に残された方法は――自分の血を撒くしかなった」
 それも吐血や鼻血程度では自分の周囲を埋められない。短時間で、しかも大量に血を振り撒く為には自ら動脈を断ち切り、その血圧をポンプに利用するしかなかったのである。
『でも――でも何故!? そんなことをすれば、あなたの命だって危ういのですよッ? 例えそれで私の技は見切れても、あなたは死んでしまうかもしれない……そんなことは考えなかったのですか!?』
 そうレイシアから掛けられる言葉に――タクミの口元に笑みが浮かんだ。
「もう考えるのは、充分だ」
 そう答えるタクミの顔には、何の後悔もそして迷いも感じられなかった。
「考えに考え抜いて辿り着いた今です。後悔はしていない。そしてどんな行動をとろうと、どんな姿で居ようと僕は僕なんだ。自分の行動に――後悔は無い!」
『タクミさん………ついに、『答え』を見つけたのですね』
 応えるタクミの言葉に――驚愕に瞳を見開いていたレイシアの表情もやがて、小さな笑みに変わった。
「感謝します、あなたに」
 呟くよう語りかけ、タクミは受け止めている両掌に力を込める。
――あなたが居たから……あなたと会えたから、僕は自分を見つけ出すことが
  出来ました。
 その掌二点に、魔力を終結させる。
――もう迷いません。そして僕は、『タツジン』として生きていきます。そう、
  『稲田匠』として。
 そして全身全霊、渾身の魔力を込め――


「ありがとうございましたッ」
『……おめでとう。新しいあなた』


 次の瞬間――そこから放たれたタクミの水魔法は、逆流する滝の如き暴威の衝撃を以て、レイシアを吹き飛ばしていた。
 その水勢に押し上げられ――レイシアは海上から打ち上げられると、月明かりの夜空へと弾き上げられる。
「来た! タッ君がやってくれたんだなぁ!!」
「安心するのはまだ早い! 止め、いくよ!!」
 そのレイシアの登場にあわせ、ボート上の渚は彼女目掛けて甲板を蹴る。
 そうして彼女を追い抜き目下にそれを捕らえると、
「いっけぇぇ―――ッッ!!」
 そこからその下へと、まるで光学兵器を彷彿とさせるかのような水流攻撃の一撃を――
「今月の見せ場ぁー! ヌコロフブゥゥーメラン!!」
 そしてその下からはヌコロフの投擲するブーメランが、レイシアを目掛けて放たれた。
 その二点同時攻撃に前後から挟まれ、
『うッ――あああああぁあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!』
 その断末魔と共にレイシアは海へと落ち、そして再び浮かび上がって来ることはなかった。
「……終わったか」
 そんな戦いの終りを海底から見上げながら、タクミも大きくため息をつく。
 そんな彼の目の前には――かのヤマタノオロチの分身もまたあった。
「これが残っていたかぁ。ならば僕の……体力があるうちに!」
 そしてそれに両手を構えると――そこから撃ち放った水魔法にてかの分身を撃ち砕く。
 その一撃を受け、分身はその輝きの中央に『酒樽』と蛇の影を一瞬映し出すと粉々に砕けて――その蒼の結晶を海中に振り撒いた。
「キレイだ……こんなにも美しい。こんなに、も……」
 そんな言葉を最後に、タクミは意識を失った。依然として出血は続いていたのだ。それに加えて先の戦闘でのダメージもある。とうに限界を越えていたタクミはもはや、まともに立つことですら保ってはいられなかった。
 そうして海底にその身を横たえようとするタクミ。しかしそんな彼を、
「おっと。ここまで来て、君を倒させやしないよタクミ君」
 そんなタクミを、海上から潜ってきた渚が抱きとめた。
「タッくぅーん! 約束は守るんだなぁ! 友達でしょー、ボキ達!」
 さらには浮き輪無しじゃ泳げないヌコロフまでもがそこに沈んできて、タクミへと抱きつく。
 かくして倒れたタクミと溺れもがくヌコロフの二人を抱えて浮上する、これまた溺没寸前の渚。


 森羅万衆・水のレイシアとの対決――ここに完全決着!




―――――――――


「おーい、キリンジはーん!」
 渚の声が海岸に響き渡る。
 振り返ればそこには、波打ち際にモーターボートを乗り上げさせ、こちらへと向かってくる海組の一同が見えた。
「渚、それにヌコロフ。全員無事か?」
「うん、バッチリなのね♪ 敵の森羅万衆は撃退させたし、こっちの分身もちゃんと処理したんだなぁ」
「そうか。それはそうと、そっちのタクミは大丈夫なのか? 見たところ、かなり疲弊しているようだが」
 ヌコロフの肩を借り、満足に立つことすら出来なくなっているタクミにその安否を問うキリンジ。そんなキリンジに、渚がタクミに変わりことの一部始終を伝えた。
 それら全てを聞き終え、
「そうか。大変であったな、タクミ」
 キリンジも大きく息をつきながらその方に手を置く。
 しかしそれに対して顔を上げ、
「どうってことはありませんよ。軽いもんです♪」
そう返してくるタクミの表情には――今までに無い自信に満ちた輝きと、そして生命力の強さとが漲っているように見えた。
「――悩みは、解決したようだな」
 そんなタクミのことを察し、キリンジも笑みが浮かんだ。
「はい。キリンジさんのアドバイスが利きましたよ。ありがとうございました。そして心配かけてスイマセン」
 そうしてそれに応えるように見せるタクミの大きな笑顔――ようやく彼は、『タツジン』としての自分を受け入れたのであった。
「それはそうと、キリンジはん。そっちの方はどうやった?」
「まぁ、色々とあったさ。話せば長くなるが――」
 渚に自分達の首尾を訪ねられ、キリンジはその視線をニコと静の居る方向へと向ける。そうしてそれに釣られて向ける一同の視線の策にあったものは――メンバーの取り囲むその中心で、内腿と尻をぺたりと地に付けて座り込んでいるマナの姿があった。
 所々が汚れ破けたフィールドシャツとパンツの上下に身を包んだ少女が、どこかあどけない表情でしきりに辺りを見渡しているのが確認できた。
「誰なんだな、あのカワイ子ちゃんは?」
「国連軍陸軍軍曹・渉里 真夏――今回この地へと、国連軍の特殊部隊を引き連れて来た張本人だ」
 ため息混じりにそう次げて、今度はキリンジがことの始終を話し始めていく。
「先の宿への襲撃は、全て彼女のが率いる工作兵達によるものだった」
「一体どうしてこの子が――ボキ達を狙うのよ? 恨まれる筋合いなんてないんだなぁ」
「この娘個人の用件ではない。あの、乃木崎重七の命によるものだ」
『乃木崎重七』の言葉にヌコロフは大きく頷く。時を遡ること先月――ヌコロフを始めとする一同はかの人物を成り行き上から襲撃し、その追跡を受けたことがあった。
「その時のことをまだ根に持ってたの? 執念深いというかヒマというか……」
 そのあまりの乃木崎の執念に思わずヌコロフも舌を巻く。
 ともあれそんな乃木崎の命を受けて一同を追ってきたマナとキリンジ達は、この地にて対決を果たした。
 こちらの攻撃・行動を観察し、それらを正確にコピーして反撃してくるマナの戦闘スタイルに苦戦するも、ニコの機転にてどうにかそれを攻略。最後は静の地属性魔法でその動きを封じたマナへと、キリンジがその脳天へ槍の柄(つか)による強撃によって止めを刺したのであった。
「戦慄したよ。1対1ならば勝てなかっただろうな。それほどまでに人間離れしていた……」
「キリンジにそこまで言わせるなんて、怖い女の子もいたもんなんだぁ。――で、どれどれ?」
 それらを聞きながら件の少女・マナへと近づいていくキリンジと海組の一同。そしてそのマナの前に立つと、
「ん? ――これは」
 ヌコロフは彼女の前へと出てその顔をまじまじと見つめた。それに対してマナも小首を傾げてヌコロフを見つめ返す。
「カバさんはだぁれ?」
「ボキはヌコロフって言うのよ。お嬢ちゃんはお歳はいくつなんだな? 答えられる?」
 何を考えてかマナにその年齢を尋ねるヌコロフ。そして彼女から返されたその答えに場の一同は驚愕することとなる。
「マナ? マナはね、7歳になるんだよ」
『な、7歳ッ!?』
 改めて見るマナの全体。
 やや痩せずぎの感はあるものの、身長170cmを越えるであろうスレンダーなボディは十分に『大人の女』としての成熟を果たしているように思えた。その歳とて一見しただけでは明らかに二十歳以上――どんなに幼く見積もっても18が限度であるように思えた。
「何を言ってるんだ、この娘は?」
「もしかしてキリンジのおっちゃんがあんなに強く頭を叩いたから、それでおかしくなっちゃんたんじゃない?」
「そういえば凄い音しましたもんね。ドカンッ、って」
「わ、私だけに責任を押し付けないでくれッ」
 この少女の今後に関わる問題だけに、その張本人であろうかも知れないキリンジもさすがに動揺を隠せない。
 しかしそんな一同の騒ぎようとは裏腹に、
「………アップリコ」
 少女と向かい合っていたヌコロフは、これまでに聞いたことの無いような重く沈んだ声でそう呟いた。
「え? おっちゃん、今なんて言ったの?」
「『ア プリコシャウス チャイルド』……計画は本当だったか」
 ヌコロフの呟きを問うニコの傍らで、渚もまた沈んだ声でため息をついた。こちらの表情にはヌコロフと違い、明らかな嫌悪の表情が溢れている。
「『早熟な子供』、がどうかしたの? 渚君」
「……彼女はね、軍が作り出した『人造人間』――いや、『改造人間』と言った方が正しいかな」
『改造人間ッ!?』
 そしてタクミに返された渚の言葉に、一同はまたも揃って声を上げた。
「たしかにコイツ、すごい動きしてたけどさぁ。じゃあ何? このマナの体の中には機械が入ってるの?」
「それはサイボーグなんだな、ニコ。彼女はその筋肉や骨格をいじられているのよ」
 そしてヌコロフと渚はそれぞれにこの改造人間・『アップリコ』の説明をしていく。
「犬と人間の筋肉の量を比べた時、人間が600なのに対し、犬はその66倍以上の4万を越える筋量を持つといわれている。先の獣化現象以降、僕達獣化人類に飛躍的な身体能力のアップがあったのは、それら動物の筋量を手に入れたからだ」
 説明する渚の口調から、あのおちゃらけた大阪弁が消えた。それほどにこの話の内容は重く深刻である。
「それは傷の回復力もそう。前の人間だった時には信じられないスピードで傷も治るし、何よりも最近病気になりにくくなったと思わない? 各種の免疫も人間であった時に比べて、格段に高くなっているんだな」
「つまりはそれは、驚異的な新陳代謝の賜物だということ。――軍はその獣人の特異体質性に目をつけた」
 そこで登場するのがかの子供――『ア プリコシャウス チャイルド』こと『アップリコ』である。
 子供の成長とはすなわち、新陳代謝により細胞の入れ替えである。一般的な人間は、2歳から15歳までの間に脱皮にも等しいスピードでそれを繰り返して成長していく。そんな子供の成長力のメカニズムと、そして獣人の持つ回復力の速さに軍は目をつけた。
 軍は成長期の盛りにある子供に様々な外科手術を施す。それは骨延長の処置であったり、はたまた筋移植であったりと、倫理的に絶対に許されてはならない処置を――まさに『改造』を行うのだ。
 従来ならそんな負荷に人間が、ましてや子供が堪えられるはずもないが、こと『獣人』は違う。全てが全てとは言いきれないものの、それら外的処置に耐え、成長を完成させる子供が出てくる。これこそがアップリコの素体となるのだ。
「そうして造られた子供はその後さまざまな訓練を化せられる。その肉体に見合った行動力を身につけられるよう、体力作りは元より頭脳教育に到るまで、まさに機械を作るように教育されていくんだな……」
「そしてそれら全ての教育を終えた子供にはその最後の締めくくりとして、脳部前頭葉に電脳チップを植え込まれる――かくして忠実な改造人間・『アップリコ』の誕生さ」
 それら説明を聞き終え、誰一人として言葉を発せられる者はいなくなっていた。事実静は、込み上げてくる吐き気を必死に抑えるあまり、ろくに呼吸すら出来なくなっている。
 そして、
「な……なんだよ、それ! そんなことが、そんなことが許されてるって言うのかよ!?」
 かのメンバーの中で一倍最初に声を上げたのは――吼えたのは誰でもないニコであった。
「この戦争は、大切な人を守るためのものだろッ? それなのに仲間を――こんな子供まで犠牲してまで軍の奴らは、何を守ってるって言うんだよ!?」
「……本当に申し訳ない。申し訳ない」
 そして誰に掛けられるでもなく叫ばれたニコ言葉に、誰でもない渚が小さく応えていた。
 そんな渚の反応に、
「渚君――君は本当に何者なんだい? もうそろそろ明かしてくれてもいいんじゃないかな、その正体を」
 タクミはその隣から渚へと訊ねていた。そしてその問いに渚が答えるよりも早く、
「陸軍大佐・神城 渚―――それが彼の正体なんだな」
 それに答えたのはヌコロフであった。
「ヌコロフ――そういえば、彼を見張ろうと提案したのもキミであったな。最初から気付いていたのか?」
「ううん。最初は『どこかで聞いた名前』程度だったんだなぁ。彼のことを思い出したのは宿で会った時。でもその時はまだ確信がもてなかったから、黙っていたのよ」
 その後、深夜の露天温泉にて彼の傷だらけの体を見るに到り、ヌコロフはこの渚が『陸軍大佐・神城渚』であることを確信したのであった。
「しかしながら、なぜその大佐がこんなところにいる? お前もまた、先の国連軍の尖兵ということか?」
 極めて落ち着いた様子で渚に尋問をするも、そのキリンジの口調からはどこか怒りや憤りを抑えた気配が感じ取れた。先のアップリコの説明に業を煮やしているのは、彼もまた同じである。
「結論から言うと、違いますよ。僕は独断で、単身今回のライジン調査に挑んでいます」
「どのような理由で?」
「それは、個人で思うところがあるからですよ。皆さんだって同じでしょう? 少なくとも、かの国連軍と志を同じにしているというわけではありませんから。ご安心を」
 そう言いながら
――軍部でも噂だけが先行していた『アップリコ計画』。それがもはや実戦に投入されて
  いるとはね。……事は、ライジンだけに留まることではなくなってきたようだな。
 その明るい表面の裏で、渚は今後のライジン調査の雲行きに不安を感じずにはいられなかった。
「じゃあ渚さん。あなたの何か特権で、この軍部のやり方を変えることは出来ないんですか? 詳しくは知りませんけど、『大佐』さんって偉いんでしょう」
「ところがね、静さん。そう簡単にいく問題じゃないんですよ。今回の対ライジン部隊であるところの『国連多国籍軍』は、従来の軍部からは独立した組織なんです。多くの傭兵を無国籍で抱きかかえていることからも判る通りにね。ゆえにそこにおける従来の軍での階級や特権は何の意味もなしませんよ」
「でも――それじゃあ『従来』の軍部へは顔が利くということですよね。そちらの方面から交渉などは出来ないんですか?」
「それも怪しいかもしれませんね。僕のことは昼に報告がされているだろうから、その従来の権限ですら使えなくなっているかも――場合によっては除隊だってあり得ます」
 期待しない方がいいですね――とういって会話を締めくくる渚の言葉に一同は深くため息をついた。
「さて、あとはアレをどうするかだな」
 そうして再びマナへと話を戻す。そしてそれと一緒に視線を向ける先には
「あははッ♪ ピンクのかばさん、かーわいー♪」
「んがががが!? ひ、ひっぱちゃダメ! 女の子がそんなとこひっぱちゃダメなんだなー!!」
 マナの手の中ですっかりオモチャにされているヌコロフの姿があった。その無邪気さとは裏腹に、改造人間である彼女の膂力は遊びといえども容赦なくヌコロフを攻め立てていた。
「彼女の洗脳が解けたのは、おそらくはキリンジさんの一撃が脳内のチップの機能を停止させたからでしょうね。――問題は今後彼女をどうするかです」
「どうするって――このままここに置いてったら、また軍の奴らに利用されちゃうんだろ? だったら一緒に連れて行こうよ! オレも世話するからさ」
「私もニコちゃんに賛成です。せっかく助け出したこの子を、またあの軍に戻すだなんて出来ません」
「そこなんだけどねぇ……」
 ニコと静の言葉に渚も頭を掻く。
「その子は、僕達の存在を軍知らせる『鈴』になりかねないんだ」
『鈴ぅ?』
「――あぁ、そういうことか」
 渚の言葉に首を捻る一同をよそに、タクミはその真意を察する。
「どういうことだ、タッ君?」
「このマナさんの脳にはチップが埋められてるって、さっき言ったよね。そのチップが洗脳の役割だけでなく、彼女の現在地を特定する為の発信機の役割も果たしていたとしたら――彼女と行動を共にする僕達は、随時その居場所を軍に知らせてしまうこととなる」
 ましてや、『アップリコ計画』はその存在自体がブラックボックスであるのだ。もしかしたら、一同の想像を超える更なる仕掛けが、このマナの中に仕組まれているとも判らない。
「じゃあどうするのさ。オレは絶対にヤダからね、マナをここに置いていくのは」
 それでもしかし、ニコは頑としてマナの保護を強く主張した。
 誰もが悩んでいた。
 倫理と利害の板ばさみになり、そんな理想と現実の狭間で自分達人間はいつもか細く息をして生きている。人ゆえに人間は悩むのだ。
「ならばこうしよう」
 そのなかでキリンジは提案する。
「ヌコロフ、君が決めてはどうだ?」
「んあッ?」
 そんなキリンジの言葉に、その口の両端を広げられ遊ばれていたヌコロフは大きく訊ね返す。
「ボキが決める?」
「そうだ。幸いにもマナは君に懐いている。それに元軍属の君ならば、今後の彼女の同伴についても正しい判断が下せるだろう。――今ここに君が置いていくというのなら私達はそれで構わない。決めてくれ」
「そ、そんなこと急に言われてもぉ……」
 突然のそれに、明らかに困惑の表情を浮かべるヌコロフ。
 もちろんこの選択をヌコロフに任せることには、キリンジなりの考えがある。
 いつの戦局・状況においてもヌコロフの判断が間違うことは無かった。そんな彼の洞察力を買っての判断であった。
「よく考えてね、ヌコロフ。僕らの今後が掛かっていることだから」
「オレは絶対に連れて行くからね。そうだよね、おっちゃん?」
「私もニコちゃんと一緒です。この子の不幸を知りながら放っておくことは出来ません」
「どうやろうなぁ。正直に連れて行くのも危ない感じはするし」

「さぁ、どうするヌコロフ」
「う、あうううううう………ッ」

 向かい立って正面からは問い詰めてくる一同。そしてその後ろには
「かばさん、ヌコロフって言うんだー。あたしはマナだよ、よろしくね。かばさん♪」
 これ以上にない無邪気な笑みを見せてくるマナ―――


 まさに命運分かれ目の岐路に立たされた一同―――明日はまだ、見えない。






                           [ 第4回に続く ]

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【 マスターより 】

 大変お待たせしました。
 どうにかギリギリに第3回目リアも発行することが出来ました〜。
 次回の舞台は『学園偏』となります。それに加えて『発情期』のイベントもあり、来月もまた、皆さんPLの腕の見せ所となります。本アクション及び日常アクション、気合の入ったアクションを期待しております♪

 でわでわ、また来月に。



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