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コメント(20)
別トピでuさんも紹介されていましたね。
実のところ、ここ１０年ぐらいの間に、中国ではいくつも三角縁神獣鏡が発見されていて、これが初めてではないのですが、今まではなぜかマスコミがちっとも報道してくれませんでした。今回は大きく報道されてとても話題になっているようですね。
いちおう、私に読める範囲で銘文を読んでみるとこんな感じでしょうか？
吾作明竟真大好上有聖人東王父西王母師子辟邪中？臣位至公卿子孫寿
よくあるタイプの典型的な鏡の銘文で、間違いなく三角縁銘帯四神四獣鏡だと思います。
ただ、日本出土のものに比べると明らかに大きさが小さいのと、外区が厚めなので比較的初期の三角縁神獣鏡ではないでしょうか。
銘文からも初期の鏡ではないかと思えるところがあります。西晋で流行し最も多く使われた「位至三公」でなく「位至公卿」と書いてあります。「位至三公鏡」は後漢時代からありましたがその後徐々に多くなり、西晋時代に最盛期となります。逆に「位至公卿」は後漢を中心にみられ、西晋ではほとんど見られません。
とすると西晋時代ではなくもっと古い時代、つまり後漢または魏の時代の鏡ではないかという事になります。つまり卑弥呼の生きた時代ぴったりという事です。
しかしそうすると今度は、日本で出土する景初や正始紀年鏡との違いが問題となってしまいます。こちらの小さく厚い方が卑弥呼の時代の鏡なら、日本の大きく薄い方は一体いつのものなのかという事になってくるからです。日本の三角縁神獣鏡では２０センチを切るものはほとんどなく、４世紀の古墳からばかり出土します。
三角縁神獣鏡が年代を下るごとに徐々に薄く大きくなっていくのはすでに判明していますから、今回の中国鏡が三世紀の神獣鏡で、日本で出土するのが四世紀の神獣鏡と考えると、これまでの研究結果とうまく符合する事になります。
出土状態や場所が全く分からないのが残念です。あと、横から見た画像が見たいですね。紐穴の形状と鏡の湾曲率を見れば日本の三角縁神獣鏡との違いがもっとはっきり比較できます。
実のところ、ここ１０年ぐらいの間に、中国ではいくつも三角縁神獣鏡が発見されていて、これが初めてではないのですが、今まではなぜかマスコミがちっとも報道してくれませんでした。今回は大きく報道されてとても話題になっているようですね。
いちおう、私に読める範囲で銘文を読んでみるとこんな感じでしょうか？
吾作明竟真大好上有聖人東王父西王母師子辟邪中？臣位至公卿子孫寿
よくあるタイプの典型的な鏡の銘文で、間違いなく三角縁銘帯四神四獣鏡だと思います。
ただ、日本出土のものに比べると明らかに大きさが小さいのと、外区が厚めなので比較的初期の三角縁神獣鏡ではないでしょうか。
銘文からも初期の鏡ではないかと思えるところがあります。西晋で流行し最も多く使われた「位至三公」でなく「位至公卿」と書いてあります。「位至三公鏡」は後漢時代からありましたがその後徐々に多くなり、西晋時代に最盛期となります。逆に「位至公卿」は後漢を中心にみられ、西晋ではほとんど見られません。
とすると西晋時代ではなくもっと古い時代、つまり後漢または魏の時代の鏡ではないかという事になります。つまり卑弥呼の生きた時代ぴったりという事です。
しかしそうすると今度は、日本で出土する景初や正始紀年鏡との違いが問題となってしまいます。こちらの小さく厚い方が卑弥呼の時代の鏡なら、日本の大きく薄い方は一体いつのものなのかという事になってくるからです。日本の三角縁神獣鏡では２０センチを切るものはほとんどなく、４世紀の古墳からばかり出土します。
三角縁神獣鏡が年代を下るごとに徐々に薄く大きくなっていくのはすでに判明していますから、今回の中国鏡が三世紀の神獣鏡で、日本で出土するのが四世紀の神獣鏡と考えると、これまでの研究結果とうまく符合する事になります。
出土状態や場所が全く分からないのが残念です。あと、横から見た画像が見たいですね。紐穴の形状と鏡の湾曲率を見れば日本の三角縁神獣鏡との違いがもっとはっきり比較できます。
大きな写真を載せてくださりありがとうございます。
銅鏡についてはこれだけで本が何冊も出ており、邪馬台国問題に匹敵するほど深遠な学問だと思うのですが、銘文がついているのはありがたいですね。年号が書いてあれば言うことなかったのですが。
保存状態の良いことが一目で分かりますし、出土品ではなくどこかで大切に保管されていたものなのでしょう。
出土状況が分からない遺物は考古学上の発見ではなく古美術品に過ぎない、という意見もあるでしょうし、いずれかの時代に、洛陽の好事家が日本の珍しい鏡として入手したものが伝わってきた可能性もあります。いずれにせよ、古田先生の予言は的中したことになりますね。
はりはりさんが解読してくださった銘文の部分ですが、日本製とされる鏡の多くが韻を踏んでおらず、中国製のものはきちんと韻を踏んでいる、という研究があったと思います。
また、31文字だとすると、4や7で割り切れないため韻文にならない、という点は注目に値します。
意味の切れ目でわけるとこうなるでしょうか。
吾作明竟真大好 上有聖人東王父 西王母 師子辟邪中？臣 位至公卿子孫寿
「西王母」の部分を除けば、好(*hou)、父（*pou)、寿(*siou)で韻を踏んでおり、第一句と偶数句で韻を踏んでいるので、韻文としての体裁がきっちり整います。母(*mou)も押印しています。
検索していて別なニュースを見つけたのですが、呉から入ったと考えられる銅鏡も日本で出土しているのですね。呉と倭の交易（朝貢）ルートが確立していたのだとすれば、色々と古代史の常識が塗り替えられそうです。
http://www.sankei.com/west/news/131027/wst1310270070-n1.html
銅鏡についてはこれだけで本が何冊も出ており、邪馬台国問題に匹敵するほど深遠な学問だと思うのですが、銘文がついているのはありがたいですね。年号が書いてあれば言うことなかったのですが。
保存状態の良いことが一目で分かりますし、出土品ではなくどこかで大切に保管されていたものなのでしょう。
出土状況が分からない遺物は考古学上の発見ではなく古美術品に過ぎない、という意見もあるでしょうし、いずれかの時代に、洛陽の好事家が日本の珍しい鏡として入手したものが伝わってきた可能性もあります。いずれにせよ、古田先生の予言は的中したことになりますね。
はりはりさんが解読してくださった銘文の部分ですが、日本製とされる鏡の多くが韻を踏んでおらず、中国製のものはきちんと韻を踏んでいる、という研究があったと思います。
また、31文字だとすると、4や7で割り切れないため韻文にならない、という点は注目に値します。
意味の切れ目でわけるとこうなるでしょうか。
吾作明竟真大好 上有聖人東王父 西王母 師子辟邪中？臣 位至公卿子孫寿
「西王母」の部分を除けば、好(*hou)、父（*pou)、寿(*siou)で韻を踏んでおり、第一句と偶数句で韻を踏んでいるので、韻文としての体裁がきっちり整います。母(*mou)も押印しています。
検索していて別なニュースを見つけたのですが、呉から入ったと考えられる銅鏡も日本で出土しているのですね。呉と倭の交易（朝貢）ルートが確立していたのだとすれば、色々と古代史の常識が塗り替えられそうです。
http://www.sankei.com/west/news/131027/wst1310270070-n1.html
押印→押韻、でした。
一つ追記すると、所有者である王趁意氏は歴代の金属鏡に関する論文をいくつも書いていて著作もあり、単なるコレクターではなくきちんとした研究者であるようです。
中国の考古学の学術レベルは高く、また膨大な過去の研究の厚みがあるので決して軽視することはできません。
日本国内の鏡作りの本場は、奈良盆地の田原本町にある鏡作郷だったようです。
祭神は天照国照日子火明命（ホアカリ＝ニギハヤヒ）、石凝姥（イシコリドメ）命、天児屋根（アメノコヤネ）命です。石凝姥命は、天照大神が天岩戸に隠れた時、彼女を岩戸から誘い出すために八咫鏡(やたのかがみ）を作った神で、アメノコヤネはその鏡を捧げ持った神とされており、社伝ではイシコリドメが作ったとされる別の鏡（神獣鏡）が神体として祭られています。
崇神天皇紀によれば八咫鏡は代々宮中に祭られてきましたが、祟りがあったために、倭姫命によって伊勢に移され、伊勢神宮の神体となったとされています。ホアカリは大和土着系の神ですが、神器が王室に祟りをなしたと考えられたのは、そのことと何か関係あるのかも知れません。
なお、他の神器のうち今も宮中に伝わるとされるのは八尺瓊勾玉だけで、草薙剣はスサノヲがヤマタノオロチの尾から取り出したものをアマテラスに献上し、それをヤマトタケルが東征に持ち出して帰路で死去したため、熱田神宮の神体となって現在に伝わっている、とされています。
一つ追記すると、所有者である王趁意氏は歴代の金属鏡に関する論文をいくつも書いていて著作もあり、単なるコレクターではなくきちんとした研究者であるようです。
中国の考古学の学術レベルは高く、また膨大な過去の研究の厚みがあるので決して軽視することはできません。
日本国内の鏡作りの本場は、奈良盆地の田原本町にある鏡作郷だったようです。
祭神は天照国照日子火明命（ホアカリ＝ニギハヤヒ）、石凝姥（イシコリドメ）命、天児屋根（アメノコヤネ）命です。石凝姥命は、天照大神が天岩戸に隠れた時、彼女を岩戸から誘い出すために八咫鏡(やたのかがみ）を作った神で、アメノコヤネはその鏡を捧げ持った神とされており、社伝ではイシコリドメが作ったとされる別の鏡（神獣鏡）が神体として祭られています。
崇神天皇紀によれば八咫鏡は代々宮中に祭られてきましたが、祟りがあったために、倭姫命によって伊勢に移され、伊勢神宮の神体となったとされています。ホアカリは大和土着系の神ですが、神器が王室に祟りをなしたと考えられたのは、そのことと何か関係あるのかも知れません。
なお、他の神器のうち今も宮中に伝わるとされるのは八尺瓊勾玉だけで、草薙剣はスサノヲがヤマタノオロチの尾から取り出したものをアマテラスに献上し、それをヤマトタケルが東征に持ち出して帰路で死去したため、熱田神宮の神体となって現在に伝わっている、とされています。
http://wxyc.literature.org.cn/journals_article.aspx?id=849
http://blog.sina.com.cn/s/blog_72f6182b01018ai5.html
これらのサイトで、前漢〜南北朝くらいまでの銅鏡の銘文が集められています。中国では金石文の研究が盛んです。
銘文は他の鏡と弁別するためのものなので当然ですが、同じ文章のものはありません。
なので既存の鏡のレプリカ、という可能性は少なくなります。
これまで発掘された「吾作明竟（鏡）」で始まるものは全て四言詩の形式を取っており、この鏡とは異なります。
初見で似ていると思ったのは次の銘文です。
（8）袁氏作竟真大巧，東王公，西王母，青龍在左，白虎居右，仙人子喬，赤松子，千秋萬歳不知老，渴飲玉泉饑食棗；
このテキストも参考になります。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2001Hazama/07/7126.html
http://blog.sina.com.cn/s/blog_72f6182b01018ai5.html
これらのサイトで、前漢〜南北朝くらいまでの銅鏡の銘文が集められています。中国では金石文の研究が盛んです。
銘文は他の鏡と弁別するためのものなので当然ですが、同じ文章のものはありません。
なので既存の鏡のレプリカ、という可能性は少なくなります。
これまで発掘された「吾作明竟（鏡）」で始まるものは全て四言詩の形式を取っており、この鏡とは異なります。
初見で似ていると思ったのは次の銘文です。
（8）袁氏作竟真大巧，東王公，西王母，青龍在左，白虎居右，仙人子喬，赤松子，千秋萬歳不知老，渴飲玉泉饑食棗；
このテキストも参考になります。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2001Hazama/07/7126.html
>>[7]
三角縁ではありませんが、中国出土の紀年鏡にこのような銘文を持つものがあります。
中平六年正月丙午日 吾作明竟 幽湅三羊 自有己 除不羊 �殿校辧‥豌ι秬床κ譟＼膺誘冥� 大神道 長吏買竟 位至三公 古人買竟 百倍田家 大吉 天日月
中平六年(189年)ですから後漢鏡ですね。画像はありませんでしたが四獣鏡とのことです。鏡径は11.82cmですのでかなり小さいです。
他に日本国内出土ですが、これとそっくりの三角縁銘帯四神四獣鏡が兵庫県たつの市から出ています。鏡径は22.3cm。小さくて見づらいですがこちらは一応画像があります。
吾作明竟甚大好上有仙(人)不知老古有神守及龍虎身有文章口衛巨古有聖人東王父西王母渇飲玉全飢食棗
三角縁ではありませんが、中国出土の紀年鏡にこのような銘文を持つものがあります。
中平六年正月丙午日 吾作明竟 幽湅三羊 自有己 除不羊 �殿校辧‥豌ι秬床κ譟＼膺誘冥� 大神道 長吏買竟 位至三公 古人買竟 百倍田家 大吉 天日月
中平六年(189年)ですから後漢鏡ですね。画像はありませんでしたが四獣鏡とのことです。鏡径は11.82cmですのでかなり小さいです。
他に日本国内出土ですが、これとそっくりの三角縁銘帯四神四獣鏡が兵庫県たつの市から出ています。鏡径は22.3cm。小さくて見づらいですがこちらは一応画像があります。
吾作明竟甚大好上有仙(人)不知老古有神守及龍虎身有文章口衛巨古有聖人東王父西王母渇飲玉全飢食棗
>>[9]
ありがとうございます。[7]で紹介した論文によれば、漢鏡の銘文は
「尚方作鏡真大好 上有仙人不知老 渇飲玉泉飢食棗 浮游天下敖四海 寿如金石為国保」
という文を基本形に、さまざまなバリエーションが発展していったと考えられるそうです。
金石文は門外漢なのですが、今回発見された銘文の「師（獅）子辟邪」の後は「中為臣」ではないかと思いました。
たつの市の銘文ですが、意味が通らない箇所が一つあります。
吾作明竟甚大好上有仙(人)不知老古有神守及龍虎身有文章口衛巨古有聖人東王父西王母渇飲玉全飢食棗
衛巨 は 為臣
玉全 は 玉泉
ではないかと思いました。
中国語だと衛と為、全と泉は同音になるのですが、中国人の研究を元にしているのでしょうか。
語学屋としては、不思議に思います。
ありがとうございます。[7]で紹介した論文によれば、漢鏡の銘文は
「尚方作鏡真大好 上有仙人不知老 渇飲玉泉飢食棗 浮游天下敖四海 寿如金石為国保」
という文を基本形に、さまざまなバリエーションが発展していったと考えられるそうです。
金石文は門外漢なのですが、今回発見された銘文の「師（獅）子辟邪」の後は「中為臣」ではないかと思いました。
たつの市の銘文ですが、意味が通らない箇所が一つあります。
吾作明竟甚大好上有仙(人)不知老古有神守及龍虎身有文章口衛巨古有聖人東王父西王母渇飲玉全飢食棗
衛巨 は 為臣
玉全 は 玉泉
ではないかと思いました。
中国語だと衛と為、全と泉は同音になるのですが、中国人の研究を元にしているのでしょうか。
語学屋としては、不思議に思います。
>>[13]
今回中国から出た鏡の事ですよね。
おっしゃる通り、そこが非常に問題だと私も思います。
この鏡は河南省の人が、2009年に洛陽の骨董市で農民から買ったというのですから、はっきり言ってこれ以上ないと言うほど見事に怪しげな来歴です。
買った人はどうやら在野の研究者のようで、2011年に「中原蔵鏡聚英」という中国鏡に関する図版本を初めて出しています。ちょっと調べて見たら、どうも今回の鏡もその本に載っているらしいようなので、試しに取り寄せて見ようかと思ったら、日本ではすでに売り切れでした。
ただ、大量にさばくならともかく、こんな風にポツンと出てくる所を見ると、贋作の可能性は低いかなと思います。あるとすれば盗掘・盗品である可能性でしょうか。
いずれにせよ、物が実際にあるのであれば、中国であれ、日本であれ、どこからか出たのには違いないわけで、特徴から製作地を推定することは(あるいは)可能かもしれません。
今回中国から出た鏡の事ですよね。
おっしゃる通り、そこが非常に問題だと私も思います。
この鏡は河南省の人が、2009年に洛陽の骨董市で農民から買ったというのですから、はっきり言ってこれ以上ないと言うほど見事に怪しげな来歴です。
買った人はどうやら在野の研究者のようで、2011年に「中原蔵鏡聚英」という中国鏡に関する図版本を初めて出しています。ちょっと調べて見たら、どうも今回の鏡もその本に載っているらしいようなので、試しに取り寄せて見ようかと思ったら、日本ではすでに売り切れでした。
ただ、大量にさばくならともかく、こんな風にポツンと出てくる所を見ると、贋作の可能性は低いかなと思います。あるとすれば盗掘・盗品である可能性でしょうか。
いずれにせよ、物が実際にあるのであれば、中国であれ、日本であれ、どこからか出たのには違いないわけで、特徴から製作地を推定することは(あるいは)可能かもしれません。
>>[12]
ありがとうございます。承、の篆書体で間違いなさそうですね。
ひざまずく人の下に手を三つ書いた文字だそうです。
なお、爲は爪の下に象を書いた文字だそうです。
吾作明竟（鏡）真大好 上有聖人東王父 西王母 師（獅）子辟邪中承臣 位至公卿子孫寿
これで決まりですね。
たつの市のホームページの銅鏡については推測ですが、中国人で篆書を読める方に解読をお願いしたところ、きちんと校正しないままメールで返信がきて、それをそのままホームページに転載したのだろうと思います。さすがに「玉全」は意味が通じないと思って注釈をつけたのでしょう。どうせなら鏡大きな画像も一緒に貼ってくれれば検証がしやすいのですが。
ありがとうございます。承、の篆書体で間違いなさそうですね。
ひざまずく人の下に手を三つ書いた文字だそうです。
なお、爲は爪の下に象を書いた文字だそうです。
吾作明竟（鏡）真大好 上有聖人東王父 西王母 師（獅）子辟邪中承臣 位至公卿子孫寿
これで決まりですね。
たつの市のホームページの銅鏡については推測ですが、中国人で篆書を読める方に解読をお願いしたところ、きちんと校正しないままメールで返信がきて、それをそのままホームページに転載したのだろうと思います。さすがに「玉全」は意味が通じないと思って注釈をつけたのでしょう。どうせなら鏡大きな画像も一緒に貼ってくれれば検証がしやすいのですが。
>>[13]
はりはりさんが書かれているように、「これ以上ないくらい怪しい来歴」で、ここに書かれている皆さんも「何でそこがわからない！」と歯噛みされていることと思います。
ただ、韻がきちんと踏まれた文になっていることから、中国で制作された可能性は高いと思います。
中国でも遺跡は掘りつくされているといっていいくらいの状態で、出土品よりも骨董市場に出回っている遺物の方がはるかに多い状況だろうと思います（日本でもそうかも知れませんが）。
銅鏡に詳しい人間が作った贋作、という可能性も完全には排除できませんが、発見者による贋作だとは今のところ考えなくてよいと思います。
もしそうならば、「倭王に与える」くらいのことは書いて作ったでしょうし、倭鏡と同じ寸法で作っただろうと思います。まあ、そこまでやればバレバレになってしまうので、敢えて分かりにくく作ったという可能性もなくはないですが、これまでにも三角縁神獣鏡は何枚か見つかっているらしいので、発見されたとしても不思議ではありません。
はりはりさんが書かれているように、「これ以上ないくらい怪しい来歴」で、ここに書かれている皆さんも「何でそこがわからない！」と歯噛みされていることと思います。
ただ、韻がきちんと踏まれた文になっていることから、中国で制作された可能性は高いと思います。
中国でも遺跡は掘りつくされているといっていいくらいの状態で、出土品よりも骨董市場に出回っている遺物の方がはるかに多い状況だろうと思います（日本でもそうかも知れませんが）。
銅鏡に詳しい人間が作った贋作、という可能性も完全には排除できませんが、発見者による贋作だとは今のところ考えなくてよいと思います。
もしそうならば、「倭王に与える」くらいのことは書いて作ったでしょうし、倭鏡と同じ寸法で作っただろうと思います。まあ、そこまでやればバレバレになってしまうので、敢えて分かりにくく作ったという可能性もなくはないですが、これまでにも三角縁神獣鏡は何枚か見つかっているらしいので、発見されたとしても不思議ではありません。
>>[15]
自分で「承」ではないかと言って置いて恐縮ですが、
「中承臣」の部分がどうしても意味が通らないので、もう一度調べ直してみたら、
「口銜巨」の間違いだったのではないかと思うのですが。
銜 ・・・ 【銜む】「くく・む」(くわえる) ハミ (馬具)・轡（くつわ）
「口銜巨」 ・・・ 口には巨を銜(くわ)える。
これと同じ言葉がある、三角縁陳氏作四神二獣鏡が埼玉県にありました。
http://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/soshiki/kyoikubu/bunkazai/menu/shitei_bunkazai/1395896068898.html
すると、たつの市の「口衛巨」も、同じく「口銜巨」だという事になります。
これですべて完全に意味が通ります。
吾作明竟（鏡）真大好 上有聖人東王父 西王母 師（獅）子辟邪口銜巨 位至公卿子孫寿
吾(われ)、明鏡を作る。真(まこと)に大好(素晴らしい・非常に良い)なり。上に聖人有り。
東王父(中国の神話上の仙人)、 西王母(古代中国の女仙人)、
獅子と辟邪(へきじゃ)は、口には巨を銜(くわ)える。 位(官位)、公卿に至る。子孫、寿なり。
※ 辟邪＝古代中国の想像上の動物。鹿に似て二角をもち，邪悪を避ける。
文字数も、７・７・３・７・７ できれいに並んでます。
なかなかめでたい内容の銘文だと思うのですが。
自分で「承」ではないかと言って置いて恐縮ですが、
「中承臣」の部分がどうしても意味が通らないので、もう一度調べ直してみたら、
「口銜巨」の間違いだったのではないかと思うのですが。
銜 ・・・ 【銜む】「くく・む」(くわえる) ハミ (馬具)・轡（くつわ）
「口銜巨」 ・・・ 口には巨を銜(くわ)える。
これと同じ言葉がある、三角縁陳氏作四神二獣鏡が埼玉県にありました。
http://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/soshiki/kyoikubu/bunkazai/menu/shitei_bunkazai/1395896068898.html
すると、たつの市の「口衛巨」も、同じく「口銜巨」だという事になります。
これですべて完全に意味が通ります。
吾作明竟（鏡）真大好 上有聖人東王父 西王母 師（獅）子辟邪口銜巨 位至公卿子孫寿
吾(われ)、明鏡を作る。真(まこと)に大好(素晴らしい・非常に良い)なり。上に聖人有り。
東王父(中国の神話上の仙人)、 西王母(古代中国の女仙人)、
獅子と辟邪(へきじゃ)は、口には巨を銜(くわ)える。 位(官位)、公卿に至る。子孫、寿なり。
※ 辟邪＝古代中国の想像上の動物。鹿に似て二角をもち，邪悪を避ける。
文字数も、７・７・３・７・７ できれいに並んでます。
なかなかめでたい内容の銘文だと思うのですが。
>>[17]
はじめまして。 どんたく と申します。
> 吾作明竟（鏡）真大好 上有聖人東王父 西王母 師（獅）子辟邪口銜巨 位至公卿子孫寿
2015/03/02付け朝日新聞の報道のもととなった
王趁意「洛陽三角縁笠松紋神獣鏡初探」『中原文物』2014年第6期
でも、銘文はこのとおりに解読されています。
『古代史の海』第79号 2015年3月 の編集後記の中で、大阪府教委の西川寿勝氏が簡単にこの鏡のことを解説しておられます。
（雑誌の編集に時間的な余裕がなかったため、編集後記の中で取り上げるという変則的な形になってしまったようです。）
この解説文の中でも、同様の銘文の読みが紹介されています。
「位至公卿」という文言は、日本出土の三角縁神獣鏡の銘文の中には見当たらないようですが、『史記・儒林列伝』及び 『漢書・董仲舒伝』の中に、「位至公卿」という文言があるようです。
はじめまして。 どんたく と申します。
> 吾作明竟（鏡）真大好 上有聖人東王父 西王母 師（獅）子辟邪口銜巨 位至公卿子孫寿
2015/03/02付け朝日新聞の報道のもととなった
王趁意「洛陽三角縁笠松紋神獣鏡初探」『中原文物』2014年第6期
でも、銘文はこのとおりに解読されています。
『古代史の海』第79号 2015年3月 の編集後記の中で、大阪府教委の西川寿勝氏が簡単にこの鏡のことを解説しておられます。
（雑誌の編集に時間的な余裕がなかったため、編集後記の中で取り上げるという変則的な形になってしまったようです。）
この解説文の中でも、同様の銘文の読みが紹介されています。
「位至公卿」という文言は、日本出土の三角縁神獣鏡の銘文の中には見当たらないようですが、『史記・儒林列伝』及び 『漢書・董仲舒伝』の中に、「位至公卿」という文言があるようです。
>>[19]
はじめまして。はりはりと申します。よろしくお願いいたします。
もうすでに専門誌に掲載されていたのですね。
ありがとうございました！
実際の鏡から解読するような事は今回初めてでしたので、字の読みが合っているかどうか半信半疑でしたが、ほっとしました。
「位至公卿」という文言は史記にもあったのですね。漢書にあるのは知っていたのですが史記の方は知りませんでした。他には中国出土の漢鏡に、「君宜高官 位至公卿」という銘が書かれている鏡が実際にあるようです。
他にも実際に発掘された漢鏡の銘文には、位至公侯、位至公候、官至三公などいろいろバリエーションがあるようですが、これらもやはり日本出土のものには見られません。
想像ですが、昔はこうしていろいろな表現が使われていたものの、そのうち三公が名誉職となるにつれて「位至三公」という文言が気軽に使用しやすくなり、人気もあったため徐々に増えていったのではないでしょうか。「位至三公鏡」の数が増えればそれだけ倭に渡る可能性も増えるわけですし、倭人が入手するにも最も「売れ筋」の物を買って帰ることでしょう。
この鏡は文様も細い線までつぶれることなくはっきり出ていますし、聞くところによると紐孔断面も円形もしくは半円形との事です。また三角縁内側の外周突線がないこと、サイズが小さいことなどを考えると、やはりこれは倭から逆輸入されたようなものではなく、中国鏡であると考えるのが妥当ではないかと思います。
鉛同位体比の研究から、三角縁神獣鏡は魏鏡ではないと発表した新井宏氏も、その論文の中で、オリジナルとなった中国製三角縁神獣鏡の存在を示唆していました。
よって私は、この鏡が日本出土の三角縁神獣鏡の「祖先」の一種であると考えても良いのではないかと思います。
はじめまして。はりはりと申します。よろしくお願いいたします。
もうすでに専門誌に掲載されていたのですね。
ありがとうございました！
実際の鏡から解読するような事は今回初めてでしたので、字の読みが合っているかどうか半信半疑でしたが、ほっとしました。
「位至公卿」という文言は史記にもあったのですね。漢書にあるのは知っていたのですが史記の方は知りませんでした。他には中国出土の漢鏡に、「君宜高官 位至公卿」という銘が書かれている鏡が実際にあるようです。
他にも実際に発掘された漢鏡の銘文には、位至公侯、位至公候、官至三公などいろいろバリエーションがあるようですが、これらもやはり日本出土のものには見られません。
想像ですが、昔はこうしていろいろな表現が使われていたものの、そのうち三公が名誉職となるにつれて「位至三公」という文言が気軽に使用しやすくなり、人気もあったため徐々に増えていったのではないでしょうか。「位至三公鏡」の数が増えればそれだけ倭に渡る可能性も増えるわけですし、倭人が入手するにも最も「売れ筋」の物を買って帰ることでしょう。
この鏡は文様も細い線までつぶれることなくはっきり出ていますし、聞くところによると紐孔断面も円形もしくは半円形との事です。また三角縁内側の外周突線がないこと、サイズが小さいことなどを考えると、やはりこれは倭から逆輸入されたようなものではなく、中国鏡であると考えるのが妥当ではないかと思います。
鉛同位体比の研究から、三角縁神獣鏡は魏鏡ではないと発表した新井宏氏も、その論文の中で、オリジナルとなった中国製三角縁神獣鏡の存在を示唆していました。
よって私は、この鏡が日本出土の三角縁神獣鏡の「祖先」の一種であると考えても良いのではないかと思います。
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