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ウッディー/マイ詩集コミュの★フォーク詩/30-d★

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「山下清のバラッド」
 
放浪の天才画家山下清が最初の旅に出たのは十八の時
彼は頭が弱かったが魂は澄みわたっていた
ところがこの世に澄みわたった魂の住みかはない
彼は彼の絵の中に魂を住まわせたのさ
全ての色彩が彼の味方!
それ以外のものには興味がない
 
放浪の天才画家山下清が三度目の旅に出たのは二十歳の時
皆が止めようとしたがある晩彼は抜け出した
走れるだけ走り駅に止まった、それこそ着の身着のまま
彼は絵を描くために旅したんじゃない
全ての景色が彼の味方!
それ以外のことはどうでもいい
 
放浪の天才画家山下清が七度目の旅に出たのは二十五の時
彼の旅はいつも五月に始まり九月には終った
だが今度は帰らなかった、秋が終り冬が始まっても
やがて冬の断末魔と春の囁きを聴いた
全ての季節が彼の味方!
彼のねぐらは何処でもいい
 
放浪の天才画家山下清が十一度目の旅に出たのは三十の時
ウソ八百を並べ立て、なんとかその日のメシにありついた
彼は全てに感動し、恐怖し、うっとりし、記憶した
絵を理解する男が現われ全てを引き受けた
勘違いしないで、私は味方だ!
だが敵も味方も関係ない
 
放浪の天才画家山下清が旅をしなくなったのは三十五の時
誓約書にサインし、二度と放浪しないと誓わされたのさ
今や彼は地位と名誉を手に入れた、多すぎる財産も
だが彼の魂は限りなくゼロに近づいていった
全ての人々が彼の味方!
そんな事はどうでもいいことだ
 
放浪の天才画家山下清が帰らない旅に出たのは四十九の時
一番細い血管が破れ或る晩彼はブッ倒れた
ベッドの上で彼は言った“今年は何処の花火に行くか?”
それから暫くして彼は息を引き取ったのさ
全ての神様が彼の味方!
天国の場所は花火のひとしずく

(ウッディー)

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