ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

魔境の森の旅人コミュのAct14:夢の中 思い託して (2-4)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 やめろ!何考えてんだ!
 お前は・・・自分のことを疎外する必要なんかないんだ!心配しないで、どこかに行ってしまおうなんて考えないで、ここに居てくれよ。

 行かないでくれ。消えないでくれよ。
 俺の・・・・・・ううん、俺達のそばにいてくれ。
 お前が、必要なんだ。お前がいなくちゃ困るんだ。

 え?力を必要としている?
 そんな訳無いだろ!俺はお前の、存在を必要としているんだ!

 ずっと前から、お前は俺達に力を貸してくれた。俺は、そんなお前とこうしてここまでやってこられた事を誇りに思っているし、その時間がこれからも長く続くことを祈っている。

 これからは・・・俺達が、傷つき疲れたお前に力を貸す番だ。
 否定なんかしなくていい。自分を自分で虐げるのはやめてくれ。
 この世に、不必要な存在なんて誰一人いないんだ。
 もし世界中の人達がお前を不必要だとしていても、俺達は違う!
 他人がなんと言おうと、俺はお前の事を必要としているんだから。

 え?なんでそんな事言えるのか、って?

 ・・・・・・当たり前だろ?俺達・・・・・・・・・・・・
 俺達・・・・・・俺とお前は、親友なんだから・・・――――――――――

   * * * * * * * * * *

 切ない・・・自分の声が、辺りに響き渡る。
 聞き間違いなんかじゃない、俺の声だ。
 多分・・・言ったのは俺じゃなくて、あの男なんだとは思うけど。
 俺は・・・・・・『親友』と呼べる人物に、存在を必要としていた。

 その親友って、誰?
 今の俺と同じ様に、デュークの事なのか?
 でも―――――違うのかもしれない。

 アイツは居なくなろうとした訳じゃないし、傷つき疲れた訳でもない。
 なら・・・・・・その親友って、一体――――――――――

『よう、おはよう。じゃなかった、おやすみだったかな』
 悶々と考え事をしていた俺を止めたのは―――やっぱり、あの男だった。
『ようこそ、夢の中へ。なんて俺は誘っただけで、ここはお前の夢の中だ』
 ザガルは俺を見ると、にんまりと笑った。上々だ、と言わんばかりの笑顔だ。
 今日の彼は、上に水色の半袖、下に白の長袖を着ている。半袖から長袖が出ている、それは決してだらしがないなんて事もなく、良く合っている。
 半袖は膝上くらいまであって、腰元をベルトで止めている。白のズボンをはいていて、靴は・・・履いてない、裸足だ。

『俺は―――この服を着ている事が多いんだ。あんまり気にしなくてもいい事だけどね』
 そう言うとザガルは、胸元からティアドロップを出した。
『お前に渡しておいたのに――――なぜか、ここにもある。精神体みたく、分裂したかな』
 慌てて俺も、ティアドロップを出した。普段は何かあるといけないと思って、服の下の方にしまってあるから。

「あの、さぁ・・・・・・さっき、俺に何したの?」
 おそるおそる、彼に話しかけてみる。
『力を抜いたんだ・・・・・・すぐに寝られるように。夢を見られる状態になったらもういい、お前に返しておこうか』
 ザガルは俺の顔を見ると、手を差し伸べた。そこから光が生まれて、俺の体に入り込む。確かに力がみなぎってくるような、そんな感じがしてきた。

「あ・・・ありが、とう・・・・・・―――――」
『いやいや、どういたしまして?』
 俺にはザガルが、気取った紳士のように見えてきた。今にもほら、手からシルクハットとか鳩とかが出てきそうだ。
『・・・あのねぇ、そんな訳ないでしょうが。俺は手品なんかできないよ』
 拗ねたような表情をみせる彼。そんな事言われたって・・・・・・。

「それにさ、なんで俺は前々から倒れてばっかりなの?」
 あの夢―――闇の中から光を通して楽園の中へ、そして森で、鏡の中にいたもう一人のザガルと謎の女性に会った夢―――を見てからこれまでに、俺は三回も倒れている。一回目は初めてエヴァーランに会った時、二回目はギバータと戦った後・・・・・・初めてあの魔法剣技と奥義を使ったとき。そして三回目は、今さっきのこと。

『?確かに、ばっかりだけど―――――・・・困るかい?』
「そりゃあ、まあ。だって・・・俺、男だろ?か弱い女の子じゃないんだから、ほいほい倒れちゃうのはちょっと・・・・・・」
『・・・・・・なるほどね』
 彼は納得してくれたのか、考え込む。

『仕方ないね。倒れるっていうのは、力か何かがはたらいている時なんだ。しかもその力・・・小さくないから、大きく反動が来るんだ。これは誰だって一緒。か弱い乙女だって、年がら年中丈夫な大男だってね』
 うーん・・・確かに分かりやすい例えだ。

『はっきり言う。今のお前には、記憶のほとんどが抜けている。そして・・・俺には、記憶も技術も全部この胸の内に収めてある。でもな・・・・・・その代わり、決定的な違いがある』
 彼は俺を指差し、俺に強く言い聞かせた。
『俺は・・・・・・すべての記憶を持っているかわりに、肉体から抜け出ているから半霊体として存在することしか出来ない。姿も透けているし、誰の目にも見えない。だからお前の心の中に現われるっていうのは、俺が出来る最大の行動なんだ』
 一息おくと、続ける。

『それに引き換え、お前は・・・・・・記憶をほとんど失っているかわりに、この世界で思いのまま動くことが出来る。その二本の手でどんなものにも触れることが出来るし、その二本の足でどこへでも行くことが出来る。そのかわり、色んな事を思い出す必要があるけど。要所要所でぶっ倒れるのは、その影響なんだ』
 俺は彼の話を、ただ黙って聞いているだけだった。でもそんな俺に喝を入れるかのように、ザガルは激した。

『いいか?良く聞け!頭で考えることしかできないということと、その体で行動できるということには、大きな違いがある!!頭で考えるだけじゃ駄目なんだ。動き出さなきゃいけないんだ。それができるのは俺じゃない、お前なんだよ!!』
『俺にはできない!!お前しか・・・・・・お前にしかできないことなんだ!!』
 ザガルは俺の肩に手をかけ、激しく揺さぶった。まったく同じ瞳が、俺の顔を怒ったように見つめている。言い終わると、後ろを向いてしまった。

『行動って・・・・・・動き出すって、すんごい大事な事なんだよ。時には勇気のいる事かもしれないけど、それって考えるだけよりずっと大事な事なんだと思うんだ。確かにこれだけ複雑な物事を考える事は人間にしかできないことだけど・・・・・・・・・考える事から動く事へ転換できるっていう事は、やっぱり大事な事なんだよ』
 俺はおそるおそる歩き出し・・・ザガルの隣に立った。目の前は闇だらけ、虚無感が漂っている。

「ねぇ―――いくつか、聞いてもいい?」
『?いいけど。今日は時間もあるし』
 ザガルは落ち着いてくれたのか、その場に座り込んだ。俺も同じ様にあぐらをかいて座ると、相手の顔を見ながら話し出した。

「俺・・・・・・一人の女性に、よく似ているみたいなんだ。君、何か・・・心当たり無いかな?」
『似ている【みたい】?お前は会っていないの?』
「ああ、うん―――――行方不明なんだ」
『そう・・・・・・なるほど』
 相手は小声で唸りつつ、顎をしゃくる。

『世の中、自分に似た人間って三人いるらしいから・・・不思議な事じゃないとは思うよ。ただ【世間って狭いなぁ・・・】って思う位で。・・・・・・相手は女性、か。それもおかしくないと思う。自分の姿を鏡で見ていれば、どうして自分が男なのか疑問になってくる時もあるし』
 俺と同一人物のはずなのに、彼の考えは俺とかなり違っているような気がする。

『一応、聞いておこうかな。その人、名前は?』
「・・・シェリさん。シェリ・テラーっていうんだ」
『行方不明になる前の名前・・・ってことか』
 その言葉に、俺は不信感を持った。

「そ、それどういう事?」
『その気になれば、離婚も再婚もできるかなーって。でも俺はそういうの、嫌いだね』
 彼は言葉の最後の方を、強くはっきりと言い放っていた。

「・・・・・・それじゃあ、質問を変えようかな」
『どうぞ?次は、どんな事??』
 こんな事聞いてもいいのかな・・・そう思いながらも、思い切って聞いてみることにした。

「今、こうして夢を見始めたとき―――君に会う前、悲痛な叫びみたいなものが聞こえてきたんだ。あれがどういう意味をもったものなのか、君は知っているんだろう??」
『・・・・・・ちゃんと、聞いてくれたんだな』
 こっちの顔を見ずに、彼は続けた。

『俺がお前に心を開いた、とでも言っておこうかな。あれは、俺の叫び。ちょっと前の事だけど、俺は確かにああ言った。その事、今でもよく覚えている』
「親友に、言ったんだよね。あの言葉―――」
 かたや俺は、ザガルの顔をずっと見ていた。その視線に気が付いたのかどうかはよく分かんないけど(多分気付いていたと思うけど・・・)、彼はこっちを向いた。

『そう。今は離れてしまって側にいない、俺の大事な親友に、だ』
 離れて、側にいない―――――?
 だとしたら親友は、結局どこかへと行ってしまったのか―――――?

『この言葉の意味―――その内分かるようになるさ。それまでは・・・今お前のそばにいるお前の親友の事、大事にしてやれよ』
 彼は溜め息をついて足を組み直すと、淋しそうに――初めに見た夢の中と、そっくりだ――闇の彼方を見つめた。

『いつ分かるようになるのか―――それは多分、お前が今集めている【証】ってものを八つすべて、集めたときかな。そうすれば自ずと、道は開ける。今は、【誰か】によって作られた道を歩いているだろうけど―――』
 ――――さるお方・・・つまり、【ある人物】って存在のことか。

『その意味もさっき言った事の意味も、その道を最後までちゃんと進めば分かることだ。でも・・・忘れちゃいけない事がある。道は開けるものじゃない、自分で開くものなんだ』
 そんないい事言わないでくれよ・・・ますます自分がわからなくなる。俺にはそんな事、絶対言える訳ないんだから。
 悶々とそんなとを考えながら、次の言葉を待っていたら・・・・・・彼の口から、とても意味深な言葉が洩れた。

『俺もお前も―――今は広大な【魔境の森】の中にいる・・・・・・―――――――』

 ――――魔境の森?
 ――――それって、この夢の事を言うのか?
 ――――それとも・・・・・・それとも?そんな言葉が、続くのか?
 ――――魔境の森って、どこの事を言うんだ・・・・・・?

『さあ―――どこだろうな。なんてな、俺にはよく分かっている。これの意味も、自分で道を開いてからのお楽しみ。知りたかったら、恐れずに前に進むことだな』
 そう、楽しそうに言うザガル。
 あのねぇ、俺は君の遊び道具じゃないんだぞ・・・!

『さて・・・これだけじっくり話し合ったんだ、今日はもういいだろ?お前も【ここに来る前】、何人かに迷惑かけただろ。その後始末、しないとな』
 彼はニッと笑うと、俺の額に手を当てた。すると・・・・・・その手を前に押した。当然、俺は後ろに倒れ込んだ。
「待ってよ、ねぇ――――――」
 その声に、俺は何か衝撃を覚えた。闇の中にいたのに―――――今は布団の中だ。

「あ、あれ―――?ゆ、夢から―――――覚めたの?」
 俺は起き上がると、辺りを見回した。と、隣に・・・座ったまま眠り込んでいるジーンさんの姿があった。どうやら、心配して見守ってくれていたみたいだ。
 と・・・ジーンさんは、一言こう呟いた。
「――――・・・・・・シェリ・・・・・・・・・・・・・・・帰って、きてくれ・・・・・・」
 そんなジーンさんを止めることなんか出来ず―――起こすことなんかできず、俺は布団の中で彼を見つめていた。

 今―――何時だろう?真夜中・・・だとは思うけど。

 わずかに寒気を感じた俺はベッドから降りて、道具の入った袋をあさってコートを取り出した。昔・・・デュークが、「お前にやるよ!」とか言って俺にくれた毛皮のコートだ。それをジーンさんにかけてあげると寝台に戻って、俺は朝までもう一度寝ることにした。

 あと・・・どのくらい眠れるかな。
 俺・・・・・・遅起き得意だからなぁ・・・・・・・・・―――――。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

魔境の森の旅人 更新情報

魔境の森の旅人のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング