ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

魔境の森の旅人コミュのAct12:園の診療所 (2-2(2/2))

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
   * * * * * * * * * *

 それからはあっという間に、ストリートガーデン[大通りの園]に着いた。
 ここもやっぱり門前があって、見張り番が立っている。顔見知りなのか、ジーンさんは特別な許可もなくすんなりと中に入ることができた。

「おや?ジーンさん、その方々は?」
「彼等はパークガーデンの見張り番をしていましたが、今はこうして探求者として旅をしています。二人はまた、我々の大事な人達でもあるんです」
 ジーンさんはまた、こんな説明を番兵さんにしていた。それを聞いた三人の見張り番達は、快く俺達も迎え入れてくれた。

「それはそれは、よく来たね。俺達は丁度、近隣の園の見張り番達と何らかの交流を持ちたかったところだ。是非今度、パークでの積もる話をゆっくりとしてくれないか?」

 番兵達がそんな事を言うもんだから、デュークはつけ上がっちゃってその場で色々と話し込み始めてしまった。
 園は・・・さすがに今は夜だから、しんと静まり返っている。他の人の姿もない。デュークの元気な声は、いつ近所迷惑だという苦情が飛んできてもおかしくない位の大きな声で、辺りの建物に響き渡っている。

「デューク、そろそろ行こう。俺達、ここまで連れてきてもらったんだからさ。ジーンさんとハリーに、迷惑かけるわけにもいかないじゃないか」
「おっといけねぇ!そうだったな。それじゃあ折角で悪いんだけど、また後で・・・・・・オレ達、今からジーンさんのお兄さんの家に行かないといけないもんで・・・・・・」

 また来いよ!と、番兵達は笑顔で俺達のことを見ている。この人たちは言葉遣いこそ丁寧でしっかりしているけど、なかなか気さくでいい人っぽい。仲良くなれるといいんだけど・・・・・・。

「さあ、こっちだよ。兄の診療所は、こっちにあるんだ」
 ジーンさんは、笑顔で俺達を案内してくれる。この人も、何気に元気がある。

「おれたち、ちょっとどころか随分長い間、顔を見せていなかったからなぁ・・・心配してるかもしれない。ばあちゃんの家で用を済ませてからも、必ずここに寄るから」
 ハリーは言葉どおりの不安そうな顔で、そう呟いた。

 確かに、テラー親子がこの園を出てから・・・・・・それはつまり、俺達が彼らと初めて出会った日って事になるんだけど、その時からもう十日になろうとしている。習慣を考えると、さすがにこれはこの辺の人々も心配せずにはいられないはず。
 と・・・・・・・・・・・・俺達は、一軒の建物の前にたどり着いていた。

 入り口の横に掛けてある看板には『ストリート診療所  診療長―――ニコラ・テラー』と、それから扉の中心の看板には『本日終了』と書いてある。なんとか野宿せずに、目的の診療所にたどり着けたという訳だ。
 ジーンさんは扉の前で、トントンと扉を叩いている。

「申し訳ありません、看板のとおり本日は終了・・・―――」
 扉が開き、中から誰かが出てきた。でも少し後ろの方にいた俺に、その姿はまったく見えなかった。

「やあ、しばらくぶりだったね。私だよ」
「ああっ・・・ジーンさん、お久し振りです!心配してたんですよ、良かった。とにかく、今は中へどうぞ!」

 口調からすると、どうやら応対している人はニコラさんの弟子らしい。ジーンさんは門前でもそうだったようにまた俺達の事を説明すると、中へ入るように勧めてくれた。
 中は照明で明るく照らされていて、待合室の机も片付いていて、清潔感で溢れていた。側の本棚には、診療の順番が来るまでの暇つぶし(って言っちゃあいけないか・・・)のための数々の書物が入っている。

「今、ニコラ先生を呼んできますから。待っててくださいね」

 お弟子さんはうきうきと、診療所の奥へと行く。俺達四人は、机のそばにきちんと置かれていた椅子に腰掛けた。
 すると、扉を乱暴に開けるバタンという大きな音と共に、人が出てきた。

「ジーン!連絡を寄越さないまま、今までどこをほっつき歩いていたんだ!?」
「兄さん!ごめん、色々と込み入った事情があってさ・・・・・・・・・」

 ジーンさんのお兄さんでありハリーの伯父さんでもある、そしてここの診療所の診療長、二コラさんだ。彼はやって来ていきなり、頭ごなしにジーンさんを怒鳴りつけた。

「どれだけ込み入っていたのかは知らんが、母さんはこの事を知っているのか!?どんな事情にしろ散々迷惑をかけた以上、そう簡単には許さないぞ!」

 肩よりちょっと上のところまで伸びた髪は黒、瞳は緑色だ。体は細くて・・・これは弟のジーンさんとそっくりだけど、この人はとても知的そうな顔をしている。
 う〜ん・・・・・・さすがはディーノさんの息子、そしてジーンさんのお兄さんだ。その気迫は、どこかしら似たものを感じさせる。
 そんな中、ハリーが助け舟を出すかのように中に入った。

「おじさん、こんなに遅くなっちゃったのは本当に悪かったと思ってる。ばあちゃんにはちゃんとあいさつしてきたし、薬も届けてきた。ただ・・・ちょっとさ、エヴァーランに襲われたんだ。だから、けがの治療とかにてこずって・・・・・・」
「ジーン・・・お前、腕が落ちたのか?ハリーに注意が行き届かなかったばかりに痛い思いさせて、しかもその治療に時間がかかった、と?情け無いな」
 ニコラさんは、さげすんだように弟を見る。そこへ、デュークが間に割って入る。

「まあまあ、ちょっと待ってくださいよ」
「おや、君は?」
「ハイ、オレは数日前までパークガーデンっつう所で見張り番の仕事をしていた、デューク・バルトという者です」
「ほう、それはそれは。こんな遠くまでご苦労様。でも君は、なんでここまで?」
「話せば長くなるんですけどね。まず誤解を解くという形で説明しますと、エヴァーランに襲われたのはハリー君じゃなくてジーンさんなんですよ。んでもってその襲ったエヴァーランってのがまたかなりの強者でしてね、しとめたこちらもかなり苦戦を強いられたんです。で・・・ようやくジーンさんの怪我も治って、こうしてここまで帰ってくることができたということです。そいでオレ達は何者かというと、探求者でして・・・向こうで親しくなったってこともあって、ファーマシーガーデンまではジーンさん達と一緒に行動することにしたんです」
「・・・なるほどね、そういう事か・・・・・・・・・」

 ニコラさんはふむふむと、俺達四人を見回す。

「?・・・っと?君は・・・・・・・・・―――――――――!」
 あ、まただ。さすがに俺も、慣れる以外にどうすることもできない。

「俺は、そいつ・・・・・・デューク・バルトの友人の、ザガル・ダンティネアルです。あの・・・人から、俺はよくシェリさんに似てるって言われるんですけど、似ているだけですから」
「そうなのかい?でも君は、本当に良く似ている。気のせいではない、間違いないよ」

 ここまでくると、ただの見間違いではないみたいだ。でも、いくら毎度毎度の説明がめんどくさいとはいえ、『俺はシェリさんのそっくりさんです』と書いた看板を引っさげて歩き回る度胸はない。とすれば、やっぱり毎回毎回『似ているみたいなんです』と説明するしかないってことかな。

「・・・取り乱してすまなかった。それにジーン、悪かったな。とにかく、今日は家に泊まって行くんだろう?いいや、それだけじゃない。今回はお客人がいる、しばらくはこの園にいるんだろう?だったら尚更だ、ゆっくりしていくといい・・・・・・今日からしばらく、ここが君達の宿だ。そう思ってくれ」
 最後の方は、俺達の方を見て言った。辺りは、やっと落ち着いた雰囲気になった。

「ありがとう、兄さん」
 ジーンさんも、やっと胸を撫で下ろすことができたって感じだ。
 ・・・その途端。

「さあさあ、どうぞどうぞ!」

 という、元気な声が聞こえ、奥の方から何人か人がやってきた。多分宿直で、今夜はこの診療所に泊まるお弟子さん達だと思う。きっと、気の高ぶったニコラさんが落ち着くまでじっと待っていたんだろうなぁ。その慣れた対応の仕方、さすがはお弟子さんだ。
 そしてその人達は俺達の荷物を抱えると、
「我々が、部屋までご案内しましょう!」
 と、俺達を迎え入れてくれた。

 俺は遠慮せずにその好意に甘えて荷物を任せ、入り口からの部屋までの道程を覚えよう・・・と思っていたそんな時、診療所の奥の方にいた女の人と目が会った。
 その人は恥ずかしそうに、又はにかんで素早く部屋の奥に引っ込んでしまったけど、俺はその人が非常に気になった。

 ――――美人だったから?
     顔がよく見えなかったから、美人だとしても気になった理由にはならない。

 ――――行動が怪しかったから?
     それもなんだか当てはまらない。俺達が誰なのかと、彼女は不思議に思ったから見に来ていたのかもしれないし。

 ――――なら、どうして?
     わからない。でもなんか、引っ掛かるんだ。あのひとが。


 ・・・・・・でも、まさか。
    彼女と絡んでこれから、この大通りの園での多忙な日々が始まるなんて。
    そのときの俺が、そんなことをちょっとでも思ったはずがない・・・・・・。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

魔境の森の旅人 更新情報

魔境の森の旅人のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング