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中・高教師用メルマガコミュの日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1714号☆

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 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1714号☆
                  2007年3月30日:金曜日発行
  編集・発行 梶原末廣   sukaji@po.synapse.ne.jp
  http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/sukaji/index.html
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■「国際理解来し方行く末」(38)高木洋子
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【連載】


■「国際理解来し方行く末」(38)
 

                高木洋子(JEARN)
                yoko@jearn.jp


◆ まちんと  国際教育プロジェクト例


1.広島の平和絵本「まちんと」との出会い

3年前、秋の黒姫高原で黒姫童話館へ立ち寄った時のことです。絵本の並んだ棚
から、ジーと見つめる黒い目の女の子に引きつけられその本を手に取りました。
それは、日本の多くの小学校図書館におかれているという松谷みよ子さん(文)
と司修さん(絵)による偕成社出版の「まちんと」でした。絵本の見開きいっぱ
いに描かれた原子爆弾のオレンジの塊、トマトをもう少し。。。「まちんと頂戴」
と喘ぐ女の子、黒い雨の中を彷徨いトマトを探すお母さん、戻ると既に死んでい
た女の子。やがて女の子は白い鳥になって、「まちんと」と泣いているそうな。。。
世界のどこかで。。。今も。

世界中の子どもたちに届けたい! と思いました。戦争になると無差別に殺戮さ
れる子どもたちのことを知ってもらいたい。原子爆弾の集団殺戮は60数年前に広
島、長崎で終ったわけではない。核爆弾を製造し続ける限り恐怖は無くならない。
人間性を無視した近代兵器やテロによって、更に増えている「まちんと」を知っ
てもらいたいと。。。


2.出版社交渉

偕成社との交渉に入ったが、英語に訳する許可から始まりインターネット配信を
疑われて、グローバルな企画に対する国内の問題にぶつかった。担当者から編集
長へ、何度か挫けながら、やっと英語版の語りを絵本に挟むことで合意に至る。
また、絵本作家の松宮さんと司さんの了承を得るためのプロジェクト企画の作成
と説明。偕成社からお二人の了解を知らされたとき、まちんとプロジェクトを出
す意思が固まった。


3.子ども夢基金の助成

「まちんと」を100冊購入し、子どもたちが自分で作る絵本の材料費やテレビ会
議費用などプロジェクトを始めるための助成が決まった。ここでもグローバルな
企画に対して前例のない出費への理解が得られず苦戦をしたが、なんとか双方で
歩み寄ることができた。壁にぶつかる毎に「まちんと」に見入った。そして「や
っぱり世界中の子どもたちに読ませたい」確信を深め、2度、3度と粘り強く交
渉を繰り返した。


4.3つのゴール

参加者が体験する3つのゴールを決めた。

1)「まちんと」を読む。読んだ後の気持ちを何かで表現する。

2)自分で平和の絵本を作る。今、泣いている「まちんと」へ送る。

3)フォーラムやビデオ会議を使って参加者同士の交流をする。


5.アイアーンプロジェクトになるまで

翌年の夏、第12回アイアーン国際会議はセネガルで開催され、私は前年に黒姫
童話館で購入した一冊の「まちんと」を持参した。海外の教師たちがプロジェ
クトに対してどのような反応をされるか知りたかった。特にアメリカの参加を
期待したい企画側としては、アメリカの教師のリアクションが欲しかった。最
初に絵本を手にしたシアトルのジェニファーは、日本の上野先生の1ページ毎
の語りを聞きながら、たちまちに顔は涙でグジャグジャになり、彼女の無差別
な殺戮から子どもを守りたいという意思を聞いたとき、このプロジェクトはア
メリカに強力な仲間を得たと思った。


6.参加国の顔ぶれ

やがて助成も決まり、偕成社側の合意も得て、翌年のアイアーン国際会議オラ
ンダ会場で、「まちんと」はアイアーンプロジェクトとして出航した。出発に
あたってよく使われるLaunchは航海へ乗り出す意味があり、ここでは「まちん
と号」の出航で、乗船したのはシアトル・シカゴ・トロント・アルゼンチン・
スロベニア・モスクワと日本の東京・神戸・広島・沖縄の学校や学習グループ
の10地域である。海外は複数校もあるが地域リーダーも決まったので任せる
ことにした。最初の寄港地を6ヶ月後とし、この航海期間を「まちんと」プロ
ジェクト第1期とした。中でもトロントは、独自で「まちんと」ワークショッ
プを開く程で、マリ・ジム・ビルはジェニファーとともに「まちんと」処女航
海を支えてくれた。


7.アイアーンオンラインフォーラム

参加者や関係者のメーリングリスト日本語と英語の2種は、教師間の打合せに
必要なICT道具ですが、企画側にはもう一つの狙いがあった。それは日本で困
難と言われてきたアイアーンオンラインフォーラムを活用し慣れることでした。
結果は、生徒へパスワードを発行して直接フォーラムへの書き込みが成功した
のは沖縄の高校生たちで、他のサイトは教師が代わって載せた。日本の教師も
この初めての挑戦に果敢に挑んで実績が残せた。まちんと号成果貯蔵庫とも言
えるフォーラムは、「まちんと」を読んでいる子どもたちの写真、ひとりひと
りの感想、創作絵本の数々、絵本作成中の写真、交流の場、テレビ会議などで
自然に満杯になり、活動を3月半ばに終え最初の寄港地もまもなくの今は整理
にかかっているところです。


8.マチント号の燃料

熱心な国内・国外の教師によって燃料に火は付けられました。しかし実際にま
ちんと号を航海させた燃料は子どもたちだったのです。海外・国内の教室で子
どもたちが「まちんと」を読んでいる写真、「世界中の子どもがまちんとを読
むべきだわ」と同じ思いを綴っているトロントの小学生、イリノイ高校生たち
の胸に響く詩の数々、平和という料理のレシピ、そしてズシンと重い平和の絵
本。。。こどもたちは、「まちんと」を理解する辛い学習を経て、争いや病気
への戦いから平和を生み出す絵本を描きあげて、今泣くまちんとへ届けようと
している。そこから生まれでた作品に何度も胸を衝かれました。なんだろう、
この子どもたちのパワーは! 大人を泣かしてしまう。これがまちんと号の燃
料です。航海を重ねるほどに燃料はしっかりと蓄えられプロジェクト航海を続
けることができるのです。


9.作者に会う

ある週刊誌で最近終了した連載「じょうちゃん」のご本人、松谷みよ子さんで
す。後で「じょうちゃん」を読むと80才になられる松谷さんの戦中、戦後の
背景が偲ばれましたが、お訪ねした東京でも静かな武蔵野の一角にあるお宅が、
「じょうちゃん」の連載終了に載せられたお宅であると直感しました。途中、
新幹線の人身事故で約束の時間に遅れた私を、ご本人が玄関を出て迎えてくだ
さったのです。それから2時間余、隣あってソファに座り、「まちんと」の生
みの親と語り合いました。最終ページの「ほら、そこに― いまも―」という
松谷さんのメーセージを、次の世代につなぐものとして「まちんと」プロジェ
クトに託されたように思うのです。


10.絵本教室の先生

子どもたちの大仕事の1つは創作絵本です。一人でもグループでも平和の物語
を作り絵本にします。絵本は読んだり書棚に飾ったりはしますが、自分で作っ
た絵本がありませんでした。きっと参加している各地の責任者も絵本作成に戸
惑うかもしれない。ここは創作絵本作家にご登場願おうと、インターネットで
検索しました。「創作絵本作家・絵本教室」。多くのリストの中から、そのホ
ームページが一番気に入った名古屋のなかがわ絵本教室を選び、早速、連絡を
とって教室を訪ねました。予想通りのなかがわさんで、その後、テレビ会議で
絵本の作り方を、後日、更にビデオ撮りをして「楽しい絵本の作り方」DVDを
製作しました。まず絵を描かなければならないとする絵本作成は、彼女によっ
て見事に一掃されました。なかがわ先生が、周りにある紙や布、雑誌を切った
り貼ったり、千切ったり、重ねていくうちにお話も生まれてくるのです。そう
して育った彼女の生徒さんが昨年の世界ボローニア賞に入選されたそうです。


11.プロジェクトの寄り道

思いがけない寄り道もあり、プロジェクトに交流の花を添えてくれました。自
然な成り行きかもしれませんが次のような展開が生まれたのです。「まちんと」
を読んだトロントの小学校、マリ先生のクラスでは、一人づつ「まちんと」の
白い鳥を作り、胸に抱いて集合写真が撮られました。フォーラム上に載ったそ
の写真に目に留めた広島の岡先生が、マリ先生に広島へこの鳥たちを送って欲
しいと「お願い」のレスを入れました。やがてカナダから白い鳥がいっぱい入
ったダンボール箱が到着し、子どもたちは鳥たちを糸でつないで広島平和公園
へ捧げに行きました。その経緯を語る写真が更にフォーラムに紹介され、マリ
先生と岡先生のクラスは親密な交流へと進み、その後、2クラスを結んだビデ
オ会議になりました。岡先生が勇気を出して書いた「お願い」が、このような
子どもたちの交流へ繋がるのですねえ。

寄り道は他にも幾つかあります。東京の責任者宮本さんは、放課後の子どもた
ちを預かる千代田区「こどもプラザ」の館長さんです。小学生低学年なので、
創作絵本への道は険しく子どもたちには、なかなかピンときませんで、苦労さ
れていました。長い時間をかけて、子どもたちの中にある平和を引き出して、
とうとう全員で平和のタペストリーを作ろうと決まったそうです。数冊の絵本
に代わって、大きな布いっぱいの平和タペストリーが出来上がりました。

もう1つ、紹介したい平和の絵本があります。神戸の長田先生とケニアのゴー
ドンさんとはNEGI Connectionというプロジェクトの友人同士です。AIDS環境
に住むケニアの子どもたち、更に追い討ちをかける長雨被害などゴードンから
の情報や長田さん自身のケニヤ訪問の話から、自然にまちんとの鳥をケニアに
決めて5冊の絵本を創作したのは長田先生に英語を学んでいる生徒たちです。
送る先ケニアの事情がよく分かるので絵本の内容も具体的です。また、生徒た
ちが描いた絵本の中の顔・顔は素直に平和を表現して魅力的です。


12.エジプトでまちんとギャラリー

初めの企画では、子どもたちが絵本を送る先を決めてカードをつけて郵送する
はずでした。しかし送付先をなかなか絞ることができず、また送る前に子ども
たちの絵本を目にしたいという願いは高まるばかりで、とうとう今年のアイア
ーン国際会議が開催されるエジプトへ持ち寄ろうと決めました。エジプト会場
へ持ち寄った各国のこどもたちの平和の絵本を展示して「まちんとギャラリー」
を設けます。そこへ寄ってくださるアイアーンの先生たちが、自分の国にある
難民キャンプや被災地に各自で持ち帰ってもらうことに修正しました。まちん
と参加国が絵本を持ち寄ってギャラリー展示をする作業も一緒にするので、こ
れも楽しみです。


13.絵本の山?

終盤になって、シアトルのジェニファー先生からメールが来ました。100冊
の絵本ができたけれど、今年のアイアーン国際会議に参加しないジェニファー
にとってエジプトへ運ぶ手立てがない。どうしよう。。。するとカナダからす
ぐにレスが来ました。日本のYOKOへ送るより、カナダへ送ってくれた方が安い。
自分たちで手分けをしてエジプトへ持っていくから心配しないで。。。ここに
も子どもたちが与えてくれた「まちんと号」航海用燃料の威力をみることがで
きます。


14.まちんとを泣かさないで

更にスロベニアからの絵本がパワーポイントで送られてきました。最後のペー
ジいっぱいに描かれた文字は「まちんとを泣かさないで」。突きつけられた子
どもたちの平和への素直な思いを、現実の世界は無視するのか、ある形につな
げるのか、大人たちは問われています。


=================================================◆◇======================
===編集日記===

 皆様に支えられて「日刊・中高MM」第1714号の発行です。

 この世に尊いもの「いのち」そのことを気づき行動させること。大切な教育の
役割であり大人の努めであろう。2年前に高木洋子さんから紹介いただいて早速
拝読しその感想を伝えたとを思い出しました。<「まちんと号」航海用燃料の威
力>、衝撃的です。感動や感激を形にすること(行動すること)でなければ、意
味がない。高木さんの作品を読みながら痛感しました。その「まちんと」は今も
私の目の前の書棚にある。(おそらくこちらを向いている、まちんと。。。と)

 追伸:何かをしなければ、何かをしたいと思っている人、どうぞご連絡くださ
い。高木さんへの連絡も私宛にいただければ幸いです。

 久々の復刊から最初の1週間、予定通り編集・発行できました。ひとえに執筆
者の皆様のご協力と読者の皆様のご支援の賜と深く感謝いたします。
 では、また来週お会いしましょう。

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                  皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
                  sukaji@po.synapse.ne.jp
                  梶原末廣【インターネット編集長】
======◆◇================================================================
中・高校教師用ニュースマガジン 2000年3月26日創刊
  編集・発行 梶原末廣 sukaji@po.synapse.ne.jp   
    【発行部数1544名】(3/27)
◎バックナンバーURL
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●日刊【中高MM】●マガジンID:0000027395
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
                 http://www.mag2.com/
Copyright(C),2000-2004 ChuukouMM INC
全文、または一部の記事の無断転載および再配布を禁じます。
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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆2006年☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■「日刊 中・高校教師用ニュースマガジン」■

【3月連載予定】 

31 **** 

【4月連載予定】 

01 **** 
02 1715 「プロジェクト志向でいこう!」(17)若槻徹
03 1716 「モスポイントたより」(44)クニコホール   
04 1717 【新連載】「メディアと教育」〜教師を支える〜梶原末廣
05 1718 「一歩ずつ」(38)岩堀美雪
06 1719 「わくわく図工室」(37)西尾環
      
07 ****    
08 ****    
09 1720 「知の糧――人生途上で出あった本」(17)杉山武子
10 1721 「参加型学習の可能性」(17)鈴木隆弘   
11 1722 「教育実習のアラカルト」(2)上西 好悦(京都府) 
12 1723 【新連載】「ITのお世話の日記」山之上 卓     
       「環境問題について」(46)枝廣淳子
13 1724 「総合学習を本当の生きる力の育成につなげよう」(178)高橋りう司
14 **** 
15 ****
16 1725 【新連載】「体と心の元氣スヰッチ」(仮)山下 温 
17 1726 「教師の視力検査」(9)木原ひろしげ    
18 1727 「わくわく図工室」(38)西尾環
19 1728 「エンターテインメント教育学」(5)上條晴夫
20 1729 「薫のデジタルにっし」(50)Slotsve堀内薫
       「想いは南風に乗せて−あなたの心に」(34)堂園晴彦 
21 **** 
22 **** 
23 1730 「国際理解来し方行く末」(39)高木洋子
24 1731 「生徒へ送る心のメッセージ〜教師のための新しい視点〜」 (3)桑原朱美
25 1732 「子どもにいのちをどう教えたいか」(4)股村美里    
26 1733 「目線を変えて見えた世界」(40)野元尚巳
27 1734 「インディアナ発 〜シアワセな人生をデザインする〜」(2)倉本陽子
       「数学まるかじり」(2)山崎直和

28 **** 
29 **** 
30 1735 「教育とメディア考」(12)谷口泰三
       「末吉(すえきち)日記」(3)山口祐子   
       「情報を追いかけて、情報に振り回されて」(38)石井清人
       「学びと評価の一体化を目指して」(44)田中保樹
       「共に学び高めあう生徒を育てる学級づくり」(49)川端成實  
       「こんなんもあります国際交流」(17)原田達明
       「平和学習と地域研究」(2)藤本文昭 

【5月連載予定】 

01 1736 【新連載】「問題解決学習における言語感覚の育成」飯盛直子
02 1737 「プロジェクト志向でいこう!」(18)若槻徹
03 1738 「モスポイントたより」(45)クニコホール   
04 1739 「メディアと教育〜教師を支える〜」(2)梶原末廣
05 休刊 
06 休刊   
07 1740 「一歩ずつ」(39)岩堀美雪
08 1741 「わくわく図工室」(39)西尾環
09 1742 「知の糧――人生途上で出あった本」(18)杉山武子
10 1743 「参加型学習の可能性」(18)鈴木隆弘  



(6月から再開予定)    
       「英国の大学院で国際児童福祉を学んで」(5)四宮都也子
    
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆2006年☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

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