生涯青春の会パソコン活用技術コミュのアカウント移行でパソコンを「新品同然」に 仕組みからわかるパソコン高速化

　パソコンを長期間使っていると、起動に時間がかかるようになり、通常の動作も鈍くなってくる。その要因の一つが、「レジストリの肥大化」だ。

　レジストリとは、パソコンの動作に必要な設定情報をまとめたデータベースのこと。こうした設定情報は、ソフトをインストールしたり、設定を変更したりするたびに増え、肥大化する。OSやソフトは、パソコンの起動時はもちろん、起動後も頻繁にレジストリを参照する。レジストリが肥大化するほど、求めている情報を探すのに時間がかかり、動作の足を引っ張るのだ。

　肥大化したレジストリから不要な情報を削除するためのツールもある。しかし、一定の効果はあるものの、抜本的な解決にはならず、どんな環境でも有効とは限らない。

　だからといって、パソコンのリカバリーは考えもの。レジストリはきれいになるが、ゼロから環境を作り直すのは無駄が多すぎる。

　そこでお勧めするのが、「新アカウントへの乗り換え」だ（図1）。アカウントとは、複数のユーザーで１台のパソコンを共有する仕組みのこと。これまで使っていたアカウントを捨て、新アカウントへと移行すればよい。新アカウントのレジストリは必要最低限の情報だけが記録された、いわば「新品」。これで、パソコンの動作は大幅に改善する。これまでに使っていたメールや文書を失うことなく移行できる。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK03009_T00C14A2000000/

　ポイントは、移行するデータを必要最低限に絞り込むこと。そのためには、OSに標準で付属している「ウィンドウズ転送ツール」を使うとよい。

　なお、今回は、ウィンドウズ7の環境での移行方法を紹介する。具体的な操作方法は異なるが、ビスタやXPにもそれぞれ標準の転送ツールがあり、同様のアカウント移行は可能だ。

■隠しファイルはすべて表示、アカウントは移行時に作成

　では、実際に新しいアカウントに移行する手順を見ていこう。まずは、移行前の準備として隠しファイルを表示するように設定を変更する。

　続いて、転送ツールを起動する。ウィザード形式で進んでいくので、画面の指示に従いながら、順に作業を進めていこう。

　最初に、データの転送方法の選択画面が表示される。今回は、同じパソコン上での移行なので、転送データは内蔵ハードディスクに保存できる。この場合、データの保存先には「外付けハードディスクまたはUSBフラッシュドライブ」を選ぶ。次に「現在使用しているコンピューター」を尋ねられるが、今回の作業では「コンピューター」を「アカウント」に置き換えて設定しよう。

　転送データの選択画面では、現在利用中のアカウントだけにチェックを入れ、「カスタマイズ」を押す。ここで「詳細設定」を選べば、移行するデータを細かく指定できる。

　「ユーザー」フォルダーから現在のアカウント名（ここでは「old user」）を選ぶと、「マイドキュメント」や「お気に入り」など、移行したいデータを指定できる。また、アカウント名のフォルダーの下にある「AppData」フォルダーには、「ウィンドウズ・ライブ・メール」や「アドレス帳」などのデータがあり、これらも同時に移行できる。

　　途中でパスワードの設定を求められるが、ここは空欄のままでOK。また、保存先は新アカウントからも簡単にアクセスできるように、共有フォルダーにしておくのがお勧めだ。あとは画面の指示に従って、ウィザードをいったん終了させる。

　データを新しいアカウントへ移行する作業は、図12までの手順で作成したファイルをダブルクリックするところから始めよう。転送ツールのウィザードが自動的に起動するので、今度はこの転送データを新しいアカウントに移す作業に進もう。移行元のアカウントにチェックを入れ、「詳細オプション」を選択。続く画面で新しいアカウントを作成する。あとは画面の指示に従って操作を進めれば、データの移行が完了する。新アカウントでログオンしたら、移行したデータを確認しながら、動作が軽くなっていることを確かめてみよう。

　転送ツールで移行できなかったファイルは、Cドライブの「ユーザー」フォルダーにある古いアカウント名のフォルダーを開けばよい。

　なお、必要なファイルもコピーし終えて、古いアカウントが完全に不要と判断できたら、コントロールパネルの「ユーザーアカウントの追加または削除」から削除してよい。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK03009_T00C14A2000000/?df=6