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玉蜀黍倶楽部コミュのルウとイースターのまほうのたまご

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あしたは、まちにまったイースターの日。

神様が、みんなに会いにきてくださる日です。

毎年、イースターの日になると、神様が山のふもとの原っぱにやってきてくださいます。そして、みんなが楽しく一年をすごせるように、一人一人おねがいを聞いて、おいのりしてくださるのです。

それだけではありません。
一年のあいだ、パパやママの言いつけをまもって、いい子にしていた子どもには、すてきなまほうのたまごをプレゼントしてもらえるのです。

のうさぎのルウは、うれしくてうれしくて、なかなかねむれません。

「神様にお会いしたら、なにをおねがいしようかな。まほうのたまごは、プレゼントしてもらえるかな」

ママにしかられてベットに入っても、どきどきわくわく。なかなかねむれませんでした。

にわとりさんが朝をしらせてくれたら、もうベットの中でじっとしてはいられません。

おひさまがのぼりはじめると、ルウはさっそく神様に会いに出かけるじゅんびをはじめました。

「おやおや、もうでかけるの? そんなに急がなくてもだいじょうぶじゃない?」

ママはわらって言いました。

「そうだよ。ママの言いつけをまもらない子は、神様からまほうのたまごをプレゼントしてもらえないぞ」

パパがテーブルにすわったまま、わらいました。

「でも、はやくでかけないと。ぼくは歩くのがおそいから、神様がおいでになるまでに、山のふもとにいけないかもしれないもん」

ルウは、テーブルにつくと、ママが用意してくれた、あざみのサラダを食べながら言いました。あわてながらサラダを食べるルウを見て、ママがわらいました。

「パパの言うとおりよ。そんなにあわてて食べると、神様はまほうのたまごをプレゼントしてくださらないかもしれないわよ」

でも、ルウは、早くでかけたくてしかたありません。わくわくしながら、朝ごはんを食べ終わると、神様がおいでになる、山のふもとへ出かけるじゅんびをすすめました。

「ルウ、山のふもとはさむいわよ。これを着ていきなさい」

ママが、できあがったばかりの赤いチョッキを着せてくれました。冬のあいだ、ママがずっと、だんろのそばであんでくれた、すてきなチョッキです。

「神様にしつれいがないようにね。パパの時計をかしてあげるから、おそくならないように帰ってくるんだよ」

パパが赤いチョッキのポケットに、懐中時計を入れてくれました。銀色のくさりがついた懐中時計は、とてもすてきです。

「ありがとう。パパ、ママ。それじゃあ、行ってきまあす」

ルウは、懐中時計を落とさないように、しっかりチョッキのポケットの中にしまうと、ママが用意してくれたおべんとうを持って、おうちを飛び出しました。

おうちを出て、いばらのトンネルを歩きはじめると、朝日がさしこみはじめました。春のおひさまはあたたかくて、とてもいいきもちです。

ルウはとてもうれしくて、歌を歌いながら、遠い遠い山のふもとをめざしました。

いばらのトンネルを出て、野原にさしかかると、白くて大きなゆりの花がたくさんさいていました。野原がまっしろになるほど、たくさんさいているゆりの花を見て、ルウは思わず立ち止まってしまいました。

「なんてきれいなんだろう。神様にプレゼントしたら、きっとよろこんでくださるだろうな。そうだ、いちばん大きくて白いゆりの花をひとつだけもっていこう」

ルウは、野原をぐるぐる回って、一番大きくて白くてきれいなゆりの花を、ひとつだけつみました。

大きなゆりの花を手にしたルウは、山のふもとをめざしてずんずん歩いていきました。

野原をぬけて、まちにさしかかると、みんなルウが持っているゆりの花を見て、おどろきました。

「なんてきれいなゆりの花なんだろう。野うさぎのぼうや、わたしの持っているパンと、そのゆりの花をとりかえっこしてくれないかい?」

「いやいやいや、パンなんかじゃつりあわない。わたしは金貨を10枚もっている。わたしの金貨と、そのゆりの花をとりかえっこしてくれないかい?」

「いやいやいや、金貨10枚なんかとじゃつりあわない。わたしは、とても大きなダイヤモンドを持っている。わたしのダイヤモンドと、そのゆりの花をとりかえっこしてくれないかい?」

まちの人たちは、ルウが持っているゆりの花をほしがりました。ルウは、みんなにゆりの花をあげたいと思いました。

でも、ゆりの花はひとつしかありません。それに神様にプレゼントするために、いちばん大きくて白いゆりの花をさがしたのです。

「みなさんありがとう。みなさんにゆりの花をあげたいのですけど、神様にプレゼントするためのお花なんです。だからパンとも金貨ともダイヤとも、とりかえっこはできません。ごめんなさい」

ルウがそう言うと、まちの人たちはとても残念そうな顔をしました。ルウはなんだか悪いことをした気持ちになって、下を向いて、できるだけ早く先を急ぎました。

まちの外れまで来た時です。ようやくはるか遠くに、神様がおいでになる山のふもとが見えてきました。

立ち止まって、パパがかしてくれた懐中時計を見てみると、ちょうどお昼を過ぎたころでした。

「よかった。これなら神様がおいでになるまでに、山のふもとにつくかな?」

ルウはうれしくなって、ママがもたせてくれたおべんとうを食べるのもわすれて、先を急ごうとしました。その時です。すぐ後ろから、小さな小さな なきごえが聞こえてきました。

ルウがながいおみみをぴょこんと立てて、あたりを見回してみると、まちのはずれの広場のかたすみで、ねずみの子がないていました。

「どうしたの? どうしてないているの?」

ルウは近くによって話しかけてみました。でもねずみの子は、なきやんでくれません。ルウは、すっかりこまってしまいました。

「そうだ。おいしいものをあげるよ。だから、ほら、なくのをやめて。ね?」

ルウは、ママがもたせてくれたおべんとうを、ねずみの子に食べさせてあげました。

よほどおなかがすいていたのでしょう。おべんとうを食べおわると、ねずみの子は、ようやくなきやんでくれました。

「どうしたの? どうしてないていたの?」

ルウは、しゃがみこんでねずみの子にたずねました。

「ママのお病気をなおす、おくすりを買いにきたのに、金貨をなくしてしまったの」

ねずみの子は、なきながらそう答えました。

「わかった。ぼくが金貨をさがしてあげる」

そう言うと、ルウは、広場を歩き回って金貨を探しました。でも金貨は見つかりません。そのうちまた、まちの人たちがルウのそばにあつまってきました。

「ぼうや、金貨がほしいのかい? それじゃあ、そのゆりの花ととりかえっこしてあげよう」

「いやいやいや、金貨ごときじゃもったいない。とりかえっこするなら、おじさんのダイヤモンドととりかえっこしよう」

「いやいやいや、ダイヤモンドごときじゃもったいない。おじさんは、東の国の海でとれた龍の角を持っている。この角一本で、このまちにあふれるほどの金貨が手に入るぞ。ぼうや、どうだい? とりかえっこしてくれないかい?」

ルウが金貨をさがしているのを知った街の人が、またゆりの花ととりかえっこをしたいと言い出しました。でも、神様にプレゼントするために、ゆりの花をつんだのです。

ルウは、金貨とゆりの花をとりかえっこするのはいやでした。

でも、このまま金貨が見つからないと、ねずみの子におくすりを買ってあげることができません。ルウは、すっかりこまってしまいました。

「ぼうや、金貨がいるんだろう? そのゆりの花ととりかえておくれ」

ルウはまよいました。でも、やっぱりゆりの花を金貨ととりかえっこするのはいやでした。ルウが断ると、街の人たちは、また残念そうな顔をして、帰っていきました。

「ごめんね。このゆりの花を金貨ととりかえっこすればよかったんだけど……その代わりに、必ずおくすりをもらってあげるからね」

ルウは、ねずみの子の手を引いて、くすりやさんへ行きました。そして赤いチョッキのポケットから、懐中時計を取り出しました。

「この懐中時計とおくすりを代えてもらえませんか?」

「いいとも、この時計なら、それだけの値打ちがある」

くすりやのくまのおじさんは、めがねをはずして目をぱちぱちさせながら、懐中時計を見ました。そして、たくさんのおくすりをねずみの子にくれました。

さっきまでないていたねずみの子は、あかるい顔になりました。でも、ルウは、とてもさみしい気持ちになりました。パパがだいじにしていた懐中時計をなくしてしまうからです。

「お兄ちゃん、ありがとう」

「気をつけてね。ママの病気が早くよくなるといいね」

まちを出る場所まできたあと、ルウは、ねずみの子とさよならをしました。ルウは、チョッキの中の懐中時計がなくなってしまって、とてもさみしくなりました。

おうちに帰ったら、パパになんて言ってあやまろう。

ルウは神様がおいでになる山のふもとに向かって歩きながら、考えました。銀でできた懐中時計は、ルウのおじいさんがパパにくれた、とてもとても大事なものでした。

パパはがっかりするだろうな。そう思うと、ルウはとても悲しくなりました。

そうしているうちに、街をはなれて、神様がおいでになる山のふもとへ続く、長い長いまっすぐな道が見えてきました。目をこらすと、もう向こうに山のふもとが見えています。

長い長いまっすぐな道のむこうには、神様に会いに、山のふもとへ出かけるたくさんの人がいました。その列を見ると、ルウは、パパの懐中時計がなくなってしまった悲しさも、わすれてしまいました。

もうすぐ神様に会える。そう思うと、悲しいどころか、またうれしくなってきました。

ずんずん歩いていくと、どんどん山のふもとが近づいてきます。

「もうすぐ山のふもとだ。よかった。神様に会えたら、ゆりの花をプレゼントしよう。きっとよろこんでもらえるだろうな。何を神様におねがいしようかな」

そんなことを考えながら、ルウはずんずん歩いていきました。山のふもとが近づいてくるたびに、神様に会いにでかける人がどんどん増えてきました。

その時です。また小さな小さな、なき声が聞こえてきました。

ルウが立ち止まって、ながいおみみを立てて、あたりをみまわしてみると、やまねこのこどもがないていました。

「どうしたの? どうしてないてるの?」

「ママにはぐれちゃったの」

やまねこの子どもは、ルウにそう答えると、大きな声でなきだしてしまいました。ルウはとてもこまってしまいました。

「なかないで。ママがこいしくなったんなら、このチョッキをかしてあげる」

ルウは、ママからあんでもらったチョッキをぬいで、やまねこの子どもにきせてあげました。やまねこの子どもは、ママのあたたかいにおいのするチョッキをきせてもらって、あんしんしてなきやみました。

「もうなかないで。ぼくがママをさがしてあげる。君はどこから来たの?」

「あっち」

やまねこの子どもがゆびさしたほうを見ると、とてもくらい森が広がっていました。ルウはとてもこまってしまいました。

山のふもとへ向かう道をはずれて、森の中に入って、やまねこの子どものおうちをさがしていたら、神様がおいでになるまでに、山のふもとへたどりつけなくなるかもしれません。

ルウはまよいましたが、やまねこの子どもの手を引いて、森の中へでかけました。森の中は、さっきの道とはちがってまっくらです。

「お兄ちゃん、こわいよ」

「だいじょうぶ。ぼくがおんぶしてあげる」

ルウは、本当は自分もこわかったのですけど、やまねこの子どもをおんぶして、森の中をあるきました。どれくらい森の中を歩いたでしょうか。くらいくらい森の中に、あかりが見えてきました。ちかづいてみると、小さなおうちでした。

「ママ」

「まあまあ、さがしたのよ。よかったおうちにもどってこれて」

小さなおうちの中から、やまねこのママが出てきて、ルウにお礼をいいました。

「ぼうやをつれてきてくださってありがとう。ぜひお茶でも飲んでいらして」

やまねこのママは、ルウをおもてなししようとしました。でもルウは気が気ではありません。たぶんもう、山のふもとには神様がおいでになられているころでしょう。

急がないと神様に会うことはできなくなってしまいます。ルウは、やまねこのママのおもてなしを、ていねいにことわると、来た道を走って引き返しました。

「しまった。ママがあんでくれたチョッキを返してもらうのをわすれちゃった!」

走っているとちゅう、ルウは、やまねこの子どもにきせてあげていたチョッキを、かえしてもらうのをわすれていたことに気づきました。

でも、今はそんなことにかまっていられません。急いで森をぬけて、山のふもとへ急がないと神様に会えなくなってしまいます。
ルウは、ゆりの花を大事にもったまま、森の中をひっしに走りました。

ようやく森をぬけて、山のふもとへ続く長い長い道に戻ると、さっきまでたくさんいた人は一人もいません。

ルウは、山のふもとへむかって走りました。そして、ようやく神様がおいでになる山のふもとの原っぱに着くと、そこにはだれもいませんでした。

「ああ、なんということだ。神様はもう、帰ってしまわれたんだ。まにあわなかった」

一年に一度のまちにまったイースターの日に、神様に会えなくなってしまったルウは、がっかりして、原っぱの真ん中で、すわりこんでしまいました。

「どうしよう。パパの大事な懐中時計もなくしちゃったし、ママからあんでもらったチョッキもなくしてしまったのに……」

ルウは、神様に会えなくなっただけでなくて、パパからあずかった大事な懐中時計とママからあんでもらったチョッキをなくしてしまったことを思い出して、かなしくなりました。それだけではありません。

大事に大事に運んできた白い大きなゆりの花も、森の中を走ったせいで、あちこちきずだらけになって、さっきまでのきれいなゆりの花ではなくなっていました。

ルウはすっかり悲しくなって、なきだしてしまいました。空には青白い月がうかんで、ルウをつめたくてらしています。


ルウは、もう神様に会えないのかと思うと、ますますかなしくなってなみだがあふれてきました。そのせいで、くろくて大きなルウのおめめは、まっかになってしまいました。

「どうしたの? なぜないているの?」

どれくらいなきつづけたころでしょうか。ルウがふりかえると、ふくろうのおじいさんがルウをみあげていました。

ルウは、今までのことをぜんぶはなしました。ねずみの子のママの病気をなおすために、パパからかしてもらっただいじな懐中時計をおくすりにかえてもらったこと。

まいごになったやまねこの子どもを、森のおうちに送りとどけるうちに、神様が帰られてしまわれたこと。

そしてママからあんでもらったチョッキをなくしてしまったことや、森の中を走ったせいで、神様にプレゼントするつもりだった大きなゆりの花が傷だらけになってしまったことを、話しました。

「なるほど、そうだったのかね。ところで、なくした懐中時計とチョッキというのはこれかね」

ふくろうのおじいさんはそう言うと、羽をいちまいくちばしでぬいて、空にほうりなげました。するとどうでしょう。ふくろうのおじいさんがぬいたはねは、懐中時計とチョッキにかわりました。

「どうしてどうして? どうして、懐中時計とチョッキがここにあるの?」

ルウはおどろいて、ふくろうのおじいさんにたずねました。ふくろうのおじいさんはわらうと、大きくはねをひろげました。青白い月の光をうけたふくろうのおじいさんは、まぶしくかがやいたと思うと、天使にすがたをかえました。

「おじいさんって、天使だったの?」

「そうだよ。神様におおせつかって、ルウがしていることを全部見せてもらった。神様は、ルウがしたことを全部しっていらっしゃるよ。

ゆりの花をさがしたことも。ねずみの子をたすけたことも、やまねこの子どもをたすけたことも全て知っていらっしゃる。

さあ、神様におくりものをささげて、おねがいをかなえてもらいなさい」

「でも、こんなにおそくなっちゃったよ。神様とのやくそくをまもれなかった」

「安心しなさい。お前のように正しくてやさしいこどもを、神様はおいていったりはしないよ」

「でも、ゆりの花は……」

ルウがつんできた白い大きなゆりの花は、森の中を走ったせいで、きずだらけになってしまっていました。まっしろなおおきなゆりの花は、しおれて茶色くなっています。神様にプレゼントしても喜んでもらえそうにはありませんでした。

「しんぱいすることはないよ」

そういうと、天使はきずだらけになったゆりの花に手をふれました。するとどうでしょう。きずだらけで、すっかりしおれてしまっていたゆりの花は、つんだばかりの真っ白な大きなゆりの花にかわりました。

「さあ、このゆりの花を神様にプレゼントしなさい。そして、お願いをかなえてもらいなさい」

ルウは、だいじにまもってきたゆりの花を神様にプレゼントしました。神様は、ルウを手のひらにかかえあげると、やさしくなでてくださいました。

「よくこんなとおくまで来たね。お前のような、正しくてやさしい子はみたことがない。とおくまで走ってきてつかれただろう。お前の足を、どこまでも走ってもつかれない強い足にしてあげよう」

神様はそう言うと、ルウの足をなでました。するとどうでしょう。月の青白いあかりをうけてルウの足が金色にかがやきました。

「これで、どこまでも走ってもすこしもつかれない足になるだろう。それからイースターのおくりものに、やくそくしたまほうのたまごをあげよう。

それから、おまえには特別におねがいをひとつだけかなえてあげよう。じぶんがほんとうにほしいものをおねがいしてごらん」

「じゃあ、おねがいがあります。さっきのねずみの子や、やまねこの子にも、そしてここにこれなかったみんなにも、まほうのたまごをプレゼントしてください。みんなが、おねがいをかなえて、しあわせになかよくくらせるように、たくさんのたくさんのまほうのたまごをください」

神様は、ルウのやさしいこころをとてもうれしくおもいました。そして、ルウにまほうのたまごを、世界中にくばるやくわりをおあたえになりました。

それから毎年、ルウはイースターになると、世界中のよいこに、神様からあずかったまほうのたまごをくばりつづけています。

イースターのまほうのたまごは、世界中のこどもにくばられます。でも、イースターのまほうのたまごは、だれの目にもみえません。

それは、うたがいぶかいこころをもったり、人をねたんだり、わるいことばかり考えるおとなに、こわされてしまうかもしれないからです。

もし、世界中のこどもがおとなになるころに、人をねたんだり、わるいことを考えたり、うたがいぶかいこころをもつ人がひとりもいなくなったら、イースターのまほうのたまごは、みんなの目の前にあらわれるかもしれません。

ルウは、その日がやってくるのをねがいながら、今年も、世界中のよいこのみんなに、イースターのまほうのたまごをくばりつづけています。

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