東淀川ウォーカーコミュの私たちの郷土（２）

２　東淀川区
　東淀川区は大阪市の北部に位置し、安威川および神崎川と淀川にはさまれた区です。北は東から摂津市・吹田市、東は守口市、南は旭区、西はＪＲ東海道本線を境に淀川区と接しています。区を東西にＪＲ東海道新幹線が縦断し、西端のＪＲ東海道本線と交差したところに新大阪駅があります。また区の南西から北部にかけて阪急電鉄京都線・同千里線・ＪＲ城東貨物線（おおさか東線）などの鉄道が通っています。淀川には東部では旭区から豊里大橋、西部には長柄橋がかかっています。

３　歴史
縄文時代前期
　上町台地の東側には河内湾が広がっていました。東淀川区は上町台地北の湾の出口付近にあたります。縄文晩期～弥生時代前期にかけ、上町台地の先端から北へのびる天満砂堆が発達して東淀川区西端の一部が陸地化しました。このため河内湾の入口がせばまり、大阪湾からの海水の流入が少なくなって河内潟となりました。西部の淡路地区の弥生時代初め頃の地層から海水と淡水の混じる汽水域にすむチリメンユキガイが出土しています。弥生時代後期～古墳時代になると、天満砂堆が更に発達して河内潟はほとんどふさがって河内湖となりました。昭和２年(１９２７)中島惣社境内の山口遺跡から弥生式土器が出土し、弥生時代中期、北へのびた天満砂堆に集落のあったことが確認されました。また同１２年、現豊里１丁目付近から弥生時代～古墳時代の複材くり船が出土しています（ただし戦災で焼失してしまいました)。古墳時代中期以降、淀川の下流には三角洲が発達し、長柄川の新水路もできています。

古代
　東淀川区東部の大桐・大隅・瑞光・小松の一帯は、「日本書紀」の安閑天皇２年９月１３日条にみえる大隅島であると伝えられ、また応神天皇の大隅宮も旧西大道村付近にあったとの伝承があります。しかし、現在では大隅宮の存在自体が疑問視されています。また、聖徳太子は大隅島を四天王寺(現天王寺区)創建の候補地とし、のち西大道付近に三宝寺という別所を置いたとも伝えています。また、「日本書紀」の推古天皇１６年６月１５日条などにみえる「江口」「難波江口」を東淀川区の江口とみる説がありますが、江口の発展は延暦４年(７８５)淀川と三国川(現神崎川)が結ばれてからのこととみる説が有力です。天平１３年(７４１)聖武天皇の勅によって摂津国分尼寺が創建されました。柴島にあった法華寺がそれで、伽藍の礎石・塔心礎数個が今の法華寺に残っています。また天平年間に行基が開いたと伝え、近世の薬師堂村の村名の由来ともなった薬師堂は摂津国分尼寺の一院ではなかったかと推定されています（薬師堂廃寺）。
　淀川と三国川が水路で結ばれると、江口は淀川を利用する交通の要衝として栄えました。とくに平安時代中期以降、貴族の紀州熊野・高野山や住吉(現住吉区）・四天王寺などへの社寺参詣や庄園制の発達による人や物資の流通が盛んになると江口はますます繁栄し、下流の神崎(現尼崎市）・蟹島（現加島、淀川区)と並ぶ遊興の地となりました。

奈良時代
　行基が淀川に高瀬大橋を架けたと伝え、その位置は大道の地名の残る辺りといわれています。
　また「日本後紀」の弘仁３年(８１２) ６月条によれば、長柄川には長柄橋が架かっていました。橋のたもとには橋を守る橋本寺があったといわれ、架橋地の一つに推定されている旧橋寺村域の現旭区太子橋３丁目の淀川河床から鎌倉時代の土師器・瓦器などが出土しています。

平安時代
　区北東部の淀川沿岸には典薬寮に属し朝廷に牛乳や乳製品を献上した味原牧(乳牛牧)があり、後期には区南東部の淀川沿いに摂関家の散所である草苅散所が成立しました。また南西部の淀川沿いには白川寺喜多院(跡地は現京都市左京区）ならびに東宮御領柴島庄が、北西部の現淡路～西淡路一帯には藤原頼長領から八条院領となった淡路庄がありました。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 03月15日 18:01

薬師堂は国分尼寺法華寺の一宇
天平13年(741)に聖武天皇の勅によって摂津国分尼寺が創建されました｡
　柴島浄水場内にあった法華寺がそれで､伽藍の礎石･塔心礎など数個が今の法華寺境内に移設され残っています｡
　薬師堂村（柴島1～2丁目）の村名はここにあった天平年間（729～749）に行基が開いた薬師堂による｡興亡を繰り返し乗宗寺､安楽寺と名前も変わり､明治二十九年（一八九六）の淀川改修工事でなくなり､近年淀川の川底から平安時代の瓦器･土師器･須恵器が見つかり､薬師堂の跡と定められた｡
　法華寺の僧によると、なんでも法華寺の寺域は広く、薬師堂も法華寺の一宇だったといいます。

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