馬淵澄夫代議士コミュの今週のまぶちＮＥＷＳ（07.8.4）

タイトル『民主党、参院選圧勝の見方』


　参院選は民主党の圧勝に終わりました。
なぜ民主党はここまで勝てたのでしょうか。
その背景にはどのような投票行動に出たのでしょうか。


■明らかになった違いとは

　「消えた年金」問題は社会保険庁のずさんな
記録管理が明らかになって以降、今回の参院選の
大きな争点となりました。朝日新聞の参院選出口
調査によると、年金問題が投票に影響を与えたと
見る人は投票した人の５１％の方々のうち、
半数以上の５５％が民主党に投票し、
他方自民党に投票した方々は１７％にとどまって
いるのです。まさに民主党躍進の最大の要因が
年金問題への対応にありました。

　民主党と自民党に対する評価にどうして
このような差が生じたのでしょうか。

　この問題はたった一人の方が民主党に助けを
求めに来たのに対し、民主党が真摯に耳を
傾けたことから始まりました。

　長妻代議士を筆頭に、民主党はこの問題について
国会で繰り返し政府を厳しく追及するとともに、
衆議院に予備的調査を要求、調査の結果
「消えた年金」が５０００万件もあることが、
今年２月に発覚しました。それでも安倍総理は
「民主党はいたずらに不安をあおっている」とし、
この問題に蓋をしようとしました。

　しかし、この問題の影響で内閣支持率が急降下し、
参院選の争点となるや否や、与党は２日間で
年金時効特例法案を作成、衆議院の委員会では
野党が反対する中たった４時間の審議で
強行採決してしまったのです。
参院選のために形だけでも年金問題に対する
実績を残したかったのでしょう。

　しかし、国民はしっかり見ていました。
民主党がたった一人の困っている方に
手を差し伸べ、国会で追及することがなければ
この問題は闇に葬られ、その結果何万人もの
人々は自分が払い込んできた年金を受け取る
ことができず、泣き寝入りをしなければ
ならなかったことは事実です。本当に
国民のためを思い「真心」の政治を行ってきたのは
民主党でした。


■「実績」はかたちだけ

　この選挙戦で安倍総理は与党が「実績を積んで
きた」ことをことさらに強調しておりました。
与党が積んだ実績とは、「天下り廃止」を
標榜する国家公務員法改正案や社会保険庁改革
関連法案、政治資金規正法改正案などを
成立させたことを指しています。

　しかし、どれも「法改正を行った」と表面を
取り繕っただけで、中身をよく見ると、どれも
実効性のない法案ばかりです。
国家公務員法改正案は税金で退職公務員の
就職先を斡旋するという、言わば天下りを
政府が公認するもので文字通り、
「天下りバンク法案」でした。

　また、社会保険庁改革関連法案により設立される
特殊法人「日本年金機構」は職員の給与が
全額税金で賄われ、まさに「看板の架け替え」です。
さらに職員が国家公務員でなくなるため
「天下り」規制から外れる上、職員を国会に
招致して追及ができなくなるなど、情報開示の
点からも現行制度をより悪化させてしまうのです。

　政治資金規正法改正案に至っては、領収書添付が
義務付けられるのは資金管理団体の５万円以上の
ものについてのみで、後援会など多くの政治団体は
含まれません。そのため辞任した赤城農林水産大臣
の事務所費問題するその対象にならないのです。

　政府与党はこれら法案を会期を無理に延長して
まで成立（しかも強行採決）させ、参院選に
向けた実績作りとして国民を欺こうとしたのでした。
しかし、多くの国民は騙されませんでした。


■国民の判断

　国民の関心に高い「政治と金」の問題についても
「改革」が必要であることは論を待ちませんが、
赤城農水大臣辞任の記者会見を聞けばその体質が
変わっていないことは明らかです。

　辞任の理由について、自らの与えた「参院選への
影響」を挙げ、政治資金に関する自らの不明を
明らかにし、謝罪することは終に無かったのです。

　国民は、現政権の政治改革への姿勢に大いに
疑問を持ったのでした。さらに、このような
閣僚を大臣として任命した上、問題発覚後も
かばい続けた安倍総理の危機管理能力のなさと
その資質にもＮＯを突きつけたのです。

　年金問題で官僚が自分に都合の悪い情報は開示しない
ことが明らかになりました。「事なかれ主義」に
奔走する官僚主導の改革では実効性が望めません。

　現政権では「官僚が政治を支配する」ことから
脱することができないことを、国民は気付き
始めてきているのではないでしょうか。
国民の判断は、結果として政治にダイナミズムを
持たせる歴史的転換点へと歯車を回したのでは
ないかと思います。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　（了）