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万波誠医師を勝手に支援するコミュの今、ブログでは

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メディアが伝えるニュースよりブログで紹介されている事例の方が
真実に近い場合があります。

そこで各ブログから学べる知識を紹介したり検証するトピを作ってみました。
興味深いブログを見つけられた方、ここで紹介してください。

また反万波医師のブログも取り上げて、彼らの言い分に対しての
論理的な反論を考える場になればとも思っています。




では、最初に小児科の先生が書かれているブログ
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080213 を見て下さい。
このブログも大変興味深いのですが、そのブログに対する
コメントが今かなり燃え上がっています。
コメントの大半は医師の方々だと思われますので、素人である
私がコメントをするのは遠慮しています。
ただ外野(このトピ)でこれらの専門家の意見に対して
あれこれと思う所を述べたいと思っています。

griotteさん 2008/02/13 23:11 のコメントに対して、
さて、この泌尿器科医の先生はどれ程の手術数をこなしているのでしょうか?
万波医師と比べてどれ程の経験があるのでしょうか?

>移植後もやりっぱなしでまともなフォローがなされていないのは事実のようです。何より、移植腎の定着成績も非常に悪いものである、というのは動かしがたい事実です。

と述べられています。
本当でしょうか? 反論したくても直接反論できない私に代わって
ここ(このコミュ)に参加されている医師の方、どうか反論して下さい。

2010年10月1日追記

<ハート・レイクのある町>  鹿鳴荘病理研究所
 広島大学名誉教授 医学博士 難波紘二 Koji Nanba, M.D., Ph.D.
              


天網恢々
 06年10月24日と11月21〜22日の延べ3日間にわたり, 厚労省保険局医療課、愛媛社会保険事務局、愛媛県長寿介護課は合同して、宇和島徳洲会病院に対して保険医療上の診療報酬に不正または不当の疑いがあるとして合同監査を行った。根拠法令は「健康保険法」78条, 「船員保険法」28-5, 「国民健康保険法」45-2, 「老人保健法」31条である。

 監査場所は宇和島徳洲会病院で、監査会場として大小2箇所の会場を用意させられ、監査対象として病院開設者、管理者、保険医、その他のスタッフ全員が指定されたため、監査期間中, 病院機能は麻痺した。

 この時にチェックされた書類は、診療録、介護記録等である。
 厚労省からは「医療指導監査室」の室長、室長補佐、3名の「特別監査官」が出席した。特別監査官の一人が住友克敏であった。奇妙なことに、この厚労省監査団には日本移植学会理事の寺岡 慧東京女子医大教授、日本臓器移植ネットワーク理事が同行していた。医師で政治学者の小久保亜早子氏が「日本医事新報」で指摘しているように、日本移植学会は厚労省に政治的圧力をかけ、宇和島徳洲会病院の診療報酬請求に多くの不正を発見させることで、巨額の不正請求額返還を命令し、保険医療指定機関の取り消しと万波医師らの保険医登録の取り消しをねらったのである。

 07年3月31日に日本移植学会など4学会が病腎移植を全面否定する共同声明を発表すると、厚労省はただちにこの内容を新たなガイドラインとして、局長通達を出す準備に入った。これと並行して5月17日に宇和島徳洲会病院に対して3度目の「共同監査」を行い、6月21日には4度目の共同監査を行った。この4回に渉る異例の監査には本省の住友克敏特別監査官が一貫して参加していた。

 「病腎移植」を禁止する改正ガイドラインが6月末にまとまり、パブリックコメントの聴取が7月末に終了すると、厚労省は8月末に宇和島徳洲会病院に対して約1億円(うち移植関係費3000万円)の返還を求める方針を明らかにした。

 翌08年2月上旬には、厚労省と愛媛社会保険事務局は同病院の保険医療機関の指定取り消し、万波医師と小島医師の保険医登録の取り消しを行うという方針を明らかにした。

 かくて、2月25日松山市の愛媛社会保険事務局の会議室で、同事務局は宇和島徳洲会病院に対する処分内容を伝える「聴聞会」を「行政手続法」13条に基づき開催した。同法の規定によると行政上の不利益処分を科すにあたっては行政庁の主催者が「聴聞会」を開き、被聴聞者への説明とそれに対する質問に答えなければならないとされている。他の行政庁の職員は聴聞会に出席できない。この時点では社会保険庁はまだ存続しており、厚労省保険局とは別の行政庁であった。午後には2名の医師に対する聴聞会が予定されていた。

 午前10時から始まった聴聞会の「主宰者」は愛媛社会保険事務局総務課長、「説明・「質問回答者」は同局保健課医療参事官2名、同局指導医療官、同局医療事務指導官2名、同局医療係長、同局医療事務専門官、同局総務課専門官(司会)の他に厚労省本局から「保険局・医療課・医療指導監査室・特別監査官」の住友克敏がいた。06年10月から07年6月まで4度に渉り宇和島徳洲会病院の医療監査を行った男である。

 聴聞会では司会がまず主宰者が総務課長であり、処分内容と理由の説明者が大森参事官であることを説明し、ついで被聴聞者への質問に答える担当者の官職・氏名を紹介したが、その際に厚労省の住友克敏の肩書きと氏名を第一番に上げた。住友克敏は厚労省保険局の職員であり、「愛媛社会保険事務局」の職員ではなく、「行政手続法」20条にいう当該行政庁の職員でなく、従って質問に答える権限はおろか聴聞会への出席資格がなく、聴聞会自体が違法であると、敏腕な徳洲会弁護団は鋭く指摘し、住友特別監査官の出席の継続を認めるかどうかで、主宰者側は大混乱に陥り、聴聞会は何度も中断された。

 結局、住友克敏の退出で聴聞会は再開されたが、主宰者が「違法な聴聞会であった」ことを認めず、この論議に多くの時間が費やされ、結局聴聞会は成立せず、5月19日にあらためて開催されることになった。その際明らかになったことは、?処分の証拠書類は07年5月の3回目の病院立ち入り調査の後、5月21日と22日に大部分が作成されており、その後間もなく社会保険事務局に送付されていたということ、?愛媛社会保険事務局は08年2月4日付で宇和島徳洲会病院へ処分通知を送付したこと、?新たな聴聞会の日程について「私共としては…あんまり遅いと政府の方から…。3月中くらいに決めていただけると…。」と主宰者が発言しており、厚労省から年度内決着を迫られていたこと、という3点が明らかとなった。

 結局5月の聴聞会は無期延期となり、古本大典愛媛社会保険事務局長は転勤となり、社会保険庁自体も不祥事が重なり09年末で廃止された。愛媛社会保険事務局も廃止され、厚労省の地方局として「中国四国厚生局」(広島市)が設置された。法的には「無期延期」だが、松山と異なり広島では「病腎移植」に対して病院にも医師にも処分が行われておらず、実質「処分中止」と見るべきだろう。

 08年9月住友克敏特別監査官は聴聞会での失策にもかかわらず、本省の国際年金課長補佐に昇任した。

 09年4月大阪で中年の男が自分の所有するマンションに住む女性の部屋へ下着を盗む目的で侵入し警察に逮捕された。男は佃 章則(55)といい(株)「シンワメディカル」というコンタクトレンズ販売会社の社長だった。住居不法侵入の疑いで家宅捜査すると、厚労省保険局・医療課幹部との関係が明らかになってきた。コンタクトレンズ販売会社の多くは眼科診療所(CL診療所)を併設している。コンタクトレンズ購入時に顧客に眼科を受診させることで、診療報酬を稼ぐことができるからである。

 厚労省は06年4月CL診療所の診療報酬を改定し、基準を厳格化した。当時, 医療課・医療指導監査室・特別監査官だったこの男は、この頃「シンワメディカル」の社長にメールを送り、「地方社保事務局から指導を受けたら連絡して欲しい。こちらで事務局を指導しますから」と持ちかけ、賄賂を請求するようになった。これに応じたのは佃 章則社長と弟の同社取締役佃 政弘(47)である。贈収賄の期間は佃が逮捕される10年4月までで約3000万円に及ぶと見られている。その他に携帯電話の貸与、タクシー券の贈与がある。

 この不埒な男が06年10月から4回に渉り宇和島徳洲会病院を監査し、同病院の保険診療取り消しと万波医師ら2名の保険医指定取り消しの根拠書類を作成し、厚かましくも08年2月25日の愛媛社会保険事務所での聴聞会に出席し、弁護団の追求にあい退去せざるをえなかった住友克敏(50)である。住友は79年, 当時の社会保険庁にノンキャリとして入庁している。現時点で彼は逮捕され身柄を大阪地検に送致されており、裁判で有罪が決まったわけではないので、「推定無罪」の原則は貫かれなければならない。しかし一方で、多くが無用な診療であるCL診療所の過剰診療に便宜を図りながら、他方では愛媛県の診療の30%を占める宇和島の二つの病院を潰そうと企図し、多くの人命を救助し、これからも助けるであろう, 有能な二人の医師を抹殺することを平然と実行しようとしていたことは、許すことができない。

 最大の疑問はなぜ住友容疑者が「特別監査官」という厚労省の地位を利用して、私企業「シンワメディカル」と一種の顧問関係を結ぶに至ったかという点であるが、どのメディアもこれを調査報道していない。

 天道是か非か。天網恢々疎にして漏らさず。これで厚労省保険局医療課は致命的打撃を受けた。残るは医療監査の先導役を務めた寺岡 慧日本移植学会理事長であろう。最新の学会会員名簿によると田中紘一は評議員から姿を消しており退会したと見られる。大島=外口会談の外口 崇健康局長は慶応大医卒で07年医制局長をへて09年6月に保険局長に就任しており, 彼の身にも事件は波及するであろう。(2010/9/30記)





産経新聞 平成22年9月27日付け
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100926/crm1009260129000-n1.htm

受領総額2500万円以上か コンタクト販売店に便宜、収賄容疑で厚労省課長補佐逮捕 大阪府警


コンタクトレンズ販売店に併設された眼科診療所(コンタクト診療所)への指導・監督に便宜を図った見返りに、大阪市のコンタクト販売会社「シンワメディカル」側からわいろを受け取ったとして、大阪府警は25日、収賄容疑で厚生労働省国際年金課長補佐、住友克敏容疑者(50)=東京都府中市=を逮捕した。

 また、贈賄容疑で同社取締役の佃章則容疑者(55)=堺市中区=と、弟で取締役の政弘容疑者(47)=兵庫県西宮市=を逮捕した。府警によると、いずれも大筋で容疑を認めているという。
 住友容疑者は役員側からほぼ毎月、数十万円を口座に振り込ませており、これまでに受領した現金の総額は2500万円を超えるという。
 捜査関係者によると、住友容疑者は同省医療課特別監査官だった平成20年2月ごろ、シンワ社系列のコンタクト診療所について、地方社会保険事務局(当時)の指導監査の対象とならないよう助言し、見返りとして約150万円の現金を受け取った疑いが持たれている。
コンタクト検査を集中的に行う診療所は、販売業者が医師を勧誘するなどして急増したが、コンタクト購入者に不要な検査を受けさせたり、眼疾患をでっち上げたりして診療報酬を過大請求する不正が各地で発覚。厚労省は19年ごろから監督を強化し、不正請求が疑われる診療所には、保険医療機関の指定取り消しを視野に、厳しい監査を実施する方針を取っていた。
 住友容疑者は昭和54年、当時の社会保険庁に入庁したノンキャリア組。一方、民間信用調査機関によると、シンワ社の企業グループは大阪や兵庫など約20カ所でコンタクト販売店をチェーン展開し、全体の直近の売上高は約40億円。



産経新聞 平成22年9月28日付け
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100927/crm1009270201005-n1.htm

【厚労汚職】逮捕の課長補佐「増額ありがとう」 メールでわいろ要求

コンタクトレンズ診療所への指導・監督をめぐる厚生労働省職員の汚職事件で、収賄容疑で逮捕された同省国際年金課長補佐の住友克敏容疑者(50)=東京都府中市=が携帯電話のメールで繰り返し現金を要求していたことが26日、捜査関係者への取材で分かった。贈賄側のコンタクト販売会社「シンワメディカル」(大阪市)も口座への振り込みをメールで通知。住友容疑者は「入金確認しました。増額ありがとうございます」などと応じていたという。
 大阪府警は今年4月、シンワ社取締役の佃章則容疑者(55)=贈賄容疑で逮捕=を別の住居侵入事件で逮捕。この事件の捜査過程でこうした内容のメールを確認し、今回の贈収賄容疑が浮上したという。
  府警は26日、住友容疑者を大阪市内に移送して送検。大阪市中央区のシンワ社本社などを家宅捜索した。シンワ社側から住友容疑者に対し、数年間で約2500万円の現金が振り込まれており、府警は現金授受の経緯を詳しく捜査している。
 捜査関係者によると、贈賄側の佃容疑者の携帯電話には「住友」としてアドレスが登録され、ひんぱんにメールのやり取りがあった。今年3月ごろには住友容疑者から、「息子の授業料の一部を助けてもらえないですか」と現金提供を求められていた。
 佃容疑者は住友容疑者の口座に入金した後、「振り込みました」とメールで通知。住友容疑者はその都度、「入金確認しました」などと返信していたという。
 住友容疑者は医療機関への指導・監督を担当する同省医療課監査官だった数年前から、シンワ社側から振り込みを受けていたことがすでに判明。月に20万〜30万円が口座に送金され、金額が多い月には住友容疑者からシンワ社側に「増額ありがとうございます」と、お礼のメールが送られることもあったという。

 住友容疑者は20年10月に医療課から別の部署に異動したが、シンワ社との現金授受はその後も継続されており、府警は住友容疑者が佃容疑者と携帯で連絡を取り合い、シンワ社系列の診療所が監査を免れる方法などについて、引き続きアドバイスしていた疑いもあるとみて調べている。       

コメント(25)

MIXIで本日、万波と検索しただけでも40件近くの嬉しい日記が書いてましたね。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-880.html
転載。


病気腎移植処分なら、治療費全額が患者負担〜「命もたない、死刑宣告だ」(東京新聞2月23日付「こちら特報部」より) new!!2008/02/24 [Sun] 21:54:31 » E d i t
「“レストア腎(病気腎)移植”超党派の議員連盟発足〜厚労省による「病気腎禁止」見直し求める(東京新聞2月22日付「こちら特報部」より)」(2008/02/23 [Sat] 06:12:46)で触れたのは、宇和島徳洲会病院や市立宇和島病院の保険医療機関指定・万波誠医師の保険医登録取り消し処分自体の影響でした。

厚労省や愛媛社会保険事務局により、病気腎移植が保険適用外とされて病院に診療報酬返還が請求された場合、非常に深刻な問題が生じることについて、東京新聞平成20年2月23日付26面「こちら特報部」で記事にしています。その記事を紹介したいと思います。


1.まず、その前に「“レストア腎(病気腎)移植”超党派の議員連盟発足〜厚労省による「病気腎禁止」見直し求める(東京新聞2月22日付「こちら特報部」より)」(2008/02/23 [Sat] 06:12:46)で触れた「修復腎移植を考える超党派の会」の趣意書を引用しておきます。



「修復腎移植を考える超党派の会」(仮称)


 趣意書(案)

 昨今、修復腎移植の是非が大きな社会問題となっておりますことはご案内の通りです。

 移植を容認する立場からは、「患者の命を救うための医療行為であり患者に不満の声はなく、海外でも多くの同様の事例が存在し、かつ高い評価を得ている」との見解が示されております。

 他方で、医学的に問題ありとする立場からは、「インフォームドコンセントや倫理面で問題があり、移植した腎臓の生着率や患者の生存率が劣り、修復腎移植は医学的に妥当性がない」との主張がなされております。

 このように異なった見解が存在するなかで、中立かつ客観的な立場から両者の見解を検討し、この問題の適切な方向性を追及していくことは国会議員としての責務であると考えます。

 そこでわれわれ有志議員が協議し「修復腎移植を考える超党派の会」を設立致しました。多くの議員の皆さま方のご入会をよろしくお願い致します。

平成20年2月
 
発起人  島村宣伸 深谷隆司 杉浦正健 竹本直一 平沢勝栄 衛藤晟一 佐藤信秋 山田正彦 松木謙公 家西悟 福島豊 山本博司 (順不同、敬称略)


 

この趣意書は、「万波誠医師を支援します」さんの「患者・地域の願いは どこまで届くのか(3)」(2008/02/22 00:21)からの引用です。感謝します。

「地獄への道は善意で舗装されている」さんの「<病気腎移植>超党派の議連が発足 是非を再検討へ」によると、党派は、自民党、民主党、公明党、無所属であり、自民党、民主党、公明党を中心として39名本人出席、代理は35名で併せて74名が出席したとのことです。




2.東京新聞平成20年2月23日付朝刊26面「こちら特報部」


「SOS臓器移植:病気腎移植処分なら 治療費全額が患者負担  「命もたない」「死刑宣告だ」

 病気腎移植を手がけてきた万波誠医師と宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)に対する「処分問題」が風雲急を告げている。しかし、厚労省や愛媛社会保険事務局により、病気腎移植が保険適用外とされて病院に診療報酬返還が請求された場合、移植患者の治療費は全額自己負担になる可能性が高く、患者たちは悲鳴を上げている。 (片山夏子)

◆高額支払い無理、透析に戻るしか…

 宇和島市に住む元理容業の男性(65)は1年半前に、動脈瘤(りゅう)を修復した腎臓の移植を受けた。男性は嚢胞(のうほう)腎という腎臓病の家系。父親は透析生活のまま亡くなり、妹も8年前に動脈瘤の病気腎移植を受けた。

 厚労省によれば、病気腎移植が「一般に認められていない特殊診療」として保険診療の適用外と判断された場合、免疫抑制剤などの治療も全額患者の負担になる。現在、健康保険が適用される「保険診療」と、保険適用外で全額自己負担の「自由診療」を併用する「混合診療」は原則禁止。このため、病気腎移植が保険適用外にされると、手術後の移植に関連した治療も一連の治療とみなされ自由診療となる。

 男性の免疫抑制剤や治療費は月約20万円。年月がたつにつれ治療費や薬代は減るが、月に8万―10万円はかかる。「とても払えない。貯金全部をはたいても命が何年もつか」。表情が曇った。昨年秋、店を二男に任せ引退。今は障害者年金などで生活する。

 昨年9月、妹の腎臓の調子が悪くなり、万波医師のところに通った。「歩くのもつらそうで、透析に戻る覚悟をしていたようだった。幸い持ち直したが、もしすべて任せてきた万波先生が処分を受けたら、私たち患者はどうなるのか。処分で一番困るのは患者」

 処分問題が報道されてから、息子が「お父さんはそんな金があるのだろうか」と心配していると息子の妻から聞いた。息子自身も調子が悪くなってきている。「息子に誰が腎臓を提供するかも切実な問題。家族間では腎臓を提供し合えない私たちにとって、病気腎移植は唯一の希望」

 愛媛県西部の元公務員の男性(58)は1989年に姉から、92年に妻から腎移植を受けた。だが2年前に調子が悪くなり透析に。この時は両親、兄弟から提供を断られた。親兄弟から見放され天涯孤独のように感じた。

 2度目の移植から13年半。腎移植後は普通の生活を営めていただけに、透析生活は苦しかった。死体腎移植もままならない現状に「お墓を掘り起こしてでも移植してくれとさえ思った」。3ヵ月後、万波医師にがんの疑いの強い腎臓の病気腎移植について説明され「わらにもすがる気持ち」で移植を受けた。

 「病気腎移植が保険適用外だったら、手術は受けられなかった。全額自費だったらとても払えない。透析治療で仕事を一度、辞めている人も多い。これまで保険で通っていたのに、今になって適用外なんて」と憤る。せっぱ詰まって病気腎移植を受けた患者の思いを代弁した。「退職して収入がないのに、月に10万円も20万円も払い続けられるはずがない。免疫抑制剤がなくなったら終わりの私らには(全額負担は)死刑宣告に等しい。患者を殺してまで(医師や病院を)処分するのか」

 前出の元理容業の男性も言う。「腎臓提供を受けられない人も多い。2度目の移植が受けられるかは絶望的に近い。透析中につらくて自殺する人も少なくない。病気腎移植は多くの患者の希望になる。万波医師の問題があった部分は直し、病気腎移植をきちんと検証して、捨てる腎臓で命を救える病気腎移植を残してほしい」」





3.厚労省や愛媛社会保険事務局により、病気腎移植が保険適用外とされて病院に診療報酬返還が請求された場合、移植患者の治療費は全額自己負担になる可能性が高いのです。

(1) 
「厚労省によれば、病気腎移植が「一般に認められていない特殊診療」として保険診療の適用外と判断された場合、免疫抑制剤などの治療も全額患者の負担になる。現在、健康保険が適用される「保険診療」と、保険適用外で全額自己負担の「自由診療」を併用する「混合診療」は原則禁止。このため、病気腎移植が保険適用外にされると、手術後の移植に関連した治療も一連の治療とみなされ自由診療となる。」


保険が利けば多くても3割負担で済む(保険診療では費用の3割をいったん患者が負担するが、一般の人の場合で支払額が月額8万100円を超えると、超えた部分の約97%が後から戻ってくる。低所得者ならさらに自己負担額は少なくなる。これを高額診療費制度という)のです。

しかし、病気腎移植が保険適用外とされると、「手術後の移植に関連した治療も一連の治療とみなされ自由診療」となってしまう可能性が高く、そうなると、免疫抑制剤や治療費も全額自己負担となってしまいます。これは、病気腎移植を受けた多数の患者にとって非常に深刻な問題です。


(2) 
 「「男性の免疫抑制剤や治療費は月約20万円。年月がたつにつれ治療費や薬代は減るが、月に8万―10万円はかかる。「とても払えない。貯金全部をはたいても命が何年もつか」。(中略)

 「病気腎移植が保険適用外だったら、手術は受けられなかった。全額自費だったらとても払えない。透析治療で仕事を一度、辞めている人も多い。これまで保険で通っていたのに、今になって適用外なんて」と憤る。せっぱ詰まって病気腎移植を受けた患者の思いを代弁した。「退職して収入がないのに、月に10万円も20万円も払い続けられるはずがない。免疫抑制剤がなくなったら終わりの私らには(全額負担は)死刑宣告に等しい。患者を殺してまで(医師や病院を)処分するのか」」


臓器を移植すると、免疫システムが移植臓器を異物とみなして攻撃する拒絶反応が起きるため、患者は免疫抑制剤を生涯服用する必要があります。そうすると、免疫抑制剤を購入する費用がなくなり、免疫抑制剤を服用できなくなったら、いずれ拒絶反応が生じてしまい、(免疫抑制剤を服用できていれば機能してるのに)折角得た臓器を摘出せざるを得なくなります。

一体どれだけの人が一生涯月に10万円も20万円も払い続けられるというのでしょう。厚労省や愛媛社会保険事務局は、移植を受けた患者の実情を分かっているはずです。「死刑宣告に等しい。患者を殺してまで(医師や病院を)処分するのか」という患者の悲痛な声を、厚労省や愛媛社会保険事務局は無視するつもりなのでしょうか。

高額になる薬剤や治療費を払い続けることができない以上、結局は、人工透析に戻るしかなくなってしまうのです。免疫抑制剤を服用できていれば機能してる臓器が体の中にあるのにも関わらず。患者にとって何と無慈悲なことであり、無意味な事態なのだろうかと思います。



(3) 
「前出の元理容業の男性も言う。「腎臓提供を受けられない人も多い。2度目の移植が受けられるかは絶望的に近い。透析中につらくて自殺する人も少なくない。病気腎移植は多くの患者の希望になる。万波医師の問題があった部分は直し、病気腎移植をきちんと検証して、捨てる腎臓で命を救える病気腎移植を残してほしい」」



万波医師らによる病腎移植は42例行われたのですから、その患者すべてが「自由診療」となり、薬剤や治療費を払い続けることができなくなるという危機に瀕することになります。また、病気腎移植は、万波医師が行う以前から日本で行われていたのですから、堤 寛・藤田保健衛生大学医学部教授(病理学)の調査によると、「日本のレストア腎移植は、動脈瘤、動静脈奇形などで95例、悪性腫瘍で下部尿管がんが8例、小腎細胞がんが8例」あったとのことです(「「第2回国際腎不全シンポジウム」(徳洲新聞2008年(平成20年)2/25 月曜日 NO.609))。そうなると、これらかなり多くの患者すべてが、突如として「自由診療」という扱いを受ける可能性があります。(各地で訴訟になる可能があるでしょう)

何度も触れていることですが、日本では、1次移植(生涯1回限りの移植)に留まる患者さんが移植全体の96.1%を占め、2次移植はわずか3.78%。1度移植を受けて拒絶反応があっても、再び移植を受けることはまずありません。しかも、死体腎移植の平均待機期間は16.6年ですから、「腎臓提供を受けられない人も多い」こともちろん、運よく移植ができたとしても、「2度目の移植が受けられるかは絶望的に近い」のです。

日本の移植事情では「病気腎移植は多くの患者の希望」だったのですが、病気腎移植が保険適用外となれば、将来、病気腎移植を実施し普及することはまずあり得ないことになります。

よくよく考えてみれば、「リスクゼロの移植というものは存在しない」(イタリア国立移植センターのアレサンドロ・ナンニ・コスタ所長)のです。元々、腎不全となる方は高齢者が多いことから、生体腎移植を行う側もある程度の年齢になっている以上、健康腎といえないものが少なくないのが現状です。ですから、移植後に病気腎移植であったとして「自由診療」扱いされることも考えられます。

病気腎移植が保険適用外となれば、過去の病気腎移植どころか、将来の病気腎移植どころか、通常の腎臓移植も抑制されてしまいかねません。あまりにも影響力が大きい問題であるように思います。




4.厚労省や愛媛社会保険事務局の対応には、単に病気腎移植を保険適用外にすること以上に、なるべく臓器移植を抑制させて人工透析にしてもらう意図があるように思います。

「移植医療の進歩があり、保険適用などで患者の医療費負担も少ないのに、なぜ移植が増えないのか。

 大駒さんによれば、病院側が教えてくれないから、そもそも透析患者は移植について何も知らないという。「透析患者に移植情報を伝えないのには、人工透析が1人年間5、600万円かかり、現在日本の透析患者26万人の透析費用1兆5千億円余りが国費で支出される巨大市場だという背景があるのではないか」」(東京新聞平成20年2月11日付朝刊【こちら特報部】「腎臓移植 ほとんどタダ」が知らされない理由)


臓器移植による利益は大きく、提供者が見つかって国内で移植すれば「ほとんどタダ」という現実があるのに、透析医は「移植なんて無理」などと言い放ち(コラムニストの大駒実氏の実体験)、病院側は臓器移植についての情報提供をせず、国(行政)側は(人工透析によって潤う者のために?)臓器移植を抑制する意図がある――。

世界中の臨床医(米国では政府も奨励している)が必死にドナー不足の現状を打破し、患者の命を救うため、新たなドナーソースとしてのレストア腎の有効性を認めてドナーを増やす努力を続けているのに、日本の行政や関係学会の態度は正反対の対応です。全く理解できません。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-1379.html
宇和島徳洲会病院と万波医師への行政処分問題:半年進展なく、今後の見通しも不透明なまま new!!2008/09/11 [Thu] 07:59:13 » E d i t
宇和島徳洲会病院の万波誠医師らによる修復(病気)腎移植をめぐり、愛媛社会保険事務局は宇和島徳洲会病院と万波医師らの行政処分を予定していました。ところが、超党派のおよそ80人の議員からなる「修復腎移植を考える超党派の会」(杉浦正健会長)が、修復腎移植を容認するとの方針を決定を出したことから、愛媛社会保険事務局は5月12日、宇和島徳洲会病院と万波医師らの行政処分に関する(5月19日予定の)聴聞会の延期を決定し(「超党派議連が「病気腎移植容認、万波医師と病院への処分不要」を発表〜5月19日開催予定の聴聞会も延期に」(2008/05/13 [Tue] 22:22:34)参照)、そのままに延期したままになっています(再開時期は未定)。

最近、その進展状況に関する記事が出ていましたので、紹介したいと思います。


1.日経新聞平成20年9月8日付夕刊16面

「宇和島徳洲会病院 「病気腎」処分宙に浮く  病院側が抵抗 進展なく半年

 病気腎移植をめぐる宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の診療報酬不正請求問題で、保険医療機関の指定取り消し処分に向けた厚生労働省と愛媛社会保険事務局の手続きが、2月の聴聞会後、半年以上もストップ、宙に浮いた異例の状態が続いている。

 病院側が病気腎移植の正当性を主張し、処分に激しく抵抗しているのに加え、病気腎移植を容認した超党派の国会議員グループの動きも背景にあるようで、今後の見通しは不透明なままだ。

 宇和島徳洲会病院は、万波誠医師(67)が実施した計11件の病気腎移植に保険を適用、診療報酬を請求した。しかし厚労省は保険適用外の不正請求と判断。今春、処分に踏み切る方針だった。

 弁明を聴くため2月25日に開いた聴聞会は、病院側が開催手続きの不備を主張し、実質審議に入らず延期に。5月19日の2回目の聴聞会は直前になって突然、社会保険事務局が延期を決めた。以降、聴聞会は開かれていない。

 5月13日、国会議員グループの「修復腎移植問題を考える超党派の会」が、条件付きで病気腎移植を容認する見解をまとめた。病気腎移植を否定する厚労省や日本移植学会と対立する議員らの動きが、処分手続きに微妙に影響を与えているとみる向きは少なくない。

 徹底抗戦の構えを崩さない徳洲会関係者は「学会が病気腎移植を否定する新たな根拠を示すなど、流れが変わるまで聴聞会は再開されないのではないか」と話す。

 愛媛社会保険事務局の松本蔵彦局長は「ルールにのっとり粛々とやるだけ。処分方針に変わりはない」とするが、10月1日に組織改編が予定されており、少なくとも今月中の再開は事実上不可能とみられている。」



この記事によれば、愛媛社会保険事務局自体が「10月1日に組織改編が予定されて」いることから、組織改編直前に処分手続きを進めることは困難であるとして、「少なくとも今月中の(処分手続きの)再開は事実上不可能」だとのことです。行政処分の進展状況は気がかりだったのですが、ともかく10月1日までは安心できるようです。




2.愛媛社会保険事務局の松本蔵彦局長は「ルールにのっとり粛々とやるだけ。処分方針に変わりはない」としています。ただ、10月1日に組織改編が予定されている点はともかく、本当に行政処分を科すことは可能なのでしょうか。行政処分を科すことが困難と思われる点として、幾つか考えられます。


(1) まず1つは、病気腎(修復腎)移植について、厚生労働省や学会から「医学的妥当性がない」とされ、同省が臨床研究以外は「原則禁止」としているのに対して、与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)は、「修復腎移植容認」の見解を打ち出し、「保険診療も認めるべき」とする見解を発表している点です(「超党派議員連盟が、修復(病気)腎移植を容認したわけは?〜超党派議連の議論の詳報を紹介(東京新聞5月14日付朝刊「こちら特報部」より)」(2008/05/14 [Wed] 19:58:33))。


 「午前9時、東京・永田町の衆院議員会館。カメラの放列を前に口火を切った杉浦氏は全国26万人余の人工透析患者を念頭に「(腎臓の)提供者は少ない現実がある。問題を学会だけではなく、社会全体で考えたかった」。

 議員らは「改革的なことをしようとすると、タブーが立ちはだかる。従前のことに縛られていては前進はあり得ない」(島村宣伸元農相)、「私自身、弟の腎臓をもらい移植した。病気で摘出した腎臓が使えるなら、いいと思っている。厚労省はぜひ、検討してほしい」(山田正彦・民主党ネクスト厚労相)と畳みかけ、杉浦氏が強(こわ)ばった表情の厚労省幹部に「見解案」を手渡した。

 泌尿器科医でもある森田高参院議員(無所属)は「現状では、海外に道を求める人も多い。公正なシステムの中で行い、データを集積して5年、10年後に日本からデータを発信していくべきだ」。(中略)

 意見が分かれたのは、議員立法に踏み切るか否か。「学会の異論を取り除いていくためにも、法的に作っちゃってやるというのは、どうか」「議員立法にしても、学会や厚労省との大筋合意が必要」とは慎重派議員ら。一方、山田氏は「患者は本当に困っている。政治で、ある程度、きちんとした形でできるようにした方がいい」。

 ここで、幹事長の衛藤晟一・自民党厚労部会長が「厚労省は一度、臨床研究は小腎がんは対象にならないと回答しながら、撤回した経緯がある。学会や厚労省の状況を見て、立法化を検討したらどうか」。古川氏は「学会の合意を得られた場合は、強引に立法化するのもどうかと」。

 最後は、平沢勝栄衆院議員(自民)が「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討するということで。全国で、多くの患者が移植を受けられるようになるのを待っている。何とか早く結論を出したい」と、“官僚の出方論”にまとめた。」(東京新聞平成20年5月14日付朝刊24・25面【こちら特報部】)


要するに、与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」は、厚労省と学会に対して、「超党派議連の見解案」を踏まえたうえでの再検討を要求しているのです。すなわち、超党派議連としては、「学会や厚労省の状況を見て、立法化を検討したらどうか」とか、「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討する」という主張なのです。

ところが、日本移植学会は、「超党派議連の見解案」を否定するような簡単な記者会見を行っているだけですし、厚労省も正式な再検討を行ったとの形跡がありません。いわば、超党派議連の見解案を無視している状況です。このように、厚労省と学会が「超党派議連の見解案」を無視したまま、宇和島徳洲会病院と万波医師らへの行政処分手続きを進めることは、それこそ、超党派議連は、「厚労省と学会は、ドナー不足という現状を無視した不誠実な態度である」と激しく批判し、「病気腎移植容認」の立法化を進めることになります。

こうなると、「超党派議連の見解案」を無視したままでは、「病気腎移植容認」の立法化を促進しかねないのですから、行政処分手続きを進めることは困難であるように思えます
(2) もう1つは、強引に処分手続きを進めたとしても処分が無効になりかねない点です。

  イ 「病気腎移植「処分」、反撃に遭って聴聞延期に〜保険医療機関や保険医の取り消しは“死刑”に等しい(東京新聞2月26日付「こちら特報部」)」(2008/02/26 [Tue] 22:49:15))で触れたように、病院側は、聴聞会の開催手続きについて、(1)聴聞会開催を知らせる通知書に具体的な違反事実が書かれていない、(2)認められていない厚生労働省の職員が立ち会っているという2点で、違法があると主張しているのです。


  ロ:また、肝心な点として、病院側が厚労省側(社会保険診療報酬支払基金)に対して、病気腎移植での保険適用の可否を問い合わせた結果、認めていた事実がある点です。

 「議連「修復腎移植を考える超党派の会」(会長:杉浦正健・元法相)は5月13日、衆議院第1議員会館で6回目の会議を開催、修復腎移植を容認する見解をまとめた。(中略)

保険医療機関指定取り消しなどの行政処分については、修復腎移植が保険で禁止されている特殊医療に該当しないことや、社会保険診療報酬支払基金などが、修復腎移植の説明を受けた上で審査を行い、保険適用を認めているなどの事実から、処分の理由が見当たらないと結論づけた。」(徳洲新聞2008年(平成20年)5/26 月曜日 NO.622)



厚労省は診療報酬の問題について、対象になっている移植の適用基準である「健腎」に、「病腎」は該当しないと説明しています。しかし、「40歳を過ぎたらほとんどの腎臓は傷んでいると聞く。純粋な健腎などないのではないか」(杉浦衆院議員)、「全国の病院で修復された腎臓が多数移植されている。これは健腎でいいのか。健腎であるかそうでないかを誰が決めるのか。そもそもこれまで保険診療として認めてきておいて、“後出しじゃんけん”で処分するのはおかしい」(衛藤参院議員)というように批判が強いのです(徳洲新聞2008年(平成20年)3/10 月曜日 NO.611)。

こうした理由から、「超党派議連の見解案」は、「処分の理由が見当たらない」としているのです。


  ハ:このように、処分手続きに瑕疵があり、「処分の理由が見当たらない」ようでは、訴訟になることは必至であり、処分は無効であるという結果が出る可能性は大きいとさえいえるのです。

3.この修復(病気)腎移植問題については、いつも思うのですが、日本は極めて深刻なドナー不足という現状において、患者を救済するために最も現実的な方法である「修復(病気)腎移植」を、なぜ否定するのだろうかと。

別に、病気腎をもっている患者から腎臓を無理矢理摘出するのではなく、病気(修復)腎を嫌がる患者に同意なく移植するわけでもないのです。ドナー側が病気腎を捨てることに同意していることと、病気(修復)腎でも構わないというレシピエントであることが前提なのです。

(1) リチャード・ハワード元米国移植外科学会会長(フロリダ大学教授)が、超党派議連の国会議員に宛てたメッセージを一部引用しておきます。
 
 「現在、私はフロリダ州北部でフロリダ大学の教授と、死体ドナー(臓器提供者)から移植臓器を調達する機関「LifeQuest Organ Recovery Services」の医学ディレクターを務めています。以前は、同大学の移植ディレクターと米国移植外科学会会長も務めていました。

 昨年、われわれはこの地域(人口350万)で、132の死体ドナーから移植臓器を採取しました。これは日本の死体ドナー総数を上回っており、腎臓や肝臓、心臓、肺、膵臓、腸など救命のための臓器移植を350例実施することができました。

 米国の外科医は、昔から日本の外科医を尊敬しています。長年、内視鏡や肝臓外科などで非常に革新的な技術を開発してきたからです。

 生体肝移植でも日本は医学界をリードしており、その技術は世界で活用されています。ところが、死体ドナーからの移植では、他国よりずいぶん遅れているように思われます。

 これは“死”に対する見方の文化的な違いが、理由の一つかもしれません。しかし、日本でも脳死や心臓死のドナーからの臓器移植は認められており、死体臓器移植の拡大を妨げる根本的な相違はないと思われます。

 ごくわずかの死体臓器移植を除き、日本では親族からしか臓器提供を受けられません。心臓移植では、この方法も利用できません。政府の基本的な役割の一つは、国民の生命を守ることです。これは、救命のための臓器移植も含んでいます。

 藤田助教授のデータでは、先進国の中で日本が最も透析患者さんが多く、腎移植を受けて生存している患者さんの数は最下位。腎移植は患者さんの生命を救い、透析治療より少ない費用で済むのです。

 私は、日本国内で万波誠医師のレストア腎移植を巡り、激しい論争が起きていることを知りました。万波医師と同じレストア腎移植は、オーストラリアのデビッド・ニコル医師やアメリカなどの医師も手がけています。万波医師の行ってきたことは、革新的だと賞賛すべきものです。

 日本政府は、患者さんにとって最善の措置を講じるべきです。特定の個人・グループの利益や特権を保護するために、それが妨げられることを許してはなりません。

 藤田助教授が皆さんに提言した、ドナー拡大策としてアメリカで行われている「高齢者の方や感染症のあるドナーの活用」や「ドナーへの経済的な支援」、「より適合性を高めるためのドナー交換」などを日本でも実施すべきだと、私は確信しています。

 これらの実行は容易なことでなく、急激な進展はないかもしれません。しかし、移植を増やして国民のニーズを満たすには、実行するしかないのです。」
(2) 日本移植学会は、臓器移植法を改正するのが先決だと言います。しかし、一体何時まで臓器移植法の改正を待てばいいのでしょうか。もう改正することなく10年経過しており、臨時国会も冒頭で衆議院を解散する可能性もあるのですから。

たとえ臓器移植法を改正できたとしても、死体腎移植の待機期間は16年という極めて深刻なドナー不足の現状を、米国並みの待機期間にするほどに、劇的に解消することは困難です。日米では、「“死”に対する見方の文化的な違い」があるのですから。

しかも、日本移植学会の大島伸一氏は、修復腎移植全面禁止をもくろんで、国会議員を排除する動きにさえ出ています(「日本学術会議提言、病気腎移植(+政治家排除)と代理出産禁止を目的とした新組織設置を〜日本学術会議(大島伸一氏)は、「国民の代表者である国会議員を排除すること」が妥当だと思ってるのか?」(2008/08/11 [Mon] 23:59:46)参照)。

極めて深刻なドナー不足解消のためには、発想の転換が求められ、多方面にわたる立法整備が必要となるのですから、修復腎移植の妥当性を含めて、立法を担当者する国会議員が深く関わることは、国民主権の下では、当然の行動です。それなのに、大島伸一氏が政治家の排除を公然と主張しているのですから、大島氏の言動は、国民主権原理、生存権(憲法25条)に反する言動であって、極めて妥当でないのです。

大島伸一氏が平然と憲法違反の行動にまで出るようでは、もはや、政治主導で決着を図るしかないようです。リチャード・ハワード元米国移植外科学会会長が述べるように、患者救済の見地から、「日本政府は、患者さんにとって最善の措置を講じるべき」時にきているようです。
ほっちゃれさま

ご報告ありがとうございます。
ひとまず、10月1日までは
・・・・。安心できました。
ベイさん
ただ11月に総選挙がありますから、ドサクサにまぎれて処分を出そうとするかもしれないです。
聴聞をやって話しも聞かず強硬にするかも。。。
油断なりませんね。
チャオ さん
選挙が10月26日になりそうですから、その前あたりを狙われたら強硬に実行したことすら選挙で報道されずに葬られる恐れがあるから危険ですね。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-1392.html「病腎移植禁止」で、愛媛など4県の腎不全患者らが国家賠償求め提訴へ 2008/09/18 [Thu] 22:32:33 » E d i t
厚生労働省が運用指針で「原則禁止」としている「病気腎移植」について、愛媛県などの腎不全患者ら約10人が、国家賠償を求める訴訟の準備を進めているとのことです。厚生労働省は昨年7月、臓器移植法の運用指針で「病気腎移植」を「原則禁止」としたため、「治療を受ける権利」を侵害されたとの理由です。

また、「患者らは、病腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らに対しても、『事実と異なる発言をした』として損害賠償を求め提訴することを検討している」(産経新聞)、とのことです。

「病気腎移植訴訟」は、「臓器移植への妨害を排除する」という前例のない訴訟ですから、もっと報道されてよいはずです。しかし、関東で発行している新聞社では産経新聞のみでの報道でして(朝日新聞、読売新聞、日経新聞では報道なし)、東京新聞でさえも報道していない状況ですので、かなり戸惑いました。(その当たりの事情は色々とあるようです。)
(9月20日追記:「専門家の責任」、特に学会の説明責任について、裁判例を1つ紹介しました。)

1.報道記事を幾つか。

(1) 産経新聞平成20年9月13日付朝刊

「病腎移植求め国賠提訴へ 10月にも松山地裁に 患者ら「権利侵害」
2008.9.13 01:30

 治療のために摘出した腎臓を別の患者への移植に用いる「病腎移植」を、厚生労働省が原則として禁止したため適正な治療を受ける権利を侵害されたとして、腎不全患者らが10月初めにも国を相手取り、病腎移植を受ける権利の確認と国家賠償を求める訴訟を松山地裁に起こすことが12日、分かった。患者側は受ける治療を選択する自己決定権があることを主な論拠として争う方針。論議が続く病腎移植の是非をめぐる判断は、新たに法廷へと舞台を移すことになる。

 また患者らは、病腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らに対しても、「事実と異なる発言をした」として損害賠償を求め提訴することを検討している。

 訴えるのは、人工透析を受けている愛媛や香川、広島、岡山などの慢性腎不全患者ら約10人。賠償請求額は1人当たり最高で約1000万円となる見通し。

 厚労省は日本移植学会などの見解を踏まえ、平成19年7月に臨床研究以外の病腎移植の禁止を全国に通知。さらに16年9月からの約2年間に宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(67)らが行った病腎移植は保険診療とは認められないとの見解を示した。

 しかし患者側は、手術後の経過などをもとに病腎移植の妥当性や有効性を認める専門家が国内外にいることから、「必要かつ有効な医療」と強調。患者が自ら望む治療を受ける権利は、憲法が保障する自由権や生存権に基づいており、「公共の福祉に反しない限り、国が禁止することは許されない」としている。

 また、厚労省が病腎移植を保険診療として認めないことについても、「法的な根拠が存在しない」と指摘。こうした厚労省の方針により、治療を受ける権利が侵害されたと訴える。

 患者が受ける治療を選択する権利をめぐっては、信仰上の理由で拒否したのに行われた輸血の是非が争われた「エホバの証人輸血拒否訴訟」で、最高裁が12年2月、患者の自己決定権を認める判断を示している。」



(2) 四国新聞(2008/09/14 09:29)

「香川など中四国の患者らが国提訴へ/病気腎移植
2008/09/14 09:29

 病気の腎臓を摘出し別の患者への移植に使う病気腎移植を厚生労働省が禁止したため、治療を受ける権利を侵害されたとして、重度の腎臓病で人工透析を受けている香川県内など中四国の患者ら約10人が、国家賠償を求める訴訟の準備を進めていることが13日、分かった。

 関係者によると、提訴を予定しているのは香川県内の40代の男性患者と岡山、広島、愛媛4県の患者ら。さらに賛同する人の参加を呼び掛けている。賠償請求額や提訴先の裁判所は未定で、今後弁護士らと協議して決める。

 病気腎移植の医学的妥当性を否定した日本移植学会の幹部に対する訴訟も検討しているという。

 病気腎移植は、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(67)が中心となって実施し、医学的妥当性などの観点から問題となった。厚労省は昨年7月、病気腎移植の原則禁止を盛り込んで改正した臓器移植法の運用指針を都道府県などに通知した。

 しかし、病気腎移植をめぐっては5月中旬、国会議員グループの「修復腎移植問題を考える超党派の会」が条件付きで容認する見解をまとめているほか、オーストラリアなど国外の一部では同様の移植が行われているという。」






(3) 産経新聞平成20年9月14日付朝刊

「病腎移植訴訟 「第3の道」へ活路、早期の司法判断を
2008.9.14 02:47

 生体腎と死体腎の移植に次ぐ「第3の道」として、病腎移植の一般医療化を厚生労働省に要望してきた腎不全患者たち。裁判所の判断が患者の望み通りになれば、臓器提供者(ドナー)不足に悩まされてきた腎移植医療は大きく前進することになる。

 日本では現在、透析患者が27万人を超えるといわれ、約1万1600人が腎移植の機会を待ち望む。しかし、年間に実施される死体腎移植は150件前後。平均16年は待たねばならず、その間に亡くなる患者も多い。

 本来、患者の福利を最優先にすべき国が病腎移植を原則禁止としたことで、結果的には患者が「治療を受ける権利」を十分に行使できない状況が生じている。

 そもそも、移植関係学会の意向を受けるかたちでガイドラインを出した国が、国内で実施された病腎移植を綿密に調査したかには疑問が残る。宇和島徳洲会病院の万波誠医師らが実施した42件について、「生存率や安全性は死体腎移植と遜色(そんしょく)ない」と報告する専門家も複数いる。

 そのうえで、藤田保健衛生大の堤寛教授は広島県の腎臓疾患の手術数などをもとに「全国では推計で毎年約2200個の腎臓が全摘出される」と指摘。「その半数でも移植に回すことができれば、多くの患者が助かる」と訴える。

 また、豪州・クイーンズランド大のデビッド・ニコル教授はこれまでに55件の病腎移植を実施。米移植外科学会のリチャード・ハワード元会長も「多くの透析患者を解放することになる」と賛意を示し、海外でも病腎移植を支持する輪は広がっている。

 深刻なドナー不足の日本で、新しい医療に背を向けてはならないだろう。早期の裁判所の判断が望まれる。(力武崇樹)」この「病気(修復)腎移植訴訟」(国家賠償訴訟)の「提訴を予定しているのは、万波医師を支援する「移植への理解を求める会」の向田陽二代表と愛媛、香川、広島、岡山4県の患者らで、向田代表は『賛同する人がいれば原告になってほしい』と話している」とのことです(毎日新聞2008年9月13日 大阪夕刊)。

産経新聞によると、「賠償請求額は1人当たり最高で約1000万円となる見通し」としていますが、毎日新聞や共同通信(四国新聞)によると、「賠償請求額や提訴する裁判所は今後確定する」(毎日新聞2008年9月13日 大阪夕刊)としており、はっきりしていません。
2.提訴予定の原告患者さんの声を幾つか。

(1) 産経新聞平成20年9月13日付朝刊

「「一刻も早く認めて」 透析患者ら悲痛な思い
2008.9.13 01:30

 医学的な妥当性をめぐりいまなお論議が続く中、慢性腎不全患者らが病腎移植を受ける権利を求め、国を相手取った訴訟に踏み切ることが12日、明らかになった。その背景には、人工透析で命をつなぐ待ったなしの現状がある。国内では慢性腎不全の患者数が臓器提供者(ドナー)の数を大きく上回り、移植を待ち望む患者は1万人を超える。訴訟に加わる香川県丸亀市の男性(48)は「一刻も早く、病腎移植を普通の治療として認めてほしい」と訴えた。

 男性が糖尿病から腎不全になったのは、高知県で塾の講師をしていた36歳のころ。人工透析を始めたが、翌年に母から提供された腎臓の移植を受け、不自由なく日常生活を送れるようになった。

 しかし、わずか3年で拒絶反応のため腎臓を摘出。再び透析生活を余儀なくされ、今から4年前には脳梗塞(こうそく)のため右半身まひ、翌年には右足を切断した。

 2年前には中国に渡って腎移植を受けたが、拒絶反応ですぐに摘出。現在は車いすで生活しながら、週3日は透析を受け、残りの日はリハビリに通う。透析生活は通算で8年になった。

 専門家によると、慢性透析患者の5年生存率は60%。10年生存率になると、40%にまで落ち込む。腎移植を受けた患者の10年生存率が80%であるのと比べると、生命予後は格段に劣る。

 一方で国内の腎移植待機患者約1万1600人に対し、年間の死体腎移植は150件前後にとどまっている。移植待機の年数は平均16年といわれ、その間に亡くなる患者も多い。

 「透析でいつまで生きられるだろうか」。そんな不安を抱える患者らが希望を託していた病腎移植は平成19年7月、厚生労働省により原則として禁止された。男性は「法律に基づいた議論がないまま、結論が出された」と憤りを隠さない。「法廷での判断が出るまでに、亡くなる患者もいる」。そうつぶやき、早急な判決に期待を寄せた。」


(2) 四国新聞(2008/09/14 09:29)

「「選択肢奪わないで」 香川県内から提訴の男性

 生きるための選択肢を一方的に奪わないで―。病気腎移植をめぐり、県内から国家賠償訴訟に参加予定の40代男性は13日、四国新聞社の取材に、「私たち患者はわらにもすがる思いで生きている。希望を託せる治療法があるのに、それが(患者に)納得できる説明のないまま禁止されるのはおかしい」と動機を打ち明けた。

 男性は12年前に糖尿病から腎不全になり、人工透析が必要に。その間、2度の腎臓移植を試みたがいずれも拒絶反応のため摘出。合併症で脳梗塞[こうそく]になり、右足を切断しながら、現在も週3日の透析を行っている。

 日本移植学会や厚生労働省のこれまでの論議に対して、当初からダメだという雰囲気の中でルールが決められた過程に不信感が募ると男性患者。「万が1、5年後、10年後に病気腎移植が認められても、いま、病気と闘っている私たち患者にとっては遅い。一刻も早く病気腎移植を認めてほしいし、いまこそ、公平な論議が必要」と訴えた。」



修復(病気)腎移植を肯定する理由としては、(1)オーストラリアのクイーンズランド大学のデビッド・ニコル教授が40例を超える腎細胞がんのあった腎臓を修復し移植しており(がんの再発・転移はなし)、世界の学会では多くの実施例の発表がなされるなど、修復腎移植は世界的の潮流になっていること、(2)病気腎移植は病巣を持っているドナーを治療しつつ、捨ててしまう臓器を使うのだから、健康体であるドナーを100%傷付ける生体腎移植よりもずっと有意義な療法であること、(3)万波医師らが病気腎移植を手がける前から、全国で親族間での生体腎移植の場合は、病気腎移植を実施してきたこと、などがあります(白石拓『医師の正義』(宝島社、2008年)8頁以下参照)。

こうした色々な理由はあるとしても、この原告患者の声こそ、病気腎移植を認めて欲しいという理由が端的に現れています。
「「透析でいつまで生きられるだろうか」。そんな不安を抱える患者らが希望を託していた病腎移植は平成19年7月、厚生労働省により原則として禁止された。男性は「法律に基づいた議論がないまま、結論が出された」と憤りを隠さない。「法廷での判断が出るまでに、亡くなる患者もいる」。そうつぶやき、早急な判決に期待を寄せた。」(産経新聞)

 「生きるための選択肢を一方的に奪わないで―。病気腎移植をめぐり、県内から国家賠償訴訟に参加予定の40代男性は13日、四国新聞社の取材に、「私たち患者はわらにもすがる思いで生きている。希望を託せる治療法があるのに、それが(患者に)納得できる説明のないまま禁止されるのはおかしい」と動機を打ち明けた。(中略)
 「万が1、5年後、10年後に病気腎移植が認められても、いま、病気と闘っている私たち患者にとっては遅い。……」」(四国新聞)


死体腎移植の平均待機年数は、米国では4.8年、カナダでは2.7年、フランスでは1.4年、英国では2.5年、オーストラリアでは4年であるのに対して、日本では、16年という気の遠くなる期間を待たなければなりませんから(待機年数を考えると、日本臓器移植ネットワークへの新規登録料3万円、毎年の更新料5千円は「ぼったくり」に近い)、日本では、(特に腎不全になった高齢者は)、まず死体腎移植は困難です。

こうした状況ですから、日本では生体腎移植に頼るしかないのですが、生体腎移植は(原則)親族間に限られています。そうなると、生体腎移植ができない方は、腎移植をするために海外へいかざるを得ないのですが、今は海外での腎移植も難しいため、(年齢を問わず)事実上、腎移植は不可能です。(仮に、一度腎移植が出来たとしても、生着し機能するとは限らないのですが、2度目の腎移植はそれこそ死体腎移植は不可能ですし、2度目の生体腎移植は手術が難しくなるため、拒絶する医師が少なくない。例外は高い技量を有する万波医師など。)

腎不全の治療としては、腎移植のほかに透析療法もありますが、長期に透析を行うと、様々な合併症が出現するために身体的な苦痛が増すだけでなく、1月にすると50時間以上を透析センターで過ごさなければならず、一般的には、学業や仕事に大きな障害となり、こうした意味でも「生きていくこと」自体が追い込まれてしまいます(「修復腎移植の是非を問う前提として〜腎移植と透析療法ではどちらが良いのか?」(2008/06/01 [Sun] 18:41:49)参照)。

こうした絶望的なほど腎移植ができず、生きる選択肢が狭い日本の事情を背景として、「生きるための選択肢を一方的に奪わないで」という切実な願いから、病気腎移植を認めて欲しいという裁判を提訴するのです。

これに対して、こうした絶望的なほど腎移植ができない日本の事情を知りつつ、日本移植学会の幹部は、臓器移植法の改正が先決であると言います。確かに、そうした法改正は必要なことです。

しかし、現実はどうでしょうか。

ある大学病院の近くの薬局には、日本臓器移植ネットワークのパンフレットと「臓器提供意思表示カード」がおいてありました。しかし、いずれも厚くほこりが被ったままでした。誰も手をつける人もなく、薬局もほこりを掃うこともないのです。誰も見向きもしない――。これが現実なのです。いくら臓器移植法を改正したとしても、今のままでは、臓器提供者が増える見込みはほとんどないのです(「臓器移植法施行から10年〜法改正の審議も必要だが、提供意思を生かせる態勢は?」(2007/10/20 [Sat] 16:54:52)も参照)。もちろん、福田首相が突然に政権を投げ出してしまったのに、自民党が「総裁選ごっこ」に興じており、しかも、米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻し、「アメリカ発金融不安」が広がっているのに、臨時国会で冒頭解散する予定という無責任が蔓延している今の政治状況では、臓器移植法の改正自体がずっと先のことです。

こうした現実があるにも関わらず、臓器移植法の運用指針では臨床研究の道を認めているにもかかわらず、認めていくべきではないかとの学者の声も無視して、日本移植学会の幹部は、臨床研究を進める気さえもないのです(愛媛新聞2008年05月19日(月)付、丸山英二「ワークショップ (4)生体移植」年報医事法学23号74頁以下での発言参照)。

日本移植学会の幹部が、「生きるための選択肢を一方的に奪わないで」という声を無視し、いわば「腎不全の患者を見殺し」にしている以上、訴訟を提訴せざるを得ないとさえ、いえるのです。


3.とうとう、「病気腎移植訴訟」を提訴することになりました。

(1) 今は超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」も、特に動きがないようですし、日本移植学会や厚労省が、超党派議連の「病気腎移植容認」の提言に対して正式な反論を行ったとの話も聞きません(日本移植学会は、「病気腎移植に対する詳細な検証や、反対する理由などを盛り込んだ見解を近く公表する予定」(2008年05月20日(火)付 愛媛新聞)とのことでしたが、何も出ていません。)。

このように完全に動きが止まっている状態ですので、何か積極的な行動をとることは適切であると思います。裁判を行うのも「積極的な行動」の1つですから、裁判につきマスコミ報道などがあれば、市民へ向けての意識喚起を促すことにはなると思います。

  イ:ただ、裁判を行うことのメリットとデメリットは、よく考える必要があります。以下、メリットとデメリットを箇条書きにしてみます。


<メリット>
・世論に人工透析の改善や修復腎移植を意識させ、肯定する意識が広がる可能性がある。
・日本移植学会に遠慮して、修復腎移植を肯定する報道をしづらかった報道機関は、裁判報道と言う形で肯定的な報道が可能になる。
・勝訴すれば、臓器移植法運用指針に関わらず、病気腎移植が実施可能となる
・勝敗にかかわらず、裁判所が「日本移植学会が虚偽の発表を行った」との認定を行えば、「臓器移植法運用指針」を改定せざるを得なくなる。
・日本移植学会の幹部を相手に裁判を行えば、加害者が誰か特定でき、世論に対して分かりやすい図式(移植希望を妨害するのが日本移植学会)を提示できる。
・訴訟の場において、日本移植学会の幹部から「修復腎移植の臨床研究を直ちに行うのか否か」を質すことで、その言動を公判記録として残しておくことが可能である。
・日本移植学会の幹部は、病気腎移植を認める医師のことを「万波病」と揶揄しているため、これを法廷とう場で公けにし、こうした揶揄を独立の損害賠償責任と認めることも可能である(医療訴訟における医師側の準備書面における「悪質なクレーマーの典型」等の侮辱的言辞につき、東京地判平成15・6・27)。

<デメリット>
・損害賠償請求を求めることは、世論の反発を受ける可能性もある。
・超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」の活動に影響を与える可能性がある。(もし、裁判を行うのであれば、超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」に対して、裁判の意図・内容を説明し、筋を通しておく方が賢明であるように思います。議員さんたちは、マスコミ対策も必要でしょうから。)
・裁判の決着が付くまで数年かかるため、裁判自体で負担(費用、時間)がかかる。



  ロ:病気腎移植を原則禁止した「臓器移植法の運用指針」は、法律ではないとはいえ、実質的には同様の機能を有し、これがある限り、病気腎移植の道はほぼ遮断されています(日本移植学会は、病気腎移植の臨床研究をする気がないのも一因。)。この運用指針を変更する手立てとして裁判は一方法といえます。

損害賠償を求めるのも大事なことではありますが、(原告側の真の意図は不明ですが)まず、「臓器移植法の運用指針」のうち、病気腎移植を原則禁止とした部分を無効化するための裁判であるのだと思います。病気腎移植の否定は患者の自己決定権(憲法13条)を制約し、また、「医療の不確実性」からすれば、一治療行為である「病気腎移植」を将来に渡って禁止してしまう方がおかしいのですから。


(2) 「病気腎移植訴訟」としては、<1>厚生労働省は昨年7月、臓器移植法の運用指針で「病気腎移植」を「原則禁止」としたため、「治療を受ける権利」を侵害されたとの理由で、「病腎移植を受ける権利の確認」訴訟と「国家賠償を求める訴訟」(国賠法1条)、<2>病腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らに対して、その幹部らが『事実と異なる発言をした』ために損害(=「病気腎移植ができなくなったという不利益」)を受けたとして、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を請求する、という2つの訴訟を予定しているようです。

いまだ裁判を提訴していない段階ですので不確定な要素が大きいのですが、幾らか検討してみたいと思います。

  イ:まず、<1>の点。

原則修復腎移植という「臓器移植法運用指針」に改定したのは国の責任ですから、国家賠償という国の責任を追及することは、妥当な方向性といえます。

国に対して憲法25条の生存権を侵害されたとして訴えるのかと思いましたが、「治療を受ける権利」は自己決定権の1つであり、この自己決定権を侵害されたとして、訴えることにしたようです。憲法25条の生存権侵害を認めるような裁判結果は殆どないので、憲法25条による請求よりは、憲法13条の自己決定権侵害で請求することは、勝訴の可能性は高くなります。

自己決定権は憲法13条で保障されることと、「治療を受ける権利」は自己決定権の1つであるということは自明のことといえるでしょう。そして、いままで病気腎移植は可能であり、治療効果も良好であり、海外でも第3の道として高く評価されている以上、自己決定権侵害であるとの評価をしやすいように思います。

問題は、「病気腎移植を受ける権利」が「治療を受ける権利」の1つとして、法的保護に値するといえるかどうかです。要するに、いままで事実上、「病気腎移植を受ける権利」を行使できただけであって、法的保護に値するものとはいえないとも評価できるからです。


  ロ:次に、<2>の点。

民法709条に基づく責任追及であるとしても、病腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らに対して、『事実と異なる発言をした』ために、損害、すなわち「病気腎移植ができなくなったという不利益」を受けたということのようです。

民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。今回の責任追及が民法709条の要件を満たしているといえるのかが問題となります。

問題となりそうな点として2点考えられます。

まず、修復腎移植を肯定からすれば、修復腎移植は「法律上保護される利益」と言いたいところですが、海外ではともかく、日本の学会の状況では、(臨床研究もしていないため)いまだ未確立の療法という扱いですから、「法律上保護される利益」といえるかどうかが、問題となります。

もう1点としては、仮に「日本移植学会の幹部が『事実と異なる発言をした』」は立証できるとしても、修復腎移植ができなくなったのは、あくまでも厚労省の「臓器移植法運用指針」が改定されたためです。「日本移植学会の幹部が『事実と異なる発言をした』」ことで、損害が生じたのではなく、「臓器移植法運用指針」によって損害が生じたという方が素直な説明ですから、因果関係の有無が問題となります。

もっとも、臓器移植法の運用指針改定の際、日本移植学会の幹部の影響が大きいため、その点からすれば因果関係の立証は可能でしょう。


  ハ:なお、<2>の点ですが、個人的には別の法律構成もあるように思います。

病気腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らが『事実と異なる発言をした』こと自体が、「専門家の責任」としての注意義務を尽くさなかったということであって、いわば「説明義務違反」自体が損害であるという法律構成も考えられると思います。




医師、それも日本移植学会の幹部は、臓器移植の専門家であり、臓器移植法の運用指針改定に大きく影響を与えた責任があります。これは、いわゆる「専門家の責任」の一種です。

「専門家の責任」とは、医師のように、一定の資格のもとに自由裁量による高度の判断を必要とする職業に従事する者には、その職業にふさわしい水準の注意義務が要求され、また、その者と契約する相手方に対して、必要とされる説明義務が要請されるというものです。弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、公証人なども同様の責任(債務不履行・不法行為責任)が認められています。

乳がんに関する最高裁平成13年11月27日判決民集55巻6号1154頁では、医師に未確立の療法まで説明義務を負わせていますが、「専門家責任」の考えがよく出ています(川井健『民法概論3(債権総論)』87頁、川井健=塩崎勤編者『専門家責任訴訟』、川井健『民法入門(第6版)』(有斐閣、2007年)202・384頁)。また、東京地裁平成16年1月30日判決(判時1861号3頁)は、説明義務違反を独立の損害賠償責任として認定しています。

もっとも、専門家責任の追及の場合も、問題なのは、修復腎移植は海外では高評価されているのに、日本の学会の主流は否定的であることです。ですから、「日本の学会は、海外での医療や学会と異なり、学識レベルが低すぎるために(オーストラリアのニコル教授の病気腎移植を誹謗中傷して否定するなど)海外の移植医療が理解できず、いくら判断を誤ってもこの程度では専門家責任を問われない」と認定する可能性があるでしょう。また、通常は契約関係を前提として「専門家の責任」を追及するため、今回の場合にまで責任追及可能なのかどうか、です。

(9月20日付追記:医師及び日本造血細胞移植学会に対する説明義務違反を追及した事案について、医師の説明義務違反は肯定しつつも、学会の説明義務違反を否定したものとして大阪地裁平成19年9月19日判決があります。)



(3) 海外では医療側主導で臓器移植の拡大を推進していますし、また、米国では政府主導で推進するほど、ドナー不足解消のために積極的な行動をとっており、もちろん、移植学会が率先して病気腎移植の妨害をすることはありません。それなのに、日本では違うのです。

今回、「病気腎移植訴訟」という「臓器移植訴訟」が提訴されることになりましたが、「臓器移植訴訟」は他にも予定されているのです。

臓器移植患者団体連絡会は平成20年6月28日、東京都内で記者会見を開き、「国内で多くの移植待機患者が亡くなっていることは国会の不作為だ」として、国会で10月上旬までに臓器移植法改正のめどが立たなければ、移植前に死亡した患者の家族を原告に、国を相手取った裁判を起こすことを検討していることを明らかにしているからです。

こうした「臓器移植訴訟」を提訴するに至るというのは、それほど患者が追い込まれているということです。何よりも、そうした患者側の立場を十分に理解し、自分のこととしてドナー不足解消へ動くべきなのです。
難波先生のブログをトピックトップに追記しました。
長文ですのでご了承ください。

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