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サハラ・エリキコミュのアッタマ!サハラの医者と祈祷者

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サハラ砂漠のど真ん中にいる時、どんな治療を受けられるのか。アルジェリアのサハラに位置するジャネットのイフェリ病院は、町中に銀行兼郵便局が一つ、毎日開かれる市場が一つと幾つかのカフェしかない人口1万5千人のオアシスの中ではもっとも近代的な設備に違いない。黄土色をした本館の各階では、長い廊下に沿って所々に集まる女性や男性のグループとすれ違い、家族皆が情報交換やおしゃべりをしながら眼科や整形科などの診察を受けにきた親戚の患者と一緒に待っている。でも、一番活気のあるのは産婦人科の廊下である。私も実は救急室の暖房の利いた小さい部屋から産婦人科の一〇畳くらいのトイレ付き、ベッド二つ、テレビ一台と乳母車一台が揃った広々とした部屋に移された。四日前に入院した私は、フランスに即刻帰国させたがる医者にとっては厄介者のようだった。結局その後帰国したけれど、このエピソードのおかげでサハラの病院での滞在及びトゥアレグの伝統的な医学を体験できた。


午前中はいつも交替に来てくれた知り合いの家族の女性の一人が、私に一日中付き添い(それは必要ないと言っても)、その後見ず知らず女性たちの見舞いも次々にあった。なぜなら、村の女性にとっては産婦人科のすべての病人の見舞いをしなければとても失礼にあたるからである。この病院のすばらしいところは、毎日の見舞い客の数だけでなく、患者さんに対する遠慮のない明るい挨拶の仕方:「元気? ハムデュリラヒ!(神様に感謝!)」である。 イスラム教の祭り「タバスキ」のあったこの週に病院は普段より活気があり、看護婦のスタッフがサハラの輝く砂丘に囲まれた庭で子羊をいけにえとして殺した。正規の見舞い時間を無視した燃えるような色合いのバザン(アフリカの織物)と淡いばら色のチュールのベールの着た男女は一日中そぞろ歩き、部屋で会うと、冗談を言いながら、ブルートゥース(無線通信)で流行のビデオやMP3の着音を携帯で交換していた。


それは現状を深刻に考えない自然な態度であり、静けさを要求する方がむしろ不自然でそぐわなかっただろう。世界中のほとんどの病院を支配する沈黙と孤独はここでは守るべきことではなかった。夜は、トゥアレグの看護婦達は抗生物質の注射をしにきて、体温を測りながら、観光シーズンにガイドの仕事もやった何人かは私によく砂漠のことを賑やかに話し、とても楽しかった。要するに、私はここで直って元気になると決めていたが、アラブ人とカビル人の二人の医者は超音波検査の結果として手術が必要と断固決断し、ジャネットよりフランスに帰って手術をすべきだと言った。もうひとつの現実はなんの病でも、簡単に訴訟できる外国人の手当てをするのは問題外だった。私は本音を言えば、そのようなはっきりしない診断のせいで帰国と仕事の約束を破るのかと思うと、胃痙攣の痛みよりもたまらないことだったし、ぶつぶつ不平を言いながら退院した。実は私は帰国することが怖くて死にそうだったが、その医者さんの決断のおかげで本当に命拾いしたかもしれないと後日分かった。スキャナーや検査施設が完備していないことから、医者は科学より絶対確実なものに頼った:彼らの直感である。


知り合いの家族の家では、皆は心配そうに私を見ていたが、夜中までフライトを待たなければならないこともあって、ハマニのお母さんはテネスマガルト、「世話をする女」を呼びに行った。ニジェール人の父とアルジェリア人の母をもつファタタさんはハマニの家から少し先の家に住み、植物の知識及び「アッタマ」に対する能力で皆に知られている。「あなたが美味しいものを食べている最中に、誰かそばを通った人がその食べ物を食べたいと強く望みながらあなたを見ると、あなたはその人の欲望を吸い込み、重病になる。それをアッタマと呼ぶ。」このような場合は、石にその食べ物を一口載せ、邪目を祓いのける。しかし、他人の欲張りな目つきに気づかない場合も多いので、お祓いすることが難しい。だから、テネスマガルトを呼び出す・・ 、ファタタが暗い部屋の中に入り、簡単な挨拶をしてからテンデを私の上にかかれて立った。トゥアレグの女性の間で音楽と料理に使われるこのすり鉢は、魂と体の振動を量る完璧な道具に見える。

テンデの伝えることに従い、ファタタは座り、小さいビニール袋から歌のような名前の植物を数多く取り出した::タボラック、アラレシャム、タフィルタスト、イシムシャット、アバロルロル・・サハラ砂漠の植物であるミルテ、アカシアのゴムや野生のフェンネルなどは「100の病を直す」驚くべき薬のブーケを構成していた。ジャネットの住民は、現代的な医学を補足するものとしてこの伝統的な薬草をよく使い、私たちがセカンド・オピニオンの診断を受けると同様に、ここでは「一つの治療が効かない時は、もう一つの治療を受けるべきだ」と信じられている。テンデ医学を初めて試した私は、占いやヤギの犠牲というもっと凄いことを期待していたが、ファタタは煎じ薬を飲ませ、胃をマッサージし、お礼も求めずに去っていた。深い眠りから覚めた私は、無事に飛行機に乗ることができた。煎じ薬の効果は素晴らしく、パリの病院に着いた時に、私は腹膜炎にかかっているとはすぐに理解できなかった。

一ヵ月後にファタタさんを訪問した時に、何を飲ませてくれたのか知りたくて尋ねてみた。彼女は乾いたピンクの香りのいい花の袋を見せた:アルワト。このサラダで食べる植物が私に凄い効果を与えたのにがっかりするくらい普通の物だったので、ファタタに炎症意外なんの効果があるのか尋ねてみた。彼女は奇妙な目つきで私に近づき、今回の出来事をミステリに満ちたものにする言葉を呟いた:「アッタマ」。それを聞いて新たに次の疑問が生まれた。外国人もアッタマに罹れるのか、それとも不注意な友人から移った間接的なアッタマであったのか。ジャネットの家族は今でも議論を続けている・・

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