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創作雑学コミュの師が語る放哉 その1

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放哉の こと   荻原井泉水


 その人の風格、その人の境地から産まれる芸術として俳句は随一なものだと思う。俳句はあたまだけでは出来ない、才だけでは出来ない、上手さがあるだけ、巧みさがあるだけの句は一時の喝采は博し得ようとも、やがて厭かれてしまう。作者の全入全心がにじみ出ているような句、若くは作者の「わたくし」がすっかり消えているような句(この両極は一つである)にして、初めて俳句としての力が出る、小さい形に籠められた大きな味が出るのである。
 芭蕉の境地、一茶の風格に就いては今更いうまでもない。然し、それから後、俳句というものが一概に趣味的な、低徊約なものになって、作者の人間、その気稟というものの出ているような作は殆んどなかった。所謂「俳趣味」という既成の見方からすれば、俳句らしくなくとも、その作者のもつ自然の真純さが出ていれば、それこそ本当の俳句だ、と私は思う。そして、そのような本当の俳句を故尾崎放哉君に見出したのである。

  入 れ 物 が な い 両 手 で う け る

 その受ける物が多すぎて両手からこぼれ落ちそうな感じがする、こうした気持は折につけて私達の生活の中からも顔を出す事もある。その自分ながらのありがたさを捉えて言葉に生かしたものとしても好いが、放哉君の生活を知っている私には、彼が物を蓄うべき器すらも持たぬ無一物の生活をしていて、それゆえに限りなく恵まれて小る気持、全心の感謝を以て受取る気持がうれしいのである。

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