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国連・憲法問題研究会コミュの報告 9月13日 安田好弘さん講演会 「現代の徴兵制」?―裁判員制度 司法改革の行き先は

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9月13日
安田好弘さん講演会 「現代の徴兵制」?―裁判員制度 司法改革の行き先は

報告が大分遅くなりましたが、9月13日、講演会「『現代の徴兵制』?―裁判員制度 司法改革の行き先は」を行いました。講師は、弁護士で死刑廃止国際条約批准を求めるフォーラム90で活動する安田好弘さん。会場は満席でした。(会場が狭くてすみませんでした。)

講演は、以下のような内容でした。

裁判員制度とは

裁判員制度とはどういうものか。裁判員制度の対象となるのは、刑事事件の中でも凶悪事件といわれるものだけ。裁判でも民事、行政、労働、家庭、少年などの事件は最初から対象にならない。刑事事件でも、凶悪事件といわれる死刑無期及び短期1年以上の故意犯で死の結果になった事件。昨年で10万6016件中、3111件=2.9%。しかも裁判員が参加するのは一審だけ。いくらでも上級審でひっくり返せる。

裁判員の数は6人。1事件で50〜100人の候補者が選ばれる。年間で有権者600〜300人に1人、0.15%〜0.30%が選ばれる。裁判官3人+裁判員6人で裁判を担当し、過半数で判決を下す(ただし、多数意見に裁判官1人以上の賛成が必要)。裁判員になる人は日本国民で衆院議員の選挙権を持っている人、容疑者などはなれない。

裁判員の義務としては、出頭義務、回答・陳述義務、真実義務、職務遂行義務、守秘義務、品位維持義務が課せられる。最初の呼び出し状に指定された日時場所に出頭しないと処罰される。呼び出し状には質問票が同封される。不公正な裁判を行うか恐れがないかどうかを調べるために、「質問票に虚偽の記載をしてはならない」とある。憲法が保障する黙秘権もない。裁判所は欠格事由がないか、公正な裁判をするかどうか質問できる。「正当な理由なくして陳述を拒み、虚偽の陳述をしてはならない」とあり、答えなかったり、嘘をつくと五十万円以下の罰金。だから、裁判員として指名されたとき、プライバシーは丸裸。
さらに裁判員は「評議に出席し意見を述べなければならない」。意見を言わないのは許されない。これらに違反すると、懲役6カ月以下、50万円以下の罰金、10万円以下の過料。
 そして、裁判が終わった後も、誰が裁判員だったか、本人も秘密を漏らしてはならない。漏らせば、裁判員本人も漏示罪で懲役1年以下、50万円以下の罰金(自分が裁判員になったことを他人に話しても罰せられる。)
 これが現在の裁判員法。

無罪推定原則

裁判員制度開始に先立って、一昨年11月から公判前整理手続きが始まっている。公判前整理手続というが非公開で裁判の論点を整理するもので、被告を呼び出すこともできる。被告と弁護人の間の関係を崩すもので、無罪推定原則が実質的に排除されている。

弁護士の権利制限が既になされている。私は光市事件で最高裁の弁論を欠席した。一週間で準備ができるはずないし、とても弁論できない。
延期申請すると、最高裁は朝一番で事情聴取もせずに延期申請を却下した。さらに私たち弁護人に対して出頭命令・在廷命令を出してきた。従わなければ科料。
裁判員制度で、裁判、公判前整理手続きに弁護人が出てこないおそれがあったら、裁判所は国選弁護人を選任できるとなる。
国選弁護人は裁判所の言いなりになる人。光市事件でも、最高裁の調査官は「答弁書は三年前に出ている。『そのとおり』と一言言ってくれればいい。新たな意見をおっしゃる必要がない」と直接言ってくる。最低一時間の弁論時間を求めると、「長すぎる。従来どおりといえば十分で済む話だ」と。裁判所にとって国選弁護人は正統性を装うためのアクセサリーに過ぎない。これは弁護人抜き裁判が法律的に認知されたということ。

光市事件の裁判でも連続開廷が行われている。平日に毎日午前10時から午後5時まで開廷する。翌日の弁護の準備をする時間も満足に取れない。ひとつの裁判でこれだけ時間が取られるのなら、弁護士はどうやって生活しろというのか。

裁判員制度はなぜ問題なのか。
現在のマスコミの事件報道は、感情を煽り立てるものだ。例えば、この場で大声で叫ぶ人がいたら、空気は凍りつく。冷静な議論ができなくなる。感情はそういうもの。裁判はそうであってはいけない。大衆が犯人と決めつけた人物に石を投げて殺したのが中世の「民衆裁判」。
だから、日本の近代司法は、職業裁判官が裁判するということにやってきた。現在進められている裁判員制度をはじめとする司法改革は司法のリンチ化。

現在の事件報道は事実報道でなく、憎しみと制裁を求める感情報道が大量に流される。感情報道に「汚染」された人達が裁判員を務める。例えば、私のところにひどいときは一日百件の脅迫・嫌がらせ電話がきた。こういう人達を相手にせざるを得ない。
予断排除の原則、無罪推定の原則、多数決原理の排除という近代の司法原則が裁判員制度で崩壊する。

なぜ裁判員制度か

なぜ裁判員制度が司法改革の目玉として出てきたのか。
95年、司法の規制緩和が着手された。司法改革三本柱は裁判迅速化、法曹人口拡大、裁判員制度導入。
裁判員制度導入を求める声は、法曹界からはなかった。アメリカからの要求。企業のニーズだ。

司法改革を進めるために、法務省にある法制審議会と別に、小渕政権で司法制度改革審議会が内閣に設置された(99年)。中心になったのが、井上正仁、中坊公平、藤田耕三、水原敏博らだ。
01年6月に小泉内閣に最終意見書が出された。その中では「国民の司法参加」として、国家と国民は一体だ、国民は自ら能動的に統治作用に参加せよと打ち出した。
同年11月、司法制度改革推進法が制定され、03年に裁判員法が成立した。

裁判員制度では、選ばれた国民が権限の行使をする。一方では義務を課し、一方で選民意識をくすぐる。徴兵制で国民は、戦争という国家による殺人に動員される。死刑は国家による殺人命令。裁判員制度は死刑という国家による殺人に国民を動員しようとしている。サボタージュすれば罰せられる。
私は、裁判員制度は国民を国家行為に駆り出す21世紀の徴兵制だと思う。

講演を受けて質疑応答では、マスコミ報道に左右される社会の現状、光市裁判、死刑事件、弁護士会の実情、若い人にどう働きかけるか、裁判員制度をとめられるのかなど様々な質問・意見が出された。
安田さんは「悲観的」な見通しを述べながら、「積極的不服従でやるしかない」と積極的不服従の必要性を強調した。

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