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私の書く物語コミュの朱い実

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僕はいつもカアテンの隙間から貴女を覗き見る。
貴女はいつも赤い木の実を食べている。
紅いVelvetのカアテンの隙間から覗き見る貴女は
白く細い指先で赤い木の実を摘み口へ運ぶ。
赤い木の実のその汁は貴女の白く細い指先を
貴女のふっくらとした唇を
朱く朱く染めてゆく。
貴女はいつも気取っていてつんと澄ましてまるで子供の僕になんか気をかけた事も無い。
もしかしたら貴女は僕がこの世に存在している事を知らないのじゃあないかしらん。
貴女の目には
尋ねてくる男性と
お金と
深紅のドレスと
赤い木の実しか映っていないのじゃあないかしらん。
そんな物の中だけで生きる貴女はまるで閉じられた花園のたった一輪の誘惑。
貴女は自分以下の存在は土さえも知らないのだ。
僕は。
まだまだ子供の僕はそんな貴女をそっとカアテンの隙間から見ているだけ。

ある日のこと。
貴女は赤い木の実を口に運びながらじっとカアテンの隙間を見つめ、
微笑みながら朱く染まった指先で僕を手招いた。
僕はそっと小さな身体を少しカアテンから覗かせる。
貴女は朱く染まった唇に優しい笑みを浮かべ、
こっちにいらっしゃいな食べたいのでしょうと仰った。
僕は。
張り裂けそうな気持ちになった僕は
貴女の白い咽を切り裂いた。
赤い実が朱く朱く染まってゆく。

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