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孤独な日コミュの『 蝶 』

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『孤独な日』がありますか?
お持ちの方は、どうぞ、物語を綴って下さい。
トピックに感想等ありましたらお聞かせ下さい。
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 数年前まで、僕はなにも持たず、夜な夜な街を徘徊するのが癖の
ようになっていました。暗くて狭くて人気のない怪しいところだったら
どこでもよかったのです。

 もし、その夜の傍観者が万歩計をつけていたなら途方もない数を
たたき出していたに違いない。

 ある夜、いつものように、遊女屋が立ち並ぶ静まり返った遊郭周辺
(零時以降は閉店しなければならない条令がある)をブラブラと歩いて
いる時、シャッターの前に、黒一色に覆われた女性がこちらに背中を
向けた格好でたたずんでいるのに気がつきました。

 なんだか、異質な雰囲気を漂わせているその女性に目を奪われて
しまった僕は足を止めました。

 24時間営業のドラックストアーが彼女の向いに建っていたので
彼女の持っているスパンコールの小さなバックが煌めいていることや、
筋肉質なふくらはぎから彼女の肉体が男性であることなどが分かり
ました。

 けれど、僕はそんなことよりも、彼女の肩が哀しく震えているのが
気にかかり声をかけてしまいそうな衝動に掻き立てられてしまった
のです。そして、言葉にならない言葉を発しようとした、その瞬間、
何かを察知したように彼女は大きな顔で僕の方に振り向きました。

 真っ白いファンデーションが塗られた50十代の頬の上を、涙まじりの
マスカラがスッと流れていました。

 あたなの泣いている理由はなんです?
 あなたの傷はなんですか?
 抱きしめましょうか?
 キスをしましょうか?
 そしたら少しは楽になりますか?
 痛いところを舐め合いましょうか?
 弱いものどうしセックスをしましょうか?
 そしたら僕たち少しは近づけますか?
 人と人が一緒にいる意味が理解できますか?

 愛ってなんだかわかりますか?

 と僕は彼女の帽子と胸にとまっていたニ羽の蝶を見つめながら
心の中だけで叫び続けていました。しかし、表情のない彼女はずっと
黙っている僕に静かにこう言いました。

「おまえ、大丈夫?」

 僕は即座に「はい。大丈夫です」と応えると逃げるようにその場を
立ち去りました。早足の僕の背中に「3000円で、チンポしゃぶって
もらえるとでも思ったのか!」と突き刺すような声が聞こえた気が
しましたが、それどころではありません。

 僕はウソをついたからです。本当は大丈夫ではなかったからです。

 もしも、彼女ともう一度出会うことがあれば、今の僕はきっと、
素通りするか「あなたを表現させて下さい」と本気で声をかける
でしょう。

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